7日目 2008年7月31日(木) -
今日は6:20の朝イチフェリーで礼文に渡るので、かなり早起き。しないと乗り遅れる。
とっとと朝飯を食う。今日の天気予報は残念なことに雨。この自転車旅、実質6日目(初日は札幌までの輪行だけなので除く)にして初めての雨になるようだ。5日連続、好天に恵まれてきたので、1日や2日、雨の日があっても天候に恵まれているほうだと割り切る。
5:57 少し時間に余裕を持って宿を出発。雲は多いが、青空も結構見えて、雨が降りそうな感じはない。
フェリーターミナルに到着すると、なかなかの人出で少し混んでいる。自分は6:20発の礼文行のフェリーに乗るが、6:30に利尻行のフェリーもあるので混んでいるようだ
早速、ハートランドフェリーのカウンターに行き、チケットを買う。礼文島・香深までは2等で2,200円也、自転車はなんと1,210円もする。ここでも自転車の運賃が人間様の半分以上となかなかの高額だ。
礼文行のフェリー「サイプリア宗谷」に、車両甲板から自転車を押して乗り込む。あとで調べると、このフェリーは3ヶ月前に就航したばかりの新造船だった。
6:20 稚内出港。
デッキで港周辺の景色を見ながら過ごす。野寒布岬を越えて外海に出ると、雲が減り、青空が増えて天気がよくなる。
「天気予報、ハズレかも?」
と、ちょっと期待する。
寝不足のせいか、さすがにちょっと眠くてダルいので、船の中に入る。椅子席が空いていたので適当に座り、礼文で周るところをツーリングマップルや観光ガイドで確認する。
礼文にはいくつかトレッキングコースがあり、旅前からそのうちのどこかを周りたいと思っていた。島縦断の8時間コースは流石に無理なので、周るなら、桃岩かスコトン岬あたりだろう。
そんなことを考えていると、睡魔が襲ってきて、ウトウト、ウツラウツラして寝てしまう。
目が覚めて窓の外をみると、かなりの曇天。
8時頃、もう一度デッキに出てみると、青空はなく、一面の雲で、いつ雨が降ってきてもおかしくない暗さだ。左の利尻島は、2/3ぐらいが雲のなかに入っていて、利尻山は、中腹から下の、片側の稜線しか見えていない。
礼文島は、標高が低いので島全体は見えているが、礼文岳あたりの標高の高い部分は少し雲が被っている。
どうやら、天気予報は当たりそうだ。
礼文島・香深
香深の港内に入る。雨は降っていない。岸壁に、旗を振る人、手を振る人の一団が見えて来る。
「なんだ、あのミョーな連中は?」
彼らを見て、一瞬そう思ったが、すぐに彼らの正体に気づく。
「あっ、あれが『桃岩荘』か」
そう。礼文島といえば、知る人ぞ知る「日本三大バカユース」の一つとして超有名な「桃岩荘ユースホステル」があるところ。彼らはそこの「関係者」だろう。
岸壁に近づくと「桃岩荘」と書いてあるトラックも見える。ウワサには聞いていたが、どうやら間違いなさそうだ。あのトラックの荷台にのっかって港にやってきたのだろう。
ということは、この後、恒例の見送りの儀式をやりそうだ。
ただ、到着するフェリーには、旗を振るか手を振るぐらいで、それ以上の怪しい動きはない。
8:20 定刻より5分ほど遅れて礼文島・香深港に到着。念願の礼文に足を踏み入れる。
船を降りて、まず雨装備に取り掛かろうと思う。周りを見渡すと、近くのトイレの横に東屋があるので、そこで出発の準備をする。
リュックからレインウェアを取り出し、リュックにレインカバーを付ける。その上にレインウェアの入った袋を括り付けて、いつでもすぐに着れるようにしておく。地図もビニールケースに入れて首からぶら下げる。
そんなことをしているうちに、歌声と手拍子が響き始める。
どうやら、見送りの歌と踊りの儀式が始まったようだ。少し離れたところから様子をみてみる。
歌って踊っている見送り集団は10人ぐらいで、見送られている船の人はよく見えない。見送り集団には、宿のスタッフもいるが、ほとんどは滞在中の宿泊客たちと聞く。見送られる人は、もちろん宿に泊まっていたお客さん。やはり若い人が多く、女性もいる。
「帰ってこいよ」の替え歌が聞こえたり、「いってらっしゃーい」の声に「いってきまーす」の返事も聞こえたりする。どうやら、こういう言い回しも桃岩荘のしきたり?らしい。
桃岩荘に泊まると、晩飯の後にミーティングと称するものがあって、宿泊者全員がそれに半強制的?に参加させられ、この見送り儀式を練習するらしい。それを聞くと「えっ!」と思うかもしれないが、桃岩荘に泊まる人のほとんどは、それに参加したくてやってくるらしい。
出港までの間、その儀式は続く。船にたまたま居合わせた他の乗客も、野次馬化して、その儀式を珍しいそうに眺めている。対照的に、船の周りで出港に向けた作業をしている人は見向きもしない。夏になれば、毎日何度かある恒例行事なので、気にも留めていないのだろう。
船が稚内に向けて港を離れる。見送り集団が、一段と大きな叫ぶ声で仲間を見送る。
8:46 自分も香深港を出発する。まずは道道40号線で4.5km先にある礼文島最南端の知床に向かう。
民家と昆布の干場が続く。間近にあるはずの利尻山は雲の中に隠れた。
知床の集落に入ると、車が1台通れるほどの狭い道に変わる。旅前の調査で、礼文に「知床」という地名があるのを初めて知ったのだが、世界遺産になった「知床」と何か関係があるのだろうか?よくわからない。
9:05 道道40号線の終点に到着。駐車場のようなスペースがあり、その先にダート道が続いているが、自転車はここが限界。記念写真を撮って、元来た道を香深へ戻る。次は桃岩へ向かう。
知床の集落で「知床 BUS STOP」を書いてあるバス停の待合所が目に入る。木造で、三角のトタン屋根で、しかもいい感じに年季が入っていて、「BUS STOP」と書いていなければバス停の待合所とは気づかない建物だ。
そのバス停から少し奥に入ると、右にトイレ、左に「桃岩歩道」の案内マップがある。ここが礼文島のトレッキングコースの一つ「桃岩展望台コース」の起(終)点のようだ。
香深まで戻る。香深の中心街は店や宿、民家が立ち並んでいるわりに、道がかなり狭い。島の西側へ続く道道765号線の分岐を探す。
9:37 道道765号線の分岐に到着。道路の案内標識が、観光地のイラストで満載だ。あまりこういう案内標識も見たことがない。
道道765号線へ左折すると、いきなり急坂が現れる。それまで街中の平坦な道を走っていたので、あまり予想していなかった。そのためか、勾配がキツく感じるが、多分5%を少し越えるぐらいだろう。
始めは広かった道幅も狭くなる。上り坂は続くが、民家も続いていて、こういうところは島の港町っぽい。民家がなくなると本格的な山道になり、勾配も増し、10%超のようなところも出てくる。
「ウォッセ、ウォッセ」と上っていく。休憩するため、途中で止まって後ろを振り返ると、海や利尻島の一部が見えたりする。
桃岩展望台
9:55 桃岩展望台への分岐に到着。
「桃岩展望台1.0km→」
の案内標識。右の道は、見るからに激坂で、キツいところは余裕で15%を超えていそう。
道はそれしかないので、激坂に突入する。が、流石に途中のキツい傾斜のところは、残念だが、自転車を押して上る。道は狭いが、舗装はされている。
坂を上っていくと、だんだん周囲が開けてきて、眼下に海や香深の街、道道765号線を走る車も見えてくる。
桃岩レンジャーハウスに到着。駐車場には何台か車は止まっているし、トレッキングスタイルの人もそれなりにいる。
駐車場の柵に自転車を立てかけて、ここからは遊歩道を歩いて、展望台に向かう。隣りの利尻山は下半分(1/3かもしれない)だけ見えている。
10:10 桃岩展望台に到着。
目の前にある大きな岩が「桃岩」だろう。岩のテッペンが少しとんがり、真ん中が縦に少し凹んでいるので、確かに桃のようにも見える。
展望台からは、島の西側の海も見える。西側の海岸線に下りていく道の向こうに、猫岩らしき岩も見える。言われてみれば確かに猫っぽい気もするが、遠いこともあり、桃岩ほどの納得感はない。
周りを見渡すと、東側の標高の低いところには森があるが、ある程度の高さからは全くといっていいほど木がない。西側に至っては海岸線でも木はなく、草が生えているだけで、標高の高い山のような景色だ。
礼文は、相当、風雪が強くて、高い木が育たないのだろうと想像する。
花はまだそれなりに咲いている。そのなかでもやはり、あのノラニンジンっぽい野草がかなり幅を利かせている。道道106号線に咲いていたものより、ビッグなものが多い。
そんな周囲を見廻していると、自分が上ってきた激坂を、自転車集団が上って来るのが見える。
「おー、がんばって上ってるな」
どこかの自転車部か、趣味仲間だろう。
桃岩展望台の南側に行くと、その先に遊歩道が続いている。これが、ここに来る前に行ってきた知床まで続いているトレッキングコースの「桃岩展望台コース」だろう。
本当ならトレッキングしたいところだが、いつ雨が降ってきてもおかしくない天気なので、自転車での島巡りを優先することにする。
展望台の周辺を散策して自転車に戻る。その途中の遊歩道で、サイクルジャージの一団とすれ違う。展望台から見えた自転車の一団だろう。
そしてレンジャーハウスの駐車場まで戻ると、柵に立て掛けておいた自分の自転車の隣りに、ロードバイクとクロスバイクがズラっと並んで立て掛けられている。この自転車もあの一団のものだろう。荷物がないので、島の人か日帰りの人かもしれない。
桃岩レンジャーハウスを出発し、次は島の西側にある元地、そして道道765号線のドン詰まりまで行く。
道道765号線
道道765号線に復帰し、右折して桃岩トンネルに突入する。道幅狭く、中は暗いが、交通量皆無なので、問題なし。
トンネルを抜けて左にカーブすると、目の前に桃岩がドカンと現れる。そして右奥には猫岩もハッキリ見えている。
ヘアピンカーブのある急坂を下っていく。帰りはまたこの急坂を上る羽目になる。
真正面から、猫岩が迫ってくる。
だいぶ下ったところの右カーブで、桃岩荘の看板と「桃台猫台」の小さい案内標識が目に入る。
「あっ、ここだ」
と思うが、急な下りカーブなので、慎重にブレーキをかけて止まる。だいぶ通り過ぎたが、戻って「桃台猫台」への脇道に入る。
10:47「桃台猫台」の駐車場に到着。車はなく、人もいない。
階段と坂を上って「桃台猫台」に行くと、その名の通り、海側に猫岩、その真後ろの山側に桃岩がよく見える。
特にここから見る桃岩は、トンガリ具合がハッキリしていて、桃岩展望台から見るより桃っぽい。
猫岩もすぐ近くに見えるが、「うぅ~ん」といった感じ。岩の先端にトンがったところが2つあるので、そこが耳っぽい感じはする。あとは、見る人の感性だろう。
そして、その猫岩近くの海岸線に、赤い屋根の古そうな建物が見える。あれが「桃岩荘」だろう。宿泊客を運搬するトラックも見える。浜にも下りられるようだし、神社も近くにあるので、なんかいろいろイベントがありそうだ。
一方、北側には元地の集落が見えている。あの辺りが道道765号線のドン詰まりだろう。もうそう遠くない。
駐車場へ戻る際、車が1台やって来る。
「桃台猫台」を出発。北上して元地へ向かう。
道道765号線に復帰し、一気に坂を下り、海岸線まで出る。覆道を通るが、道幅広く、交通量皆無なので問題なし。
元地の集落に入る。前方に道路も民家もなくなっているところが見えて来る。道道765号線の終点も、まもなくだ。
11:01 メノウ浜に到着。
海岸を見ると、砂浜で、5, 6人の人が一列になって砂をほじっている。メノウ浜なので、皆さん、瑪瑙(メノウ)を探しているのだろう。自分は特に興味がないのでパス。
狭い道がまだ続いているので、行けるところまで進む。ツーリングマップルによれば、道のドン詰まりに「佐藤売店」というウニ丼の店があるらしいので、その店を探しながら進む。
11:02 道道765号線のドン詰まりに到着。
「佐藤売店」は結局見当たらなかった。昼時なので「ウニ丼」でも食べようかと思っていたので、少し残念。ただ、ツーリングマップルは、場所がビミョーに違っていたりすることが多いので、帰りにもう一度探してみる。
道道765号線のドン詰まりには「地蔵岩」と書いてある丸太の表示板があるのみで、その先に小さな海岸があり、更にその先に大きな岩が海に突き出している。
どれが「地蔵岩」なのかよくわからない。お地蔵さんに見えるような岩が全然ない。これも猫岩と同じく自分の感性に問題があるのか?と思ったりもする。
わからないので、コピーしてきた観光ガイドを見てみると、
「海から見るとその形が手を合わせている様に見えることから名付けられた」
と書いてある。
改めて前方を見ると、海岸に1枚の縦長の岩がある。観光ガイドの写真と少し角度が違うが、あれが地蔵岩のようだ。
縦長の岩は、海に突き出ている大きな岩盤の先端部分を、大きなナイフでバッサリ切り取ったような形をしてる。なので、元々1枚岩だったのかもしれない。
世の中に「地蔵」と名付けられた岩やモノはよくあるが、ほとんどの場合「お地蔵さんに見える(似ている)から」という理由からだと思う。
「手を合わせている様に見えるから地蔵岩」というのは、さすがに想像もしていなかった。
これにて、島の南側のツーリングは終了。次は、宿のある島の北側を目指す。
元来た道を戻るが「佐藤売店」は見つからない。天気がよくなかったので、漁が休みになり、店も休みになったのかもしれない(その後、2011年に閉店した模様)。仕方がないので、そのまま道道765号線を戻る。
覆道を過ぎ、上り坂が始まったところにあるバス停のあたりで、ついにポツポツとくる。
「ヤバい、今のうちに着ておこう」
まだ、ポツポツ程度の雨だが、この先は勾配が急で、自転車を止めてレインウェアを着るのも難儀しそうなので、今のうちに上だけ着ておく。
その後、すぐにポツポツ雨もやんでしまうが、どうせそのうち降り出すだろうと、そのままレインウェアを着たまま走る。
桃岩トンネルまで急坂を上り、トンネル過ぎると香深まで急坂を下る。道道40号線に到着し、左折して北上する。
道道40号線
市街地を抜け、住宅地に入ると、右の海岸線が開けてくる。と、そんなところに見慣れた店が見えてくる。それは、
「Seicomart」
礼文にもあるとは、さすがだ。ただ、香深の中心から少し離れたところにあるので、
「なんで、ここ?」
と、ちょっと疑問に思う。元々は、地元の商店だったのかもしれない。宿のある船泊からは、全然離れているので、今日のここでの買い物はなし。
その後、集落は終わり、左の山側に民家が点在するだけで、右はオーシャンビューの海岸線が続く。
11:45 香深井に入る。香深の隣りが香深井。ここもアイヌ語由来の地名だろう。
しばらく走ると、左カーブの先にある派手な赤い屋根の建物が目に飛び込んでくる。近づくと、そこは「見内神社」で、赤い鳥居も何本もある。かなり目立つ建物だ。
香深井の集落を抜けると、民家はなくなる。
前方に長そうな覆道が見えてきたところで、海岸線側に少しだけ嵩上げした展望台のような場所があるので、少し休憩する。
ただ、そこに行っても特にこれといったものはないし、何が見えるというところでもない。多分、天気がよければ、利尻山(利尻島)が見えるのかもしれないが、今は全く何も見えない。
ちょっと休憩して、すぐに出発。
しばらくして、ついに雨が降り始める。今度は止むことはなく、「金環日食観測記念碑」辺りで本降りというかザァーザァー降りになり、下のレインウェアも着る。
もうこうなったら、安全に気を配り、ただ走るのみ。とりあえず船泊まで早く行こうと思う。
予定では、上泊から金田ノ岬を経由して船泊に行こうと思っていたが、このまま最短の道道40号線で向かうことにする。
金田ノ岬への分岐道を過ぎると、上り坂が始まる。この辺りは丘越えだろうと思っていたので、想定の範囲。
「高山植物園」を通過、あと少しだ。丘のピークを越えると、前方に船泊湾が見えて、下り坂に入る。
船泊
下り切ると、左に久種湖。そして最後の小さい丘を越えて船泊の街に入る。
道道507号線に到着。雨はまだ本降り状態なので、どこかで雨宿りしようと思う。とりあえず、道道507号線へ左折する。
すると、少し先に屋根のある大きな建物があるので、そこに逃げ込む。そこは「交流館」という町の施設。雨と汗で、外も中もズブ濡れ状態、休憩する。
休憩しながら、この後どうするか考える。
この本降りだと、すぐに雨は止みそうにない。予定では、スコトン岬や澄海岬のほうに行こうと思っていたが、この雨の中、自転車で移動する気が失せているし、行ったとしてもこの天気ではいい景色も望めない。
一方で、雨が止むまで、ここにいることもさすがにできない。
ということで、もういっそのこと、宿に行こうと思う。宿は、ここから道道507号線を西へ少し進んだところにあり、5分ぐらいで着けるだろう。
ただ、宿に連絡しているチェックイン時間は18:00で、今現在の時間がまだ13時前とかなり早い。宿に電話して、13時頃に行っても部屋に入れるか聞いてみる。
すると、部屋に入るのはOKとの返事。ありがたい。
すぐに交流館を出発し、宿へ向かう。
13時過ぎに、宿に到着。今日のお宿は「ホテル 礼文荘」。ホテルとなっているが、ハッキリいって(どうみても)民宿か旅館である。
自転車は広い玄関の中に入れさせてもらう。中に入る前にズブ濡れのレイウェアと靴下を脱ぎ、リュックやレインカバーに付いた泥を落とす。
ロビーというか受付のある部屋がやたらに広い。テレビや新聞を見たり、カードゲームや将棋をしたりできる共用スペースのような感じだ。
受付で古新聞を一部いただき、靴を持って部屋に入る。
部屋は8畳の和室で、風呂とトイレは共同。1泊2食で12,000円也。かなり高い宿泊料金だが、旅前に調べたところ、礼文島の宿はどこもこれぐらいの値段だった。本当のホテルは、もっと高かったが…。
高い理由は、飯にあること間違いなし。礼文といえばバフンウニだし、そしてカニやエビなど海鮮料理がいろいろ出るらしいので期待する。
部屋に入ると、レインウェアやレインカバーを干し、リュックや靴、靴下など濡れているものは新聞紙の上に置いておく。靴の中には新聞紙を丸めて突っ込んでおく。
まだ、雨は降り続いている。窓からは海が見え、遠くにスコトン岬と海驢(トド)島らしい島影も見える。窓の外を眺めるだけで、することがない。
また眠くなってきたので、横になり、少しウトウトする。
そして、1時間ぐらいは経っただろうか。窓の外を見ると、雨が弱くなり、時折止んでたりもする。
「よし、スコトン岬まで行こう!」
最低限の荷物を持ち、再度、レインウェアを着て、ここから7kmほど離れたスコトン岬へ向かう。
宿を出て、道道507号線をスコトン岬に向かって走ると、風が強くなり、また少し雨が降ってくる。ここまで来たら、もう行くしかない。
「鮑古丹2km 須古頓1km」
の案内標識。
「スコトン」の漢字が「須古頓」なのは知っていたが、「鮑古丹(あわびこたん)」という地名があるのは流石に知らなかった。なんか、スンゴイ地名だ。鮑がよく採れるのだろうか。
須古頓漁港の手前で、それまで海岸線沿いの平坦だった道道507号線が丘を上り始める。勾配は5%強ぐらいだが、上り坂を想定していなかったし、向かい風が強くなってくるし、小雨も降っているので、早く上りきりたい一心になる。
意外と上り坂はダラダラと続き、ピークをすぎると下り坂になるが、風も強くなる。小さな須古頓の集落をあっという間に過ぎると、
「スコトン岬まで300m」
の案内標識。民家も木もない完全な吹きっさらしで、道の両側は草原と海。強風の中を一気に下る。
スコトン岬
14:51 スコトン岬前に到着。
道道507号線のドン詰まりには、団体さんが記念撮影に使う木のベンチが並んでいる。ちょっといい加減そうな造りなので、ここに座ったり、立ったりするのは危険な感じがする。
こんな天気なので観光客はゼロかと思っていたが、この先にある岬の広場には雨カッパ姿の10人以上の一団がいる。団体旅行なら、日程が決まっているので、天気が悪くても来るのだろう。
「この下 民家あり 石を投げないように」
との注意看板がある。下のほうを見ると、確かに少しだけ屋根が見える。漁師小屋だろうか。
岬に向かうため、階段を下りていくと、海岸にある大きな民家が見えてくる。漁師小屋ではない。そして階段の途中で、別の階段が分岐していて、分岐のところに、
「民宿スコトン岬 入口」
の看板。
それを見て思い出した。ここは、楽天トラベルの北海道地区の宿で、人気ナンバー1になっていたところだ。何か条件つきだったと思うが、それは覚えていない。
旅前の宿探しでそのことを知り、宿の候補として考えたこともあったが、船泊から遠く、近くに買い物できるところが皆無なので断念した。
14:53 スコトン岬に到着。
「最北限の地スコトン岬」
との木の表示板。「最北端」ではない。木の表示板には、裂け目が入っていて、なぜかそこに小銭がたくさん刺さっている。何の意味があるのか、よくわからない。
そういえば、メノウ浜の表示板には「コインを差し込まないで下さい」と書いてあった。
ちなみに、スコトン岬は、昔は「最北端」を名乗っていたらしいが、正確な測量で「宗谷岬」が最北端と確定してから、「最北限」と言い始めたらしい。「最北限」とした理由はよくわからない。礼文島の最北端でいいだろうと、勝手に思う。
岬の前には海驢島が見える。名前の通り、トドがたくさんいるらしいが、霞んでいてよく見えない。あとで調べると、トドが来るのは冬場らしい。
改めて「民宿スコトン岬」を覗き込むと、 海と断崖に囲まれたスゴイところに建っている。冬場に海が荒れ狂っても、建物は大丈夫なのだろうか。
今日のツーリングはこれで終わりにして、宿に戻ることにする。
スコトン岬を出発して、道道507号線を戻る。
宿に戻る前に、船泊の街で買い物しようと思う。それなりの街なので個人商店ぐらいはあるだろう。
宿を通過し、街中に入ると、いかにも昔からあるっぽい商店を発見。一旦ここはパスして他を探す。
道道40号線の分岐までくるが、さっきの店以外見当たらない。道道40号線のほうには確か店はなかったと思うので、左折して道道507号線を進む。
すると、郵便局の先に「船泊マリンストアー」という意外と大きな店を発見。買い物はここに決定。漁協のお店のようだ。適当に晩酌とつまみ、飲み物を買う。
ホテル 礼文荘
16:00前に宿に戻る。
また濡れたレインウェアや靴などを干す。晩飯まで時間があるので、明日の予定を考える。
予定では、今日中に礼文島は周っておき、9:55発のフェリーで利尻島に渡る予定にしていた。利尻着が10:35なので、そこから島1周するつもりだった。
が、今日行く予定だった澄海岬やゴロタ岬には行ってないし、トレッキングも全然していない。せっかくコピーして持ってきたトレッキングのコースガイドも、雨が染みて見る影もない。
いろいろ考えた末、明日天気が回復していれば、利尻行を13:45発のフェリーに遅らせて、それまでに澄海岬やゴロタ岬の方を周ることにする。天気が悪ければ、晴れ間を見計らって宿から直接、香深のフェリーターミナルに向かおうと思う。
風呂に入り、洗濯をする。この旅で洗濯するのも今日で最後かもしれない。
晩飯時間になり、広間に行く。予想通り、お膳にはカニやらウニやらタコしゃぶやら、とにかく、海鮮三昧で豪華な夕飯だ。他のお客さんもみんな満足そうに会話しながら食べている。他の客はカップルや家族連れと思われる少人数のグループがほとんどだ。
満足して部屋に戻り、二次会開始。今日はあまり走っていないが、朝早かったのでそれなりに疲れた。
天気が回復することを願い、寝る。
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