最終日 2020年8月28日(金) -
4:40頃、起床。昨日の夜はガスっていたが、朝はもう晴れている。テントにも朝露はついていない。ただ、テントサイトが砂場なので、テントを畳む場所を探さないといけない。
荷物整理後、おかしくなっているフロントディレイラーを調整することにする。最初はテントサイト横の道路で作業していたが、試走できるほどの平らな場所がないので、途中から下の駐車場に下りて作業する。
「島根の旅」のようなことにならないよう、まずはシフトワイヤーを固定するボルトが緩んでいないか確認する。今回はそれはないようなので、次にアジャスターボルトを調整する。
ボルト調整とシフト切替の試走を何度か繰返し、スムースにインナーとアウターの切替動作できるようになる。
意外と調整に時間がかからなかった。ついでに一昨日パンクしたリアタイヤの裂け目にリムテープを貼り直しておく。一昨日張ったリムテープは昨日で擦り切れてなくなっていた。
さらにタイヤの空気圧もチェック。この旅でもだいたい2日置きにチェックしてきた。
朝からこんなことをしてるので、キャンプ場を歩いたり、自転車に乗ったりしているのだが、今日は膝が痛むことがほとんどない。
「これなら、今日中に一気に自宅まで走れそうだ」
と、にわかに今日中に帰る気持ちが高まってきた。途中で膝の痛みが再発しなければ、一気に帰ることにしよう。
テントに戻り、すぐに撤収にかかる。フライシートは内側も結露はなく、外側の入口付近が少し濡れて砂がついている程度。とりあえず、テントサイトの入口にある「林間サイト」という看板にかけて干しておく。
インナーテントは全く濡れていないので、その場で畳む。グランドシートもあまり濡れていないが、湿った砂がついているので広げて乾かしたいところだ。
どこかいい場所がないかとサイトの周囲を探す。すると駐車場に下りる坂の手前に、石ころの多い砂利が敷かれている場所があるので、そこに広げておく。テントを畳むのもここがいいだろう。
荷物もテントサイトから、ここに移動させる。向かいの建物の前には分別用のゴミ箱があるので、ゴミも捨てる。
今日中に帰ることにしたが、自宅まではかなり距離があるので、早く出発したい。フライシートは乾ききっていないが、帰ってしまえば使うことはないので、かまわず畳む。
テントの撤収中に車中泊の車が1台出発していく。
新冠
7:27「判官館森林公園キャンプ場」を出発。少し青空は見えるが、雲が多く、ほぼ曇天。
国道235号線に出ると、そこそこの交通量。路肩も決して広くないので、あまり走りたくない道路状況だ。
節婦の手前で左に分岐道があり、その先に踏切があって、道は住宅街へ続いている。国道を走るのは少し避けたいので、GPSで踏切から先の道を確認する。すると、集落の先で国道に合流しているので、左折して住宅街に続く道に入ることにする。
節婦の街に入ると、通りに出ている地元の人はいるが、交通量は皆無で走りやすい。
住宅街を抜けて踏切の近くまでやってくると、一気に眺望が開け、門別方向の海岸線が目に飛び込んでくる。いい風景なのだが、いかんせん曇天のため、イマイチ。天気がよければ、かなりいい景色だと思うので少々残念。
踏切を渡り国道235号線に復帰すると、朝の通勤時間帯のせいなのか、やはり交通量、特にトラックが多い。
そのうえ、車道が轍で凹んでいるため、路肩が盛り上がっているような状態のところがあったり、車道の左側の白線上にガタガタの突起があったりするなど、ただでさえ狭い路肩が最悪な路面状況になっている。
「酷い道だなぁー」と思いつつも、よっぽどのことがない限り、この国道235号線を手直しすることはないだろうとも思う。
というのも、この国道235号線に並行して、現在、日高自動車道を造っている真っ最中だからだ。
そう思っていると、今度は、
「そういえば、日高自動車道はどこまで開通しているんだ?」
と気になり始める。というのも、開通している区間は多分無料なので、車はそちらに流れていき、その分、国道が空いてくるはずだからだ。
ただ、この辺は交通量が多いので、まだ開通していないだろうと想像はつく。
国道235号線は大狩部からアップダウンのある丘越えになる。登坂車線も出てきて道幅が広くなり、一息つく。
そんな中、「日高道 日高厚賀↑4km」の案内標識が現れる。日高自動車道は、厚賀以西までは開通しているようだ。あともう少しだ。
最後の丘を越えて、下り坂を下りていくと前方に街が見えて来る。あれが厚賀の街だろう。
8:05 厚別川を渡り、厚賀の街に入る。最初の交差点が日高自動車道への分岐のようだ。
しばらく行くと、国道235号線は厚賀の街をバイパスして山側の少し高いところを走るようになる。予想通り、交通量は一気に減り、トラックもほとんど来なくなる。
天気が薄曇りなので、景色はイマイチだが、車も減って路肩に止める余裕も出てきたので、海岸線の写真を撮る。その後もゆとりを持って走る。
8:29 慶能舞川にかかる慶能舞橋に差し掛かる。ここで、国道に並行して海側を走るJR日高線の慶能舞川にかかる鉄橋が、半分以上なくなっていることに気づく。
これがニュースで度々目にする、台風の高波にさらわれて、修復を諦めた橋のようだ。
橋は波打ち際に近いところにあるので、橋を内陸側にずらさない限り、単純に修復しただけではまた同じことが起こりそうな気がする。
そんなことより、そもそもお金をかけて橋を修復し、路線を復旧させても、逆に赤字が増えるだけなので、JRは自腹では修復しないことに決めたのだ。
日高自動車道も建設中だし、廃線は免れないだろう。
豊郷駅近くまでくると、海側に郵便局の変わった看板が目に入る。その看板は、バカでかいドラム缶のような給水塔の外壁にあって、「郵便局 ゆうパック」の文字とイラストが書いてある。
「こんなところに郵便局があるのだろうか?」
と思い、周囲を見回すが、それらしい建物は見当たらない。
波恵川を渡り、丘を上っていくと、左後方に新冠や静内方向の海岸線が見えて来る。自転車を止めて写真を撮り、走り出そうと後続車を伺っていると、追い抜くライダーに手を振られる。日高に入ってから、手を振ってくれるライダーが確実に増えてきた。
大きく右にカーブしながら丘を下りていくと、街が見えて来る。
日高門別
9:03 門別に到着。
ここまで国道235号線を走っていると、案内標識でたびたび「↑門別本町」という表記を見てきた。ここが、その「門別本町」だ。
案内標識には普通、市町村名が表記されているのがほとんどだが、「平成の大合併」後、市町村名ではない、少し変わった表記をよく見かけるようになった。ここもその一つだろう。
ここは現在「日高町」で、より細かく言うと「日高町門別本町」になる。案内標識に書いてあった「門別本町」は市町村名ではない。
なぜ、市町村名の「日高」ではなく、町の中の区域に当たる「門別本町」が案内標識に書いてあるのか。それは「日高」と書くと、道を間違う人が多くなるからだと容易に想像がつく。
ここは以前、市町村名でいうと「門別町」だったが、ここより内陸にある「(旧)日高町」と合併して「(新)日高町」になった。
が、その「(旧)日高町」と「(旧)門別町」は飛び地で、しかも互いの中心部がなんと80kmも離れている。日本一離れている飛び地らしい。なので、案内標識に「日高」と書くと、旧日高町のほうなのか旧門別町のほうなのかわからない。
以前からこの辺りを知っている人なら「日高」と書いてあると、内陸にある「(旧)日高町」のことだと思うだろうし、合併した事を知らない人は、そもそも海沿いの門別町が日高町になっているとは思いもしない。
ここを間違うと片道80km、往復160kmもロスする羽目になる。自転車だと途方にくれそうだ。
それで、現在の地名が「日高町門別本町」なので、案内標識は「門別本町」に書き換えたのではないかと思う。「門別」のままの方がわかりやすいような気もするが、正式な地名ではないからダメなのだろうか。
それから、前日に通った三石と静内も合併していて、現在は「新ひだか町」になっている。
「日高町」が飛地で2箇所に分かれている上、隣の隣に「新ひだか町」があり、なんだかややこしいところになっている。
ちなみに、市町村名とその横に距離が書いてある案内標識があるが、この距離は、概ねその市町村の役場までの距離を指している。
道道351号線の交差点を通過すると、国道235号線は門別市街を通らず、山側にバイパスするようになっている。しかも前方は丘越えの上り坂だ。
「あの先は下っていて、ここは無駄に上らされるのではないか?」、「門別の街中に迂回すれば、無駄に上り下りしなくても済むのではないか?」
と予感する。
GPSで地図を確認すると、道道351号線から門別の街中を通り抜けても、国道235号線に合流できる。
予感に従い、道道351号線の分岐に引き返し、門別市街へ右折する。
門別の市街地を抜け、踏切を渡ると、前方には上り坂…。結局、国道まで上らされる。予感は大ハズレ、当てにしてはいけないと悟る。
坂を上っている途中、前からセイコーマートの袋も持った人がこちらに下りて来る。そういえば、ここに来る前にツーリングマップルで門別の国道沿いにセイコーマートとセブンイレブンがあることを確認していた。
もう一度、地図を確認すると国道と合流するあたりにセイコーマートがあるので、そこで休憩でもしようかと思う。
国道235号線に復帰。結局、門別市街への迂回路は、上り回避にもショートカットにもならなかった。セイコーマートも国道との合流点にはなく、少し戻ったところにあるので、そのまま休憩せずに走ることにする。
9:28 沙流川を渡り、富川の街に入る。意外と言っては住んでいる方に失礼だが、思ってもいなかったほどの大きな街。スーパーやドラッグストアの周辺は人通りも結構あり、門別本町より全然、大きい街だ。
丘を上って、しばらく直線路を走っていると、それまで片側1車線だった国道が中央分離帯のある片側2車線のダダっ広い道になる。特に交通量が多くなるところでも、市街地に入った訳でもない。
しばらく走ると、右に門別競馬場の看板が見える。競馬には全然興味ないが、看板に「ホッカイドウ競馬」の文字もあり、「まだやっているんだぁー」とちょっと懐かしく思う。
競馬場を過ぎてしばらく行くと、国道は元の片側1車線に戻る。競馬場近辺だけ、なぜか道路が広い。理由はよくわからない。
鵡川
ししゃもとカムイサウルスの町・鵡川に入ると、右手に「いすゞ北海道試験場」の案内板が目に入る。
最初は、何気に「いすゞかぁー」と思っただけだったが、すぐに
「あーっ、ここは学生時代に見学に来たところだ!」
全然、想像もしていなかったので、若干コーフン気味になる。
「こんなところにあったっけ?」、「うぅ〜ん、よく考えるとこのへんだったかなぁー」
などと、しばらく妙なコーフンが冷めやらない。
あのときは…、試験場のコースをバスに乗って試走した時、コーナーバンクの傾きに、
「ウォー、吐きそー」
とみんな騒いでいたなぁ。思い出すのはそんなことぐらいだが…。
牧場が点在する直線道路を進む。左に大きくカーブしてしばらくすると、それまで防風林の多かった周囲が大きく開けてくる。勇払原野に入ったように感じる。
道道74号線との交差点にあるセイコーマートで、昼飯のパンと炭酸水を調達。ここでしばらく休憩しようと思ったが、この先の道道10号線との分岐あたりに道の駅があるので、そこで休憩することにする。
10:23「道の駅 むかわ四季の館」に到着。新冠を出て約3時間、いいペースできているし、膝の痛みも全くない。
トイレ休憩と水補給。ついでにトイレにあるアルコールで悪臭が出ている靴も少し殺菌する。昼飯にはまだ時間が早いので、後にする。
天気が良くなり、太陽が照りつけ、ひなたは暑い。鵡川から胆振支庁(振興局)に入ったので、それまでの日高支庁とはやはり天気が違うのだろうか?
この後は道道10号線で厚真に向かう予定だが、アップダウンが多そうな感じがする。もしアップダウンが酷くて体力が消耗しそうなら、途中で道道1046号線や道道287号線に迂回することも念のため考えておく。
10:33 道の駅を出発、道道10号線で厚真に向かう。街を抜けると交通量は少なくなる。
天気だけではなく、周囲の風景も田んぼや畑が続き、道央っぽい感じになっている。牧場が多い日高や大平原が続く十勝の景色とは全然違う。
厚真
厚真に入り、しばらく走ると左手に「←大沼野営場」の案内板を見つける。「大沼野営場」は、早来から新冠までキャンプ場がないので貴重な存在ではあるが、近くに店や温泉が全くない。なので、あまり行ってみようという気がおきない。
案内板のある交差点を通過する際、キャンプ場に続く道を見てみると、その先は森のほうへ続いていて、民家もほとんどなさそうな感じだ。
厚真に入っても交通量は少ないが、予想していた通り、内陸に入ったので小さいコブのような丘越えが連続してくる。体力を消耗しそうなほどの酷いアップダウンではないので、このまま道道10号線を進む。
もう少しで厚真市街だ。厚真というと、胆振東部地震で震度7を記録し、大きな被害を受けたところだ。
厚真に着いたら、適当に公園あたりを探して昼飯にしよう。などと考えながら、丘を越えていく。
厚真の街に下りる坂の途中で、地震で崩れたような山肌が一瞬チラッとみえた。が、それが本当に地震で崩れたものなのかはわからない。
11:44 厚真大橋を渡り、厚真市街に入る。
しかし、道道10号線沿いには公園は見当たらず、パンを食べれそうなところも見つからない。結局、街を抜けたところにあるセイコーマートの駐車場で食べることにする。パンはすでに買ってあるので、ここで買う必要はないのだが…。
トットとパンを食って出発、国道234号線に向かう。
その途中、追い抜いていったトラックが左の砂利置き場のようなところに入っていく。砂利を載せるようなトラックではないので、
「あそこで何する?」
と思って見ていると、運転手が降りてきて用を足し始めた。
手前にセイコーマートがあったので、「コンビニで済ませておけば?」と思うのだが、最近はコロナの影響でトイレが使えないところも多いようなので、そのせいかとも思う。
安平
12:21 国道234号線に到着。この道はトラックが多いので、あまり走りたくないのだが、やむをえない。追分まで我慢して走ることにする。
右折して国道234号線に入る。しばらくして、途中の木陰で自転車を止め、日焼け止め塗る。厚真でパンを食べた後にしようと思っていたが、忘れていた。
国道234号線の交通量はさほどでもないが、やはりトラックが多く、「トラックすっとび街道」状態だ。バックミラーにトラックを写る度にイヤな感じがする。
トラックが多いのは、苫小牧港から旭川や道北、オホーツク方面に向かうには、この国道234号線で岩見沢に抜けるのが最短だからだろう。
追分の手前で、予定通り道道226号線へ逃げる。トラックはいなくなり、交通量は皆無になる。やれやれだ。
追分の街に入り、セイコーマートで炭酸水を補給する。鵡川で買ったものと同じヨーグルトテイストの炭酸水だ。
13:14 追分駅に到着。トイレと給水を済ませる。
予定では、駅裏のほうにある「鹿公園キャンプ場」に泊まるつもりだったが、この時間でここまで来れば、もう一気に帰るしかない。膝の痛みも全くない。
道道226号線
13:18 追分駅を出発、左折して国道337号線に向かう。「鹿公園キャンプ場」に泊まるなら、この近くにある「鉄道資料館」に寄ろうと思っていたが、それもパスする。
この道道226号線は別名「舞鶴追分線」というが、「舞鶴」はこの先の長沼にある地名で、そこにはこの自転車旅の直前に行ったところでもある。なので、そこまで行けば、あとは通ったことのある道になる。
道道226号線は、道東道を越えるあたりまでは上り坂が続くだろうと想像していた。実際、その通りに上り坂ではあるが、予想以上に坂は短く、勾配も緩い。
そのあとは瞼淵(けぬふち)川沿いの道をゆっくり下る。さすがに疲れて出てきたので、途中で残りのクッキーを食べて少し休憩する。
14:03 国道337号線に到着。左折して少し南下し、再度道道226号線へ右折する。路面がガタガタに割れていて、ケツが痛く、疲れた体にはよく効く。
しばらく走ると、右手前方に見覚えのある小屋が見えてくる。タンチョウの観察小屋だ。
「繁殖橋」を渡り、右のダート道に入っていくと最近タンチョウが戻ってきた「舞鶴遊水地」がある。昔はタンチョウがたくさんいたらしく、それで「舞鶴」という地名になったらしい。「繁殖橋」という名前もそれに因んでいるのかもしれない。
この自転車旅の直前にここを訪れたのも、タンチョウを見るのが目当てだったが、その時は残念ながら見ることはできなかった。今日はそういう元気もないのでパスする。
ここから先は何度か通ったことのある道なので、地図なしでも走れる。だいぶ戻ってきたという実感が湧いてくる。
道道45号線の手前にある「舞鶴スポーツ公園」で休憩しようと思っていたが、コロナのためか休業中。規制ロープが張られていて、トイレや駐車場にも入れない。
北広島へ
14:37 道道45号線に到着。左折して千歳川を渡る。
千歳川を渡ると、よく通る恵庭のカントリーロードへ入り、あとは淡々と北広島駅に向かう。
カントリーロードの途中で休憩していると、ロードバイクかクロスバイクに乗った自分より年配のおじさんに抜かれる。そのあとも何度か休憩する。走行距離が100kmを越えて、さすがに疲れた。
ボールパーク建設用のたくさんのクレーンも見えてくる。
15:19 北広島駅に到着。残っているパンを食べようかと思ったが、水補給だけにして、しばらく休憩する。
15:27 北広島駅を出発する。
ここから「エルフィンロード(自転車道)」に入るが、最初の緩い上り坂が全然上れない。疲れもあるだろうが、それよりどちらかというとハンガーノックのような気がする。やっぱり、さっきの休憩でパンを食べておけばよかった。
15:42 跨線橋を下りた最初の休憩スペースでパンを食い、また少し休憩する。その後、しばらくして上り坂でも走れるようになる。
夕方、無事に「ぐるっと日高山脈一周キャンプ旅」のゴール(自宅)に到着。
== 旅の費用 ==
飲食代 :¥345
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合計 :¥345
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