'08 オロロンライン北上⑤ 天売島〜羽幌〜天塩

2021年7月1日木曜日

2008年 自転車旅 北海道

4日目 2008年7月28日(月) -

朝起きて、部屋の窓から外をみると、朝日の下に焼尻島が見える。今日も天気は良さそうだ。朝飯まで、まだ少し時間があるので、ちょっと宿の周辺をポタリングしに行くことにする。

天売

宿を出てまずは南へ。

7:10「前浜漁港」の看板前に到着。港へ続く道に少し入ると、すぐに小さな漁港が見え、10隻近くの漁船が停泊している。7時を過ぎているので今朝の漁は終わったのだろうか。

次に天売港のほうに行ってみようと引き返す。すると「北海道天売高等学校」の看板が目に入る。

「天売に高校があるのか」

小さい島なので高校があるとは思わなかった。

どんな校舎か少し興味があったので、校舎の方に行ってみる。今は夏休みだし、この時間なら、まだ誰もいないだろう。道路から校舎らしい建物が少し見える。

看板から少し奥に入ると校門があり、その奥にはなんとも懐かしい木造で平屋の校舎が立っている。教室ごとにあるのだろう立派な煙突も何本か見えていて、北海道らしさも感じる。

生徒が何人いるのか気になる。長く存続してほしいものだ。

天売高校

道道548号線を北へ走る。天売港と観音埼の分岐で、道道548号線から離れ右折する。

天売港へ下りていく途中に「ロンババの浜 テント設営場所→」の看板を見つける。「ロンババの浜」はツーリングマップル2007年度版にも書いてある天売島唯一のキャンプ場だ。特別キャンプに興味がある訳でもないので通過。

7:20 天売港に到着。最初に目に入ったのが「海底探勝船おろろん」。パンフレットで船の写真を見ていたし、一隻だけ変わった外観の船があるのですぐにわかった。今回は乗らないが、いつか機会が乗りたいと思う。

フェリーターミナルの周辺に人はいない。朝一の便が9時台なのでいるわけもない。

そろそろ朝飯の時間なので宿に戻る。

宿に戻り、朝飯を食って、出発の準備をする。今日の予定は、10:25発のフェリーで天売を経ち、12:10に羽幌着。羽幌から63km離れた天塩まで走る予定だ。フェリーの時間まで、まだ行っていない島の内陸のほうに足を伸ばしてみることにする。

8:37 宿を出発。道道548号線を北へ進み、周回道路に入って坂道を上る。

昨日、カラスの多かった「愛鳥公園」を通過、道幅が狭くなり、左に大きくカーブする。しばらくすると丁字路に差し掛かる。周回道路はここで右に折れるが、そのまま直進して島の内陸部に入る。

パンフレットの地図によると、この道を進めば、野鳥のいる森を抜けて島の南側の周回道路に出るはずだ。予想はしていたが、道はやはりダートだった。距離はそんなにないはずなので自転車を押して歩くことにする。

歩き始めて、すぐに分岐があるが、森へ続く右の道へ進む。直射日光を浴びているせいか、まだ9時前だというのに、暑くなってくる。

しばらく歩くと再び分岐。ここも右折して内陸に進む。森を抜けて歩いると、後ろからトラックがやって来る。

そして、自分の横まで来るとトラックが止まり、運転席のおじさんから声をかけられる。

運ちゃん:「どこにいく?この先に行っても、なんにもねぇぞー」

自分  :「この道行くと、島の向こう側の道に抜けられるんじゃないんですか?」

運ちゃん:「行き止まりだー」

自分  :「あっ、そうですか。じゃ、引き返します」

地図によれば、この先は行き止まりではないはずだが、この道に入ってから工事中の看板があったので、工事で通れないのかもしれない。あのトラックも工事現場に向かっているようだし。

そう思い、引き返すことにする。ただ、船の出港までまだ時間がある。さて、どうするか?

行けるところといっても、この辺以外は昨日ほぼ全部周っているので、もう一度、赤岩や観音埼のほうを周ってみることにする。

昨日周った時は時間的にどこも逆光だったので、今日のほうが眺めるにも写真を撮るにもいいだろう。

赤岩展望台、観音埼ともに、順光のため、昨日よりすこぶる眺めがいい。

観音埼展望台からの眺め

特に赤岩展望台から見る日本海は水平線が見えるし、海の青さが際立っている。「天売ブルー」とも呼ぶべきか。

天売ブルー

赤岩と天売ブルー

この辺りに行くのなら午前中がオススメだ。

千鳥ヶ浦の辺りで時間切れになり、港に向かう。焼尻島を見ながら、港へ下りていく。この絶景を見るのもこれで見納めだ。

天売から焼尻を望む

10:06 天売港フェリーターミナルに到着。窓口で切符を買う。羽幌までの2等運賃は2,410円也、自転車運賃は820円也。

フェリーおろろん2は、既に到着していて、羽幌・焼尻からの乗船客が降りているところだ。

天売からの乗船客の中に、輪行バッグを持った男性が一人いる。多分、昨日焼尻で出会った人だろう。自分と同じく、昨日天売に来て1泊して、今日帰るようだ。

こちらは自転車は折り畳まず、車両デッキから自転車を押して乗り込む。

10:25 天売港出港。また来たいと思う。

10:50 焼尻港到着。

11:10 焼尻港出港。岸壁で紙テープを何本も持ったおじさんが見送りをしている。見送りしているのは、そのおじさん一人だけだ。

何本も紙テープを持っているので、フェリーには家族か親戚が乗っているのだろう。紙テープの相手は下のデッキにいるようなので、ここからはわからない。

羽幌の港内に入っていくと、見覚えのある緑と黄色のフェリーターミナルが見えてくる。

12:10 羽幌港到着。すぐに天塩へ向けて出発。

羽幌の街を抜けると、やはりアップダウンが始まる。ただ、建物や大きな木がないので見通しはいい。やがて左手に日本海が広がり始め、より眺めがよくなる。

海を見ながら長い下り坂(右側の歩道)を走っていると、前方から荷物満載のソロのチャリダーが上ってくる。擦れ違う時、挨拶を交わす。30歳ぐらいのいかにも体力がありそうな男性だ。

日本海オロロンライン①

初山別

13:03 上り坂の途中で初山別に入る。その後も延々とアップダウン続く。海には近いが、草原地帯の丘陵地が海に迫り、その中を国道232号線が貫いている感じだ。

途中の案内標識には、

「稚内118km、初山別市街4km」

とある。稚内までまだ100km以上ある。

アップダウンが続くので流石に疲れるが、天気がよく海岸線の眺めがいいので、時折、写真を撮って休憩しながら進む。アップダウンの割に、それほど苦には感じない。

羽幌と初山別の境から、かなり走ってようやく初山別の中心街に入る。が、あっという間に街は終わる。初山別は村なのでしようがない。

少し疲れたので、この先にある「みさき台公園」へトイレ休憩も兼ねて行ってみることにする。

初山別の街から4kmほど走って、国道232号線を左折。だだっ広い芝生が広がっている。ここが「みさき台オートキャンプ場」のようだ。

道の駅「ロマン街道しょさんべつ」に到着。とりあえず、トイレで用を済ませ、炭酸を飲みながら休憩する。この近くに天文台があるので、行ってみようかとも思ったが、どうしても行きたいと思うほどでもなかったので、やめておく。

道の駅を出発。国道に戻る途中、キャンプ場を見ると、かなり広い芝生のテントサイトではあるが、まだ14時半ということもあり、テントはまだ数張り程度。

日本海が目の前なので、景色は抜群によく、海に沈む夕日も見れそうだ。ただ、少し高台にあり、海から遮るものがないので、風が強い時は大丈夫だろうか?

国道232号線に復帰。相変わらずアップダウンが続くが、いい景色も続く。

日本海オロロンライン②

しばらく走ると、国道232号線は少し内陸部に入り、周囲は森の木々が多くなる。

「初山別村 共成」の案内標識を過ぎてしばらく走ると、国道232号線は大きな左下りカーブに入り、前方に海が見えてくる。森を抜けて坂を下り切る。

遠別

15:06 遠別に入る。再び、海岸線に出るが、行く手に丘が見えないので、アップダウンはさっきの下り坂で終わったような感じだ。

15:12 道道971号線との分岐に到着。分岐には「旭温泉 6km先→」の大きな看板と「ライダー限定 素泊まり2,000円」の看板がある。

この「旭温泉」は、旅の計画段階で、宿の一つとして考えたこともあったが、国道からかなり遠いのでやめた。ただ、かなり山奥で秘湯感がありそうなので、いつかは行ってみたいとは思う。

道道971号線の分岐の先に、国道232号線に並行して、コンクリートの橋が架かっている。多分、あれは20年ぐらい前に廃線になった国鉄・羽幌線の橋だろう。

羽幌線と聞くと「100円稼ぐのに1万円以上の経費がかかる」と、まだ廃線前のニュースか何かで聞いたことを思い出す。いくら車両や本数を減らしても、除雪することに変わりはないので、そう簡単に経費は減らせないようだった。現状のJRも同じだろう。

遠別に入ってからは、予想通り平坦な直線道路が続く。ツーリングマップルによれば、そろそろ海の向こうに利尻山が見えてくるところだが、海の方が白く霞んでいるせいか、影も形も見えない。

そんな国道232号線を走っていくと、海側に防雪柵が現れ始める。冬にこんなところを車で走っていて吹雪や地吹雪に出くわすと、遭難しそうだ。

防雪柵が続くので、利尻山はおろか海側の景色はほとんど見えなくなる。反対側は畑や草原で、一面、緑が広がっているが、そんな中、前方のある一部だけ真っ黒になっているところが見えてくる。

「なんだあれ?」

近づいていくと、それは黒では紫色の葉がなっている畑だった。紫蘇のような感じもするが、よくわからない。

日本海オロロンライン③

そこから2kmほど走り、「道の駅 富士見」に到着。今日のゴールである天塩の隣町まで来たので、少し一安心する。

トイレを済ませ、アイスを食って、少し休憩する。

道の駅の名前が「富士見」だけに、霞んでいなければ、レストランがある高台から利尻山(利尻富士)が見えるのだろう。駐車場からは道路の反対側に民家や柵があるので天気がよくても見えないかもしれない。

15:48「道の駅 富士見」に出発。駐車場の上の斜面にある「オロロンライン えんべつ」の文字を見ながら、遠別の市街地に向かう。

道の駅 富士見

すぐに遠別の市街地に入る。ここで国道232号線は右に折れて、少し内陸部を通って天塩に向かっていく。

旅前から、ここは国道232号線を通らずに、海岸線を走っている「開拓農道町道浜更岸線」を通ろうと思っていた。

ただ問題は、国道232号線から「開拓農道町道浜更岸線」へ出る道が、ツーリングマップルの縮尺ではよくわからないことだ。

国道の分岐やその先に案内板がないか見回しながら、適当に海岸線のほうに向かって行くしかない。

それから、ツーリングマップルによれば「開拓農道町道浜更岸線」を進んでいくと、最後の2.5kmはダートのようなので、その手前で国道232号線に復帰しようと思う。

問題はツーリングマップルの通りに舗装路がそこまで続いているかどうかだ。これは行ってみないとわからない。

国道232号線が右に折れる交差点に差し掛かる。案内標識を見ると、左は遠別漁港になっているので、とりあえず左折してみる。

開拓農道町道浜更岸線

生コン工場や漁港の大きな施設があるところを、進路を北に変えつつ、適当に進んでいく。すると、漁港から抜けて、牧草地の中を走る直線道路に出る。多分、これが「開拓農道町道浜更岸線」だろう。

交通量は皆無だ。「よしよし」と思いつつ、北へ走る。

のんびり走りたいところだが、舗装路がどこまで続いているのかわからないし、途中で引き返す羽目になるかもしれないので普通のペースで走る。

青空の下、牧草地が続く1本道を、時折日本海を見ながら走るのは、最高に気持ちがいい。車も全く通らない。

開拓農道町道浜更岸線①

と思っていたら、バックミラーにダンプトラックが映る。しかも、なぜか、その後も10分間隔ぐらいにダンプが1台通る。この先に工事現場があるのかもしれない。

「開拓農道町道浜更岸線」は、路肩がほとんどないので、時折、ダンプが来ないかバックミラーで後ろを確認しつつ、写真を撮りながら進む。

そんな感じで走っていると、前方の道路上に海鳥がやたらとたくさん飛んでいるのが見える。その周辺には電線も木々もない。

「あそこに何かあんのか?」

海鳥が飛んでいた辺りに到着するも、特にこれといったものは見つからない。海鳥たちもどこかへ飛び去っていく。

16:15 うつつ川を渡り、丁字路に出る。右に行くと間違いなく国道232号線、左の道はまだ舗装が続いているので左折する。

すると、前方遠くに風車が見えてくる。ゆっくり近づいていく。風車は3基のようだ。

パロマウツナイ川を渡ると、右側の牧草地の牧草が刈られていて、かなり遠くまで見通せるようになる。眺めがすこぶるいい。

開拓農道町道浜更岸線②

多分、ここは放牧場なんだろうと思うが、あまりに広大で半端ない。

ようやく風車の前までやってくる。この辺は海が迫っていて、道路から砂浜も見える。

16:32 3基目の風車の近くにある丁字路分岐に差し掛かる。手前の案内板には、右は国道232号線になっているが、直進は通行止めを示す「×」になっている。

「ここまでか」

と一瞬思ったが、「×」となっている道には工事中の看板やゲートなどはなく、「農免道路」の標識の先には舗装路が続いている。ツーリングマップルに書いてあるダートの始まりでもない。

「行けるんじゃない?」

と思う反面、

「でも途中で通れなくなっているかも?」

と少し不安も抱きつつ、そのまま直進することにする。通れなくなっていたら、急いでここまで引き返そう。

「農免道路」に突入すると、またも前方に風車が見えてくる。

風車のあたりまでやってくると、これまだ半端ない広大な牧草地が広がっている。白いシートで覆われた牧草ロールがあちこちに転がっている。

開拓農道町道浜更岸線の牧場①

さらに少し先に進むと、ついにというか、とうとうというか、放牧されている牛さんたちが現れ始める。

この辺りの風車は、なぜか牧場のすぐ横に立っている。

開拓農道町道浜更岸線の牧場②

16:48「開拓農道町道浜更岸線」の舗装路終点に到着。前方の道はダートになっているので、どうやら今回はツーリングマップルが正しかったようだ。

右折して、国道232号線に向かう。

「開拓農道町道浜更岸線」は、なかなかいい道だった。景色は抜群にいいし、交通量は皆無、それゆえに路面も綺麗で走りやすかった。

残念だったのは、利尻山が全く見えなかったこと。天気がよかったので期待していたが、こればっかりはしょうがない。次くる時の楽しみにしよう。

16:50 国道232号線に到着、左折する。途中で引き返すことなく、無事に復帰できた。

あとは西日を浴びながら、のんびり天塩に向かうことにする。残り5kmぐらいだろう。

天塩の街に入り、セイコーマートで買い物をして、宿に向かう。

てしお温泉 夕映

17:50 宿に到着。本日のお宿は「てしお温泉 夕映」。駐車場はなぜか自衛隊の車輌で一杯。1泊2食で7,150円也。部屋は6畳の和室で、1畳半ほどの広縁がある。

温泉に行くと、自衛隊員や地元客でごったがえしている。露天風呂から利尻山を眺めたかったが、そっちは特に超満員のようで、人が入れ替わり立ち替わり出入りしている。さすがに露天風呂に入るタイミングを失い、内風呂だけで我慢する。

外は夕焼けになり、かなりいい雰囲気になっているようだ。内風呂のほうは逆に強烈な夕日が差し込み、蒸し風呂状態になってきた。

それに湯気のせいで窓が曇っていて外がよく見えない。昼間見えなかった利尻山が薄っすら見えているような気もしてくる。暑さでせいで、幻を見ているかもしれない。残念だが、温泉を出ることにする。

温泉の後、晩飯食うために食堂に行く。ここも家族連れで満員。しかも暑いうえに、テーブルの上には鍋が載っている。

「うぅ~ん、せっかく風呂に入ってきたのに、また汗かきそうだ」

鍋に火がつけれられ、さらに暑くなってくる。メニュー表をうちわ代わりにして顔と頭を仰ぐ。

ビールを1杯飲み、しばらくすると身体が冷えてきて涼しくなる。晩飯は、いつものように櫃に入ったご飯もおかずも完食する。

部屋に戻り、2次会開始。今日も長く、楽しい、充実した旅だった。天売島から始り、フェリーで羽幌へ、そこからアップダウンの連続を乗り越えて遠別。そして、交通量皆無で絶景が続く「開拓農道町道浜更岸線」を走り切った。

明日は、いよいよサロベツ原野に突入する。いろいろと立ち寄りたい場所もあるので、行程が少し複雑になっている。時間が読めないところもあり、少し急がないといけないかもしれない。とりあえず、ゴールは豊富温泉だ。

走行時間:5h13m54s 走行距離:81.51km
平均速度:15.5km/h 最高速度:41.2km/h

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