3日目 2007年9月30日(日)
朝、目が覚めて窓から天気を確認すると、日は出ていないものの、霧はなく、雨も降っていない。天気予報も曇りで、今日は昨日より景色が楽しめそうだ。
ところが、朝食後、部屋に戻って窓の外を見てみると、なんとガスっている。すぐ近くを流れる鳴子川対岸の木々もよく見えない程の濃さだ。しばらく様子をみるが、晴れる気配どころか、どんどん濃くなっていく。
今日はやまなみハイウェイの最高点である標高1320mの牧ノ戸峠越えを控えているので出発することにする。
8:55 昨日と同じ霧雨状態なのでレインウェアを着て出発。県道40号線と県道621号線を経由してやまなみハイウェイに出る。全く周りの風景が見えない中、のぼり坂を進む。
トラブル発生!?
最初の目的地、長者原ビジターセンターに到着。自転車を止め、鍵をかけようとしたところ、なんとワイヤーロックがない!
どこかに落とした!?と一瞬思ったが、落ち着いてよく考えると、宿を出発する時、自転車からワイヤーロックを外した後、いつもならハンドルにつけるのだが、その記憶がない。
多分、宿の入口に置いてきたのだろう。最初、諦めて鍵なしで行こうかと思ったが、まだ先は長いし、時間にも余裕があるので宿まで戻って取りに行くことにする。
宿を出発して50分程走ったが、戻りは下りなのであっという間に戻れた。
予想通り、宿の入口に置いたままになっていた。気を取り直して長者原ビジターセンターへ再出発する。
11:15 長者原に到着。標高は1018mで、遂に1000mを超えた。
長者原ビジターセンターの奥には、タデ原湿原があり、自然研究路(散策路)が整備されているのでぐるっと1周してみる。ガスっているので山並みや周りの景色は見えないものの、まずまず楽しめた。
ビジターセンターに戻ると、車で旅行している人に道を尋ねられる。どこの場所を聞かれたかは忘れたが、紙の地図を入れたケースを首からぶら下げていたので、それを見せながら教えた。
道は簡単だったが、その人はそもそも今いる場所がよくわからないようで、なかなか理解してもらえない。既に迷子になっているようだった。
12:00 長者原を出発、牧ノ戸峠に向かう。
長者原を出発するとすぐに寒の地獄温泉を通過、ここの温泉は文字通り、お湯(水)の温度が13℃しかないそうで、我慢して入ると湯上がりは身体がポカポカするそうだ。
牧ノ戸峠近くで若干勾配がキツくなったように感じたが、やまなみハイウェイの勾配はほぼ5,6%の一定のように感じる。ただ、標高が上がっても相変わらず濃いガスがかかったままなので、眺望は全くない。
12:40 牧ノ戸峠に到着、標高は1330mだ。ここもガスで展望はなし。その割に峠の駐車場は車でいっぱい、人は多くない。
ここは久住山の登山口でもあるので、登山の人の車かもしれない。ここでしばらく休憩する。今日も今のところ、自転車の姿は見ていない。
13:00 牧ノ戸峠を出発、くだり坂に入る。今日の行程でもう長いのぼり坂はないはずだ。
瀬の本温泉で明後日通る予定の県道40号線の分岐を確認する。更に降りていくとこれまでの山間の道が開け、ガスが薄くなっていく。
やまなみハイウェイをくだる
13:30 三愛に到着。大きなレストハウスやキャンプ場があって、家族連れで賑わっている。ライダーもたくさんいるが、自転車は見かけない。トイレ休憩して、すぐに出発。
10分程走ると道の左手に鳥やら五重の塔の形をした妙な木々がたくさん見える。「すってんころりん」というところのようだが、ここは一体なんなのか、未だよく分からない。
県道40号線との交差を過ぎ、やまなみハイウェイが左に90°大きくカーブすると、うっすらと僅かながら阿蘇の山が見えてきた。
ガスはほとんどなくなり、周りの風景がよく見えるようになる。うねった草原の風景が独特だ。
14:40 やまなみハイウェイから県道45号線に入り、西へ進む。向かう先は大観峰。阿蘇に来たなら外せない場所だ。
県道45号線に入ると再びのぼり基調になるが、勾配は2,3%ぐらいでキツくはない。草原地帯の中、電柱が延々と続いている風景になんとも言えない寂しさを感じる。
阿蘇観光牧場で小休止して大観峰に向かう途中、丘陵地帯の間から、はるか下の田園風景とその先に阿蘇山が霞んで見える。
はるか下に見える田園地帯は、どうやら阿蘇山のカルデラ部分のようだ。大観峰からの眺望を楽しむため、あまり見ないように進む。
15:20 大観峰の駐車場に到着。夢大吊橋並のかなりの人出だ。展望台は駐車場から更に5分程歩いた先にある。
展望台に到着。イヤ~凄い風景だ。阿蘇五岳は雲かガスでほとんど見えないが、それでも絶景だ。こういう風景は初めて見た。
なんといってもここから田園地帯までの落ち込みようが半端ない。ちょうどここは阿蘇外輪山の縁に当たるところなので、ここから下のカルデラ部分まで500mも一気に落ち込んでいる。
展望台のすぐ先から落ち込んでいて、足を滑らせ落ちたら、確実に500m落ちそうだ。
しばらく、この絶景を眺めて楽しむ。
16:10 大観峰を出発。県道45号線から国道212号線に向かう。
道のすぐ近くの傾斜のキツい丘陵地に牛が放牧されている。こういう牧場もはじめて見た。これも阿蘇ならではの風景だろう。
国道212号線をくだっていくと、宿のある内牧温泉が見えてきた。
阿蘇・内牧温泉
今日の予定は、もう宿に行くだけなのだが、時間が早いので、JR阿蘇駅に向かうことにする。
というのも、明日は阿蘇山に行く計画だが、自宅を出発前、自転車でのぼるか、バスにしようか迷っていた。
一応、自転車でのぼるつもりだが、念のためバスの時刻を調べるため、JR阿蘇駅に向かう。
内牧温泉まで下り、更にこのまま国道212号線を進む。
阿蘇駅までの広い直線路を走っているとガスは完全になくなり、夕日が指すようになってきた。阿蘇の山並みも上まで見えてくる。
17:30 阿蘇駅に到着。駅にあるバスの時刻表をみると、阿蘇山西駅行きの始発が8:57で所要時間40分、その後は1時間に1本程度で1日7便。
帰りも便数は同じで最終は阿蘇山西駅発17:00で内牧行き。 全便、途中の草千里にも止まるので、この便数だと山頂も草千里もゆっくり見られそうだ。
でも、予定通り自転車でのぼることにする。来た道を引き返し、内牧温泉に向かう。
18:10 宿に到着。今日のお宿は「湯巡追荘(ゆめおいそう)」。宿に向かう道が分かりにくかった。内牧温泉で一番リーズナブルだったのでここにした。1泊2食で7800円+入湯税150円也。
夜になるとビンゴゲームや縁日などいろいろイベントがあるようで、1階は騒がしかった。
部屋は6畳の和室+広縁でトイレ付き、冷蔵庫もあった。
お風呂は宿を出た向かいにあり、一応、貸切露天風呂だが、周囲が温泉街なので、天井が抜けた建物を壁で区切って個室のお風呂にしたという感じ。空だけ眺められる。
夕食はホテルの食事処で座敷に案内される。一人旅なので、もちろん一人で食べていると、ご飯を持ってきた店員さん(おばさん)が「ひとりで寂しいですね」という。「自転車旅は楽しい」としか感じていないので、ちょっとムッとしてしまう。
つい出てしまった一言だと思うが、いろいろなお客さんが来る宿なのに、自分の価値観で話すのは気配りが足りないと感じる。団体客しか来ない宿なのだろう。
自転車は宿の前か駐車場に置くしかないようだ。
走行時間:5h16m58s 走行距離:79.61km
平均速度:15.0km/h 最高速度:38.3km/h