‘08 春の秋田 斜め縦断の旅⑥ 男鹿〜大潟

2020年4月30日木曜日

2008年 自転車旅 東北

5日目 200854日(日)

今日もいい天気。いいぞー。

今日は男鹿半島を1周して大潟まで行く予定。この連休の自転車旅を秋田にした最大の理由、それがこの男鹿半島を1周したいと思ったからだー。

ツーリングマップルをみると、単に海岸線を走るだけでなく断崖をぬって走るところや草原の中を走るところもあり、かなり面白そうなコース。途中、ゴジラ岩や八望台、入道埼、真山神社と立ち寄るポイントも多い。

9:16 宿を出発。

県道59号線で男鹿市街と石油備蓄基地の横を抜けると海岸線に出る。海を見ながら走る。

9:44 鵜ノ崎海岸に到着。案内板に「日本の渚百選」と書いてあるので寄り道する。干潮なのか、岩礁が出ていて海は穏やかだ。

この後もしばらくはアップダウンの少ない海岸線を走る。

潮瀬崎・ゴジラ岩

10:14 潮瀬崎に到着。自転車を置いて、ウワサ?の「ゴジラ岩」を見に行く。海岸線はゴツゴツした岩場が続いていて、そこに観光客がたくさんいて賑わっている。

ゴジラ岩」はその形からすぐに見つかる。「おーっ、ゴジラだ!」

確かに海に向かってゴジラが吠えているような感じがする。あっ、でも後頭部が吹っ飛んでいる…。

その「ゴジラ岩」に若者連中がよじ上っている。あまり頑丈そうに見えない岩なので、

「崩すなよ!」

と心の中で叫ぶ。

ゴジラ岩
ゴジラ岩

次に潮瀬崎灯台の足元まで行ってみる。ここからの眺めもよく、近くに帆掛島もあっていい景色。

帆掛島
帆掛島

しばらく広い岩礁の上を歩きまわり、登ったり、写真を撮ったりしながら過ごす。

自転車に戻り、潮瀬崎を出発。

進路が北に変わると高度が上がり始める。上り坂の途中に「男鹿国定公園」と書いてある大きな石の案内板がある。

いよいよ、ここからが男鹿半島の本番のようだ。

前方に街が見える。

おが潮風街道

10:45 門前に到着。ドデカい「なまはげ立像」が迎えてくれる。「泣く子はいねぇがー」のなまはげだ。

その近くに大きな地図があるので場所を確認する。この辺りがちょうど男鹿半島の南西端のようで、ここから西海岸を通って入道埼まで北上する。

休憩して出発。

門前の街を出ると、いよいよ本格的な上り坂(10%ぐらい)が始まる。「きたぞー」

坂の途中、道路脇にある駐車スペースから前方の崖の上をみると、ここよりも20mぐらい上の高さに道路、ガードレール、電柱が見える。

「お~、少なくてもあそこまでは上るみたいだな。あの先もまだ続いている気がするけど

上り坂はまだ始まったばっかり。全然元気なので問題なし。行くぞ。

ヘアピンカーブの坂を上っていくと、まだ夏でもないのに「アブさん」が体の周りを「ブゥ~~ン」と飛び始める。群れではなく、1, 2匹程度なので気にせず坂を上る。

11:00「長楽寺」前に到着。眼下に日本海が広がる。なかなかのキツい坂だったので少し休憩する。暑い!

お寺には寄らずに出発。このあとも上り坂が続き完全な山岳コース。振り返ると上ってきた道が眼下に見える。

おが潮風街道①
おが潮風街道①

舞台島駐車場でちょっと休憩。海を眺める。

その後もひたすら上り坂が続き断崖上の道を走るが、遠くの海岸線や断崖の上から見下ろす景色がよくて走っていて楽しい。いい感じ。交通量も皆無に近い。

海岸線から離れ森の中を走っていると、突然、前方に日本海がバーンと現れることもある。

そういえば、昨日の夜に見た観光パンフレットには、確かこのあたりの海岸線に観光船が出ていると書いてあった。観光船が出ているくらいなので、風光明媚な景勝地なんだろう。乗ることも少し考えたが、時間的に難しいので諦めた。またいつか

おが潮風街道②
おが潮風街道②

11:15大桟橋」辺りで小さな船が見える。「あれが観光船か?」

その後、ずっと続いてきた上り坂もようやく終わり、下り基調に入る。のんびり風景を楽しみながら気持ちよく走る。

11:43 前方の小さい湾に港と民家が見える。青砂の集落だろう。

おが潮風街道③
おが潮風街道③

集落の上を通過し、桜島パーキングで休憩する。

パーキングから海岸線をみると赤い大きな建物が見える。「なんだあれ?」

ホテルのように見える。赤い外観が周囲の景観を少し損ねているように感じなくもない。県道59号線からはほとんど見えないので、走っている分には気づかないが

パーキングを出発すると、今度はアップダウンが続く。ただ、相変わらず交通量は皆無なので、海岸線の景色をゆっくり見ながら走れる。

おが潮風街道④
おが潮風街道④

しばらくすると、多少ではあるが後方から追い抜いていく車が多くなったように感じる。さらに走っていると、今度は前方に車が見えてくる。

「なんだあれ?」

よく見ると車は1台ではなく何台か続いていてノロノロ走っている。しばらく経ってもノロノロしたままで、だんだん車列に追いついてくる。

「こんな何もない山ん中で、なんなんだ?」

遂に車列に追いついてしまう。

「こんなところで事故でもあったか?」

と一瞬、思ったりするが、対向車線側の交通量は全然少ないままなので、そうでもないようだ。

下り坂に入る手前のピークで前が少し開ける。すると、車列が前方までず~っと続いているのが見える。

「何これ?」

車を追い抜きながら下っていく。

「あっ、これはもしかして、ひょっとすると、水族館のせい?」

というのも、昨日見たパンフレットにも確か水族館が載っていたし、今日も宿を出発して海岸線や山ん中を走っている時でも「男鹿水族館GAO」の看板をよく見かけていたので…。

下りが続いて海に近くなっているし、場所的に考えるとそろそろ「水族館」のある辺りだ。

「いくら連休とはいえ、こんな辺鄙なところにある水族館で渋滞するか〜?」

とも思う。

ヘアピンの下りカーブから、その先の集落と道路が見えてきた。海側には大きな建物がある。あれが “GAO” だろう。

海岸線まで下りきり右にカーブすると、その先の丁字路交差点で対向車線側もかなり渋滞しているのが見えてくる。

両車線から来た車が全て、その交差点で海側の道へ入って行くのだ。あそこが “GAO” の入口のようだ。マジか

男鹿水族館 ”GAO”

“GAO” の入口の交差点では、誘導員さんが出て交通整理をしている。しかし、いくら連休中とはいえ、スゴい車の数だ。

男鹿半島でこんな都会のような大渋滞に合うとは想像もしてなかった。少し前の山道では交通量がほとんど皆無だったのに、この落差は何なんだろう。

近くにあまり娯楽施設がないのか、それとも “GAO” の人気がスゴいのか、そこはよくわからないが不思議な光景だ。

12:24 交差点を左折して「男鹿水族館GAO」方向に入る。"GAO" の中に入る気はサラサラないので、休憩がてら周辺を散歩する。”GAO” の周辺も人が多い。

ちなみに、この ”GAO” という名称、多分、男鹿(O-GA)を逆さ読みしただけだろうと思う。

男鹿水族館 GAO
男鹿水族館 GAO

駐車場にある大きな岩の影にひっそりと慰霊碑_。1983年の日本海中部地震の津波で亡くなった外国人の方の慰霊碑らしい。

旅前に男鹿半島のツーリングを考えている時や、今日も実際に走っている時にも幾度か地震や津波のことを考えていた。ひょっとしたら、今日またくるかもしれないと

確か、あの時の津波では遠足中の小学生が30人ぐらい亡くなったと記憶している(後で調べると13人で、この地震と津波の全犠牲者は100人以上)。

当時、自分は中2でプレハブ校舎の教室で国語の授業中だった。何か課題を出されていて考えている時にユラユラ揺れたことを覚えている。揺れの大きさは大したことなく、震度1ぐらいだったと思う。

揺れを感じた時、生徒のMが、

「地震だ、地震だ」

と少し騒いだので、温厚なおばあちゃん先生のT先生が珍しく、

「黙って、やりなさい!」

と少し強い口調で窘めた事を覚えている。

あの時は、まさかあんな大きな地震や津波があったとは思わなかった。

“GAO” を出発。次は「八望台」に向かう。

戸賀湾

相変わらず、対向車線は ”GAO” に向かう車で渋滞していて、進行方向の車線も帰る車がひっきりなしに続いてくる。

“GAO" から先の戸賀湾沿いは道が狭くなり、歩道はなく路肩もほぼない。しかもガードレールがあるのであまり端によって走れない。

そんな状況なので、後続車が自分の自転車を追い越せずノロノロ走っているがわかる。「ヤバいな」

なので、ガードレールの切れ目や路肩の広いところまでスピードをあげて走り、そこで退避してなんとかかわすようにする。難儀だー。

ところが海水浴場らしい砂浜まで来ると、ガードレールが途切れる事なくずっと繋がっている。全然かわせなくなり、全力に近いスピードで走る。

すると、後続車にクラクションを鳴らされる。「なんなんだー」

「こんなところで鳴らされても、こっちには避ける場所なんかないのわかるだろー」

後続車のドライバーはそんなこともわからず、ただイライラして、

「邪魔だ!どけ!」

としか思っていないのだろう。どこにでもそういう輩はいる。

ようやくガードレールが途切れたので、そこのスペースに逃げ込む。クラクションを鳴らした車が追い越していく際に、助手席の窓に顔を向けて

「バ~カ、バ~カ」

と口を開けて向こうにわかるように言ってやる。その車はそのまま走り去っていく。

せっかく戸賀湾沿いの平坦な海岸線の道を走っているにもかかわらず、こんな状況だったので全然景色を楽しめなかったし、ちょっと疲れた。

戸賀湾の海岸線から内陸に向かうところで信号機があり、そこから急な上り坂(10%ぐらい)が始まる。

この道も相変わらず狭く、路肩はほとんどない。「またかー、マジかよー」

後ろの信号が青になると後続車が連なってやってくるので、後ろを気にしながら車が来ないうちにできるだけ前に進もうとする。

が、戸賀湾沿いの海岸線で後続車に追われ全力気味に走った後なので、なかなか上れないし息が切れる。仕方なく、後続車が来た時はできるだけ端によって休憩しながら進む。

徐々に後続車の数が少なくなり、坂を上りきる。「やれやれ、これでやっと終わったか」

県道121号線の高架下を通過し、少し進んで左折し県道121号線へ上る。再び上り坂になるが、勾配は緩く交通量も一気になくなるので全然問題なし。

八望台

13:18八望台」に到着。「八望台」という名は高松宮殿下がつけたらしい。

展望台からの眺めはなかなか素晴らしい。戸賀湾、ニノ目潟を望む西側は午後なので逆光になるが、それでも十分イイ眺めだ。三ノ目潟もあるらしいが、森の木々に隠れてみえない。

逆光の戸賀湾とニノ目潟
逆光の戸賀湾とニノ目潟

東側も一ノ目潟やその先の海岸線、寒風山が見えてこちらもいい景色。

こんな眺めのいいところにもかかわらず、観光客は少ない。みんな水族館にしか行かないのだろうかと思ってしまう。

一ノ目潟(左)と遠くの海岸線
一ノ目潟(左)と遠くの海岸線

次は入道埼に向かう。県道121号線を戻る。

来た道を戻り、県道59号線の分岐を過ぎて森の中の県道121号線を走っていく。下り坂に入ると森がなくなり、左前方に日本海がバーンと現れる。

坂を下りきると周りは草原地帯。路肩に車がたくさん止まっている。まだ入道埼ではない。「何でここに止まっているのだろう?」よくわからない。

「それにしても今日は暑いなぁー」

半袖で十分、30近くあるのではないかと思う。それなのにやや厚手の長袖を着ているので、腕まくりしたぐらいでは全然涼しくならない。

後でニュースを聞くと、秋田の最高気温は30だった。やっぱり

入道埼

14:14入道埼」に到着。

天気がすこぶるよく、空は青く、周囲には緑の芝生が広がり、大きな木もないので日本海も一望。その中に白黒の縞模様の「入道埼灯台」が映えていて、思っていたより遥かにいいところだった。

入道埼灯台
入道埼灯台

芝生では子供が遊んでたりして、たくさんの家族連れで賑わっている。暑さのせいもあり、夏休みみたい雰囲気だ。「平和だなぁー」

入道埼も北緯40°上にあるらしく、その石碑がある。そういえば昨日通った八郎潟干拓地にも北緯40°のラインがあった。

北緯40度の地・入道埼
北緯40度の地・入道埼

入道埼にはやはり観光客相手の海鮮系の食事処が多い。昼時は過ぎているが、どの店もお客さんでいっぱいだ。

車や観光バスで移動してきて、昼間からあんな豪勢な海鮮料理を食うと間違いなく太るだろう。混んでいるので、食べるだけでもけっこう時間がかかりそうだ。

せっかく男鹿まで来たのに食事に多くの時間をかけるのはもったいない気がするが、そう思うのは自分だけだろうか?

自分はそう思うので、地元料理は朝飯と晩飯で堪能し、昼食はだいたい摂らないことが多い。そんな時間があるなら、自転車で周ることにしている。腹が減らなければの話だけど

県道55号線のすぐ横に、海側に下りる道があるので行ってみる。すぐに小さな漁港に出る。漁師さんが網の手入れしているぐらいでヒッソリしている。

観光客で賑わっている上の灯台周辺とはエラい違いだ。こちらは静かでのんびりしていて、これがいつもの日常なんだろうと思う。

灯台まで戻り、入道埼を出発。次は「なまはげ館」と「真山神社」に向かう。

男鹿温泉郷」の入口を通過。本当はこのあたりの安宿に泊まりたかったが、全然空いている宿がなかった。

なまはげ館、真山神社

北浦野村の交差点を右折し、「なまはげライン」に入る。昨日も通った「なまはげライン」。昨日は東端部分だけだったが、今日は西端部分だけ走ることになる(真山神社の入口まで)。

アップダウンが続く。「なまはげ館」と「真山神社」への分岐道を見逃さないよう、案内板に気をつけながら走る。2.5kmほど走るとその案内板が出て右折する。

徐々に上っていき「真山神社」の一の鳥居をくぐる。

15:38なまはげ館」に到着。早速、中に入る。入館料500円也。

一口に「なまはげ」といっても地域によっていろいろ違うらしい。最後のほうにある展示では各地域の「なまはげ」が展示されていて、面の色が赤や青だったり、表情もいろいろ違う。100種類以上もあるようでこんなにあるとは思わなかった。

ここの展示館はあまり広くなく、あっさり見終わる。

「泣く子はいねぇがー」のなまはげ
「泣く子はいねぇがー」のなまはげ

さらに奥にある「真山神社」に向かう。この神社は「なまはげ」にゆかりがあるらしいが、よくはわからん

15:49真山神社」に到着。階段を上ると、思ったよりこぢんまりとした拝殿がある。写真を撮って撤退。

真山神社
真山神社

これにて今日の立ち寄り場所は終了。あとは大潟にある宿へ向かうだけ。来た道を下りる。

「なまはげライン」を横切って、県道55号線に向けて北上する。

北浦で県道55号線へ右折し、牧野の交差点で国道101号線へ左折する。国道と言っても道は狭く、所々1.5車線分ぐらいしかない。

しばらく走ると交通量は皆無になり、のんびり走る。

間口浜の海岸線に出る。少し寂しげな感じもするが景色はイイ。

国道101号線・間口浜
国道101号線・間口浜

その後も小さな集落や畑、森が続き、国道というよりカントリーロードような道を走り抜ける。

国道101号線から県道54号線に入り、干拓地の水路を渡る。一昨日通った道で大潟村の宿へ向かう。

大潟

村の中心部に入り、宿に行く前に一昨日見つけたAコープへ買い物に行く。

17:50 宿に到着。今日のお宿は「ホテルサンルーラル大潟」。広大な田んぼの中に立つ大きなホテル。12食で16,150円也。こんな高額な宿に泊まるのは、仕事で海外に泊まった時以来だ。自腹では初めてだろう。

こんな高級そうなホテルに自転車旅で泊まるのはかなり場違いだけど、54日に男鹿半島近辺で空いている宿はここしかなかった。

受付で自転車の置き場がないか尋ねると、なんとチャペルの中に案内されてしまう。マジか。これまた場違いなお願いをしたかとちょっと恐縮しつつも、遠慮なく止めさせてもらう。

部屋は4階でいたって普通のシングルルーム。窓の外はバルコニーのようになっているが外に出られそうにないし、窓から見える景色も干拓地を一望というほどではない。

風呂は部屋の中にもあるが、最上階に展望温泉があるのでそっちにいってみる。温泉からは田んぼや林が広がる干拓地を一望できて眺めがイイ。

晩御飯は今日も「だまっこ鍋」。きりたんぽとあわせて、昨日以外は毎日続いている。まぁ、だまっこもきりたんぽもご飯なので飽きないし、うまいので問題なし。鶏肉(比内鶏?)は毎日続いている。

今日は天気も良く、男鹿半島を満喫できていいツーリングだった。明日は残念ながらこの旅初の雨になりそう。

寝る。

走行時間:5h43m25s 走行距離:83.16km
平均速度:14.5km/h 最高速度:63.0km/h?

↩︎4日目    6日目↪︎

広告