初日 2008年10月10日(金)
7:55 ANA1601便で高知龍馬空港に到着。
空港ターミナル前の、邪魔にならないところで、MR 4Fを組立てる。
8:50 空港を出発。予定通り、県道13号線から土佐湾沿いの道に向かう。天気のほうは雲が多いものの青空が見えてまずまず良さそう。
土佐湾
住宅街の狭い道を西へ進む。特に眺望もないので、高知に来ていきなり淡々と走るだけになる。そんな道なので途中で海岸のほうにちょっと行ってみる。真っ直ぐ海岸線が続いていて遠くに大きな建物がみえるが、横浪半島のほうはかなり霞んでいる。
「今ここで地震が起こり、津波がきたら終わりだな」
と思ったりもする。
土佐湾沿いの海岸線 |
県道14号線に入る。交通量は多くないが、それなりにある。
そして今日の最初の難関、浦戸大橋が近づいてくる。結構高い橋らしいが、問題は路肩が十分あるか、歩道があるかだ。危なそうなら無理せず渡船で渡るつもりでいる。
浦戸大橋…瀬戸大橋じゃない。見間違いしてしまう。
浦戸大橋への上り坂が見えてくる。路肩はほとんどなく、歩道も上り坂の手前で極狭になり自転車は走れそうにない。交通量はそれなりにあり、トラックも通る。
「これはちょっと危なさそう」
ということで、浦戸大橋を渡るのは諦める。少し戻って途中にあった側道に下りる階段を、自転車を持ち上げて下りる。
側道から渡船乗り場に向かう。乗り場は浦戸大橋から少し内陸に入ったところにあるので、海沿いを走れば行けるだろう。
適当に浦戸大橋の下の道を走って行くと堤防にブチ当たり、右折。そのまま堤防沿いの道を走って行くとそれらしい建物が見えてくる。
9:54 種崎渡船場に到着。
誰もいない。早速、時刻表を見てみると次の船は10:10発。この時間帯は1時間に1本しか出ていないが、時間的にはちょうどよかった。
しかも運賃は、人も自転車も125cc以下の自動二輪も「無料」ときている。県営ということもあるのだろう。高知県民の皆さん、ありがとうございます。
種崎渡船場 |
自販機で炭酸を買い、一服する。
ちょっと時間があるので周辺を探索。といっても浦戸湾のほうは2m以上ありそうな堤防で全然みえないし、背後は住宅街。少し離れたところに堤防に上がる階段があるので、そっちへ行ってみる。
堤防を上がると対岸から渡船がこちらに向かって来るのが見える。対岸の渡船場はかなり近く1kmもないだろう。湾の奥には高知市街が見える。
渡船場に戻る。船の時間が近づくにつれ、少しずつ人が集まってくる。
最終的には自分を含めて自転車の人が5人、スクーターの人が1人乗り込む。自分以外はみんな地元の人だろう。
10:10 種崎渡船場を出発。
10:20 梶ヶ浦渡船場に到着。
計画では桂浜に行くことも考えていたが、あまり時間がないので行くかやめるか、かなり迷っている。
桂浜には12, 3年ぐらい前に一度行ったことがある。龍馬像のある公園や坂本龍馬記念館、闘犬センターなどがあり、見所が多かったと記憶している。寄ると少なくても1時間ぐらいは時間を要するだろう。
とりあえず、県道278号線、県道34号線を経由して海沿いの県道14号線へ向かうことにする。堤防沿いの県道278号線をしばらく走ると、住宅街に入る。
「⬅︎桂浜」の案内標識が出てきたので、左折して県道34号線に入る。住宅街の中のあまり広くない道が続く。
県道14号線に復帰。ここを左折すれば桂浜に行けるが、あまり時間がないし一度行ったことがあって優先順位も低いので、今回はやはりやめておく。
右折して横浪半島に向かう。ようやく土佐湾沿いの道になる。交通量が多くなるが海側に自転車走行可の広い歩道があるので、海を見つつ、そこを走ることにする。
西側の空はだいぶ雲が多くなり、青空が見えなくなる。左手前方の海の向こうには横浪半島が見えている。
10:31 旧春野町に入る。
「春野」といえば西武ライオンズのキャンプ地だったところだが、最近は「春野」という言葉を聞かなくなった。キャンプ地が他に移ったのだろうか。あとで調べると、4年前から宮崎の日南に移ったらしい。
県道23号線に変わり、仁淀川河口大橋を渡る。橋の右側(上流側)に歩道があるので、走行には問題なし。これが綺麗で有名な仁淀川だが、河口は至って普通の川。橋はかなり長~く、なかなか渡り切れない。
宇佐湾の入口に差し掛かる。湾の向こう側に大きな橋が見える。あそこを渡れば、横浪半島に突入だ。
船が停泊する宇佐湾をぐるっと周る。
横浪黒潮ライン
11:08 県道47号線の横浪黒潮ラインへ左折。
一気に交通量が激減する。
宇佐大橋を渡っていると、下り坂の前方に白装束の方が一人、横浪半島に向かって歩いている。この旅、初めてのお遍路さんとの遭遇だ。横浪半島にも札所があるようだ。あとで調べると第36番札所の青龍寺があった。
お遍路さんを抜いて横浪半島に入ると、民家はなくなり交通量も皆無。ようやく自転車旅っぽくなり、いい感じになってきた。
向萩の浜、竜の浜と夏には海水浴で賑わいそうな砂浜や椰子の木なんかも出てきて、南国らしい雰囲気が出てくる。
向萩の浜 |
竜の浜を過ぎると、前方に上り坂が見えてくる。いよいよ山岳コースの始まりのようだ。
延々と上り坂が続き、場所によっては10%近い勾配のところもある。この程度は想定済みなので全然問題なし。
11:37「青龍寺 奥の院」の入口に到着。
右カーブの内側に大きな待避スペースがあるので、そこで少し休憩する。
「青龍寺 奥の院」の入口を出発してもまだまだ上り坂は続く。しばらくして左手が開けてきて、太平洋が見え始め眼下には海岸線も見える。
そして、ようやく上り坂は終わり下り始める。ここから先はアップダウンが続くだろうと想像する。
11:47 須崎市に入る。
横浪黒潮ライン① |
山岳コースは続く。そんな山ん中の道で「明徳義塾中高等学校➡︎」の案内標識が目に入る。
「こんなところに学校?」
民家が皆無でこんな山ん中に私立の学校があるのかと少々驚く。
12:00 帷子(かたびら)崎展望台に到着。
展望台の割にさほど眺望が開けてない。すぐに出発。
池ノ浦港への分岐の少し手前で、山の中に立つ円筒型の建物が目に入る。
「こんなところに、なんだあれ?」
しばらく走ると、その建物の入口前を通過。納骨堂だった…。
その後も相変わらず、比較的急な(5~10%)アップダウンが続く。
「武市瑞山銅像」があるパーキングを過ぎたあたりから、道路は下りっぱなしになる。そろそろ横浪黒潮ラインの山岳コースは終わりのようだ。
横浪黒潮ライン② |
浦ノ内湾の入江まで来ると、海面と同じレベルまで下りきる。もう一つ丘を越えると、小さな工場や集落、田園地帯が出てきて田舎の風景に変わる。
12:54 県道23号線に到着。これにて横浪黒潮ラインは終了。
走り終えてみると、横浪黒潮ラインはアップダウンの勾配がキツく、なかなか体力のいるルートだった。海沿いの道ではあるがほとんど森の中のため、ずっと眺めがいい訳ではなかった。
そして時折、海側の木々が途切れると必ずと言っていいほど海に突き出た「崎」が見えた。「なんか同じような景色が多かったな」
ツーリングマップルを見ると太平洋側にはツヅラ崎や帷子崎、観音崎など「崎」が続いているので、そう見えたのだろうと思う。
県道23号線へ左折して須崎市街に向かう。しばらく走ると「鳥坂トンネル」に出くわすが、路肩狭く歩道はないし中も暗い。如何にも古そうでイヤなトンネルだが、交通量が少ないので急いで駆け抜ける。
農村地帯を抜けて行くと住宅街に入り、高架橋を渡る。ここから先は須崎市街を通って国道197号線に出ないといけない。とりあえず、国道はできるだけ通りたくないので、この先の県道314号線に入り多ノ郷駅方向に向かうことにする。
高架橋を下りた最初の交差点を左折し、そのあと県道314号線へ右折する。
13:18 多ノ郷駅に到着。
さらに西へ進み、国道56号線に合流して左折。市街地なので道は狭く交通量も多い。我慢して走る。
国道197号線
国道197号線との分岐に到着。右折して国道197号線に入るが、ここも道は狭い。新荘川沿いの道を走っていく。天気は完全な曇天というより、いつ雨が降ってきてもおかしくない雲行きになってくる。
高保木トンネルの前でリュックからレインウェアを取り出し、リュックにレインカバーをかけて雨装備の体勢を整える。
高保木トンネルには、なんとか走れそうな幅の歩道があるのでそこを通る。
その後も山間の新荘川沿いの道を進む。交通量は少ない。
14:17 津野町に入る。
役場のある市街地を過ぎたところに、ロケットのような大きなモニュメントというか模型のようなモノが置いてある。
「なんだぁ、ありゃ?」
後で調べると、あれはロケットではなく風車の羽の1枚で、あそこには「風の駅」という風車発電のPR館があったようだ。
須崎からここまでの間はほとんど上りを感じなかったが、津野の市街地を離れると徐々に緩く上り始める。
民家がほとんどなくなったところで、ついに雨が落ち始める。上だけレインウェアを着る。雨はしばらく続いたが、小降りで大した雨ではない。
上り坂は県道377号線の分岐あたりから5%ぐらいになって少しキツくなってくる。
駄場トンネル、二ツ家トンネルとトンネルが続くが、いずれも歩道があるので問題なし。かなり山深くなってきたが、それでも谷間には集落と棚田がある。
「こんな平地のないところにも人が住んでいるんだ」
と思いながら走る。
山間の集落と棚田 |
さらにいくつかトンネルを抜けるが、歩道があるので問題なし。上り坂がさらにキツくなってくる。
トンネルとトンネルの間では、山肌の急斜面に建つ民家と茶畑っぽい段々畑が見える。
「スゴイところに住んでるなぁー。ここまでして住むのはやはり先祖代々から住んでいるからなんだろうなぁー」
と思ったりもする。
急斜面に建つ民家と茶畑 |
「道の駅 布施ヶ坂」に到着。ここまで来れば最後の県道378号線はもう目の前だ。16時前なので今日の四万十源流行きは断念してしばらくここで休憩することにする。
アイスがあるので買ってみる。高知と言えば「アイスクリン」だが、ここは手作りのアイスクリームだった。そういえば、空港からここまで走ってきたが「アイスクリン」の店や屋台は一度も見なかった。もう10月だしな。
店で晩酌やミネラルウォーターなども買い込む。雨は止み、もう降りそうにないのでレインウェアを脱ぐ。
16:10「道の駅 布施ヶ坂」を出発。
道の駅から道路を挟んだところに展望台のようなところがあるので行ってみる。そこは「布施ヶ坂公園」。
公園の展望台からはさっきも見た急峻な山肌に建つ民家と段々畑が見える。ここに来る途中に見た山深い谷間にある集落や棚田は、夏に旅したオロロンラインの風景とは全くの別世界だ。北海道ではこんなところに人が住んでいたり、農業をやっていることはまずない。歴史が違うのだろうと思う。
長い布施ヶ坂トンネルを抜ける。ここも歩道があるので問題なし。国道197号線にはいくつかトンネルがあるので旅前は少し心配していたが、どこも短かったり狭いながらも歩道があるので怖い思いをすることはなかった。
船戸
トンネルを抜けたところに案内標識があり、右が「船戸」となっている。その先にある交差点の右側に「四万十川源流点➡︎」の案内板もあるのでここで右折する。
すると、そのすぐ先の丁字路に、
「⬅︎??? 源流点まで8km 約30分頑張ってください 山道となります。対向車にご注意」
との小さい手書きの案内板がある。上の「???」の部分は文字が消えてしまっている。よ〜く見ると、うっすら「源流点」と書いてあった跡が見える。
源流点への案内板 |
案内板に従って左折する。
少し走ると県道378号線の標識があるので、この道で間違いなさそうだ。県道といっても、いわゆる1.5車線ほどの細い林道のような道だ。
船戸の集落を抜けて行く。途中で分岐があるが、どちらも道幅が同じくらいなので、
「どっちが県道?」
と一瞬思ってしまう。が、よく周囲を観察すると、そういうところには必ず「源流点➡︎」のような手書きの案内板がある。非常に助かる。親切だ。
源流点に行く観光客が多いはずなので設置しているのだろうと思うが、手書きなのでここの集落の人が設置したのかもしれない。
集落を過ぎると、この旅初の四万十川に遭遇する。源流点からそれほど離れていないので川幅は3, 4mほどしかない。
民家と棚田の間を縫うように走る県道378号線をさらに上って行く。
そんな船戸の中を走っている途中、意外と結構、集落の人に出くわすのだが、自分をかなり奇異な感じで見ていて目線がピリピリ刺さってかなり痛い。
源流点に行く観光客は結構いると思うが、「自転車で上っていくなんて頭がオカシイんじゃないか」と思っているようにも見える。自転車旅をしていなかった時の自分なら、多分そう思うだろう。
四万十川にかかる二つ目の中村橋を渡った先から、本格的に上り坂が始まる。5%超の上りが続く。
集落の一番奥にある高台からは、山間の狭い空間に広がる民家と棚田の風景が見下ろせる。これが四国の山間にある田舎の風景といったところだろうか。
船戸の棚田 |
民家がなくなり、森の中の坂道をガシガシ上って行く。もう完全に林道状態だ。そんな道でも源流点への手書きの案内板はマメに続く。
16:45 宿の入口に到着。
「堂海森林公園」の看板があり、その奥の高いところに何やら像が2体立っていてちょっと不気味な感じがする。
ちなみに、ツーリングマップル2008年度版には「堂海林公園」と書いてあるが「堂海森林公園」の間違いのようだ。
宿に到着。今日のお宿は「四万十源流センター せいらんの里」。中に入るが誰もいない。奥からおばちゃんの声が聞こえるので、
「すみませ~ん」
と叫ぶ。
すると、一人のおばちゃんが出てくる。
「あらあら、ずいぶん濡れてて大変。すぐ準備しますので、ちょっと待ってくださいね」
と言われる。
「濡れてる?」と思い、自分の着ているシャツをよくみると、確かに上1/3ぐらいが濡れてて色が変わっている。おばちゃんに言われるまで、全然気づかなかった。
雨が降っていたときはレインウェアを着ていたので、雨では濡れていないはず。多分、レインウェアを来たまま上り坂を上ったので、汗で蒸れて濡れたのだろう。シャツの素材も綿だったのですぐには乾かないし。
「やっぱり綿は濡れると乾かないので、このシャツは自転車旅では着ないようにしよう」と思う。
宿の横には小さな川が流れている。これも四万十川のようだ。川の対岸に洞窟のような穴が開いているが、あれはなんだろう。よくわからない。
四万十川と洞窟? |
準備ができて、中に入れてもらう。部屋は8畳の和室で、風呂とトイレは共同。部屋にはテレビはなく、携帯の電波も圏外。
「まっ、別にいい。明日の宿は決まっているし、明後日の宿は明日予約すればいいだろう。どうせ飯の後は、地図を見ながら明日以降のコースを考えて酔っ払って寝るだけだ」
ちょうどいい具合に部屋の壁に大きな四万十川のポスターが貼ってあるので、それも参考にしよう。
とりあえず、風呂にいく。
風呂の後、晩飯を食いに食堂へ。かなり広い食堂だが、用意されている晩飯は一つだけ。どうやら、今日の客は自分だけのようだ。
食堂の前に缶ビールの自販機があるので、それを買って晩酌にする。持ち込みじゃないので大丈夫だろう。
飯を食っていると、ここの管理人さんふうの男性が食堂に現れる。その人はおもむろに食堂の脇にあるビールサーバーからジョッキにビールを注ぎ、こっちに来る。
ジョッキがあるならと思い、2杯目は生ビールを頼む。
その管理人さんふうの人といろいろと話をする。この人は多分、宿の予約メールの返信をくれた人だろう。
管理人さん:「ここまではどうやってきた?」
自分 :「(高知)空港からここまで自転車で来ました」
管理人さん:「えっ、だいぶ遠いぞ」
とかなり驚く。まっ、自転車に乗らない人はそう思うだろう。
管理人さん:「空港からどこを通ってきた?」
自分 :「須崎までは、あのー、海沿いの、えぇ~っと、なんだっけ?半島みたいなところ」
管理人さん:「ああ、横浪半島ね。あそこはいいところだ。景色がよかったでしょう」
自分 :「そうですね。ちょっと曇っていたけど、よかったです」
などなど、他にもいろいろ話したが、忘れた…。
明日は7時過ぎには出発するので、朝イチで朝飯をお願いして部屋に戻る。
部屋では飲みながら明日以降の予定を考えたり、今日撮った写真を見たりしながら過ごす。
明日は少し早いので、とっとと寝る。
走行時間:6h02m55s 走行距離:92.27km 平均速度:15.2km/h 最高速度:39.6km/h
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