以前のブログに書いたFreeCAD FEMワークベンチによる複合材料の温度シミュレーション方法の妥当性を検証するため、材料の異なる2枚の板を接合したモデルで温度シミュレーションを行い、手計算結果と比較してみた。
2枚の板の大きさや物性値は以下の通り。
◯1枚目
・大きさ(S1):10×10 [mm]
・厚さ(d1):1 [mm]
・熱伝導率(k1):100 [W/m・K]
◯2枚目
・大きさ(S2):10×10 [mm]
・厚さ(d2):2 [mm]
・熱伝導率(k2):50 [W/m・K]
1枚目を上にして2枚を接合する。

また、境界条件は以下の通り。
・初期温度(T0):300 [K]
・温度拘束(Tb):2枚目の下面全面で300 [K]
・熱流束(Q):1枚目の上面全面から100 [W](1 [MW/m2])

この条件で1枚目の上面の温度T1と1枚目と2枚目の接合面の温度T2の定常値を算出する。
まずは手計算から。
1枚目の熱抵抗Rth1は、
Rth1=d1/(k1・S1)=1×10-3/(100×10×10×10-6)=0.1 [K/W]
2枚目の熱抵抗Rth2は、
Rth2=d2/(k2・S2)=2×10-3/(50×10×10×10-6)=0.4 [K/W]
1枚目と2枚目の合成熱抵抗Rthは、
Rth=Rth1+Rth2=0.5 [K/W]
ゆえに1枚目上面の温度T1は、
T1=Q・Rth+Tb=100×0.5+300=350 [K]
となる。
また、1枚目と2枚目の接合面の温度T2は、
T2=Q・Rth2+Tb=100×0.4+300=340 [K]
となる。
次に、FreeCAD FEMワークベンチを使って同物性値、同境界条件で定常の温度シミュレーションを実施。
その結果、1枚目の上面温度は350 [K]、1枚目と2枚目の接合面の温度は340 [K]と計算され、手計算と同じ結果が得られた。

簡単なモデルではあるが、複合材料の温度シミュレーションは以前のブログで示したようにPartワークベンチでBooleanFragmentsやコンパウンドフィルターの作業を行うことにより、FEMワークベンチで妥当性のある結果が得られると考えられる。
一方で前回のブログでも書いたようには、このシミュレーション方法のうち、BooleanFragmentsの ‘Mode’ を ‘Standard’ から ‘Compsolid’ へ変更することやコンパウンドフィルターを実行することを行わなくても’FEM’ ワークベンチで解析することは可能である。その結果を以下に示す。

結果は、BooleanFragmentsの ‘Mode’ を ‘Standard’ から ‘Compsolid’ へ変更してコンパウンドフィルターを実行した場合と全く同じである。メッシュ作成時も何ら問題も発生しなかった。今回のモデルは簡単な2層の複合材料のために問題が生じなかったのかもしれないので、今後はより複雑で大きなモデルで検証していこうと思う。
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