8日目 2008年8月1日(金) -
今日も雲が多いが、青空も少し見えている。
朝飯も広間で取る。昨日の晩飯の時には見なかった学生の団体さん(といっても4, 5人ぐらいだが)がいて、女子と先生(男子?)がなんか記憶に残る話しをしていたが、忘れた。
今日は13:45のフェリーで利尻に渡るので、午前中を目処に、昨日行く予定だったゴロタ岬や澄海岬を周ろうと思う。
念のため、いつ雨が降り出してもいいように、リュックにレインカバーをかけ、レインウェアをすぐに着れる態勢にしておく。
8:10 宿を出発。まずはもう一度スコトン岬に向かう。ただ、風が強い。
8:36 スコトン岬に到着。まだ時間が早いせいか、観光客は家族と思われる1組だけ。
ただ、北の方は青空が多く、昨日より全然景色がいい。トド島もよく見える。写真を撮り直しておく。
スコトン岬を出発して、次はゴロタ岬を目指す。
来た道を少し戻り、途中で道道507号線から鮑古丹方向へ右折する。その分岐付近で「星観荘」というとほ宿を発見する。ここも礼文の宿を探している時に知ったところだが、相部屋で、夜は旅人と宿のオーナーさんとの飲み会があるところだ。
そういうのは、後々、思い出として残るので悪くはないと思うのだが、自分の場合、夜は、だいたい翌日以降の予定を天気予報を見ながら見直したり、それにあわせて宿を調べたり、洗濯したり、充電したりといろいろすることがある。おっさん一人で相部屋というのも気が引けるので、そういう宿はパスしている。
ゴロタ岬
右折して、上り坂に入る。
途中で止まって後ろを振り返ると、スコトン岬とトド島が見下ろせて、なかなかいい眺めだ。
坂を上っていくと、風がドンドン強くなる。やはり島の西側は特に風が強いらしく、木が全く生えておらず、草原の山。なので、吹きっさらしで、遮るものが全然ない。
さらに急坂をガシガシ上り、ガンガン突風を浴びる。
9:03 なんとか「トド島展望台」に到着。
さすがにちょっとマイったので、一休みする。ここまで来ると、トド島は少し霞んでいる。
意を決して「トド島展望台」を出発。
下り坂に入り、一段と突風がビュービューと吠えまくってくる。突風をおもいっきり、マトモに受けるので、とても自転車で走っていられなくなる。
ついにキケンを感じ、自転車を押して進むが、それでも自転車が簡単にふっと飛ばされそうだし、体も一緒にもっていかれそうだ。
少しで突風を避けようと右の丘の方により、頭をすくめて帽子を押さえ、体をふんばりながら歩く。風でここまでの恐怖を感じたことはない。
風が少しだけ弱まると、ちょっとだけホッとするが、また強くなると少し恐怖を感じる。
風が弱まり、自転車で慎重に下りる。下りの左カーブを過ぎたところで、鮑古丹方向へ右折する。
9:07 ゴロタ岬へ続く遊歩道の入口に到着。 自分以外に人の姿はないし、車やバイク、自転車もない。ゴロタ岬への入口といっても、岬の方向を示す木の案内標示があるだけだ。
とりあえず、自転車はここに置いて、ゴロタ岬に向かおうと思う。強風なので、自転車はどこかに立て掛けておきたいところだが、吹きっさらしでそんなところは全くない。仕方ないので、草むらにある木の標示板に立て掛けておく。
ここから先は、礼文島のトレッキングコースの一つ「岬めぐりコース」とか「4時間コース」と言われているルートの一部。本来は、スコトン岬を出発し、ゴロタ岬を経由して澄海岬まで行き、浜中に戻るコースだが、今日は時間がないので、ここからゴロタ岬まで往復するだけにする。
ちなみにスコトン岬や澄海岬は、道路が通じているので車や自転車でも行けるが、ゴロタ岬は遊歩道しかないので歩いてしか行けない。
いよいよゴロタ岬へのトレッキングに出発、岬までは600mだ。
右に海を見ながら、山を上っていく。風は強いが、さっきに比べれば全然マシだ。断崖上の道もあるので煽られないよう気を付ける。
途中から階段も出てきて勾配がキツくなる。振り返ると、さっき行ったスコトン岬や、そこに続く海岸線がよく見える。これは一番上まで行くと、かなりの絶景が拝めるに違いない。
と思っていると、自転車を置いた遊歩道の入口から少し戻ったところに、バスのようなものが止まっていて、何やら集団も見える。
「何してるんだろ?、こっちに来る?」
しばらくすると、その集団もこちらに来ることなく、スコトン岬に方に歩いていく。
ゴロタ岬に向かって、さらにドンドン上っていく。花のピークは過ぎていると思うが、それでもまだまだいろんな花が咲いている。花の浮島と呼ばれていることだけはある。
9:22 ゴロタ岬に到着。誰もいない。
振り返ると、思っていた通りのゼッケー。雲があり、少し霞んでいるので、もっと晴れていたら最高だと思うが、それでもいい眺めだ。天気が回復してよかったと思う。
小さな湾を挟んでスコトン岬を見下ろせる。その湾のところに建物が見えるので、あれが鮑古丹の集落だろう。
ゴロタ岬周辺は柵で囲まれたちょっとした展望台のようなスペースになっているが、けっこうな傾斜や凸凹がある。南側に周ってみる。岬の先端は、岩や大きな石が剥き出しになっている。
南側も景色はいいが、北側より雲が多く、霞んでいる。南側の直下も断崖になっていて、その先は草原の丘陵地と小さな湾の海岸線が続いている。そこから先は雲でほとんど見えないし、利尻山も全く見えない。
「岬めぐりコース」のトレッキングコースは、ここから断崖上の草原の中を下っていき、途中で海岸線に出て、澄海岬まで続いているはず。
「あのへんが澄海岬かな?」
と、湾の先にギリギリ見える澄海岬あたりを眺める。
ゴロタ岬の西側に行くと、その澄海岬へ続いていると思われるトレッキングコースが延びている。このまま、そこを歩いて澄海岬まで行きたいところだが、今日はフェリーの時間があるのでやはり断念する。昨日、この天気だったら、澄海岬まで行けただろう。残念。次来た時は時間に余裕も持って来ようと思う。
しばらくゼッケーを楽しみ、名残惜しいがゴロタ岬を後にする。
自転車まで戻って来ると、女性2人が入れ違いにゴロタ岬に向かって歩いて行く。あの2人は、宿の晩飯で広間でみたような気がするが…と思ったが、定かではない。
次は、普通の道路を通って澄海岬に向かう。
澄海岬
坂を一気に下り道道507号線に出て、右折する。
浜中の集落で、澄海岬への案内標識が出てきたので、右折する。ダラダラの緩い上り坂が2kmほど続くが、ピークを越えると一気に下っていく。
10:18 澄海岬の駐車場に到着。観光バスが止まっていて、ツアーの団体さんの姿が見える。イヤな予感。
自転車を置いて、澄海岬に向かうが、団体さんがいるはずなので、ゆっくり歩く。
澄海岬の展望台に到着。団体のオジサン、オバサンがウジャウジャいて、写真を撮りまくっている。こんなに人がいて騒がしいと、ゆっくり景色も眺められないし、写真も撮れない。団体さんなので、そのうち時間がくれば帰るだろうと、気長に待つことにする。
そんな時、団体さんの一人と思われる若い女性の方から写真を頼まれたので、快く応じる。オジサン、オバサンが圧倒的に多い中、ツアーで一人旅をしているようだ。こちらも一人なので、写真をお願いしてきたのだろう。
しばらくすると、添乗員さんの号令一発で、団体さんは一斉に去って行く。あっという間に自分一人になり、すっかり静かになった。これで、ゆっくり景色を眺めたり、写真を撮れる。
澄海岬の横に小さい湾があるが、これが観光パンフレットに載っている真っ青な海だろう。この青さが澄海岬という地名の所以なのかな?とも思うが、本当のところはわからない。
パンフレットの写真は真っ青だが、今は曇天で、海はネズミ色程度にしか見えない。残念。。
澄海岬からは海を挟んで、さっき行ったゴロタ岬の辺りが見えている。
澄海岬の突端は、展望台の柵を超えた先に続いていて、そこの草が少し禿げている。柵を乗り越える人がいるようだが、それは流石にやめておく。
礼文島の西海岸は、ここ西上泊(ニシウエントマリ)から昨日行った元地まで道はないので、険しい海岸線が続いているのだろうと想像する。実際にその海岸線のほうを見ようと思ったが、ここから南のほうは全然見えない。
フェリーの時間までまだ3時間もあるが、もうここにきて30分近く経ったし、十分、景色を堪能したので香深に向かうことにする。
10:45 澄海岬の駐車場を出発。急坂を上る。
上り始めてすぐに左に神社が見える。時間があるので寄ってみる。そこは西上泊神社。
階段を上がっていくと、本殿の横に道が続いている。
「あっ、これは!」
と思い、その道を少し上っていくと、その道はずっと山の上まで続いている。
「これは、ゴロタ岬から続いているトレッキングロードだろう。ここに出てくるのか」
そう確信しつつ、改めて、次来た時は歩いてみようと思う。
10:52 西上泊神社を出発。
浜中で道道507号線に復帰し、船泊へ向かう。
その途中、「大備(おおそなえ)」のカントリーサインを見つける。礼文町の各集落には、北海道の市町村のようなカントリーサインがあるようだ。香深井や須古頓でも見た記憶がある。
「大備」のカントリーサインがある重兵橋から、青い海と白い浜が見える。広くはないが、海岸線がきれいだし、この辺りは天気がよく青空が見えるので、眺めもいい。澄海岬もこれぐらいの天気だったらよかったが…。
そういえば、この辺りの海岸線には、穴の空いた貝殻が落ちているとパンフレットに書いてあった。ではあるが、特に貝殻が好きな訳でもないし、そもそもここは人んちの裏なので、貝拾いはパスする。
船泊の街に入る。時間があるので、宿のすぐ近くにあるキャンプ場を覗いてみる。
11:13 久種湖畔キャンプ場に到着。
案内図を見ると、かなり広いキャンプ場だ。久種湖も駐車場から見えるが、湖というほどの大きさはなく、感覚的には池や沼といったところ。
キャンプ場を出発。
礼文空港・金田ノ岬
道道40号線との分岐で左折。このまま道道507号線を通り、昨日行けなかった金田ノ岬に向かう。
集落を抜けて少し走ると、道道926号線との分岐を示す案内標識。道道926号線へ進むと礼文空港だ。まだまだ時間に余裕があるので、礼文空港に行ってみる。
道道926号線の急坂を上る。空港は高いところによくあるが、ここもそのようだ。
なかなかの急坂で、7,8%ぐらいありそう。途中でちょっと止まって振り返ると、船泊の港が一望できる。
NHKのアンテナを通過、まだまだ上る。右のヘアピンカーブを曲がり、少し上るとようやくピークに到達。ここも吹きっさらしで風は強いが、ゴロタ岬への道に比べれば全然平気なレベルだ。
下り坂に入ると、滑走路が見えてくる。
11:29 礼文空港に到着。定期路線がないので、人も車も全くなくヒッソリ。当然、小さな空港ターミナルにも入れない。ターミナルの入口に「平成15年4月1日より定期便が就航していないため・・・」と張り紙がある。もう5年もマトモに使われていないようだ。
ここを使うのは、自衛隊や海上保安庁ぐらいだろうか。個人の飛行機やヘリは使っているのだろうか。そのへんはよくわからない。
来た道を戻る。空港周辺の高台も、薄い雲があるものの、すっかり青空が広がり、眺めがいい。船泊湾を挟んでスコトン岬やトド島もよく見える。
道道507号線に復帰し、金田ノ岬に向かう。
11:40 金田ノ岬に多分、到着。「多分」と書いたのは、「金田ノ岬」を示すハッキリした表示板などがないのと、「あとい」というお店とその隣にある大きな岩があって、海岸のほうが見えず、岬なのかどうか確認できないからだ。
その「あとい」というお店の看板に「礼文島金田岬」と書いてあるので、多分、店の裏手が、金田ノ岬なのだろうと思う。
岩陰にある岬の方の写真を撮って、すぐに出発。
ところが、すぐ先の海に何やらビミョーにうごめくものを見つける。岩礁のようにも見えるが、じっと目を凝らすとその中に確かに動いているモノがある。そして、ミョーな鳴き声も聞こえてくる。
「アザラシだ」
そういえば、金田ノ岬はアザラシの出没ポイントだった。安モンのデジカメのズームを最大にして、なんとか写真を撮ってみる。
どうも、ほとんどのアザラシは、浅瀬や岩礁の上で、尻尾と頭を持ち上げ、体を反らせて寝そべっているようだ。
ざっと見た感じでは何十頭もいる。中には海を泳いでいるヤツも見えるので百頭単位かもしれない。アザラシは陸から少し離れた沖にいるのだが、ここにいるだけで、キッツイ匂いが風にのって漂ってくる。アザラシの体臭は相当のようだ。
最近、稚内周辺でアザラシによる漁業被害が甚大という話しも聞いている。ここだけでこれだけいるのだから、礼文や利尻、稚内周辺を含めたら相当な数なんだろうと思う。
今度こそ、香深に向けて出発。前方に薄っすら利尻島が見えてくる。南の方もだいぶ晴れてきたようだ。
香深港へ
昆布の干し場が続く海岸線を南下、島の東側はさほど風は強くない。
12:08 道道40号線に合流。フェリーの出港時間まであと1時間半ちょっと、香深までは残り14km。時間的にはちょういい感じだ。
12:30「金環日食観測記念碑」に到着。昨日見れなかったので寄ってみた。1948年5月9日に金環日食が観測されたらしいが、正直、そんなことで記念碑を建ててしまうほどのものか?と思ってしまう。
が、あとで調べると、当時、結構なことがあったらしい。
その金環日食は、限りなく皆既日食に近いもので、金環帯が1kmしかなく、1秒しか観測できないという非常に珍しいものだった。それが観測できる礼文に、日本やアメリカの科学者からなる観測隊が、終戦間もない1948年に大挙して集結し、島を挙げてのかなり大掛かりなイベントになったようだ。GHQも来たらしい。
当日、金環日食は見事に観測され、後にこれを記念して、観測されたこの場所に記念碑が建てられたとのこと。
12:57 香深港フェリーターミナルに到着。
まずは切符を買いに行く。利尻・鴛泊までは2等で780円也、自転車の運賃は610円也。ついに自転車の運賃は人間様と変わらなくなった。
出港まで時間があるので昼飯でも食おうと思う。ターミナルの2階にあるレストランで、ウニ丼かイクラ丼それともラーメンを食ったと思うが、何だったかよく覚えていない。
レストランを出て、外をみると稚内からのフェリーがやって来る。下の乗り場には乗客が並んでいるが、自分は自転車で車両甲板から乗り込むのであそこに並ぶ必要はない。
ふと埠頭の端をみると、今日も「桃岩荘」のトラックが止まっているが、旗を振っている関係者は2人とかなり寂しい。
ターミナルを出て、自転車を押し、車両甲板からフェリーに乗り込む。今日のフェリーも「サイプリア宗谷」で、昨日と同じ。
自転車を預けて、デッキに上る。今日は天気もいいし、利尻まで40分なので、このままデッキで過ごそうと思う。
デッキに上がると、「桃岩荘」の関係者はやはり2人だけで旗や手を振っているだけ。どうも桃岩荘の宿泊者はこのフェリーに乗っていないようで、見送りの儀式はないようだ。このフェリーは、稚内ではなく利尻・鴛泊行なので、乗っている人がいないのだろう。
13:45 礼文島・香深港を出港。礼文は天気に恵まれず、あまり周れなかったので、また近いうちに来たいと思う。
利尻島は、利尻山の上の方が雲に覆われているが、天気は良さそうだ。
利尻島・鴛泊港
利尻島・鴛泊港に近づくと、海に突き出た小高い丘の岬が目に留まる。
「なんだ、あれ?」
と思い、地図を調べると鴛泊港の入口にある「ペシ岬」だった。海に突き出た部分だけポコっと盛り上がり、頂上はハッキリとんがっていて、海側は断崖絶壁。かなり変わった形の岬だ。
港に近づいていくと、街から少し山のほうに、高速道路のような大きな橋が2つ架かっているのが見える。
「あんなところに道路が走ってんだ」
と最初はそう思ったが、すぐに、
「あっ、あれは普通の道じゃなくて、自転車道では?」
地図を見ても、道路は海岸線にしかなく、その山側に「利尻島自転車道」が走っているので、自転車道で間違いないだろう。
あそこに行ってみたいと思うが、このあと島を周回している道道108号線と道道105号線で1周しようと思っているので、今日はもう無理そう。
フェリーが港内に入ると、北から飛行機が下りて来る。見た感じANA色なので、新千歳から飛んできたAHK(エアーニッポン)機だろう。
14:25 利尻島・鴛泊港に到着。すっかり、晴れてしまった。この時間から島1周をすることにちょっと迷いがあったが、こうなったらもう行くしかない。
利尻島1周は約53.5km。途中、姫沼やオタトマリ沼などに寄ろうと思っているので、4時間でいけるかどうか。日没ギリギリになるかもしれない。
まずは、姫沼に向かう。
道道108号線をしばらく走っていると、湾内覆道の手前で、今日泊まる宿を偶然、発見する。まだ正確な場所を知らずに走っていたが、屋根にデカデカと宿の名前が書いてあるのですぐに気づいた。鴛泊港のすぐ近くだろうと勝手に思っていたが、けっこう離れたところにあるので少し予想外だった。
湾内覆道を抜けると、乗ってきたフェリーが、ペシ岬をバックに鴛泊港を出ていくのが見える。なんか、いい眺めだ。
そうオチオチのんびりしていられないので、先を急ぐ。しばらく走ると、
「2km 姫沼 →」
との案内標識。
「2kmもあんのかー」
と思い、右折して見ると、今度は満を持したように激坂が登場する。激坂の横には「14%」との勾配標識。
「マジか…」
一瞬、ウロタエそーになったが、気を持ち直して必死コイて上る。
姫沼・オタトマリ沼
一つ目のヘアピンカーブを越え、さらにズンズン上っていくと、前方が開けて来る。
14:45「姫沼展望台」に到着。ちょっと休憩。
ここは「姫沼展望台」という名前だが、姫沼が見えるわけではない。姫沼はもっと上で、ここからはペシ岬と海が望めるぐらいだ。
すぐに出発。「姫沼展望台」からは勾配が多少緩くなったものの、上り坂が延々とダラダラ続く。あまり時間がないので少々アセってくる。
「利尻島自転車道」との交差を通過。姫沼から戻った後は、ここから自転車道を通って野塚に抜けようと思う。
まだまだ、ドンドン上っていくと、利尻山がテッペンまで見えてくる。
「おー、やっと顔をだしたなー」
稜線がガクガクしていて、ゴッツイ山だ。
14:57「姫沼」の駐車場に到着。やれやれ。駐車場には、観光バスが止まっていて、団体さんがいる。またもイヤな予感がする。
自転車を止めて、遊歩道を歩いて、姫沼に向かう。すでに団体さんで賑わっている。姫沼に到着すると、恐れていた通り団体のオジサン、オバサンでごった返している。澄海岬に続き、本日2度目の団体さんとの遭遇。
時間がないので、澄海岬のように団体さんが去ってくれるまで待つ余裕はない。オジサン、オバサンの隙間を縫って写真を撮る。
ここから利尻山が一望できるはずだったが、山頂は雲が被っていて見えない。さっき上って来る時に見えた山頂は、山頂ではなかったようだ。
ツーリングマップルによると、沼沿いに1kmの遊歩道があるらしいが、時間がないので途中まで周り、引き返す。
15:03 姫沼を出発。来た道を戻り、利尻島自転車道に入る。
ずっと森の中を走るので、鳥の声しか聞こえず、静か。時折、橋があり、そこから海岸線が見え、だいぶ高いところを走っていることを実感する。
「カモメのふんに注意」
との注意看板。そういえば、旅前に読んだ、利尻島を自転車で旅した方のホームページに、「自転車道を走っている時、道に止まっているカモメの大群に遭遇し、しかも全然逃げないし、道路はカモメのフンで真っ白だった」と書いてあった。
確かこの辺りの話しではなかったと思うが、そのことを思い出し、
「ひょっとしてこの先にカモメの大群がいるんじゃないか?」
と身構えながら、カーブの先を注意して坂を慎重に下りる。
15:13 利尻島自転車道の野塚側起点(終点)に到着。結局、カモメの大群どころか、1羽の鳥も見かけることはなかった。
道道108号線を渡ったところに「野塚展望台」があるので、そこで少し休憩する。
いくつか碑が建っているが、読んでいる時間がないので、写真撮影してすぐに出発。次はオタトマリ沼に向かう。
この先は当分寄るところはないので、突っ走る。小さなアップダウンがあるが、大したことはない。
交通量は少ないし、天気もいいが、スバ抜けて眺めがイイというわけでもないので、淡々と走るだけになる。というか、普通なら海岸線の眺めがイイと思うのかもしれないが、オロロラインから眺めのいい海岸線をずっと走り続けてきたので、もう慣れてしまったのかもしれない。
15:53 石崎灯台を通過。
16:13 オタトマリ沼に到着。
ここは「逆さ利尻」が沼に写るところなのだが、少し前から曇り始め、利尻山は完全に雲の中に入り、全く見えなくなった。沼にはなにも映らない。
ここも適当に写真を撮ってすぐに出発。次は「仙法志御崎公園」に向かう。
16:30 利尻町に入り、すぐに左折。
下り坂を駆け下りる。道道に戻る時は逆に上らされ、時間がロスしそうなので、あまり下りたくない。でも、もう下りてしまっているので、しょうがない。
仙法志御崎公園
16:35「仙法志御崎公園」の駐車場に到着。ツーリングマップルによれば、ここにアザラシがいるらしい。
自転車を止めて、海岸の方に歩いて下りていくと、岩礁やコンクリートで囲われた生簀ようなプールのようなところが見えてくる。あそこにアザラシがいるのだろう。人は全然いない。
そのプールのようなところの周囲を周って行くと、確かにアザラシらしきものが泳いでいる。
ようやく観光客が一人、こちらにやって来る。
プールを周っていると「ウニをご覧ください」との案内標示が目に入る。それを読むと、「ロープを引き上げると、籠の中に生きたムラサキウニを見ることができます」とのこと。
ならばと思い、ロープを引き上げてみると、何か入っているが、ウニかどうかよくわからない。一度、籠も海中に戻すが、もう1回上げてよく見てみる。確かにウニっぽいモノが入っている。
と、その時、
「入ってますか?」
と若い男性から声をかけられる。
一瞬、誰?と思ったが、ここにいるのは自分と、さっき来た若い男性の2人しかいないので、その男性が自分に声をかけたようだ。
「入ってますよ」
というと、男性が近づいてくる。
そのあと、色々と話しかけられる。
「熊本から来て、富士山に登ってきた」
「函館で、市場かどこかのおじさんに『どこかいいところないか』と聞いたら、『男なら島だ。利尻だ』と言われて利尻に来た」
「利尻は原付で周っている」
などなど。
自分もそれに合わせて「〇〇から来て自転車で周っている」と答えたりする。
ただ、まだ島の半周しか周っておらず、しかも17時近くなっているので、話しはソコソコにして、早く出発したいところだ。
だが、どうもこの人は話し好きなようで、初対面の自分にずっとしゃべり続けて終わりそうにない。
やむを得ず、
「今日は自転車で鴛泊まで行かないといけないので、もう行かないと間に合わない」
と話し、そろそろ行かせてもらう。
最後に、その彼からどこに泊まるのか聞かれたが、
「あれ、どこだったっけ?」
と、宿の名前が出てこない。携帯の予約したメールを見てみる。で、
「あ、『雪国』とういう民宿」
と答えると、偶然にも彼も同じ宿だった。一緒に宿で晩飯を食おうということになる。
最後に、写真を頼まれたので、公園の入口にある「仙法志御崎海岸」の石碑の前で彼の記念写真を撮ってあげる。お返しを言われるが、自分の写真を撮るのは好きではないので丁重にお断りして別れる。
16:56「仙法志御崎公園」を出発。すっかり、遅くなってしまった。もう突っ走るしかない。
道道108号線に復帰し、「麗峰湧水」で給水。
しばらく走ると、「北のいつくしま弁天宮」の案内標識。その先の海岸に何やら赤いモノが2つ見える。
17:16「北のいつくしま弁天宮」に到着。赤い鳥居、大きな岩礁の上に赤い祠、祠に続く橋の柵まで赤い。とりあえず時間がないので、周辺の写真だけ撮っておく。
その先の橋の下に「寝熊の岩」の看板がある。横の階段をちょっと下りたところから岩が見えそうなので、せっかくなので下りてみる。確かに岩の先が熊の頭に見えるので、まーいいとしよう。
そこからは、少し先にある「人面岩」も見えるが、人の顔に見えないこともない。凹んでいるところが3つあれば、なんでも人の顔には見えるので、別にいいとしよう。
とっとと出発。
沓形の街に入り、ちょっと疲れたのでセイコーマートでアイス休憩。
道道105号線
とっとと食ってすぐに出発。鴛泊まであと12km。右折して道道105号線に入る。
沓形の街を抜け、さらにスピードアップする。天気は「オタトマリ沼」からずっと曇ったままなので、鴛泊までの距離を案内標識で確認しながら、只々走るのみ。
利尻富士町に入り、利尻空港に向けて草原地帯を突っ走っていると、ミラーにスクーターが映る。そのスクーターは、自分の横に着くと、
「はえーなぁ。前に見えてから、なかなか追いつけなかった」
と声がかかる。
そのドライバーは「仙法志御崎公園」で会った彼だった。その言葉を聞いて、最初はスクーターが遅すぎると思ったが、よく考えると、こっちはだいたい20km/h台中盤で走っていたので、確かに原付スクーターだとなかなか追い付けないかもとも思う。
それより、「仙法志御崎公園」をほぼ同時に出発したのに、何でスクーターのほうが後ろから来るんだ?と思うので、どこで何してか、並走している彼に聞く。
すると、沓形かどこかで、小学校の先生と話していたそうだ。やはり彼は話し好きで、人見知りも全くしないようだ。
今度こそ、スクーターが先に行く。
18:11 道道856号線との分岐に到着。右に行くと利尻空港だ。ここまで来ると鴛泊はもうすぐそこ。ちょっと余裕が出てきたので、空港に寄って見る。
右折すると、空港の施設が全く見えないので、若干不安になる。右にカーブするとそれらしい施設が見えて来る。
18:15 利尻空港の入口門に到着。空港の営業はもう終了しているようで、門はチェーンで閉じられていて、中には入れない。定期便があるので、礼文空港よりは遥かに立派そうだし、敷地も広そうだ。
すぐに引き返す。利尻山は相変わらず、ほとんど雲の中だ。
道道105号線に復帰。交差点を直進する道の横に自転車道の入口があるので、覗いてみる。案内標示や地図もあり、道路も走りやすそうだ。自転車道には道道1076号線の標識が出ているので、れっきとした道道のようだ。
道道105号線で鴛泊に向かう。
18:24「富士野園地」の入口に到着。すぐ先に展望台のようなところが見えるので行ってみる。
駐車場から先にも舗装路が続いているので、行けるところまで自転車で行く。その途中、「ポンモシリ島」と書いてある丸太の表示板がある。その左手に、確かに小さい島が見える。
東屋まで行くと、正面に「ポンモシリ島」。カモメなのかウミネコなのかわからないが、とにかく海鳥だらけだ。
右手にペシ岬のような海に出っ張った岬があるが、小さいのでペシ岬ではない。その上に展望台のようなところが見える。地図をみると、あそこは「夕日ヶ丘展望台」のようだ。今日はもう時間がないので行けそうにない。
左にはまだ遊歩道が続いていて、その先の丘の上に展望台があるので行ってみる。途中に階段があるので自転車はここに置いておく。
展望台に到着。あまり高いところではないが、周りに高いものがないので360°よく見える。
間近にポンモシリ島、後ろには雲に覆われた利尻山、北西方向には礼文島も見えている。
18時半になり、もういい時間なので、本日のツーリングはこれで終了にする。
途中のセイコーマートで買い物をして宿へ向かう。
旅館 雪国
なんとか、日没前に宿に到着。今日のお宿は「旅館 雪国」。1泊2食で12,600円也。利尻の宿も、礼文と同じく結構な高額だが、ここも飯がいいはず。部屋は6畳の和室プラス広縁で、窓からは海とペシ岬、鴛泊の港が見える。風呂とトイレは共同。自転車は入口横の軒下に置いておく。
受付で、「お連れさんは到着していて、お待ちしている」みたいなことを伝えられる。話し好きの彼のようだ。
先に風呂に入りたかったが、彼が夕食を待っているようので先に飯にすることにする。旅先で知らない人で出会って、同席して一緒に飯を食うのは初めてだが、いかにも旅っぽくていいだろうと思う。
荷物を部屋において、食事場所の広間に行く。
彼は来ており、とりあえず、生ビール1杯ずつ頼み、乾杯する。ウニ、カニ、刺身など海鮮料理を食べながら、いろいろ話しをする。
彼は仕事をやめて旅に出てきたらしい。歳を聞くと、なんと自分と同い年。じっくりと顔を見たわけではないが、かなり若く見え、20代、もしかしたら学生かとも思っていた。
明日は、利尻山に登るとのこと。明日は雨で少々荒れ気味の天気予報だと話すが、それでも登るという。富士山に登ってきたとはいえ、大丈夫だろうか。夏とはいえ、利尻山を甘く見ないほうがいいと思うが…。
もう1杯ビールが欲しかったが、彼は1杯しか飲みそうになかったので、自分も1杯でやめておく。なんとなく、1杯目も自分に付き合って頼んだようにも見えたし。
飯も食い終わり、お開きにする。
部屋に戻り、しばらくすると、彼が部屋にやってきて、1枚の紙を渡される。そこには名前や住所、はては電話番号など連絡先が書いてある。
旅先でのアドレス交換といったところだが、ちょっとアナログな感じだ。自分も返さなければと思うのだが、紙もペンも持っていない。さて、どうしたものか?
とりあえず、まずは風呂に行く。
戻ってきて、二次会を始める。ふと、部屋に紙とペンが置いてないか探してみると、すぐに見つかる。で、自分の名前やメールアドレスなどを紙に書く。今の時代は電話じゃなく、メールだろう。紙を渡しにいこうと思ったが、もう遅いし酒臭いと思うので明日の朝に渡すことにする。
さて、その明日だが、旅前の予定では、朝イチ(8:40発)のフェリーで稚内に戻り、日本本土最北端の宗谷岬に行って「オロロンライン北上」を完遂。そして稚内空港に行って、夕方(16:30)の便で帰途につき、この旅を終えるつもりだった。
ところが、明日の天気は朝から雨で風も強く荒れ模様とのこと。ハッキリ言って、そんな天気に自転車で走りたくはないし、少々危険だろう。宗谷岬は諦めざるを得ないかもしれない。
となると、朝ニ(11:00発)のフェリーで稚内に戻り、稚内市街で適当に時間を潰して、稚内空港に向かうことを考える。
イヤ、それより天気が荒れ模様になるなら、そもそもフェリーが出るかどうかのほうが心配になる。念のため、朝イチフェリーに乗ることも考えたほうがいいだろう。
最終日にして、天気がかなり厳しくなりそうだ。今のところ、まだ雨は降っていない。少し早起きして様子を見ようと思う。寝る。
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