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'22 南東北 晴れ待ち標高1000m越えツーリング⑨ 裏磐梯

2022年 自転車旅 東北

8日目 2022年5月23日(月)

夜中に雨の音で目が覚める。結構強い雨が降っているようだ。

朝起きても雨は降っている。本降りのようだ。

天気予報は今日も雨だが、明日は晴れ。明日は標高1,404メートルの白布(しらぶ)峠を越えて山形県に入ろうと思う。

そして明日の宿は昨日、当たりをつけていた上山温泉にある「ホテル菊屋」しようと思う。「じゃらん」で予約しようと思うが、山形県の県民割「やまがた春旅キャンペーン」プランを利用する場合は、

「必ず予約前にご連絡ください。連絡がない場合は無効となります」

と宿のページに書いてある。なので電話で県民割を使う旨の連絡をしてから「じゃらん」で「ホテル菊屋」を予約する。

予約した後も、山形市内や蔵王の宿も調べて明日以降の宿のあてを作っておく。

9:50 雨装備で部屋を出る。受付に行くと食堂のストーブが付いている。確かにちょっと寒い。

鍵を返してから宿のご主人と1時間ほど色々と話し込む。雨が降っていてまだ外に出たくなかったので全然問題なし。むしろ旅で出会った人と色々話しができてよかった。

「これからどこへ行くのか?」という定番の質問から始まる。

この辺に熊は出るか聞いてみると、結構出るようでご主人が犬と散歩していると熊の姿は見えないが犬が吠えて反応することがあったという。地元の人はそれなりに熊を目撃しているのでいちいち警察に連絡したりはしないとのこと。確かにそれは北海道でもそうだと思う。

桧原湖はボートが多いのでバス釣りかなにかで有名なのか聞いてみると、そうだという。

関東方面からだと近いので観光にくる人が多そうというと、一番人気があるのは断然、那須だそうだ。

カヌーの話もする。白老や足寄からカヌーやパドルの注文が来ているとのこと。北海道にはカヌーを造っているところがないからではないかと言っていた。

あと、ご主人がここに来るまでの経緯なんかも少し聞いた。

話しをしていると、窓に日が差してきたりする。一瞬、「晴れた?」と思ったりするが、一時的でまたすぐに曇る。今日はこんな天気なんだろう。

最後にご主人から名刺をいただく。

11:02 宿のご主人と愛犬に見送られて出発。雨は何とか上がっている。

まずは「中瀬沼展望台」に行く。パンフレットに「『中瀬沼展望台』は裏磐梯を代表するビュースポット」と書いてあるのを見つけたので行ってみたくなった。その前にセブンイレブンに行ってゴミを捨ててくる。

県道2号線をしばらく北上していくと、自転車を押している人が2人、その前に自転車に乗っている人が1人見えてくる。3人とも年配の方だ。自転車は多分レンタサイクルだろう。

中瀬沼探勝路

そして、そのすぐ先に「中瀬沼探勝路」の案内板と駐車場のようなものが見える。

11:18「中瀬沼探勝路」の入口に到着。

案内板の裏に自転車を止める。さっきの3人はそのまま先へ行ってしまった。

ちょっと熊が出そうな雰囲気。宿のご主人も散歩コースとして熊避けの鈴を持っていつも歩いていると言っていたので、自分も鈴を鳴らしながら中へ入っていく。

するとしばらくして向こうから男性が一人歩いてくる。鈴は持っていない。

さらに5分ほど歩くと上り坂が始まる。坂を上っていき「そろそろ、あの先に展望台がありそう」と思いながら歩いていくと予想通り、展望台が見えてくる。左手には沼も見えてくる。あれが中瀬沼だろう。

11:28「中瀬沼探勝路展望台」に到着。

誰もいない。展望台からは少しだけ雲がかかっている磐梯山が見える。この天気なので全然見えなくてもしょうがないと思っていたのでラッキーだった。かろうじて直前に雲がとれたような気もする。

森の中に中瀬沼も見える。というより中瀬沼の中に木々が生えているような感じだ。

天気が悪くてもこの景色なので、天気が良ければ絶景だろう。

中瀬沼と磐梯山
中瀬沼と磐梯山

自転車まで戻ろうと思う。来た道を引き返そうと思っていたが、雨も降っていないので、「中瀬沼探勝路」をぐるっと一周しようと思う。

レンゲ沼探勝路」のところで、4,5人のおばさま方グループとすれ違う。

11:45「中瀬沼探勝路」の入口に戻る。

道路を挟んだ向かい側にある「休暇村裏磐梯キャンプ場」にも探勝路があるようだが、天気がまだ持ちそうな感じがするので、そこは後回しにして思い切って「中津川峡谷」に行ってみようと思う。

11:49「中瀬沼探勝路」の入口を出発。

裏磐梯レークライン

国道459号線まで戻り、県道70号線の裏磐梯レークラインに入る。交通量は皆無、中津川峡谷までは8km、上り坂が始まる。中津川峡谷に行くには涼風峠を越えないといけないので上り坂が続くのは想定済み。左に小野川湖が見えてくる。

小野川湖
小野川湖

しばらく走ると「上り10%」と「涼風峠 P 100m先」の標識が出てくる。

「えっ、もう峠?」

確かにその先にはパーキングはあるが、道はまだまだこの先も上ってる。どうみても峠には見えない。

「パーキングの名前が涼風峠パーキングというだけで峠はまだ先じゃねぇのか?」

と思う。

その後もどんどん上っていく。

12:29「三湖パラダイス」に到着、展望所のようだ。

展望所から方向的に小野川湖が見えるはずだが、草木に阻まれてほとんど何も見えない。辛うじて葉っぱの隙間からちょっとだけ湖っぽいものが見える気がする程度。

三湖パラダイス
三湖パラダイス

そこから少し上ったところでようやく右手に秋元湖が見える。

「三湖パラダイス」の三湖は多分、小野川湖、桧原湖、秋元湖のことだろう。でも秋元湖以外は見えない。

そこから更に上ったところで、ようやくピークのようなところに到達する。

「ここが涼風峠か?」

標識や案内板もないのでよくわからない。

ピークにあるパーキングでワゴン車(熊谷ナンバーだったかな?)が1台止まっている。フロントガラスに銀色の日除けがされていて車の中は見えない。こんなところで寝ているのだろうか。

レークラインに入ったところにあった「中津川渓谷8km」の標識からここまで4kmちょっと走っているので、帰りは少しだけ下り坂の方が長くなりそうだ。

ピーク付近を過ぎると「下り10%」の標識があるので、間違いなくピークは越えただろう。と思っていたら、その下り坂が終わるとまた上りがある。一体どこが涼風峠なんだろうと思う。

後で調べると涼風峠は、涼風峠パーキングのところだった。

その坂を上り切るちょっと前で、右に秋元湖がまた見えてくる。秋元湖は「三湖パラダイス」を過ぎてからちょこちょこ見えていたが、ここが一番よく見えるように思う。

秋元湖
秋元湖

その後は下り坂が続く。道の両側には森が続き、木々で覆われているような道のせいか、路面が濡れているところが多い。ブレーキをかけると後輪が少し横滑りするし急カーブもあるので、後輪をロックさせないようポンピングブレーキのようにしてゆっくり坂を下る。

そして「⬆︎0.5km 中津川渓谷入口」の案内標識が出てきて、中津川橋を渡る。川の流れる音は聞こえるが川は見えない。

「⬅︎0.1km 中津川渓谷入口」の案内標識があるので、その先で左折する。

12:49「中津川渓谷レストハウス」に到着。

広い駐車場には車が二台しかいないし、そのうちの一台はちょうど駐車場から出ていくところだ。まぁ、この天気なのでこんなもんだろうと思う。

雨がポツポツ降ってきたので、屋根のあるトイレの前に自転車を止める。そしてトイレに行っとく。

中津川渓谷に向かう前に雨雲レーダーを確認するが、なんと電波がほとんど入らず確認できない。雨が気になるが渓谷に行くことにする。

12:53 中津川渓谷の遊歩道に入る。

入口前には「ここから熊よけの鈴を携行し注意してお進み下さい」との注意看板が出ている。「そりゃもちろん持っていますよ」と心の中で呟く。

多分、この先はもう誰もいないはず。ちょっと怖い気もするが、渓谷までは300mと書いてあるのでそんなに時間はかからないと思い、突入する。

最初、少し上るがその後はずっと階段を下りていく。濡れているのでかなり滑りやすい。

中津川橋と中津川渓谷の分岐に出るが、まずは渓谷の方へ下りていく。

「熊」と大きく書いてある看板、近づくと出没注意と小さく書いてある。

階段は長くて、傾斜が急になり段差も大きくなっていく。川の流れる音もだんだん大きくなってくる。

熊避けの鈴を盛大に鳴らしながら歩いているが、川の流れる音が大きすぎてあまり周りに響いていないような気がする。なので周囲をキョロキョロ見回し、熊に警戒しながら階段を下りていく。

地面も滑りやすく、段差が大きいのでちょっと歩きづらくなってくる。

もうかなり下りているが、川が流れているところまで下りるんだろうと思いながら歩く。川の音がますます大きくなり、熊避け鈴の効果はなくなっている。

木々の間から川が見えてくる。

「どっかイイところまで下りて写真を撮ろう」と思う。

でも結局一番下の川のところまで下りる。大雨で川が増水すると水没してしまうようなところだ。

何枚か写真を撮って、とっとと退散する。

中津川渓谷
中津川渓谷

階段をドンドン上っていく。

中津川橋の分岐まで戻る。橋のほうに行こうと少し進むが、先の道が九十九折りに下っていて木々の間から橋も少し見えている。それを見てここを下りても単に橋に出るだけじゃないかと思う。別に橋の写真を撮っても道路しか写んないし、帰りに自転車でも通ると思い、途中で引き返す。

13:10 中津川渓谷の入口に戻る。やれやれ熊に出会わずよかった。

渓谷沿いの遊歩道を歩いている時は雨を感じなかったが、入口まで戻ると小雨が降っている。遊歩道では木や木々の葉っぱで雨が避けられたのだろう。

ちょっと腹が減ったので軽いものでも食べられないかと思い、レストハウスに入る。中には食堂がありメニューを見ると「かけそば¥600」がある。

「そばでも食べるか。県民割クーポンも使えるだろう」と思い、中に入る。

カウンターで「クーポンが使えますか?」と一応聞いてみる。が、「すみません。使えません」との返事。

クーポン使えないなら600円もするかけそばを食うのはやめ。適当に土産物を見てレストハウスを出る。

自転車まで戻り、出発の準備していると車が1台やってくる。3人が下りてきてトイレに入っていく。

そして出発しようとしていたところ、トイレから出てきた1人の年配の男性に声をかけられる。

男性:「どこから来たんですか?」

と定番の質問。

自分:「えっと、今日、どこから来たかってと言うことですか?」

男性:「そうです」

自分:「今日は裏磐梯の方からここまで来ただけです」

男性:「最初の出発はどこからですか?」

自分:「会津若松です」

男性:「あ~、会津若松の人ですか」

自分:「いえいえ違うんですけど…」

男性:「それではどちらから来たんですか?」

自分:「北海道から来ました」

と答えると、そこそこ驚かれる。そんなやり取りをしている途中に他の二人もトイレから出てきて会話に参加してくる。

男性:「北海道から自転車でずっと走っているんですか?」

自分:「いえいえ福島まで飛行機で来ているんです。県民割も使えるので」

男性:「自転車で北海道まで帰られるんですか?」

自分:「いえ山形まで行って、そこから仙台に抜けて飛行機で帰るつもりです。5月いっぱいぐらいで帰るつもりです。県民割も終わるし、梅雨入りしそうで天気も悪くなるでしょうし」

男性:「自転車はどうするんですか?」

自分:「これ折り畳み自転車なんで飛行機に載せられるんです」

ここまでの会話は今まで数えきれないくらいしてきた内容だった。そして、

男性:「仕事はどうしてるんですか?」

この手の質問は今までされたことがない。旅先で仕事や家庭など込み入ったことは普通は聞かないもの。そう思っていたが、昭和前半生まれ(多分)の年配の人には通用しないみたいだ。

自分より年配の人にしてみたら、いわゆる働き盛りのおじさん(自分)が5月下旬の平日に北海道から福島に来て自転車で旅行しているなんて考えられないことだろう。働いているのが常識という観念を持っているはず。それを踏まえつつ、

自分:「自営業で今は休みにして来ています。ゴールデンウィークはその分働いてました」

と適当に答えておく。

向こうは福島市内から来ているようで県民割を使って1泊2日の旅行だそうだ。

もう1人車に残っていた男性がこちらを見ている。

女性:「(自転車に)動力がついているんですか?」

自分:「いいえ人力しかないです。それにバッテリー付きだと多分飛行機に載せられないと思いますよ」

ちょうど出発しようと思い、屋根から外に出たところでいろいろ話しかけられたので雨を結構かぶった。途中で向こうの方がそれに気づいて屋根のほうに戻って話は続いた。最後に、

男性:「長話してすいませんね」

と言われるが、こういうのも旅の思い出にもなるし、時間つぶしになったし、自分としても全然よかった。4人はレストハウスの中に入っていく。

13:25「中津川渓谷レストハウス」を出発。

雨は小降り、来た道を淡々と戻っていく。

小降りだが雨は止みそうにない。この後、路面が濡れていてちょっと雨も強くなってくる。

坂を上っていると、後から追い抜いていく車の助手席からおばちゃんの何か叫んでいる声が聞こえた。中津川渓谷のレストハウスで話した人達の車だろう。手を振って答える。

ガシガシ上って行き、秋元湖が見えるところまで戻ってくる。往時に比べると山に雲か霧がかかっていて、だいぶ秋元湖が見えにくくなっている。

ピークを越えて下り坂に入る。ゆるい坂は普通にブレーキをかけても問題ないが、濡れた10%の急坂はスリップしそうでちょっと怖い。

国道459号線まで残り2kmぐらいのところで、雨が本降りに近いぐらいになる。前からバイクが2台やってくる。前のライダーがVサインを出してすれ違っていく。こちらも手を振って答える。北海道ではよくある光景だが、北海道以外でライダーとこういうやり取りをするのはあまり記憶がない。

14:06 国道459号線に戻る。

飯でも食おうと昨日行った「お食事処 水峰」に行くが、15時前だと言うのに店は閉まっている。店の前まで行くと「本日臨時休業」の看板が出ている。

「裏磐梯物産館」の方に行こうかと思ったが、剣ヶ峰の交差点を過ぎたところで少し考える。時間はまだ14時過ぎ、宿のチェックインは15時からなのでちょっと早い。けれど中に入れなくてもいいので、とりあえず手続きだけして県民割のクーポンだけもらっておこうかなと思う。で、宿に向かうことにする。

宿のある辺りまで来ると、予約した宿と同じような名前の「B&Bシャクナゲ」と言う看板のかなりオンボロな宿を見つける。

ドアを開けると真っ暗で人がいそうにない。「こんにちは」と言っても応答なし。「ホントにここなのか?」と思ったり、「時間が早いので人がいないだけかもな」と思ったりする。

人がいそうにないので、宿は後にして「裏磐梯物産館」の方に行って何か食べて休憩しようと思う。

国道459号線に戻り、西へ走る。

裏磐梯物産館

14:29「裏磐梯物産館」に到着。

駐車場にはそこそこ車が止まっている。こんな雨でも「五色沼自然探勝路」に行く人がいるようだ。

物産館に入り、食堂で「高原の駆けそばしお(中華そば)」を食う。660円也。ここはクーポンが使えて、残金もキャッシュレスで決済できる。

食べている最中、雨音がするので外を見るとまた完全な本降りになっている。

「ヤバい、自転車を移動しないと」

ここに来たときは雨はほとんど降っていなかったので自転車を屋根のないところに止めていた。ちょっと油断していた。

食べ終わり食器を戻して、外に出て自転車を物産館の屋根のあるところに移動させる。

そして中に戻り、休憩所でもう一休みする。そして明後日以降の予定を考える。

山形からは蔵王を越えて宮城に抜けようと思っているが、それを実行しようと思っている26日(木)から28日(土)あたりの天気が怪しい。27日(金)は雨でほぼ決定だろう。

蔵王では、蔵王温泉からロープウェイを登った先で軽くトレッキングしようと思っているし、蔵王エコーラインでは御釜の方にも行こうと思っている。なので、2日かけて蔵王を越えようと考えている。

天気がよくなければトレッキングしてもイイ景色は期待できそうにないので、晴れている日を狙って越えたいところだ。

1泊するのは蔵王温泉を考えているが、27日が雨となるともう1日長居しないといけない。

さてどうしたものかと悩む。蔵王温泉には行かず、26日(木)に一気に蔵王エコーラインを抜けることもちょっと考える。

そんなことを考えていると、雨が土砂降りになっている。さすがにここまで土砂降りになるとも思ってはいないし、長く雨が降るとも思っていなかった。ちょっと予想外。

慌てて雨雲レーダーを見る。旅前にダウンロードした雨雲レーダーアプリではこの周辺に雨雲はなさそう。でも「Yahoo! 天気」や気象庁のレーダーには雨雲があり、実際に雨が降っている。

それに新しくダウンロードしたアプリは、「Yahoo! 天気」や気象庁のレーダーより全体的に雨雲が少なめに表示されている気もする。なので、今後これはあまり使わないことにする。

それはいいとして、雨雲が西から東へ裏磐梯のほうに次々と線状に流れ込んでいて晴れ間が見えない。南北にちょっとズレれば雨雲はないので、ズレてくれればいいのにと思うが、そう思ってもどうしようもない。

しょうがないので、ちょうど雨雲の薄い部分を見計らって宿に向かおうと思う。距離はたいしたことないので10分ぐらいあればいけるだろう。

そして雨が弱くなったようなので外に出る。

と、その前に宿の場所をもう一度GoogleMapで確かめる。すると「しゃくなげ」という名の宿は2つもあって、1つはさっき行った「B&Bシャクナゲ」で、その裏手に「しゃくなげペンション」という宿がある。多分、名前的に裏手にある「しゃくなげペンション」が予約した宿だろうと思う。

宿の場所も確認できたので出発しようと思う。

ところが自転車を乗って走らせた途端、違和感。「あれっ」っと思い、前タイヤを見るとグンニャリしている。

「あーこれはもしかしてパンクかー」

と思い、タイヤを触るとガッツリ空気が抜けていておもいっきりパンクしている。がっかり。

物産館の方に戻って屋根のあるところでチューブを交換しようと思ったが、物産館の軒先では場所が狭いしちょっと目立つのでイヤな感じ。周りを見回しても他に屋根があって作業できそうな場所は見当たらない。

「めんどくせー、もう宿に行くだけなんだし、こうなったら歩いていけー」

15:44「裏磐梯物産館」を出発。

国道459号線を自転車を押して歩く。雨が強くならないことを祈る。

土砂降りにはならないが、雨は降り続く。しばらく歩くとレインウェアの下から垂れた雨水がいよいよ靴の中にも入ってきだして、イヤ~な感じになってくる。

しゃくなげペンション

16:11 何とか宿に到着。今日のお宿は「しゃくなげペンション」。

屋根があって自転車を止めらそうなところを探すと、宿の先に屋根付きの自転車置き場がある。多分、向かいの宿のものだと思うが、「しゃくなげペンション」の周りには屋根のあるところがないので一旦そこに避難する。

とりあえず宿にチェックインして県民割クーポンを貰い、荷物を置いて買い物と飯を食いに行こうと思う。その後、タイヤのチューブを交換しようと思う。

宿に入って声をかけても誰も出てこないので、入口にあるピンポンを鳴らす。女将さんが出てくる。

トイレや風呂の場所を聞き、そして部屋に案内してもらう。女将さんはそれだけして戻ろうとする。

自分:「料金はまだ払わなくていいのですか?」

女将さん:「ちょっとお待ちください」

と言われて奥の方に入っていく。戻ってくると明細書を持ってきて、

女将さん:「5,000円になります」

自分:「県民割で予約してるんですけど…」

女将さん:「あーそうですか。ちょっと確かめてみます」

と言って女将さんはまた奥に入っていく。そして戻ってきて、

女将さん:「北海道は対象なんですか?」

自分:「はい、そうですよ。STAYNAVIにも登録してますよ」

昨日まで泊まっていた宿と同様に、県民割で泊まる人の準備は全くしていない様子だ。そこから手続きに時間がかかる。QRコードを確認したり、受付番号を入力したりといろいろしている。結局ここでも前の宿ほどではないが20分ほど待たされる。

で、ようやく県民割適用後の料金を払い、クーポンを発行してもらう。

もう17時になっているので、近くの飯屋は閉まっている。なので、今日も晩飯はセブンイレブンで買うしかなくなった。

買い出しに出ると暗くなってしまうので、先にタイヤのチューブを交換しようと思う。

自転車置き場で作業を始めると、ボートを牽引した車が二台入ってきて目の前に止まる。ここの宿に泊まっている人なのか、それともここに住んでいる方なのかはよくわからない。

「こんにちは」と声をかけられたので、こちらも「こんにちは」と挨拶する。

と、その直後ぐらいからゲリラ豪雨のような雨になる。一応、屋根にあるところにいるものの、雫がはじけ飛んでくるし地面が水浸しになってくる。「まいったなぁ」

ボートを引いて戻ってきた人達は雨でずぶ濡れになりながらボートで何か作業をしている。

チューブの交換にかかる。チューブを出してホイールの方を確認すると、バルブを入れる穴の周辺のリムテープが少し剥がれて薄くなっているので、そこにリムテープを重ね貼りする。

次にタイヤを確認する。外側、内側に金属片などはないが、外側のゴムが少し剥がれて薄くなっているところが2ヶ所ある。ここも念のため、内側からパッチを貼っておいた方がよさそう。

ただ、雨が降って地面は水浸しだし、タイヤも濡れてしまったので作業しづらい。

なので、宿の玄関で作業しようと思う。他のお客さんはいないようなので迷惑にはならないだろう。

タイヤと修理道具一式を持って宿の玄関にいく。ゴムが剥がれている箇所の内側にチューブ用のパッチを貼る。

そして自転車置き場に戻り、タイヤに新品のチューブを入れて空気を入れる。が、何度やっても空気が入らない。

「おかしいなぁ、空気入れが壊れたかなぁ」と思い、パンクしたチューブに空気を入れてみると普通に入っていく。空気入れは壊れていない。

もう一度、チューブを交換したタイヤに空気を入れようとするがやはり入らない。

「これはひょっとしてバルブがおかしくなっているのではないか?」と思い、別の新しいチューブに再交換しようと思う。

再交換するチューブに空気が入ることを確認してからチューブを交換する。今度はしっかり空気が入っていく。チューブのバルブがおかしかったようだ。

自転車にタイヤをつける。やれやれ、時間がかかり過ぎた。

雨はすっかり弱くなっている。一旦部屋に戻り、荷物において買い物に出る。靴が雨で濡れて少しグジュグジュしている。これは乾かさないとマズイ。このまま履き続けると悪臭を放ってしまう。

今日もセブンイレブンで、食い物と靴を乾かすためのキッチンペーパーを買う。レジの女性店員さんは、もうこの3日間で3回ぐらい対応してもらったように思う。いつも同じレインウェアを着て、県民割クーポン使うので「またこの人か」と思われているかもしれない。まぁしょうがない。

宿へ戻り、買ってきたキッチンペーパーを靴の中に突っ込んで部屋の中で乾かす。部屋には床暖房が入っているので朝までには余裕で乾くだろう。

ちなみに部屋は6畳ほどのツインルーム、トイレとお風呂は共同。

あとはいつものように風呂に入り、洗濯をして、飯を食う。

明日は晴れの予報なので、いよいよ標高1,404mの白布峠を越えて山形県に入る。そして米沢と高畠に寄って上山温泉に泊まる予定。

明後日は山寺に行き、その後は山形市内を適当に周ろうと思うが、山形市内に泊まるかそれとも上山温泉に連泊するかかなり迷う。

明後日以降の蔵王超えの予定に合わせようと思っているが、蔵王エコーラインを一気に抜けていくのなら上山温泉がいい。

蔵王温泉経由で抜けるなら、山形市内でも上山温泉でもさほど距離は変わらないのでどちらでもいい。

どちらでも対応できる上山温泉のほうがいいような気がする。ただ雨に降られると、見学できる屋内施設がいろいろあって、雨を避けられるところも多そうな山形市内の方がよさそうにも思う。

結局、上山温泉に連泊することにして「じゃらん」でまた「ホテル菊屋」に予約を入れる。

寝る。

=== 旅の費用 =======================
宿泊費(しゃくなげペンション):¥2,500(県民割2,500円適用)
飲食代            :¥199(県民割クーポン2,000円使用)
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合計             :¥2,699
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走行時間:2h26m49s 走行距離:28.92km
平均速度:11.8km/h 最高速度:31.2km/h

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