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'08 早春の天草と通潤橋④ 本渡〜赤瀬

2008年 九州 自転車旅

4日目 2008年3月14日(金)

自転車旅実質3日目。

今日は天草上島へ渡り、国道324号線ロザリオラインを東へ進む。高舞登山(たかぶとやま)展望所で天草松島の絶景を見て、いよいよ天草五橋2~5号橋を渡る。そして国道266号線天草パールラインを北上して天草五橋1号橋の天門橋を渡って宇土半島の赤瀬までいく。

昨日のサンセットライン、ロザリオラインといい、今日のパールラインといい、天草は横文字な愛称が好きなようだ。

今日は曇り時々雨の予報。旅に出る前の週間予報でも今日が一番天気が悪かったが、その通りになってしまった。残念…

「高舞登山展望所」や「天草五橋」からの絶景を見たかったので、今日は自転車旅の中で一番晴れて欲しい日だったが、どうもそう簡単に希望を叶えさせてくれないようだ。昨日、教会で祈らなかったのがマズかったか。

天気以外にも気になることがある。それは「天草五橋」。旅に出る前にちょっと調べた限り、どうも道幅狭くゆえに路肩もかなり狭いかほとんどないような感じだった。歩道も狭そうだった。まだちょっと情報不足。

交通量が多くなければいいのだが、多ければ歩道を歩く羽目になるかもしれない。でもまぁ眺めがいいのでそれでもいいかと思っていたが、天気が悪いとなると眺めも良くない可能性がある。「天草五橋」は出たとこ勝負な感じ。

雨はまだ降っていないが、リュックにレインカバーを付け、レインウェアをリュックから出してリュックの上に括りつけて、いつ雨が降り出してもいいように準備する。

9:55 宿を出発。

ロザリオライン

空模様を見ながら出発のタイミングを図っていたのでかなり遅い出発となった。元々今日の走行距離は70kmちょっとだったので出発が遅くても問題なし。本当は絶景を見るために時間をとっていたのに、こんなことに使ってしまうとは…

本渡の街を抜ける。天草上島へはループ橋の本渡瀬戸大橋ではなく、その南にかかる昇開橋の本渡瀬戸歩行橋で渡る。

本渡瀬戸歩行橋
本渡瀬戸歩行橋

ロザリオラインで天草上島を東へ進む。走り始めてまもなく、顔にパラッと水滴を感じる。「あっ、ヤバい、きた」

慌てて止まる。「さぁ、どうなるどうなる?降ってくるのかー」

しばらく様子を伺う。が、雨は降らず、パラッもそれっきり。「とりあえずよかったー」

でもいつ降ってきてもおかしくない天気。

天草上島のロザリオラインは平坦な道が続くが、交通量多し。九州本土に近づいているからだろう。海岸線から離れたところでは5%ぐらいのアップダウンはある。

曇っているため、海岸線の景色もイマイチ。うぅ~ん。唸るしかない。

有明まで来ると「タコ街道」という看板を発見。「タコの街 有明」とも書いてあるので有明周辺だけ「タコ街道」とも呼ぶみたいだ。ツーリングマップルでは「ロザリオライン」になっているので、有明周辺だけ愛称が被る。天草の人はどちらがお好みなんだろう?

タコ街道
タコ街道

その有明を過ぎると交通量が一気に減る。ロザリオラインに並行して松島有明道路が開通しているせいだろう。よしよし、車はみんなそっちにいってくれー

11:30 四郎ヶ浜に到着。

休憩する。海水浴場のようだが、3月なので人っ子一人いない。天気が良ければ散歩する人ぐらいはいるだろうけど、いかんせんこの天気。

赤崎海岸を過ぎ、右にカーブする。

11:43 前方に特徴のある小さい山?島?が見える。

高杢島の天草富士だ。ちっちゃー

小さかった高杢島の天草富士(右)
小さかった高杢島の天草富士(右)

赤崎海岸を過ぎると、ロザリオライン·タコ街道(ちょっと長いので以後ロザリオ·タコ街道と呼ぶ)は海岸線を離れ、少し内陸を走る。アップダウンが出てくるが、勾配は5%もないので全然問題無し。相変わらず交通量も少ない。多分、天草五橋までは少ないんだろうな。いいぞー

楠甫川の河口のところで、また高杢島の天草富士が見える。少し近くなった。おーっ。そこから数百m走ったところでまた高杢島が見える。堤防の方まで行ってみるが「あれっ」

なんか形が富士山形じゃなく、丸っこくなった。ちょっと角度が変わると形が変わっちゃうところ、よくあるな。

丸くなった天草富士
丸くなった天草富士

12:24 上天草市に入る。

海岸線を走るが路肩がちょっと狭い。海も見たいが、後続車も気になる、気になる。

知十橋を渡っていると、川というか海の色が「あれっ」

知十橋を渡り終えたところで止まる。曇りなのではっきりわからないが、川というか海の色がエメラルドグリーンっぽい。「えっ、ここ沖縄?、藻?」

エメラルドグリーンな天草の海
エメラルドグリーンな天草の海

知十橋を越えるとロザリオ·タコ街道は内陸へググッと入っていく。

松島の街に入り、国道266号線に合流。天草上島の南岸を走る国道266号線には愛称がないようだ。かわいそう。

高舞登山

右折して国道266号線に入り、高舞登山へ向かう。1kmほど走ると道路の右側に「➡︎高舞登山」の標識を見つける。

右折すると車1台が通れるほどの道幅で、いきなり余裕の10%超の激坂が立ちはだかっている。山登りとは思ってたけど、ここまで激坂とは思ってなかった。考えが甘い。

水を1杯飲み、呼吸を整え、気合を入れて激坂に突撃。シフトチェンジ!ガシャガシャ、シフトチェンジ!ガシャガシャ、シフトチェンジ!ガシャガシャ、·········。そしてすぐに軽いギアはなくなる…。必死コイて上る。最初の左カーブを抜け、しばらく走ると勾配は緩くなる。「あれっ、もう終わり?でもよかったー」

それでも勾配は5%を越えてるが、これくらいは問題なし。

13:16 高舞登山の駐車場に到着。

国道266号線の入口から15分ほどかかったが、何とか上りきれた。汗だくだく。駐車場に車は1台もいない。もちろんこの激坂を自転車で上ってくるアホも自分以外はいない。

ガードレールに自転車を立てかけ、駐車場から更に長い階段を上る。体力いるねぇー。問題なし。展望所に向かう。

13:18 高舞登山展望所に到着。

「おーーーっ、スゲーーーェ、ゼッケーーェ」

高舞登山の標高は117mしかなく少し霞んでいるが、遮るものはなく、天草松島の島々と入江の海、天草富士、これから渡る天草五橋、行き交う船、島原湾、八代海まで見渡せる。「すげーっ、すげーっ、すげーっ」

「すげーっ」しか出てこない。

「天気がよければもっとよかったのになぁー」とそこは少し残念。

何枚もバシバシ写真を撮る。パノラマ写真にしないと収まりきらない。でも天気がイマイチだし、写真を撮るセンス0なので、あとで見ると「うぅ~ん」な感じ。

展望台の周りには桜の木もあるらしいので、あと半月か1ヶ月すれば満開の桜で一層、絶景なんだろう。いいねー。いつかまたそういう時期に来たい。

そんな絶景な展望台だが、自分がいる間は他に誰も来なかった。

天草松島①
天草松島①

天草松島②
天草松島②

天草松島③
天草松島③

13:32 高舞登山を出発。

国道266号線へ一気に降りる。高舞登山の方を振り返ると展望台が見える。下からも見えたんだー。

その後も何度か高舞登山の方を見上げるが、展望台がずーっと見えている。よく考えると展望台からも広い範囲が見えたので当然といえば当然か。

天草パールライン

天草五橋」の5号橋「松島橋」に向かう。松島の街から国道266号線を上っていくと松島有明道路に合流。交通量が一気に増える。「マジか」

13:45「松島橋」に到着。

ここから天草パールライン。想定していた通り「松島橋」に路肩はほとんどなく、歩道も人がすれ違えるほどの幅しかない。さらにだ。松島有明道路と合流して交通量もかなり多く、車列が途切れていない。「これはマズい…」

車道を走れば、後ろから来る車は対向車線にはみ出すこともできないので自分の自転車を抜けない。そうなると渋滞を招くことになる。「それはちょっとイヤだなぁー」

さらにさらに風もやや強い。乗ろうと思えばギリギリ乗れる歩道の幅だが、風が強めなのでここは自転車を押して歩く。しょうがない。安全第一。

「松島橋」は長さ178mと天草五橋のなかで一番短かい。何枚か写真を撮って渡りきる。

前島に入り、数百m走るとすぐに4号橋の「前島橋」。ここの長さは510mで交通量の多さや路肩の狭さは「松島橋」と同じ。だが、歩道の幅は「松島橋」より更に狭くなる。「マジか~」

ここも自転車を降りて歩道を歩く。風が強く、煽られながらも渡りきる。なので写真はちょっとだけ。

続いて池島、大池島と小さい島を数百m走ると、これまたすぐに3号橋の「中の橋」。長さは361mで、路肩や歩道などの状況は「前島橋」と同じ。ここも自転車を降りて歩道を歩く。写真はもう撮らなくていいっていう感じ。

更に永浦島を数百m走るとまたしてもすぐに2号橋の「大矢野橋」。長さは249mで路肩や歩道などの状況は相変わらず。風も強く、ここも自転車を降りて歩道を歩く。写真はもう撮る気なし。

14:20 大矢野島に到着。

これで「天草五橋」のうち、4つの橋を渡り終えた。路肩なく、歩道狭く、交通量多く、それでいて今日は風が強くて、眺めも絶景とまではいかなかった。全く楽しくなく、ただただ苦痛だった。うぅ~ん。

3kmほど走ると再び海岸線に出る。うっすらと青空も出始めた。雨の心配はもう無さそう。もうちょっと早くそうなってほしかった…。

湾の向こうに大きな橋と島が見える。ツーリングマップルをみると、野釜大橋と野釜島のようだ。

特に見どころはないと思うが、今日はもう特に寄るところがないので、行ってみることにする。「今日は余裕ありすぎたなぁー」

天草パールラインを「天草四郎メモリアルホール」がある交差点で左折する。久しぶりに交通量の少ない海岸線を走る。やれやれ。

15:00 野釜大橋を渡り、野釜島に入る。

島に入ると5%ほどの上り坂が続く。野釜漁港を見下ろせる駐車スペースで休憩する。天気は回復してきたが、天草富士はまだまだ霞んでいる。

更に少しのぼったところで時間的にも体力的にもそろそろいいかなぁと思ったので、ここで引き返す。野釜島はやはりこれといった見どころはなかった。残念。

天草パールラインに復帰し、交通量の多い上天草の市街地を抜けていく。しばらく走ると「天草五橋」最後の1号橋「天門橋」に向かう山間のアップダウンに入る。勾配は5%以下と大したことはない。余裕。

路肩が狭くなり、小石や砂、枝木が溜まっている。ちょうどその時、後輪が小石を踏んだようで、少し自転車がぐらつく。「うわっ」

路肩が狭く、交通量が多いため、かなり焦る。なんとか車道の内側に大きく膨らむことなく、路肩に転落することなく、自転車を立て直す。ふぅー、よかった、ちょっと危なかった。この旅で一番ヒヤリとした場面だった

一旦、海岸線に出た後、三角ノ瀬戸にかかかる「天門橋」へ上り始める。すっかり晴れ渡り、青空になる。おそーい。

16:01 天門橋展望所に到着。

展望所から「天門橋」を見ると、これまでの4橋に比べ海面からかなり高いところにある。予想外。「でも他の橋と同じように路肩なく歩道は狭いんだろうな。橋が高い分、風が強いだろうな」と思う。最悪かもしれん。憂鬱になってくる。

天門橋展望所
天門橋展望所

「天門橋」の入口に行くと予想は全て的中。長さは502mと長め。当然、自転車を降りて歩いて渡る。

横風が相当強く、体も自転車ももっていかれそう。体を低くして踏ん張りながら一歩一歩前進する。恐怖心までは感じないが、周りを見る余裕は全然ない。「ウォーーーッ」叫んでみる。自分の声はあまり聞こえない。それだけ風が強い。

余裕はないが「せっかく来たので真ん中あたりで1枚ぐらい写真撮って、話のネタぐらいにしておこう…」と変な使命感が芽生える。そして撮ってみた。まぁまぁな感じ。

天門橋から絶叫の1枚
天門橋から絶叫の1枚

何とか橋を渡り終える。やれやれ、やれやれ。

この「天草五橋」は自転車にとってはかなり鬼門だった。天草はいいところなのでまた来たいと思うけど、自転車で「天草五橋」を渡ろうとはもう絶対に思わない。

「天門橋」から下りていくと「⬅︎熊本 宇土 松橋 三角港➡︎」の案内標示が出る。宿に行くには左だが、旅の軍資金を確保するため右の三角港へ向かう。

16:24 三角駅に到着。

駅舎は木造でかなり古そうだし、正面の駅名板も「燈台のある駅 MISUMI」となっていて、いい雰囲気が出ている。

近くのコンビニ(ファミリーマート)でお金をおろす。これで財布の中は安心。

宿に向かうため、少し戻って国道57号線に入る。路肩が狭く、交通量が多いので走りづらい。やだねぇー

しばらく走ると古い西洋風の建物が見えてくる。「なんだあれっ?」

16:35 三角西港に到着。

ここはかつて日本三大築港の一つだったところらしい。今は記念館や公園が整備されている。散策や釣りをするのもいいかもしれない。

しばらく海や記念館を見たりしながら公園内を散歩する。海の向こうにはさっき通ってきた「天門橋」が見える。自分の中では相当悪名高い橋になってしまった。「よくこんな強風の中で、あんな高くて長い橋を渡ってきたなぁ」と我ながら感心する。

三角西港の「浦島屋」
三角西港の「浦島屋」

16:45 三角西港を出発、宿に向かう。

島原湾沿いの道になると交通量も少なくなる。雲ひとつない天気になり西日が浴びながら走る。朝からこんな天気だったらなぁー

17:03 宿に到着。

今日のお宿は「旅籠 磯亭」。国道57号線を三角西港から5kmほど東、赤瀬駅から1kmほど西に行った海沿いにある。部屋は12畳の和室でオーシャンビューときている。波の音もガンガン入ってくる。というのも窓の下はもう海。トイレと風呂は共同。自転車は宿の前に止めておくしかないようだ。この辺りはこの宿ぐらいしかないので問題ないだろう。

宿に着いた後、荷物を置いて、まず東に500mほど離れたところにあるコンビニへ買い物に行く。

オーシャンビューの磯亭
オーシャンビューの磯亭

宿に戻り、風呂へ行く。風呂は温泉で小さいながら露天風呂もある。誰もおらず貸切状態。

温泉に入るとちょっとぬるいし、温泉が出てくるところからお湯が出ていない。「あれっ」

しばらくして温泉が出てきていい湯になってくる。おーぅ

自分が入った直後は温泉の元栓が開いていなかったみたいだ。

体を洗った後は、ほとんど露天風呂で過ごす。目の前は島原湾の海。島原湾の向こうには島原半島があるはずだが、うっすらと普賢岳の上の方だけ見える。あれが噴火した雲仙普賢岳かー。だんだんと西の空が焼けてくる。おーっ

露天風呂はぬるめなので結構長時間、夕日が見ながら入ってしまう。まぁいいだろう。

露天風呂もオーシャンビュー
露天風呂もオーシャンビュー

夕食は部屋食で、魚料理が中心。煮魚が特に美味かった。

宿の女将さんにコインランドリーがないか尋ねたところ、そういうのはないので洗濯機を貸してくれた。洗濯物も干していただく。ありがとうございます。助かりました。

明日は海を離れて内陸の通潤橋に向かう。

波の音が部屋の中にザァーザァー入ってくる。

寝る。

走行時間:5h24m26s 走行距離:76.37km
平均速度:14.1km/h 最高速度:35.4km/h

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