8日目 2020年8月27日(木) -
今日も天気は晴れ。天気予報を確認すると、土曜日の雨は午後からのようだ。朝早く出発すれば、雨に当たらず午前中に帰れるかもしれない。
いつものようにフライシートとグランドシートが濡れているので、テーブルに広げて乾かそうと思う。このためにテーブルの近くにテントを張ったのだが、一番近くのテーブルは木々の影で日が当たっていない。
なるべく早く乾かしたいので、その次にテントに近く、比較的日が当たっている空きのテーブルに、まずはグランドシートを干しておく。
洗濯物を干した自転車も日の当たる場所に移動させる。
隣りのソロのおじさんも、テーブルの横にテントを張っているので、自分と同じようにテーブルの上でテントを乾かしている。こちらより断然日当たりがいいので、早く乾きそうだ。
もう一つのテントにいる30代くらいのソロの男性は、自分とおじさんが撤収作業でガサガサしているにもかかわらず、テントから一向に出てこない。一度、いびきが聞こえたのでまだ寝ているのだろう。
炊事場横にテントを張った年配の夫婦連れの姿も全く見えない。
7:30頃、隣りのソロのおじさんが一番最初に車でキャンプ場を出発していく。車はキャンプ場の裏手にある駐車場に止めてあった。
サイトの奥側にテントを張るなら、手前の駐車場よりこっちに止めた方がサイトにかなり近くなるので、便利そうだ。駐車場には運搬用のリヤカーも置いてある。
自転車だと、手前の駐車場からすんなり押して入ってきたほうがいい。サイトの奥にあるこの駐車場は、ビジターセンターまで上ってから回ってこないといけないので、かなり遠くなるし、無駄に上らされる。
おじさんが使っていたテーブルが空いたので、フライシートを乾かすために使わせてもらう。
今日も予定通り、8時までに撤収を完了する。
8:07 2番手でキャンプ場を出発。
国道336号線の海岸線まで出ると、青空が広がっていて、かなり天気がいいが、なぜか様似の街と周辺の海にだけガスが掛かっている。そのため、エンルム岬や親子岩のほうは全然見えない。
キャンプ場を出発して、まず最初の目的地はゴミ箱のあるところ。「アポイ山麓ファミリーパーク」のキャンプ場では、ゴミは持ち帰りだ。
一応、昨日2度も通った道なので、様似の街の手前にセイコーマートがあるのを確認していた。そこを目指す。
セイコーマートに到着し、店内にゴミ箱があることを確認する。もう店の外にゴミ箱を置いているコンビニは皆無だし、初日のローソンのように、コロナの影響で店内のゴミ箱も撤去しているところがあったりする。
昼食用のパンを買って、ゴミを捨て、店を出発。
様似の街まで来ると、ガスっている感じは全然ない。もう霧は晴れたようだ。
「親子岩ふれ愛ビーチキャンプ場」に行ってみる。昨日は夕方まで誰もいなかったが、果たしてキャンパーはいるだろうか。
キャンプ場に着くと、2グループと思しきテントが張ってある。昨日自分が去った後に来たのだろうが、やはりキャンプする人はもう少ないようだ。
国道336号線に復帰し、西様似から浦河へ走っていると、車道の外側線上に突起があったり、路肩もガタガタだったりと走りづらい。
浦河に入り、跨線橋を渡る。上から日高線がどうなっているか見てみる。線路は草ボウボウになっているかと思ったが、意外とキレイだ。列車が走っていれば、車窓からの景色もかなり良さそうだが…。
9:12 日高幌別に入る。昨日のあのおじさんは、「親子岩ふれ愛ビーチ」から自転車を押してここまで歩いたと思うが、歩くとなると結構な距離だ。
この辺りに「浦河情報ステーション」というライダーハウスがあるはずと思い、ツーリングマップルを確認する。国道235号線に入ったあたりにあるようだ。
右から国道236号線が合流し、国道235号線に入る。途端にトラックがガッツリ多くなり、さらに走りづらくなる。
景色をみる余裕もあまりなくなり、後続車や路肩の凸凹など道路状況を見てばかりの全く面白くない走行になる。
「浦河情報ステーション」というライダーハウスも結局わからなかった。この頃から天気もあまりよくなくなってくる。
東町を過ぎて跨線橋を渡る。ここからも日高線の線路を見てみようと思ったが、広めの歩道と柵のため、車道からは全然見えない。
ただ、跨線橋のピークを越えると、目の前に太平洋がバーンと現れる。
9:33 浦河の中心街に入る。なんとなく、画一化された街並みだ。道内ではこういう街並みを見かけることがままある。美瑛とか松前もそんな感じだった。
ツーリングマップルによると「大黒座」という老舗の映画館があるようなので、通りすがりにキョロキョロ見回して探してみるが、ここも結局どこにあるのかわからなかった。あまり真剣には探していないが…。
そして港が見える「みなと公園」の横に来るが、船はあまり見えない。
9:43 浦河駅に到着。といっても正確にいえば、駅横の国道沿いに着いただけだ。
駅が街外れにあるのも意外だが、それより駅舎があまりに小さくてビックリ。日高支庁(振興局)の所在地にある駅とは思えない。しかも、かなりのお古でいい感じに年季が入っている。
浦河はそれなりに大きい街かと思ってたが、駅を含めて想像よりかなり違っていて、小さいという印象だ。国道235号線しか通っていないためかもしれないが…。
その後は小さな集落やアップダウンがあったりする海岸線が続くが、淡々と道路状況を見ながら走るだけになる。
10:41「道の駅 みついし」に到着。
この奥にクソ高い「三石海浜公園キャンプ場」があるのかと思いつつ、駐車場の入口近くに止まって、この先の立ち寄りどころを地図で確認する。
その時、後ろから来たライダーが手を振って追い抜いていくので、こちらも振り返す。
道の駅の向かい側には大きな牧場が広がっていて、いよいよ馬産地に来たなと感じる。
立ち寄りたいところは当分ないので、とりあえず東静内のセイコーマートあたりを目指して出発する。
11:05 日高三石駅前に到着。駅前のセイコーマートに寄り、アイスでも買って休憩しようと思う。「ガラナバー」があれば、間違いなく買うのだが、果たしてここには売っているだろか?
というのも、旅に出てから、度々セイコーマートに寄り、寄る度に「ガラナバー」を探しているのだが、今のところ、どこにも売っていない。
そして、結局ここにも「ガラナバー」は売っていない。「販売中止になったのか?」と思いつつ、今回はあずきアイスを買う。
店の駐車場横のブロック塀に座りアイスを食べながら休憩してると、道路の向かいに代行バスが止まっていて、その先に日高三石駅が見える。
てっきりここは、東静内のセイコーマートと思っていたが、まだ三石だったことにようやく気づく。
店を出発。三石の街を抜けると海岸線の快走路になるが、この頃になると曇天になり、あまり景色はよくない。
そんな中で、自転車を止めて写真を撮っているとき、一度ライダーに手を振られる。ここ数日、手を振られる機会が急に増えたような感じがする。本州行きのフェリーが出ている苫小牧に近くなってきたからかも知れない。
12:00 国道脇に「優駿浪漫街道 情報サイトスペースin新ひだか」という目立つ黄色い看板と、ログハウス風のプレハブ小屋を見つける。
観光案内所のような名前だが、ここはツーリングマップルにも載っている無料のライダーハウスだ。
ここやさっきの「浦河情報ステーション」もそうだが、そもそも北海道には変わった名前のライダーハウスや徒歩宿が多い。「渡り鳥哲也」とか「あしたの城」とか…。
バイクやチャリ、車も止まっていないので、誰もいなさそうだ。せっかくなので、水補給がてら中を見学してみる。
5,6人ほど雑魚寝できそうなカーペット敷きのスペースがあり、フローリング部分には小さな流し台とテーブルも置いてある。水道はあるが、調理器具はないので、自炊したい人は道具を持参する必要がある。窓からは海が見える。
トイレは外にあり、しかもドアはなく開放状態なので、キレイではないし、水洗でもないだろう。外にはベンチとテーブルが置いてあるので、そこで食事したり、休憩したりもできそうだ。
ライダーハウスを出発すると、すぐに「ドライブインあさり浜」。ライダーハウスの直近にあるので、ここで飯を食ってライダーハウスに泊まるのが一番手頃かもしれない。
しばらくして、東静内の街に入る。
住宅地の中を走っていると「対空射撃場 射撃中」という大きな注意標識がある。
「こんな住宅地に射撃場?」
と思いながら進むと、すぐに「対空射撃場 射撃音注意」とさっきとは少し違った文言の注意標識が現れる。
国道横の塀の向こうには建物が立っていている。自衛隊の静内駐屯地のようだが、こんな住宅地に近く 、国道のすぐ横に対空射撃場があるとは思わなかった。
静内駐屯地を通過すると、道の両側は牧場に変わる。三石あたりから牧場が増え出し、馬をちらほら見かけるようになっている。
この辺では馬の姿は見えないが、海側も牧場なので眺望が開けて見晴らしがいい。もう少し天気がよければもっといいのだが…
跨線橋を渡る。下を見ると、草がボウボウ生えていて日高線の線路がよく見えない。様似と浦河の境にあった跨線橋からみた線路はここまで酷くなかったが、何年も放置すればこうなるのだろう。
跨線橋を超えた少し先で、対向車線側(山側)の牧場に、2頭の馬がいるのに気づく。スピードを落として馬を見てみると、馬もこちらをジッと見ている。木の陰で見えなくなると、馬は見えるところまで出てくる。
そんな行動をするので、道路を渡り、牧場の柵の前まで行くと、すぐさまその2頭の馬が寄ってきて柵から顔を出す。何かもらえると思っているのだろう。
「何もないよ」と言い、写真を何枚か撮らせてもらう。
しばらくすると、馬も何ももらえないとわかったようで、こちらに興味を失い、横を向いて草を食み始める。
静内の市街地に入る手前で「真歌公園→」の案内標識が目に入る。真歌公園には「シャクシャイン像」があり、そこに立ち寄るつもりで来ているが、その前に昼飯を食いたいのと、その後の予定を考えたいので、一旦通過して静内の街に向かう。
右の道は結構な勾配の坂道なので、公園は丘の上にあるようだ。
12:47 静内川の大きな河口にかかる長い静内橋を渡り、静内の街に入る。かなり大きな街で、浦河よりはるかにデカい。日高で一番大きい街かもしれない。
GoogleMapでスーパーを探すと、マックスバリュがあるので、そこに行こうと思ったが、その近くにイオンがあるので、そっちに向かう。
イオンを見るのは滝川以来だ。店で昼飯のパンとコーラを買い、ベンチがありそうなところはないかと辺りを見回す。すると、店の北側のほうに公園っぽいようなところがあるのでそっちへ行ってみる。
最初の交差点近くまで来ると、右手に東屋のようなものが見える。「あそこで食えそうかな?」と思い、行ってみる。
と、そこは東屋ではあるが、なんと普通の道路の歩道上にある。最初見た時は、てっきり公園の中かと思ったが、違った。バス停でもない。
道路の向こう側が「山手公園」のようだが、東屋の横には水路があるのでここも公園の一部のような感じもする。
ともかく休憩するには十分すぎる場所なので、ここで昼飯を食いながら、このあとの行程を考えることにする。
まずシャクシャイン像のある真歌公園に行く。そのあと「二十間道路」に行き、そこから山側の道道71号線で新冠に入って、道道209号線で新冠市街に戻りたいところだ。
時間的に行けるか計算してみる。ここから「二十間道路」までは約9kmなので、そこを経由して新冠までは25km弱。山道を考慮して2時間と少しぐらいだろう。
今の時刻が13:30前なので、真歌公園にも十分いける時間だ。予定通りの行程で走ることにする。
13:29 東屋を出発。もう一度、イオンによってゴミを捨て、補給用のパンを買っておく。
元来た道を戻り、真歌公園への分岐までやって来る。国道から分岐に入ると、なかなか手強い坂道でキツいところは10%ぐらいあるだろう。汗だくになるが、無理せずゆっくり上れば膝には問題ない。ただ、思っていた以上に時間がかかる。
左にカーブし、勾配が緩くなったところで、「ライディングヒルズ静内」の案内板に「←真歌公園」とある。左には、下りの急坂が待ち受けている。
「随分、無駄なアップダウンをさせるなぁ。帰りもかよ…」
と思いながら、左折して急坂を下りる。
坂を下りきり、案内板に従って右折し、駐車場のほうに入る。すると、左手の道の奥にバイクが止まっているのでそっちに行く。
14:08 真歌公園に到着。
バイクが止まっているところには車止めがあり、その先にちょうど「アイヌ民族資料館」の建物が見える。自転車を止めていると、ライダーがすぐにどこからか戻ってきてバイクで出発していく。
自分はまず「シャクシャイン像」を目指すが、入口から公園のほうをみると、それらしい像が見えている。
それらしい像のところまで行くと、やはりそれは「シャクシャイン像」で、隣に「イレンカの塔」というのも建っているので、一緒に写真を撮っておく。
「シャクシャイン像」や資料館以外に、公園内にはこれといって見て回るものはなさそうだったが、高台にあるのだから、どこかに展望台ようなものぐらいあるだろうと思い、周辺を探索する。
すると、左の海側に別の塔があるので、そっちへ行ってみる。その塔は「ユカルの塔」というようで、「イレンカの塔」よりデカイ。
あとで調べると「イレンカ」とは理想とか希望の意味で、「ユカル」とは叙事詩の総称のことで「ユーカラ」と呼ばれていることが多いそうだ。そういえば「ユーカラ」という言葉は、小学校の頃に授業などで何度も聞いたことがある。
ちなみに「シャクシャイン」とは、確か江戸時代、松前藩に蜂起したアイヌの首長の名前という事は知っている。ただ「シャクシャイン」が、この静内(シブチャリ)の首長だったことは知らず、あとで知る。それで「シャクシャイン像」があるようだ。
「ユカルの塔」の海側に、小さい橋があるのでそっちへ行ってみると、その先に展望台らしいものが見える。さらに奥へ行ってみる。
すると、そこはやはり展望台で、上ると静内の街が一望できる。もちろん海岸線も見えるし、一旦曇っていた空も少し前から晴れ始めたこともあり、なかなかいい景色だ。
あとで調べると、ここは「真歌山展望台」というところだったが、途中に案内板もないので、結構穴場かもしれない。
公園内に戻る。「シャクシャイン記念館」は休館、「アイヌ民族資料館」は開館しているが、見ている時間がなくなったがのでパスする。
自転車まで戻ろうとしていると、公園の隣にある土手の向こうからしきりに人の声が聞こえる。
「なんだ?」
と思い、土手を上がってみる。
すると、そこは「ライディングヒルズ静内」という乗馬クラブのコースで、1人の方がちょうどレッスンを受けているところだった。
自転車まで戻り、次に向かう「二十間道路」への道順を確認する。ここから行くには、一旦、元来た道を国道まで戻ったほうが良さそうだ。
14:34 真歌公園を出発。戻りも無駄なアップダウンをさせられることになる。
三たび静内橋を渡った後、住宅街を通り抜けて道道71号線に向かう。道道71号線に出ると、ジャージを着た学校帰りの地元学生が多くなり、逆走して来る自転車にも出くわす。
住宅街を抜けると、道の両側に牧場が広がってくる。目印にしていた道道71号線沿いにある2軒目のセイコーマートからしばらく走ると、「←桜並木」の案内標識が現れる。
「二十間道路」は、北海道では一番、桜並木で有名なところ。なので、こういう案内板になっているのだろう。
すぐ先の交差点には「二十間道路 桜並木」という大きな案内板もあるので、そのことを知らない人でもわかるだろう。左折する。
前方から新冠との町境にある低い山というか丘がだんだん迫ってくる。右にカーブして、ついに上り始める。「二十間道路」は、名前の通り、幅の広い道路であるはずなので、てっきり平地にあるものと思っていた。どうやら、丘の上にあるようだ。
この上り坂あたりから、フロントギアがアウターに入らなくなる。昨日あたりから、そんな症状が少し出ていたが、ここで全然というぐらい入らなくなり、ちょっと頭にくる。
何年か前の「島根の旅」を思い出す。調整すれば直るはずだが、あの時のように時間がかかりそうなので、インナーだけで頑張って走り、時折アウターに入るか確かめてみる。が、アウターに入る気配は全然ない。
15:17「二十間道路桜並木」の入口に到着。
入口にある説明板に「二十間道路」ができた経緯が書いてあるので読んでみる。この道路は、この先にある新冠牧場が宮内庁の管轄であった明治時代、皇族方が視察するために整備された道路らしい。
そのことより、「明治初期、開拓使長官だった黒田清隆が静内を訪れた時、野生馬が群れをなしていたから、このあたりに大規模な牧場を区画した」とあり、
「へぇー、そうだったんだ」
と、そのことを初めて知り、納得する。
てっきり、日高は冷涼で作物が育ちにくいので、牧場にしたのかと思っていたが、そうではなかった。馬にとっては、元々住み良いところのようだ。
「二十間道路」に突入する。が、平坦な道になったにもかかわらず、いかんせんフロントギアがアウターに入らないのでスピードを出せない。そのことばかり気になり、周りの風景も目にはいってこない。
「いかん、いかん」と思い、気を取り直して写真を撮りながら進む。路肩は狭いが、交通量も少ない。
桜はもちろん咲いていないが、両側に桜の木がずぅーっと並ぶ一直線道路が続く。一直線道路は、北海道では特に珍しいものではないが、これで桜が咲いていたら、スゴイ眺めになるだろう。
道道71号線に到着。ここが新冠牧場(まだ新冠ではないが)の入口のようだ。「二十間道路」はまだこの先も続いているが、もうこのへんでいいだろう。
道道71号線へ左折し、新冠に向かう。
しばらくすると、左にカーブしながら上り始める。上り坂の途中からは、眼下に牧場が広がり、所々に草を食む馬も見えて、如何にも日高らしい景色が広がっている。写真を撮るが、電線がちょっと邪魔だ。
想像通り、上り坂のピークが町境で、新冠に入ると下り坂になる。完全な山道で、熊出没の注意看板もある。通りすがりに看板をチラ見しただけなのでよく覚えていないが、6月か7月?に出たらしい。特に気にせず坂を下る。
坂を下り切り、突き当たりの丁字路を左折して、道道1026号線に入る。このあたりに来ると、再び周囲に牧場が広がってくる。
そして、道道209号線に出て左折すると、間もなく右手に「優駿メモリアルパーク」の大きな看板が見えてくる。
16:16「優駿メモリアルパーク」に到着。広い駐車場には1台の車もなく、人気もない。
「あれっ?」
と思い、「優駿記念館」の入口まで行くと、開館時間は16時までだった。ちょっと閉館が早い感じはするけど、競馬には興味がないので、「まぁ、別にいいか」と思う。入口の前には「オグリキャップ」などの馬の記念像があるので、適当に写真を撮っておく。
そんなとき1台の車が駐車場に入ってきた。この人も閉館していることを知らずに来たのかと思ったが、自販機前で止まり、飲み物を買ってすぐに去っていった。
16:19「優駿メモリアルパーク」を出発。
走り始めてすぐに「4」と書かれた案内標識を見つける。一瞬何かと思ったが、その下に「サラブレッド銀座4丁目」という標識があるので、「4丁目」の「4」のことらしい。
ちなみに、この道道209号線には競走馬の牧場が連なっているので「サラブレッド銀座」と呼ばれている。
「銀座ねぇ〜」
いかにも昭和っぽい名付けだなーと思いつつ、多分、このまま進めば「サラブレッド銀座1丁目」まで行き着くのだろうと想像する。
西日を浴びながら、道道209号線を走る。「サラブレッド銀座」の名の通り、道の両側はずっと放牧場が続き、馬が放たれている。ほとんどの馬は草を食んでいるが、自転車で走っている姿が物珍しいのか自分のほうをジッと見ている馬もいて、結構遠くから見ている馬もいる。
西日に照らされた緑の牧場と放牧された馬がいる牧歌的風景が続く。落ち着くというか、和むというか、なんとも言い表せない気持ちにさせてくれる。のんびり、ゆっくり走ることにする。
16:44「サラブレッド銀座駐車公園」に到着。
公園は高台にあるので、展望台からすぐ隣にある牧場を見下ろせるが、近くに馬は全くいない。かなり遠く離れた牧場に馬がいるが、木々の影になり、数頭しか見えない。ここの展望台は眺めがいいが、角度的にその木々だけ、ちょっと邪魔なように思う。
道路を挟んだ向かい側には「泥火山」があるが、案内板がなければ、絶対に「火山」だとは思わない。単なる小高い芝生の丘にしか見えない。
その「泥火山」の斜面にも馬が放牧されていて、放牧場になっている。
16:48「サラブレッド銀座駐車公園」を出発。その出口に「1」と「サラブレッド銀座1丁目」の標識を見つける。やはり予想通りだった。
すぐに国道235号線に出る。新冠市街はここで左折だが、まずは「判官館森林公園キャンプ場」へ向かうため、右折する。
ゆるい上り坂で交通量も多く、嫌な感じだ。というのも、キャンプ場にテントを張った後、逆方向の新冠市街にある温泉と買い物に行こうと思っているので、キャンプ場に戻る時はこの坂を上ることになり、温泉の後にまた汗をかきそうだからだ。
しかもこのへんは民家がないので街灯もなく、日が落ちれば真っ暗で、危険そうだ。
そう思うものの、とりあえずキャンプ場に向かう。大きく左カーブし、今度は下っていくと、橋の工事中で少し迂回させられる。
その直後、「←判官館森林公園」の大きな案内標識が目に入る。「ここがキャンプ場の入口だな」と思い、左を見るが、その道はかなりの勾配の急坂で、山の中へ続いている。
ある程度想像はしていたが、ここまでの急坂とは思わなかった。ここを上るとなると完全に汗をかいてしまう。
しかも入口には熊出没注意の看板があり、「一人で山に入らないように」などと書かれたかなり目立つ注意看板が3枚も連続して並んでいる。
「えっ、こんなところにキャンプ場あんの?、この道で正しいの?」
と思い始める。
「←判官館森林公園」の大きな案内標識は、その急坂のある道の手前ではなく、ちょっと先にあるので、ひょっとしたら、案内標識の先に道があるのかもしれないと思う。
国道に戻り、もう少し先の左手を確認してみるが、他に道はない。
この道しかなさそうなので、急坂を上っていき、今度はGoogleMapで道を確認する。間違いなさそうだ。
さすがに疲れて膝も痛むし、上る気力もなくなったので自転車を押していく。
そして、しばらく歩くと左前方に何か施設が見えくる。が、そこはテニスコートだった。
「こんな山ん中に…」
さらに上ると、ようやく前方が開けてくる。
17:04「判官館森林公園キャンプ場」の入口に到着。国道から歩いて9分ほどかかった。
キャンプ場の入口に着くと、ちょうど管理人さんらしい人が帰るためか、車に乗り込もうとしているところだ。時計をみると17時を少し過ぎている。
すると、管理人さんに声をかけられる。
管理人さん:「泊まりますか?泊まるのでしたら受付のところにサインして600円を入れておいてください」
自分 :「あのー、向こう側(キャンプ場の南東側)から(新冠の)街のほうに抜けられる道はないんですか?」
管理人さん:「ないですね。出入口はここ1箇所しかないです」
それを聞いて「まいったなぁ」と思い、考えていると、
管理人さん:「どうかした?」
自分 :「いや、まだ飯も用意していないので、これから街まで自転車で行くにも歩いていくにもだいぶ時間がかかるなぁーと思って。どうしようかなーと」
こんな急坂なら自転車で温泉に行ってもまた汗だくになるし、歩いて行くとなると相当時間がかかる。真っ暗になるし、熊が出そうだし…
管理人さん:「街まで行くのなら、よかったら車に乗せてってあげますよー」
親切にもそう言われたが、帰りは歩きになるので、行きが車でも温泉に行って買い物して帰ろうと思うと、それでも相当時間がかかるだろう。
自分:「ありがとうございます。温泉にも行きたいし、他にもちょっと考えたいことがあるので、車のほうは結構です」
管理人さん:「そうですか。わかりました」
そう言って管理人さんの車は出て行くが、出口ではなく、反対方向に行ってしまう。
さて、この後どうするか考える。思い浮かんだのは以下の4つ。
1つ目は、予定通り温泉と買い物してここに戻ってくる。
2つ目は、今から新冠の宿を探して泊まる。
3つ目は、風呂なしで買い物だけしてここに戻ってくる。
4つ目は、風呂も買い物もなしでここに泊まる。
決める前に、温泉の場所をちゃんと確認していないので、調べてみる。温泉は「新冠温泉レ・コードの湯」を考えていたが、街からキャンプ場と反対方向の山間にあるので、ここからは結構距離があり、多分山道だろう。
そうなると、この時間から温泉に行くには厳しい。2つ目の「宿を探して泊まる」のも面倒だし、お金がかかる。
結局、風呂は諦めて買い物だけしてキャンプ場に戻って来ることにする。行きが車で帰りが歩きより、往復自転車で行ったほうが全然早いだろう。
しばらくすると管理人さんの車が戻ってきた。キャンプ場を見回ってきたのだろう。
管理人さん:「どこから来たの?」
自分 :「○○」
管理人さん:「どこを回ってきたの?」
自分 :「○○から赤平、富良野、狩勝を通って十勝、えりも、そしてここに来て、あとは○○に帰るだけ」
管理人さん:「○○に帰るならバスが早いね」
自分 :「それ言っちゃうと、ずっと車で回ればいいということになりますよ」
管理人さん:「そうだね」
自分 :「今日泊まっている人はいるんですか?」
管理人さん:「いるよー。3, 4組いる。車中泊の人もいるし、テント泊の人もいる。ほとんど道外の人ばっかりだったよ」
自分 :「ヒグマは出るの?」
管理人さん:「もう出ないよ。あれは6月だったし、もう大丈夫だ」
自分 :「ありがとうございます。泊まらせてもらいます」
管理人さん:「テントはどこでも自由に張っていいよ」
そう言い、管理人さんは車に乗って、今度こそ国道のほうへ下りていった。
ここの公園は周りを国道と街、海で囲まれているので、夜中に国道を横切らないかぎり、熊は入ってこない地形だ。他のキャンパーもいるようなので大丈夫だろう。
17:14 キャンプ場を出発、急いで自転車で新冠の街に向かう。日没まで時間がないので、最初のコンビニで買い物をしよう。
新冠橋を渡り市街地に入っていくと、前方にセブンイレブンの看板を見えて来る。
「よし、あそこにしよう」
と思うが、その向かい側にセイコーマートの看板があるのに気づく。
「やっぱりセイコーマートにしよう」
セイコーマートで、晩飯の弁当とガラナを買う。
外に出ると来る時は急いでいたので周りをよく見ていなかったが、店の隣に「道の駅 サラブレッドロード新冠」がある。
道の駅には、確か「レ・コード館」があるはずで、旅前は立ち寄るつもりでいたが、もう17時を過ぎているので閉館しているだろう。
それより、暗くなる前に早くキャンプ場に戻りたいとしか思わなくなっているので、「レ・コード館」は、もうどうでもよくなっている。次回に持ち越し。
17:51 キャンプ場に戻る。なんとか日没前に着いた。暗くなる前にテントを張りたいので受付は後にする。
駐車場のあるキャンプ場の入口からテントサイトまでは、またしても急坂があり、ここも自転車を押して上る。
サイトに着くと、番号がつけられた区画に分けられている。
「んっ、ひょっとして受付順(早いもの順)に区画が割り当てられているのか?」
そう思い、確認のため、急いで管理棟に行ってみる。
そこには、名前や住所を記入する受付票のようなものは置かれているが、サイトの区画を選んで記入するような項目はない。
そういえば管理人さんと話している時、「テントはどこでも自由に張っていい」と言っていたことを思い出す。
受付票を記入し、管理棟の入口にある新聞入れのようなところに、利用料600円を入れる。
サイトに戻り、空いている区画にテント張る。区画内は芝生ではなく、この旅初の砂地だ。芝生のように霧や朝露で濡れることはないが、砂でテントが汚れそうだ。
テントサイトにはすでに見えているだけで6張りほどあり、自転車の人も2人いる。1人は「アポイ山麓ファミリーパーク」にいた人のようにも感じるが、定かではない。
テントを張り終えて、まずバーベキューハウスにある炊事場で頭と顔、腕を洗い、上半身をタオルで拭く。
上半身裸になって体を拭いているとおじさんが入って来る。
「すいません、着替えてました…」
と言い、謝る。
もう洗濯する必要はないので、テントに戻り晩飯を食う。スマホを充電するが、できるのはあと1回だろう。ギリギリだ。市販されている乾電池で充電できないのが痛い。何か手を考えないといけない。
天気予報を確認すると、明後日の土曜日は11時ぐらいから雨になっているが、朝も降水確率が40%なので、降っていてもおかしくない。
明日は晴れなので、膝の調子がよければ、一気に自宅まで帰ろうと思う。そうなると走行距離は140kmぐらいになるが、途中からは走ったことのある平坦な道だし、最終日となれば、体力を使い果たしてもいいので無理はできる。
予定では鵡川から厚真経由で追分のキャンプ場に行くつもりだったが、もう少し距離が短くなるコースがないか考える。
早来か遠浅経由で千歳に出ることも考えるが、あまり道の選択肢がなく、少し遠回りで山越になりそうな感じがする。
とりあえず、予定通り追分に向かうことにする。
そんなことなどテントで考えている時、ふとトイレの場所を確認していないことに気づく。
「南側の段の下にある炊事場のほうかな?」
そう思って寝る前にトイレに行く。外に出るとガスっていて、ほぼ真っ暗。あたりを見回すと、思っていたのと逆方向のテントの右後ろにボーっと薄暗い明かりが見える。
「あそこか?」
と思い、ライトを持ってそっちに向かうと、立派な水洗トイレがあった。トイレの中にはアルコールの消毒液まで置いてある。さすがにトイレに消毒液が置いてあるキャンプ場はこれが初めてだ。悪臭が出る靴の中も消毒しておく。
テントに戻り、今日も21時には寝袋に入り寝る。
== 旅の費用 ============
キャンプ場(判官館森林公園)代:¥600
飲食代 :¥1,286
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
合計 :¥1,886
====================
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