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'22 南東北 晴れ待ち標高1000m越えツーリング⑯ 遠刈田〜仙台空港〜

2022年 自転車旅 東北

最終日 2022年5月30日(月)

朝起きて今日の予定を考える。このまま空港に直行するには時間がありすぎる。飛行機は仙台18:45発なので早くても17:00に空港に着けばいいだろう。空港までは35kmほどなので3時間もあれば十分着ける。10:00に宿を出発しても13:00には着いてしまう。

一応、空港に行く前に日帰り温泉にでも行こうと前々から考えていて、数日前から空港に一番近い日帰り温泉を調べていた。

2010年の「三陸の自転車旅」では名取市内の日帰り温泉に行ったが、そこよりも空港に近い岩沼駅近くにある「亀塚温泉」というところを見つけたのでそこに行こうと思う。温泉に寄ったとしても、せいぜい2時間もあれば十分だろう。

他にツーリングマップルで立ち寄れる場所を探す。最初に目に止まったのが亘理町の阿武隈川近くにある「阿武隈山地北端 阿武隈の山並みここに尽きる」という記述。

「阿武隈の山並みを見るにはここに尽きる」とのことなので、「かなり綺麗なのか?」と思ってしまう(のちに意味を履き違えていたことに気づく)。とりあえず候補として考えておく。

他には村田町にある「スポーツランドSUGO」。そういえば、”SUGO”というサーキット場があったことを思い出しホームページを見てみるが、子供がカートで遊べる場所ということなのでパス。

「なかなかいいところがないなぁ」と思っていたところ、角田市にあるJAXAが目に入る。「H2Aのエンジン等を展示」と書いてあるので、「ここがよさそう」と思い、早速ホームページを見てみる。

一般の人でも無料で見学できるようだが、事前の予約が必要のこと。当日の直前でも予約できるのかわからない。予約の電話受付は9:30~で、今はまだ時間外。どうしようかちょっと迷う。

他に特に行きたいところはないし、仙台市内まで行くつもりもない。

とりあえず、今日は曇り空で少し肌寒いしので出発を10:00ぐらいにして、9:30になったらJAXAに電話して聞いてみようと思う。ここからJAXAまでは10km弱ぐらいなので1時間ぐらいで着ける。見学するとしたら11:00ぐらいなるだろう。

それまでにゆっくりと出発の準備をする。

9:30 JAXAに電話する。

自分   :「見学したいのですが、何日前までに連絡すればいいのですか?」

JAXAの方:「事前に予約の電話をいただければ当日でも可能です」

自分   :「では、今日見学したいですが」

JAXAの方:「何時頃でしょうか?」

自分   :「11:00頃になります」

続けて、名前と電話番号、見学する人数を聞かれて答える。

JAXAの方:「今、インターネットをご覧になれますか?」

自分   :「見れます」

JAXAの方:「ホームページにある見学予約のフォームにご記入をお願いします」

自分   :「はい。わかりました」

JAXAの方:「入口の守衛で予約していることをお伝えください」

電話を切り、見学予約のフォームを記入。これで見学はOK。すぐに荷物をまとめる。

仙南

9:51 宿を出発。

外は曇りで、まだちょっと寒いぐらいだ。狭い県道12号線を東へ向かう。ツーリングマップルではおすすめルートになっているが、自転車だとおすすめルートとは決していえない。

昨日買い物に来たセブンイレブンの先も、狭い道が続いていてあまり走りたくない。迂回路がないかとGPSの地図を確認すると、山側や松川を渡った対岸に道はある。

が、県道115号線に出るには遠回りだし、ひょっとしたら迂回路がダート道という可能性もある。時間に余裕があるなら行ってもいいのだが、11:00にJAXAに行かないといけないので、このまま県道12号線を我慢して走る。

なんとか蔵王町の中心部に到着。右にカーブしてその先の分岐で県道115号線に入る。交通量が減ってホッと一息つく。

東北道の高架下をくぐると山道に入る。ツーリングマップルを見ると道が少しうねっていたので山道だろうとは予想していた。「ちょっと11時にJAXAに着くのは厳しいかも」と思いながら坂を上る。勾配はキツイところで7,8%ぐらいだろう。

そこを乗り越えると下り坂に入る。しばらく走ると田んぼが広がってきて、その先に街が見えてくる。あれが大河原の街だろう。ここにきて天気も良くなり青空が広がってくる。

大河原の街に入る前にこの先の道を確かめる。国道4号線を越えてそのまま直進し県道50号線に入り、そのあと県道14号線へ右折する。GoogleMapでJAXAの入口を探すがよくわからない。とりあえず、近くに行けば案内板が出てくると思うので県道14号線に向かう。

10:44 国道4号線を越える。

県道110号線、県道50号線をたどり、県道14号線の交差点に出る。信号待ちの間、JAXAの案内板を探すが見当たらない。もう一度GoogleMapでJAXAの入口を確認する。するとここから県道14号線を結構南の方まで行って回り込まないといけないことがわかる。

再び上り坂。地図を見るとJAXAの施設は白石川から少し内陸の、市街地から離れた郊外にあるので丘の上だろうとは想像していた。なので、ここの上り坂もある程度想定済み。勾配はせいぜい5%ぐらいだ。

ただ、11:00に着くのはいよいよ厳しくなってきた。短いトンネル(歩道あり)を抜けて走っていくと遥か前方に青い案内標識が見える。多分、あそこの交差点で左折だろう。

案の定、そこの交差点に着くと「⬅︎宇宙航空研究開発機構」の案内板がある。それに従い左折する。

11:08 JAXA角田宇宙センターの入口に到着。

右側のゲートに「展示室」という案内板が出ているのでそちらにいる守衛さんのところにいく。

自分  :「見学に来ました。予約しています」

ところが、

守衛さん:「予約していますか?」

自分  :「えっ、しています」

ところが、またよく聞こえなかったのか、

守衛さん:「予約していますか?」

自分  :「しています」

ところが、

守衛さん:「予約していないなら見学できないよ」

と少し怪訝気味にぶっきらぼうにいう。

自分  :「し・て・い・ま・す」

と、こちらも少し荒げ気味に大きな声で答える。

これでようやく予約していることが伝わる。マスクで聞こえにくいのか、それとも耳が遠いのかよくわからない。

その後も名前や住所などを聞くので、今度は少し大きな声で答えるようにする。ところが住所を聞かれた時に「北海道」と答えるが、これもよく聞き取れないのか、2度も聞き直してようやく通じる。「北海道」とは思いもしなかったのかもしれない。自転車で来てるし…。

聞き取った住所や名前などをメモ書きしているが、決まったフォーマット用紙ではなく無地の紙に書いてだけで、それ以上何をどうするわけでもなくなんだかおぼつかない。

車両の入構証を渡され、「これを自転車のカゴにつけて、入って左側にある駐車場に停めてください」と言われる。

ようやく入ることが許された。事前に予約の電話を入れて、ウェブサイトの予約フォームで住所や名前を入力したにもかかわらず、その情報は守衛さんまで全く伝わっておらず二度手間になった。しかも守衛さんの態度もいいとは言えないし、スムーズな手続きとは言い難かった。

中に入って指示通り左に曲がると駐車場が見えてくる。駐輪場はないので、駐車場にある街灯に自転車を立てかけて停める。

見学場所の建屋の入口には職員と思われる方が二人いて何か話をしている。

自分が近づくと、女性の方が「ようこそ、こんにちは」と言うのでこちらも「こんにちは」と挨拶する。建屋右手の屋外にも展示物があるが、そこは後回しにして中に入る。

案内する人や説明員などはいないので、一人で気楽に見て回れる。

JAXA角田宇宙センター 宇宙開発展示室
JAXA角田宇宙センター 宇宙開発展示室

中に入ると正面にパンフレットが置いてあるのでJAXA関連のものを1枚いただく。

その右に日本で発射されたロケットの模型が並んでいる。他のパネルや展示物も見ていく。

その先には種子島宇宙センターの「H-ⅡAロケット打上げ射場」の模型がある。ここも前から見学に行きたいと思っていて、種子島の自転車旅もかなり前から計画しているが実現できていない。

種子島宇宙センターの「H-ⅡAロケット打上げ射場」の模型
種子島宇宙センターの「H-ⅡAロケット打上げ射場」の模型

展示の中にサンドイッチマンの写真も掲げられている。テレビの番組で来たらしい。地元だし。

右の「ZONE2 レクチャールーム」という部屋に入る。ビデオ上映がされている部屋で、入るとスクリーンに流すビデオを選択できる端末がある。それを見るとお題がどれもかなり専門的で難しそうだ。取り合えず、ここ角田宇宙センターの概要紹介のビデオから見る。

立って見ていると入口の方から声がしてくる。説明員付きの団体の見学者さんが来たみたいだ。

レクチャールームの前を通りがかる時に見るとその方々は4人(男性3、女性1)で一人は終始説明しているのでここの職員のような感じだ。スーツ姿だったので一般の見学者ではなく、仕事関連の人といった感じがする。レクチャールームに入ってこず、廊下の展示物の説明を受けながら、隣の部屋に入っていったみたいだ。

その後も何本かビデオを見て、先に行こうと思う。順番では4人が入っていったZONE3の部屋だが、先客は結構じっくり説明を受け見学しているので先にZONE4の部屋に行く。

ここは未来のロケットに関する展示で、未来の宇宙船「スペースプレーン」用のエンジンや大気圏突入を模擬した風洞試験のパネルなどがある。「スペースプレーン」は興味を引いた。”HOPE”という宇宙往還機の開発が進められたらしいが20年ほど前に中止になったとのこと。

あとはシミュレータやクイズなどの体験コーナーがある。

そして最後のZONE3に行くと、中はもうエンジンに関する展示でかなり専門的な感じ。角田宇宙センターはエンジンの開発をしているので展示はこれが中心のようだ。ざっと見るだけにする。自分はメーカーに勤めていた技術者だったが、ここの展示はよくわからない。一般の人が来ても全くわからないと思うし、全然興味も湧かないような気もする。

外に出る。12時を過ぎている。屋外に展示されているロケットやエンジン、燃料タンクを見て回る。

H-ⅡとH-ⅡAロケットの模型
H-ⅡとH-ⅡAロケットの模型

これで見学終了、自転車まで戻る。

次はツーリングマップルに書いてある「阿武隈の山並み ここに尽きる」というところに行く。そこまでのルートを縁石に座って考える。

国道や県道は避けて国道349号線の白幡橋近くまで進み、白幡橋を渡り国道4号線へ右折する。そのあと県道52号線へ右折して槻木大橋を渡ろうと思う。

門まで戻り、守衛さんに入構証を返却し、お礼を言う。

12:22 JAXA角田宇宙センター出発。

船岡駅方面に向かう。最初の信号交差点で、緑色のトレーニングウェアを着た若い人が目に付く。仙台大の学生のようだ。

県道114号線へ向かう。

県道114号線に出て左折、このまま県道50号線か国道4号線まで出た方が最短だと思うが、幹線道路はなるべく通りたくない。

時間は十分あるし、なるべく田舎道を行きたいので次の交差点で右折する。

地図を見ると、この先に跨線橋がある。ところが近くまでくると、跨線橋は今走っている道ではなく右前方の別な道の先にあることに気づく。慌てて止まりGPSの地図を拡大して道を確認する。

そこでようやく、手前の交差点で右折しなければならなかったことに気づく。いつもの縮尺でGPSの地図を見ていると道は真っ直ぐにしか見えなかった。

Uターンして、その道に入り跨線橋を渡る。

国道349号線までは行かず、途中で左折して住宅街や田園地帯の中の道をいく。田んぼの向こうに昨日通ってきた蔵王の山がうっすら見える。

田んぼの向こうに蔵王の山々
田んぼの向こうに蔵王の山々

国道349号線と県道50号線が合流する直前で、国道349号線に入る。

白幡橋を渡ったあと国道4号線へ右折するつもりなので、右側の歩道を走行する。が、白幡橋の手前で歩道は消える。

しょうがないので、少し戻って国道349号線と県道50号線が合流する交差点で左側の歩道に渡り、白幡橋を渡る.

白幡橋を渡ると再び歩道は消えてなくなる。車道に復帰して交通量の多い国道4号線の高架下の道を一気に抜ける。そして再度GoogleMapでルートを確認する。

予定では国道4号線に入り、県道28号線へ右折するつもりだったが、ツーリングマップルやGoogleMapを見ると、県道28号線は国道4号線の上を通過していて立体交差しているように見える。

国道4号線に進むと槻木大橋を渡れそうにないので、この道を直進して県道117号線に出てから県道28号線に入ろうと思う。

県道117号線に向けて出発。

工事中の横を通り過ぎて県道28号線に到着。

ところが槻木大橋へ向かう上り坂に歩道がない。「車道しかないのか?それとも側道から上がるのか?」と思い、それを確かめるため左の側道に入ってみる。するとその先に橋へ上がるスロープが見える。「あれだ」

階段とスロープがあるのでスロープで橋に上る。

橋の上で阿武隈川の写真を撮っていると橋が揺れる。大型車が通ると揺れる橋のようだ。たまにそういう橋に出くわすことがある。写真を撮りつつ少し急いで橋を渡る。あまり気持ちいいものではない。

橋を渡りきりかけたところで、阿武隈川の河川敷道路の入口に荷物を積んだバイクが停まっているのを発見する。ライダーも乗っている。GPSの地図にはその河川敷道路も表示されていて、その道を東へ進んでいくと「阿武隈の山並み ここに尽きる」のあたりに出られる。

ライダーならツーリングマップルを見ているだろうから「ひょっとしてあの人も『阿武隈の山並み ここに尽きる』のところに行こうとしているのではないか?」と思ったりする。

橋を渡りきり、県道52号線へ左折する。ちょうどその時、さっきのバイクが自分のいる県道52号線に出てきて、どこかに走り去っていく。

そして自分は河川敷道路に入っていく。入口に車止めがあるが自転車は入れる。「車は侵入禁止なのでさっきのバイクは入らなかったのかな?」と思ったりする。

河川敷道路を走っていく。とてつもなく景色がいいところではなく、河川敷から見えるごく普通の川と山並みの風景だ。

で、ふと気づく。「ここに尽きる」というのは、「阿武隈の山並みを見るならここに尽きる」という意味ではなく、「阿武隈の山並みがここで終わる」という意味だ。普通に読めば後者だと思うが、なぜか自分は前者だと思い込んでいた。バカだねぇ。

13:17「阿武隈の山並み ここに尽きる」と書いてある辺りに到着。

確かに対岸の山並みはここで終わっている。

阿武隈の山並み ここに尽きる
阿武隈の山並み ここに尽きる

このあとは岩沼の日帰り温泉に行こうと思う。GPSの地図をみると、河川敷道路はこの先で無くなっていて、県道52号線につながる道も書いていない。ここでUターンした方がいいと思うが、とりあえず時間もあるので行けるところまで行ってみることにする。

GPSの地図で道路がなくなっているところまで来ると、前方に森が見える。「やっぱり、森の前で道は終わりか」と思ったが、そのまま進むと狭いながら舗装路が森の中へ続いている。

森の中へ突入するが、すぐに抜けて前に建物が見えてくる。河川敷道路は先に続いているのでそのまま進む。

ただ、このままいけばJRにぶち当たり、今度こそ道はそこでも終わっているように見える。JRの下を潜れるようにも見えない。いよいよあそこで終わりだろう。「引き返すことになるかなぁ」と思い始める。

ところが前から女性が一人歩いてくる。向こうから来るということは、ここに通じる道があるということだろう。そこでGPSの地図を拡大して見てみると、JRにぶち当たる直前に道は右に折れ、その先の道に繋がっている。これはいけそうだ。

その女性と挨拶を交わし、道が右に折れるところまで来る。その道は草が生えたダート道なので、自転車をおりて下る。そして前方の道を車が右から左へ通っていくのが見える。下の道に繋がっているようだ。

小さな工場の建物までくると舗装路になる。そして車が通っていた道に出てくる。左折し、JRの高架下をくぐる。

このまま道なりに進むと国道6号線に出てしまうので住宅街の道へ左折する。その後は阿武隈橋で国道6号線に合流できるよう阿武隈川沿いの道を北上する。

周りが一気に開けて眺めが良くなる。

そして、規木大橋のようにこの道が「国道6号線と立体交差してなければいいが」と思いながら走っていく。

しばらく走ると右前方に青い案内標識らしきものが見える。そしてその標識には、

「⬆︎⑥ 仙台」

と書いてある。どうやら立体交差ではなく、このまま進めば国道6号線に合流できそうなのでちょっと安心する。

13:43 国道6号線に到着。

交通量が一気に増えたので、歩道を走ろうと思う。阿武隈橋の歩道は右側(海側)にあるので国道6号線を渡ってから左折する。

阿武隈橋は流石に規木大橋のように揺れることはない。

岩沼

橋を渡りきると、日帰り温泉のある岩沼市街地の方に左折したいのだが、すぐに渡れるところがない。車は左折できるが、歩行者はできないという車のことだけしか考えていない道だ。

国道4号線に入って2つ目の交差点でようやく横断歩道が出てきたので左折する。

横断歩道を渡ったところにドラッグストアがある。腹が減ったのでここでパンで買おうと思う。ドラッグストアなのでパンぐらいあるだろう。

13:52 ドラッグストア(クスリのアオキ)に到着。

パンを買って駐車場で食べる。

14:00 ドラッグストアを出発。

日帰り温泉に向かう。住宅街の道を走っていると「⬅︎日本三稲荷 竹駒神社」の案内標識が目に入る。時間もあることだし、せっかくなので寄ってみることにする。

左折すると前方に鳥居が見える。

14:04「竹駒神社 一之鳥居」前に到着。

自転車を止め、車が来ないところを見計らって一之鳥居の写真を撮る。

奥の本殿まで行こうと思うが、その前に自転車を止めるところを探す。神社の横の道路を進んでいくと右に広めの駐車場があるので、一番奥の脇に自転車を止める。

鳩が群れている境内に入る。訪れている人はちょこちょこいる。

随身門、向唐門を抜けて本殿を見て回る。古くてなかなか立派な神社だ。日本三大稲荷と言われることはある。

竹駒神社
竹駒神社

自転車まで戻る。

14:14「竹駒神社」駐車場を出発。

岩沼駅の前まで来る。日帰り温泉は確かこの辺だったと思い、GoogleMapで確かめる。もうちょい先だ。

踏切の前までくるが、それらしい建物は見当たらない。周りは住宅街で温泉があるようには見えない。もう一度GoogleMapで場所を確かめる。すると温泉はほんの少し先にある。

今いるところからはちょうど家の影になっていてちょっと見えていなかった。

14:21 亀塚温泉に到着。

外観からは温泉に見えない。そういう口コミを読んでいたのでそれは想定済み。入口に「亀塚温泉 本日わいています」との看板が出ているので間違いない。

亀塚温泉
亀塚温泉

右の方に駐輪場があるのでそこに自転車を停める。リュックをリアキャリアから外して荷物を全部持っていく。ロッカーに入るのか気になる。

隣が保育園らしく、子供たちの声が響き渡っている。中に入るが、受付らしいところがなく廊下を歩いていく。

廊下沿いにある大きな部屋には人がたくさんいて何かやっている。障害者施設のような感じがする。

さらに奥まで進み階段を上がると受付がある。料金440円也。温泉は右とのことで右に進むが、ジムやリラクゼーションルームのようなところがあるだけで、温泉が見当たらない。

「おかしいなぁ」と思い受付の方に少し戻ると、左に「殿方」と書かれた暖簾を見つける。受付の右斜め後ろにあるので目に入っていなかった。

中に入ると、一人二人いるだけだし、ロッカーもほとんど空いている。月曜日の昼間なので「そりゃそうだろう」と思う。

奥のロッカーを使う。パンパンのリュックはやはり入らないが、中身を出すと入る。どうせ着替えを出したり、洗濯物を入れたりするので中身を出す。

脱衣所で若い兄ちゃんとおじさんが話をしている。おじさんは毎日来ているとか、若い兄ちゃんは週5とか言っている。その若い兄ちゃんの喋り方や声はどこかで聞いたことがある。「誰だろう?」、多分やめた会社にいた人だろうと思う。

浴場に行く。引き戸の滑りが悪く、閉めづらい。

浴場はあまり広くはなく、内風呂と露天風呂が一つずつ。洗い場にいるのは6,7人ぐらいで空いている。

体を洗っていると外気が入ってきて寒くなる。振り返ると露天風呂のドアを開けっぱなしにしておじさんが風呂に入っている。「全く何考えてんだか」と思うが「それともここはそういうところ?」と思ったりする。よくわからん。隣りで洗っているおじさんはたまに何か独り言いったり、唸ったりしている。

とりあえず、体を洗って内風呂に入る。そしてさっきまで隣で洗っていたおじさんも内風呂に方にきて、聞いたことのない唸り声を上げながら湯船に浸かる。

露天風呂に何人か入っていくが、みんなドアを閉めない。「やっぱりここはそういうところか?」

少し温まって露天風呂にいく。自分もドアは開けっぱなしにしてみる。露天風呂といっても天井が空いているだけ周りは壁、外気が入るだけでほぼ内風呂と変わりはなし。

内風呂より狭く4人も入ればいっぱいだろう。他には一人しか入っておらず、最初に露天風呂のドアを開け放ったおじいさんは岩に座り込んでずっと涼んでいる。が、そのうち出ていく。

しばらく露天風呂で温まったり、冷ましたりして過ごす。中に戻り、体を洗い流して温泉を出る。

自分のロッカーの前になぜか靴が置いてある。「なんだこれ?」内履きのようなのでジムとか行っていた人のものかと思う。このあたりのロッカーは自分以外は鍵が付いているので使っている人はいないように思う。とにかく「こんなところに置かないで自分のロッカーに入れろよなぁー」と思う。

服を着ていると、風呂から出てきたおじいさんがやってきて「ごめんなさい」と言ってその靴も持っていく。まあいい。

そのおじいさんのロッカーは自分のロッカーの近くのようなので、荷物をリュックに詰めるのは休憩室でやることにしてとっとと脱衣所を出る。

なかなか地元のおじさん方が自由奔放に過ごせる温泉だった。

休憩室に行く。畳敷とテーブル席があるが、テーブル席は併設されて食堂用な感じもするので畳敷に上がる。テーブルが3つあって、一つはその横で寝ている人がいて、もう一つではノートパソコンを見ている男性と女性が何やら話をしている。

自分は残ったテーブルの横に座る。時間をみると15時過ぎでほぼ予定通り。あとはここで16時ぐらいまで時間を潰そうと思う。

まずは荷物をリュックに詰め直す。その後は、スマホで仙台空港までのルートを考えたり、新千歳からのバスを調べたり、ニュースを読んだりする。

ノートパソコンの男性と女性はしばらくして奥のジムの方にいく。ここの施設で働いている人かもしれない。

隣の食堂のカウンターでは客のおじいさんが女性店員さんを相手に楽しくおしゃべりをしている。

テーブルの横で寝ていた人はいつの間にはいなくなっていた。代わりに年配の女性三人組が現れる。そのうちの一人は庭にある足湯に入ろうとしている。「温泉に入って今度は足湯か」と、自分は温泉でもう十分という感じなので、足湯に入る気は全然ない。

だいぶ経ってから小さい子供を2人連れた女性が現れる。年配の女性一人が小さな子供に話しかける。まぁよくある光景だ。子供もまた足湯に入りたがっている。

隣の食堂にいたおじいさんも帰っていく。

16時近くになり、そろそろ出発しようと思う。その前にトイレに行こと思うが、トイレの表示がわかりにくくてちょっと探す。

休憩室の前の廊下では地元の野菜なんかが売っている。

16:06 亀塚温泉を出発。

国道4号線の方に出ようと住宅街の道を東へ突き進むも、いきなり行き止まり。温泉まで一旦戻り、県道25号線で国道4号線に向かう。

国道4号線を横切り、住宅街へ入る。仙台東部道路の高架下をくぐりたいが、事前に調べていた道はダート。しょうがないので一旦、国道4号線方面に少し戻って北上する。

仙台東部道路の高架下をくぐる少し大きめの道をGPSの地図で探す。すると前方に行けそうな道がある。しかも車が2台続けてその道へ右折していく。

「あそこだといけそうだな」

GoogleMapで確認すると、その道は仙台空港に向かう県道20号線にも通じているのでちょうどいい。

その道へ右折する。仙台東部道路の高架下をくぐると一面、田んぼが広がっている。

突き当たりで左折する。

そして県道20号線に出て右折する。空港に通じている道なので、流石にトラックなどの大型車が多い。空港周辺の道路は近くに貨物や運送業者の倉庫が多いので、どこもこんな感じだ。

そんな道なので歩道を走行したいところだが、路面が凸凹なので車道を行く。2車線あるし、空港方面に向かうトラックは多いが交通量は比較的少ない。

県道20号線を東へ突っ走る。この辺も地震の時は津波が押し寄せたのだろうと思う。

仙台空港

大きく左へカーブすると仙台空港のターミナルが見えてくる。仙台空港に来るのはこれで3回目。前に来たのは2010年の三陸の自転車旅でかなり久しぶりだ。ターミナルも見覚えがある。

16:51 仙台空港に到着。

仙台空港だが、ここは仙台市内ではなく名取市と岩沼市に跨っている。

止まっているタクシーは2,3台で利用客もあまり見かけず、閑散としている。一番近い入口のそばに自転車を止める。できるだけ搭乗口に近いところで自転車を折り畳みたいので、ターミナルの中に入り搭乗口を確認しにいく。

国内線の搭乗口は2つ目の入口から入ったすぐのエスカレータの先にあるようなので、2つ目の入口近くで自転車を折り畳むことにする。

タクシーや通り過ぎる人の視線はほとんどない。

自転車を折り畳みターミナルに入ろうとするが、マスクをしていないことに気づき、一旦戻る。

リュックから新しい不織布マスクを取り出す。自転車旅でしていた布マスクは洗濯しながら使ってきたが少し汚れてきているし、屋内に入るので新しい不織布マスクに変える。

2階へ上がり、ピーチのカウンターに行く。

スタッフさん:「行く先はどちらでしょうか?」

自分    :「新千歳です」

スタッフさん:「新千歳の搭乗手続きは15分からですので、少しお待ちいただけますでしょうか」

自分    :「わかりました。あと15分ですね」

スタッフさん:「いえ、17時15分からです。あと2,3分ほどです」

自分    :「わかりました」

一旦カウンターから離れる。

輪行バッグをカウンターから少し離れた邪魔にならないところに置いて、捨てていなかった空のペットボトルを捨てに行く。トイレの前にゴミ箱があったのでそこに捨て、トイレで用も済ませる。

2010年とターミナルは変わっていないはずだが、中はあまり記憶がない。3階にレストラン街がある。あの時もここに来たのは旅の最後だったので、最後の晩餐と称してどこかの店に入ったはず。今日は入るつもりはないが、見覚えのあるところはないかレストラン街に上がってみる。

3階に上がると中央に半円形にソファが並んでいて滑走路を眺められるようになっている。そこに3人組のおじさんが座っていている。そのうちの一人が缶ビールを飲んでいる、ように見えたが缶コーヒーだった。

レストラン街やお店は全然記憶がない。

搭乗手続きは始まっている時間だが、出発まではまだ1時間半もある。ここで少し時間を潰そうかと思い、おじさんたちからちょっと離れたところで座る。

ここのソファに背もたれがないので他へ移ろうかなぁと思っていたら、ふと「輪行バッグをあそこに置きっぱなしにしていたら不審物に間違われるな」と思い立つ。

そして早めに搭乗手続きや手荷物検査をして中でゆっくり待つことにしようと思い、立ち上がって2階の搭乗手続きカウンターへ向かう。

カウンターで予約便のQRコードか予約番号を教えてほしいと言われ、スマホでピーチのアプリを開くがネットに繋がらない。「なんで全然繋がらないんだ?」と思っていたら、今は平日の17時過ぎであることに気づく。しかも格安SIMだ。

「格安SIMなんでこの時間はなかなか繋がんないんです…」とスタッフさんに話して待ってもらう。

数十秒ほど経って、スタッフさんが「難しいでしょうか。難しいようでしたお名前を教えてください」と言ったところでようやくネットに繋がった。スマホのQRコードを見せる。

席は指定しなかったが前方窓側になり、搭乗手続きは完了。

「お手数ですが、預ける手荷物を検査をしますのでANAの5番カウンターまでお進みください」と言われる。

今回も行きと同じく輪行バッグだけ預けるつもり。

で、輪行バッグを持ってANAの手荷物預かりカウンターへ。そこにはお馴染みのスーツケースなどを通す手荷物の検査装置がある。これは何度も経験済みだが、輪行バッグは引っ掛かってギリギリ通らない。たまに角度を変えて1,2回通ったことはある。

検査装置に通す前に「コチラに書かれているものは中に入っていませんか?」と手荷物検査場によく貼ってある持ち込み禁止物のポスターを指して聞く。「工具が入っています」と答えると、「こちらは大丈夫です」と言われる。

行きで工具を預けるのを忘れていたので、今回は同じヘマをしないようにキッチリ輪行バッグの中に入れておいた。

今回も輪行バッグを検査装置に何度か通そうとしているが結局通らず。後ろにいる他の客もつかえてくる。

案の定、いつものように検査員による目視検査になる。

検査員さん:「申し訳ありません。目視で検査しますので、中を開けてもらってもいいですか」

と本当に申し訳なさそうにいう。自分はいつものことなので、

自分   :「全然いいですよ~」

検査員さん:「いつものことなんですかね」

とまだかなりコチラを気遣って話すので、多分自分がかなり不機嫌そうに見えたのだろうと思う。別にそういうわけではないが、そういう顔なので…。検査員さんがそんな感じだったので、

自分   :「あ~、そうですね。いつものことなので慣れていますよ」

とちょっと笑顔で話しながら、輪行バッグを開ける。

検査員さん:「ボンベやスプレー缶などはないですか?」

自分   :「ないです」

検査員さん:「タイヤの空気は抜いていますか?」

自分   :「抜いています」

と答える。中に入れているものは工具や外したペダルであることも説明する。

以上で問題なし。

いつもならこれでカウンターまで持っていくことになるはずだが、検査員さんがあとはコチラでやりますというので、お任せする。

で、すぐに保安検査場へ行く。リュックも問題なく検査場を通過する。検査場もガラガラでほとんど人はいない。なんでこんなにいないのかと思う。

2番搭乗口に行き、あとはひたすら出発まで待つ。その間、新千歳からのバスの時間を確認する。新千歳空港到着は20:00で、バスは21:35とメモってある。1本前にバスはないか調べると20:25。輪行バッグを受けとる時間を考えるとギリギリ。到着が遅れるとアウトだろう。

アナウンスによると、LCCにしては珍しく遅れはないようだ。男性アナウンスの声が若干小さく、聞き取りづらい。

搭乗時間になり、飛行機に乗り込む。3席-3席のシートで、自分の隣2席は空いている。

18:48 仙台空港を離陸。

飛び立つ直後は仙台空港が見えたが、あとは雲の上。

仙台空港
仙台空港

19:40ぐらいに着陸する予定とのアナウンス。ちょっと早く着くようなので、20:25のバスに間に合うかもしれない。千歳の気温は11℃のことで、ちょっと寒そうだ。

鵡川、厚真あたりが見えてきて、栗山あたりで左へ大きく旋回、新千歳空港の北側から着陸する。

新千歳空港

19:50 新千歳空港に着陸。

到着予定時刻の10分前に着陸したので、時間通りだろうと思う。ところが着陸してからが長い。

GPSを見ていたが、国内線ターミナルビルに向かわず、国際線の方に向かっていく。「どこいくんだ?やっぱりLCCだから遠いところに回されるんだろうな」と思う。

今は国際線の便が発着していないので「国際線のターミナルに回されるのか?」と思い、スマホで国際線のバス乗り場と時間を調べておく。バスは20:31発になっている。

19:59 ようやく飛行機が止まる。

国際線ターミナルのボーディングブリッジは見えない。代わりに政府専用機が見えているので自衛隊基地近くまで回されている。

機内アナウンスで、ここからはバスで国内線ターミナルまで移動するとのこと。人はすぐに移動できても荷物はすぐに来ないので、「これはもう20:25のバスはアウトだろう」と諦めムードになる。「1時間待ちか…まぁしょうがない」

前方席に座っていたので、すぐに降りてバスに乗る。外は寒い。

国内線ターミナルに到着し、すぐに手荷物受取所へいく。時間は20時を過ぎた。すぐに荷物は出てこないので今のうちにトイレへ行っておく。

荷物待ちの人はかなり少なく10人ぐらい。

新千歳空港からバスに乗ったことがあまりないので、どの辺にバス乗り場があるのか確認したいが、外の方を見てもここからはわからない。

意外に早くターンテーブルが回り始める。これは意外に早く受け取れるのではないかと期待する。

いつものように、輪行バッグはターンテーブル近くの扉に係員さんが持ってくるのでその近くで待つ。ただ、ターンテーブルに出てくる荷物は少なく、LCCなのでひょっとしたらターンテーブルから出てくるのではないかと思ったりする。

ターンテーブルの荷物はなくなり、荷物待ちの人もいなくなり自分一人になる。

少ししてその扉が開き、外の係員さんが輪行バッグを持ってきて地上係員さんに渡している。扉の前にいる地上係員さんは大体女性で、10kg以上ある輪行バッグを女性が持つには重いのですぐに取りにいく。

20:15 輪行バッグを受け取る。

まだ全然間に合う。輪行バッグに貼ってあるシールやタグを外すのは後にして急いで到着ロビーから外に出る。

外に出ると、目の前がバス乗り場で1台バスが止まっている。行き先が違う。

バスの前に10人ほどの列ができているので、その行き先を見ると自分の乗るバスなので並ぶ。バスはまだ来ていない。

バスが到着し、トランクに輪行バッグを載せバスに乗り込む。乗客は20人以上は乗っただろうか。コロナ禍ではあるが、念の為、隣の席は荷物をおかずに空けておく。

斜め前の席に座った若いにいちゃんはスーツケースとバッグをバスの中に持ち込んで隣の席を占拠している。コロナ禍で隣の席は誰も座ってこないと思っているのだろうか。せめてスーツケースぐらいはトランクに入れたらと思う。

20:25 定刻通り、新千歳空港ANA到着口を出発。

次はJAL到着口。ここも5,6人乗ってくる。隣の席には乗ってこなかった。

次は国際線到着口。国際線は運行していないので誰もいないはず。一応止まるが、誰も乗りこんでこない。しばらく止まっていたが、時間調整だろう。

千歳ICから道央道に載る。

外は寒いのでレインウェアの上だけ着て降りようと思う。乗客には半袖の人もいる。東京や大阪方面から来たのだろうか。それと、バスを降りてからスーパーで買い物して帰ろうと思う。

レインウェアの上だけ着る。

21:31 自宅の最寄りのバス停に到着。

降りるとき運転手さんに「トランクの荷物を下ろします」と伝える。

自分含めて二人降りる。トランクから輪行バッグを下ろす。

自転車を組み立てる。風があり、やっぱり寒い。レインウェアを着て正解だった。

仙台空港で預ける前にタイヤの空気を少し抜いていたので、リアタイヤの方がちょっと抜けている感じ。空気を入れるのは面倒臭いのでなんとかこれで走り抜こうと思う。

スーパーで買い物をする。

22:08 無事に帰宅。

=== 旅の費用 ========
入浴料(亀塚温泉)   :¥440
飲食代         :¥95
飛行機代(仙台~新千歳):¥14,990
バス代(新千歳空港~) :¥1,100
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合計         :¥16,625
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走行時間:3h14m22s 走行距離:51.43km
平均速度:15.8km/h 最高速度:41.1km/h

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