退職金と一口に言ってもいくつかの種類に分かれていて、退職時に一時金として受け取れるもの、年金として受け取れるもの、またはその両方を組み合わせて受け取れるものがある。
ネット上の記事を読むと、退職時に全て一時金として受取るほうが年金として受取るより、税金や社会保険料が少ないので有利との意見が多いようだ。
以前のブログで書いたように、一時金として受け取ると退職所得控除という税の負担が大幅に軽くなる制度がある。
年金として受取ると運用益が加わるので受取る額は一時金より多くなるが、公的年金だけの場合より所得が増えるので所得税や住民税、社会保険料の支払いが多くなる。
その額を差し引くと一時金として受取るほうがトータルで有利になるらしい。
ただし、これらの記事は60歳定年まで働いた時の試算。
例えば、大卒、勤続38年で退職すると退職所得控除は、
800万円+70万円×(38-20)=2,060万円
にもなる。
ところが、40代後半、例えば勤続26年で退職すると退職所得控除は、
800万円+70万円×(26-20)=1,220万円
にまで下がる。
早期退職により退職金が割増しされると、割増分も退職金と扱われるので退職所得にかかる税金は結構な額になりそう。一概に一時金として全額受取るのがいいとも思えないのでちょっと試算してみた。
例えば、
・勤続38年、60歳で定年退職した時の退職金が2,060万円の場合
退職所得控除は、
800万円+70万円×(38-20)=2,060万円
なので、退職金にかかる税金は0。退職所得に社会保険料はかからない。
計算式はこちら。
・勤続26年、48歳で早期退職した時の割増し含めた退職金が2,060万円の場合
退職所得控除は、
800万円+70万円×(26-20)=1,220万円
課税退職所得は、
(2,060万円-1,220万円)/2=420万円
所得税(復興特別所得税含む)は、
(420万円×20%-427,500)×1.021=421,162円
住民税は、
420万円×0.1=420,000円
合計の税額は、
421,162+420,000=841,162円
計算式はこちら。
と、かなりの高額な税金がかかってしまう。定年退職と同じように退職金を一時金として全額受け取るのはちょっと考えものだ。
想定以上に長生きしたり今後の公的年金の給付年齢引上げや給付金引下げを考えると、年金として受け取るほうがいいのかも知れない。
そこで、一時金または年金を選択できる分について、どれくらいの割合にすれば節税になるか調べてみることにした。その内容は次回以降に書いていく。
公開日:2017年8月9日23時55分
更新日:2024年2月4日12時00分
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