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2025年10月29日水曜日

FreeCAD 熱解析ガイド⑥ 複合材料の温度シミュレーション精度を検証

  以前のブログに書いたFreeCAD FEMワークベンチによる複合材料の温度シミュレーション方法の妥当性を検証するため、材料の異なる2枚の板を接合したモデルで温度シミュレーションを行い、手計算結果と比較してみた。

2枚の板の大きさや物性値は以下の通り。

1枚目
・大きさ(S1):10×10 [mm]
・厚さ(d1):1 [mm]
・熱伝導率(k1):100 [W/mK]

2枚目
・大きさ(S2):10×10 [mm]
・厚さ(d2):2 [mm]
・熱伝導率(k2):50 [W/mK]

1枚目を上にして2枚を接合する。

また、境界条件は以下の通り。

・初期温度(T0):300 [K]
・温度拘束(Tb):2枚目の下面全面で300 [K]
・熱流束(Q):1枚目の上面全面から100 [W]1 [MW/m2])

この条件で1枚目の上面の温度T11枚目と2枚目の接合面の温度T2の定常値を算出する。

まずは手計算から。

1枚目の熱抵抗Rth1は、

 Rth1=d1/(k1S1)=1×10-3/(100×10×10×10-6)=0.1 [K/W]

2枚目の熱抵抗Rth2は、

 Rth2=d2/(k2S2)=2×10-3/(50×10×10×10-6)=0.4 [K/W]

1枚目と2枚目の合成熱抵抗Rthは、

 Rth=Rth1+Rth2=0.5 [K/W]

ゆえに1枚目上面の温度T1は、

 T1=QRth+Tb=100×0.5+300=350 [K]

となる。

また、1枚目と2枚目の接合面の温度T2は、

 T2=QRth2+Tb=100×0.4+300=340 [K]

となる。

次に、FreeCAD FEMワークベンチを使って同物性値、同境界条件で定常の温度シミュレーションを実施。

その結果、1枚目の上面温度は350 [K]1枚目と2枚目の接合面の温度は340 [K]と計算され、手計算と同じ結果が得られた。

簡単なモデルではあるが、複合材料の温度シミュレーションは以前のブログで示したようにPartワークベンチでBooleanFragmentsやコンパウンドフィルターの作業を行うことにより、FEMワークベンチで妥当性のある結果が得られると考えられる。

一方で前回のブログでも書いたようには、このシミュレーション方法のうち、BooleanFragments ‘Mode’  ‘Standard’ から ‘Compsolid’ へ変更することやコンパウンドフィルターを実行することを行わなくても’FEM’ ワークベンチで解析することは可能である。その結果を以下に示す。

結果は、BooleanFragments ‘Mode’  ‘Standard’ から ‘Compsolid’ へ変更してコンパウンドフィルターを実行した場合と全く同じである。メッシュ作成時も何ら問題も発生しなかった。今回のモデルは簡単な2層の複合材料のために問題が生じなかったのかもしれないので、今後はより複雑で大きなモデルで検証していこうと思う。

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FreeCAD 熱解析ガイド⑥ 複合材料の温度シミュレーション精度を検証

    以前のブログ に書いた FreeCAD FEM ワークベンチによる複合材料の温度シミュレーション方法の妥当性を検証するため、材料の異なる 2 枚の板を接合したモデルで温度シミュレーションを行い、手計算結果と比較してみた。