'23 日本から一番遠い日本 小笠原⑩ 父島

2023年11月26日日曜日

2023年 関東 自転車旅

ゴールのジョンビーチまであと少し

9日目 2023421日(金)🌤25

父島2日目。今日は小港海岸まで自転車で走って、そこからジョンビーチまでトレッキングする。

天気は曇りでイマイチ。Tシャツ1枚だと寒そうなので長袖シャツを着る。

補給食と水、レインウェアを入れたトレッキング用のナップサックとパンク修理道具をリュックに入れ、着替えは宿に置いておく。

宿を出てリュックをリアキャリアに積んでいたら、居酒屋なぎ屋から「ごちそうさま」といって二人組の男性が出てきた。「朝からやってるんだなぁ」

そのうちの一人が「雨が降る天気だなー」と言っている。今日は曇りだが降水確率10%の予報。なので雨が降る心配はほとんどない。

そんなことを思っていたら財布がないことに気づく。「あっ、トイレだ」

直前にトイレに行ったので戻ってみると置いてあった。よかったよかった。たまにやらかす。

8:35 宿を出発。

小笠原生協の前を通ると営業している。「補給食をなんか買っていこう」

今はビスケットと煎餅しか持っていない。またビスケットを買う。店から外に出ると蒸し暑い。長袖シャツを脱いでTシャツになる。

都道240号線をまずは東へ。

二見港をぐるっと周って南へ進路が変わると上り始める。と、その途中、「この先 自転車・歩行者 通行禁止 警視庁」の案内板。

「えっ、通行禁止ってどういうことだ?」

とりあえず先に進むと前方にトンネルが現れる。「そういえばトンネルがあったな」

トンネルの手前にも案内板。「歩行者・自転車はトンネル内通行禁止。側道を通行ください」

「そういうことか」

そして右へ歩道が分岐していて、そこにも「この先トンネル内歩行者・自転車はトンネル内通行止め。歩道を利用して下さい」の案内板。

側道を進む。

側道を抜けて都道に復帰。そのあとも短めのトンネルを3つ通る。トンネル内の車道が超狭いのでそのまま歩道を走る。歩道も狭いが自転車1台は通れる幅はある。

3つ目のトンネルを抜けると眼下に海がドーンと現れる。高いところを走っているので海を見下ろす。エメラルドグリーンの湾が広がっていてメチャクチャ眺めがいい。天気が良ければもっといい景色だろう。

前から若い男性二人が歩いてくるので、すれ違ってから自転車を止めて写真を撮る。二人もガードレールに手をかけて海を眺めている。

あとで調べると、ここは鏡浦海岸というビーチだった。

鏡浦海岸
鏡浦海岸

ただ、ちょっと風が強い。「山の上や海岸はどうだろう?」とトレッキングのことが少し心配になる。

そこから少し下ったところの橋の上やパーキングからも眺めがいい。

9:16 扇浦海岸に到着。

ここも大きなビーチで、周辺にペンションやホテルが多い。ちょっと休憩。海岸に人はいない。

扇浦海岸
扇浦海岸

扇浦海岸を出発。すぐに小港と洲崎との分岐。

小港へ向かうため左折すると目の前に急坂が現る。ここまで「母島に比べたら全然平らだなぁー」と思っていた。「いよいよ父島もきたな」

母島ほどではないが、それでも10%の勾配はある。

ピークで案内板があり、小港は直進。下って行くと前方に狭いトンネル。交通量皆無なのでそのまま突入。

トンネルを抜けて下りきると、芝生やベンチのある公園のようなところを通る。

道幅が狭くなり、左に川が出てくる。

9:33 小港海岸の入口に到着。

ロータリーに小港海岸のバス停。東京都最南端バス停と書いてある。「そういえば母島にはバス停なかったな」

小港海岸の入口には母島にもあった「種子除去装置」が置いてある。靴の裏や服についた外来種やプラナリアという生き物を落とすためのス(酢)プレーやブラシ、マット、コロコロ(粘着テープ)がおいてある箱のことだ。

種子除去装置
種子除去装置

その先の駐輪場にスクーターが1台止まっている。「遊歩道に行っている人がいるのか?」

自分の自転車も駐輪場に止める。

小港海岸の入口で、道が駐輪場のある直進方向と左手方向の二手に分かれている。入口の地図を見るとブタ海岸やジョンビーチは左の遊歩道、小港海岸は直進方向の道のようだ。

靴裏の泥を酢プレーとマットで洗い落とす。

トレッキング前にトイレに行っておこうと思う。近くにあるだろうと思っていたが、入口の地図を見ると小港海岸の奥の方にあってここからちょっと遠い。しょうがない。

歩いてトイレに行く途中、「コペペ海岸」の案内板を見つける。帰りに寄って行こうと思う。

トイレから入口に戻ってくると、ちょうどおっちゃんがスクーターに乗って出て行くところだった。遊歩道に行った人のスクーターではなかった。

自転車に戻り、補給食と水、レインウェアを入れたナップサックをリュックが出して背負う。

「種子除去装置」の横には「利用される方は行き先別に11個、石を筒に入れて下さい」と書いてある。筒は中山峠、袋岬、ブタ海岸、高山、ジョンビーチと6箇用意されている。入れる石も島民、ガイド、調査・研究、観光、行政・仕事と利用者毎に色や形が指定されている。

自分は観光なので白い石。中山峠にもブタ海岸にも高山にもジョンビーチにも行くつもりだが、一番遠いジョンビーチの筒に入れようと思う。その前に自分より先に誰かジョンビーチに向かっている人がいないか筒の中を覗いてみる。が、ジョンビーチの筒は空。ついでに他の筒も覗いてみるが、高山にもブタ海岸にもどっこにも石は入っていない。

どうやら一番乗りようだ。フェリーは確か明日入港なので、島にいる観光客が少ないのだろう。

白い石をジョンビーチの筒に入れる。

「種子除去装置」には「ジョンビーチに方面に向かう方へ」という張り紙がある。「ブタ海岸からジョンビーチ方面へ向かう歩道では、気象条件に寄って沢の水位が増し、通行し難い場合があります」とあり、歩くコースの地図も書いてある。

「こういうところがあるんだな。ブタ海岸の先だな」

忘れないよう、張り紙の写真を撮っておく。

9:46 ジョンビーチへトレッキングスタート。

すぐに橋がある。橋の前にも「ジョンビーチに方面に向かう方へ」の張り紙がある。

八瀬川を渡る。

遊歩道を登っていく。ピューピューと強い風の音が聞こえる。森の中なので風はあまり感じないが、音だけはよく聞こえる。

森を抜けると右に湾と小港海岸。いい眺め。海岸には誰もいない。

山の稜線に出ると遮るものがないのでかなり強い風を受ける。飛ばされるような強さではないが、遊歩道は凸凹の岩肌になっていて歩きづらい。急な突風もあるかも知れないので油断せず進む。

ベンチや小さい東屋がある。

10:06 中山峠に到着。

標高110m。曇は多いが、真っ白な小港海岸とエメラルドグリーンの海は絶景。「天気がもっとよかったらなー。でも北海道にある中山峠とはエラい違いだな」

中山峠から見た小港海岸
中山峠から見た小港海岸

稜線を抜け、また森の中に入る。風が弱まりホッとする。

階段を降りて行く。

ちょっと左の海側が開けたので写真を撮る。と前方でなにか動いた!「なんだ?」

「んっ?あっ、ヤギだ。3頭いる。あれが野ヤギか?」

1, 2歩近づいただけでヤギは慌てて山の斜面を掛け上がっていく。ヤギがいたところまで行き、逃げたほうをみると木々の間から斜面にいるヤギがみえる。3頭以上いそう。

遊歩道を下っていくと、海岸に出る手前にテーブルやベンチがあるので休憩する。

10:26 ブタ海岸に到着。

だいぶ青空が出てきた。海岸には誰もいない。「なんでブタなんだ?」よくわからない。

砂浜を歩くが、あまり埋まらないよう海から離れたところを行く。が、柔らかくてやっぱり少し埋まる。ここは風は強くない。

ブタ海岸
ブタ海岸

そして沢というか川が出てくる。「これだな。張り紙にあった沢のところだな」

特に水位が高くなっていそうもない。海と沢の間が通れそうなのでそこを通って沢の向こう側に周る。

足場が組んであり、そこを通って再び山登り。ジョンビーチまで2.8km

森に入るが、途中で右が開ける。海に突き出た岩山が見える。後で調べると饅頭岬というらしい。ブタの次はまんじゅう…。すっかり青空になり眺めがいい。「やっぱり天気が良くないとな」

饅頭岬
饅頭岬

ウネウネ登っていく。

10:54 高山とジョンビーチの分岐に到着。

南の方の海が少しモヤっている。木々の間からエメラルドグリーンの海と岩礁、そしてちょっと大きい島が見える。「あれは南島かな?」

高山は帰りに寄ろうかと思っていたが、最初にキツいところを通っておいたほうがいいだろうと思い、高山へ登る。高山まで0.4km

えっちらおっちら登る。

11:07 高山に到着。

標高228.5m。周囲は霧なのか雲なのかよくわからないが真っ白。「さっきの青空はどうした?」

高山山頂
高山山頂

南の海から風で霧や雲が登ってきているように見える。眺望がほとんどないので、すぐにジョンビーチへ向かう。

南へ下りるが、遊歩道は岩肌の斜面で見た感じどこが道なのかよくわからないところもある。ただ、そういうところには青くて四角い突起がつけられている。「これは迷わないための目印かな?」

先を見ると突起が続いている先に遊歩道があるので、このまま進んで問題なさそうだ。

下っている途中に動物の足跡がある。「これも野ヤギか?」

更にしばらく下っていくと分岐。右がジョンビーチで左が展望台。展望台に行っても周りは真っ白なので眺望は望めないだろうが、数百m先のようなので行ってみる。

11:25 展望台に到着。

予想通り、真っ白で何にも見えない。

来た道を分岐まで戻り、ジョンビーチに向かう。

階段をずーっと降りていく。

11:43 ジョンビーチとブタ海岸の分岐に到着。

ベンチがあるのでちょっと休憩。ジョンビーチまで0.9km

分岐を出発し森の中を降りていくと、左が開けて海が見える。ここはもう霧や雲はない。細い岩山が海に突き出していて、その先に南島が見える。あとで調べると、あの突き出たところは南崎というらしい。「母島にもあったな」

しばらく歩くと断崖の上に出る。ちょうど南崎の付け根あたり。岩肌が赤茶けていて母島の南崎にいく途中にあったスリバチ展望台に似ている。

そこから下っていき大きな岩塊の横をすり抜けていくと、木や岩の隙間からエメラルドグリーンの海がチラチラ見えてくる。「ゴールはあそこだな」

ゴールのジョンビーチまであと少し
ゴールのジョンビーチまであと少し

12:14 ジョンビーチにゴール。

小港の入口を出発して2時間半。絶景なエメラルドグリーンのビーチ。すごい。もう天国。誰もいないので、裸で飛び込みたい気分。泳げないのでそれはやめておく。

ジョンビーチ①
ジョンビーチ①

ジョンビーチは霧もなく青空も出ていて、風もそれほど強くない。アオウミガメの産卵場所でもあるらしい。

ところで「ジョンって誰?」

波打ち際を歩く。砂浜は少しあるが、ほとんど岩礁。海は澄んでいる。岩礁に小さいカニが結構いる。

ジョンビーチ②
ジョンビーチ②

泳げないのでカニと戯れる。追っかけていくと大体岩の影に逃げていくが、ちょっと引くと向かってくるカニもいる。

そんな中、1匹のカニを追いかけると30cmぐらいある岩と岩の間を横っ飛びして見事にとなりの岩に着地した。「おっ、カニは飛べるんだ」

その瞬間を偶然にもiPhoneLive Photosでパシャリ。写真を確認すると、飛んでいるところが撮れていた。「ラッキー?」

そんなこんなで海を眺めたり、写真撮ったり、カニと遊んだり、昼飯(クッキー)を食べたりして、1時間ほどのんびり過ごす。来てよかった。長い道を歩いて来る価値は全然あった。離れるのはちょっと名残惜しい。

結局、他には誰も来なかった。

13:18 ジョンビーチを出発。

13:39 ブタ海岸と高山との分岐に到着。

往路の時も見たが、ここの休憩所には大きなコンテナボックスが置いてある。その蓋に「この中には救急用品、救助用品が入っています。緊急時に使用してください」と書いてある。

「何が入っているんだろう?」と思い蓋を開けてみると、絆創膏など救急用品のほか、テントやポータブルトイレ、ブルーシートなどが入っている。小笠原エコツーリズム協議会が設置しているようだ。自分のように一人で来て、万一怪我した時のことを考えるとこういうのは非常に助かる。ありがたいことだ。

帰りは高山には登らず、ブタ海岸を目指す。

14:28 ブタ海岸に出る。

海の潮位が上がって、往路で通った海と沢の間の道が水没していないか少し心配していたが、そんなことはなく普通に通れた。

休憩所でちょっと休憩。

ブタ海岸から中山峠に登る。もう野ヤギはいないが、人のような声が何度か聞こえたような気がする。気のせいか?風か?

すると前方から中年女性が二人降りてくる。前を歩く女性が自分の方に向かって何か言いながら降りてくる。

女性:「崩れてました?崩れてました?」

何のことを言っているのかさっぱりわからない。

自分:「崩れているところなんてないですよ。ジョンビーチまで行けますよ。ここはあそこの川(沢)まで降りますよ」

女性:「ありがとうございます」

しかしもう15時になろうとしているのにどこまで行くつもりなんだろう。今からジョンビーチは無理、途中で日が暮れる。

14:57 中山峠に到着。

往路の時より風は弱くなっているが、北の方の海岸線が少しモヤっている。

15:20 小港の遊歩道入口まで戻る。

ジョンビーチから帰りは2時間ほど。往復のジョンビーチへのトレッキングはトータル5時間半ちょっと。なかなか楽しかった。

「種子除去装置」の横にある筒の中を確かめると、ジョンビーチに2個、ブタ海岸だったかな?には5個ぐらい、あとどこだったかは忘れたが他にも何個か入っている。全部観光客を示す白い石。随分増えていたが、会ったのは中山峠の先で会った女性二人だけだった。

小港海岸に行っていないので行ってみる。

すっかり曇天になったが、白い砂浜のキレイな海岸だ。でもここも誰もいない。左の山の稜線に遊歩道の柵や東屋の屋根、中山峠の案内板が見える。人影は見えない。

小港海岸
小港海岸

さて、この後どうするか?

東屋でちょっと考える。時間はまだ15時半。ガイドブックを見る。コペペ海岸に行ってみようと思う。ここから遊歩道で行けるみたいだが、さすがに時間もあまりないので自転車で回り込んで行こうと思う。

自転車まで戻り、東京都最南端バス停で記念撮影。

東京都最南端バス停
東京都最南端バス停

15:51 小港海岸のロータリーを出発。

来た道を戻る。

急坂を上って都道240号線に合流。GPSの地図をみる。「この先ですぐ左だな」

「⬅︎亜熱帯農業センター」の案内板のところで左折、まだまだ上るが勾配は緩くなる。

下りに入り「亜熱帯農業センター」の手前で左折、急坂を下りる。

前方の交差点を車が横切っていく。「あそこが都道だな」

コペペ海岸へは、都道240号線と交差するあたりで都道には入らずその手前の道へ左折する。

都道240号線と交差に到着。

確かに都道の手前に左へ向かう道があるが、またしても上りの急坂。父島も油断ならない。

えっちら上り、そして一気に下る。

16:11 コペペ海岸に到着。

駐車場に自転車を止めて海岸へ。

ここも小港海岸のような白い砂浜でキレイ。小港海岸ほど広くなく、プライベートビーチみたいでいい感じ。もちろん海もキレイ。誰もいないし。写真を撮るが逆光でイマイチ。

コペペ海岸
コペペ海岸

東屋でちょっと休憩。

しばらくベンチに座っていると、突然「ガタッ」と振動を感じる。「んっ?なんだ?気のせい?地震?」

そう思いつつ、スマホの「ゆれくる」をみると父島近海で地震、震度2と出ている。「あれは地震だったのか。一瞬ガタッて揺れただけだけどなぁ」

大した揺れではなかったのでスマホをウェストバッグに入れたが「あっ、津波は大丈夫か?」と思い、もう一度スマホのYahoo!ニュースで確認する。

すると最大震度は4で津波の心配なし。「えっ、震度4ってどこ?」

よく読むと母島が震度4だった。父島は震度2。津波の心配なしだったが、海岸にいても落ち着かないので、安全を期して海岸から離れることにする。

16:25 コペペ海岸を出発。

結局、二見港まで戻り、小笠原生協で買い物。

17:22 宿に戻る。

いつものように風呂と洗濯。

明日は島の東側というか中央の夜明山や中央山の方に行って、父島を周回しようと思う。

寝る。

=== 旅の費用 ======
宿泊代(民宿なぎや):¥6,000
飲食代       :¥1,279
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合計        :¥7,279
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走行時間:1h37m28s 走行距離:19.46km
平均速度:11.9km/h 最高速度:34.5km/h

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