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‘08 春の秋田 斜め縦断の旅② 乳頭温泉郷〜水沢温泉郷

2008年 自転車旅 東北

初日 2008年4月30日(水)

9:50 JAL2171便で秋田空港に到着。予定より10分ほど遅れている。預けた荷物がターンテーブルから出てくるのを待つ。

予約している乗合タクシーは、自分が乗ってきた便と30分ほど前に到着した他の便のお客さんを乗せると聞いている。

なので、自分の便の到着が遅れたこともあり、先着のお客さんを随分待たせているはず。自分のせいではないのにちょっと焦る。荷物も輪行バッグも早く出てこい。

出てきた荷物と輪行バッグをカートに載せて急いでタクシー乗り場へ向かうと、それらしきワンボックスカーを発見する。輪行バッグをタクシーの後ろに載せ、待っていた運転手さんとお客さんに一言「遅れてすみません」と謝りを入れて、乗り込む。

ところが、車が動いて10秒も経たないうちに、カメラと携帯をカートに忘れてきたことに気づく。あーっ、マヌケ。

焦っていたようだ。すぐに止めてもらい、猛ダッシュで取りに行く。

タクシーに戻り、もう一度、皆さんに謝る。いきなり二度も迷惑をかけてしまい、生まれてこれ以上のないドジをした。早くもドッと汗が出てくる。いや、まいった。

一息つき、天気がいいことにようやく気づく。乳頭温泉郷までの約2時間、のんびり車窓からの風景を楽しむことにする。ふぅー。

乗客は自分の他は3人ほど。国道46号線を通り、宿の候補として考えたこともあった「花葉館」の横を通り過ぎ、まずは桜で有名な角館へ向かう。

ところが角館に着くと「桜まつり」を前にして桜は完全に散っている。これだと「葉桜まつり」。角館の桜はこの旅のハイライトの一つだったが、仕方あるまい。明日、角館をみて回るつもりなんだが、さてどうしようかな。

角館を後にして、田沢湖駅で一人降り、その後もまた一人と降りて、最後は自分だけになる。

乳頭温泉郷へ上る途中に、今日の宿泊地・水沢温泉を通過。だいたいの場所はわかったが、田沢湖からそれなりに上る。でもこれくらいは全然問題なし。

その後、田沢湖高原温泉を通過、田沢湖から乳頭温泉まで3つも温泉郷がある。温泉だらけだな。

乳頭温泉郷

11:45 乳頭温泉郷・大釜温泉に到着。黒い木造の建物が目に引く。

乳頭温泉郷付近はまだ桜は咲いていないようなので、タクシーの運転手さんに「桜はまだみたいですね」と聞くと「ここは標高が高いからまだ先」とそっけない返事だった…。そう聞こえただけかもしれないが…。

大釜温泉
大釜温泉

12:00 自転車の組み立て完了。どこも問題なさそうだ。よーし。

どうせなら一番てっぺんまで行って、そこから田沢湖に向けてスタートしようと思う。乳頭温泉郷の一番上にある「蟹場(がにば)温泉」へ向かう。

今日の予定は、乳頭温泉郷から田沢湖まで下りて、田沢湖を反時計回りに一周し、その後は遊覧船で田沢湖を周遊して、宿のある水沢温泉まで自転車で上る。

乳頭温泉郷は7つの温泉宿がある。旅前の計画では泊まることや日帰り温泉に行くことも考えたが、宿泊料金が高めだし、日帰り温泉もまた走って汗をかくだけなのでパスした。

12:08「蟹場温泉」に到着。奥に「孫六温泉」があるらしいが、県道から更に細い道の先にあるので行くのはパス。

12:10 田沢湖に向けて「蟹場温泉」を出発。行くぞー。

蟹場温泉前がちょうど県道194号線の起点(終点)で、案内板によると田沢湖までは16kmだ。大釜温泉の方に向かって歩いているカップルがいる。どこまで行くんだろう?

田沢湖へ
田沢湖へ

道路やその周辺に雪はないが、林の中には所々に雪が残っている。いかにも春らしい風景でいい感じ。

少し下ってタクシーでやってきた大釜温泉を通過。自転車で少し下っただけだが、やはり空気は冷たい。

妙の湯温泉」を通過し、その先の「休暇村田沢湖高原」の三叉路で県道を離れ、左の道に入り「黒湯温泉」に向かう。

上り基調で細い林道のような道を進む。途中、小さい川に雪解け水が勢いよく流れている。おー、これも春らしい風景だなぁ。

12:25「黒湯温泉」に到着。駐車場脇に温泉の看板があり、そこから下を見下ろすと宿の建物が見える。あれかっ。

黒湯温泉
黒湯温泉

細い上り坂を上ってわざわざ「黒湯温泉」に来たのは、外から丸見えで野性味感が溢れる露天風呂があるという情報を得たからだ。しかも混浴らしい…。

駐車場から下ったところに露天風呂があり屋根がついているが、駐車場から湯船が丸見えだ。マジか~。あれだと男しか入らないだろうな。「入りにいくか?いや、やめとく」

幸い?お風呂には女性はおろか誰も入っていなかった。残念…?

黒湯温泉の露天風呂
黒湯温泉の露天風呂

「黒湯温泉」をあとにして「休暇村田沢湖高原」まで戻り、県道に復帰する。

県道に戻ると左手に大きな草っ原があり、奥には赤屋根の木造の建物がある。これだけ広い敷地なので学校跡のように見えるが、定かではない。

12:42 乳頭キャンプ場の入口に到着。入口の道路にロープが張られているので、まだキャンプ場はオープンしていないようだ。寒いからね。

12:48「鶴の湯温泉」との分岐に到着。「鶴の湯温泉」はこの分岐から距離があるのでここもパスする。

その後は快調にくだっていく。とその途中、ふと下を見たところ、異変に気づく。

「んっ?、ボトルケージがなんか変だ」

まだペットボトルを買っていないので、ボトルケージには何もつけていない。

が、よくみるとペットボトルを留めておくプラスティック製のホルダー部分がない!あれっ!

多分、調整ネジが緩んでホルダーごと落っことしたのだろう。ショック!今から引き返して探す余裕はない。ボトルケージは諦めることにする。

飲み物はリアキャリアのバッグにつけて走ることにする。給水の時、ちょっと面倒だがしょうがない。

とはいうものの「どこで落としたんだろう」と考えてしまい、周りの景色が頭に入ってこなくなる。イカンイカン、何のために来たのかわからなくなる。走りに集中する。

12:55「田沢湖高原温泉郷」を通過、大きなホテルが多い。

田沢湖高原温泉郷を通過すると左手に雪が残る大きな山が見えてくる。「秋田駒ヶ岳」のようだ。「『駒ケ岳』という名の山は、日本にいくつあるんだぁー」とふと思う。

秋田駒ケ岳
秋田駒ケ岳

田沢湖スキー場への分岐で、県道194号線が県道127号線に変わる。

13:19「水沢温泉郷」に到着。ここには大きなホテルがなく、民宿やロッヂ、ペンションが多い。今日泊まる宿を探すが、すぐに見つかる。壁にでっかく宿の名前が書いてあった。わかりやすい。

さらに5分ほど下ると、ようやく道の両脇に満開の桜が現れた。おーっ。今の時期はこのあたりが満開で、桜前線は徐々に高度をあげていくんだろうな。

国道341号線に到着。県道194号線と127号線はここまで交通量皆無で、上のほうは少し寒かったが快適に下りられた。夏の暑い日はもっと気持ちいいんだろうな。

田沢湖

田沢湖の周回道路まで出て、予定通り、反時計回りに1周することにする。距離は20kmほどだ。

周回道路に入り、しばらくすると道の湖側が林になり湖があまり見えなくなる。ありがちな感じ。

13:55「姫観音像」に到着。

といっても、この時は「姫観音像」というものを知らずに来ていた。湖側が少し開けたので、景色の写真を撮っただけで姫観音像はスルーしていた…。

湖の周囲も桜は咲いているが、かなり散っている。

田沢湖岸の桜
田沢湖岸の桜

「姫観音像」の駐車場から400m程進むと湖側に細い分岐道がある。よし、そこに入ってみよう。その道は湖の近くを通っている。入って正解。湖の間近で写真を撮り、200m程先で県道に戻る。

14:05 湖を挟んだ向こうに桜の木と赤い鳥居が見える。「御座石神社」のようだ。

しばらく走り田沢湖の西側までやって来る。ここまで林で見えなかった湖だが、だんだん見えるところが多くなってくる。

14:23「たつこ像」の手前で、湖側に車1台が止めれるスペースがあるので休憩する。走りながら、ボトルケージのホルダーをどこに落としたのかまた考えていた。

「落としたのなら、音で気づくのではないか」

と思ったが、プラスティック製なのであまり音がせず、気づかなかったのかもしれない。そして、

「ひょっとしたら落としたのではなく、輪行中に外れて輪行バッグの中に残っているのでは?」

と思い、すぐに探してみる。

が、残念ながら輪行バッグの中は空。今回の自転車旅ではやはりペットボトルをリアキャリアのバッグに留めて走るしかなさそうだ。

14:29「たつこ像」に到着。ここまでの周回道路は車がたまに通るぐらいだったが、ここはさすがに観光客が多い。金色の「たつこ像」の写真を撮ってすぐに出発。

たつこ像と駒ケ岳
たつこ像と駒ケ岳

15:05「たつこ茶屋」に到着。秋田に着いてから何も食べていない。「ここで何か簡単なものを食おうー」

ちょうどいいものがある。「みそたんぽ、300円也」。香ばしくてうまい。

15:35「田沢湖共栄パレス」というお土産&食事処に到着。これで田沢湖をほぼ1周した。その間に自転車と出会ったのは一度だけ。

二人組の女性だったが、二人とも前かごにプレートの付いた同じママチャリを乗っていたので、レンタサイクルで周っている観光客だろう。

ママチャリで田沢湖1周するのは、距離的に20kmで地形的にもほぼ平坦(靄森山の横に5%程度の坂道があるぐらい)なので、問題ないような気がする。

さて、次は遊覧船で田沢湖を周遊する。自転車はその間、「田沢湖共栄パレス」の駐車場に止めておくことにする。

いたずらや盗難されないか少し心配だが、鍵をかけておくしか手はない。しょうがない。無事でいてくれ。

「田沢湖共栄パレス」の前に行くと、「秋田犬と比内鶏は建物の裏手」という看板が出ている。「おーっ、そうか。秋田といえばそうだよな」

せっかく秋田に来たので見に行く。建物の裏手で、まず鶏小屋の黒い鶏が目に入る。

「これが比内鶏か。いずれ、ここのレストランで調理されちゃうのかな?それとも見世物用なのかな?」

その隣に大きな犬小屋があり、秋田犬が二匹いる。テレビで見たことのある顔立ちやフカフカの毛並みではなく、ずいぶん印象が違う。老犬のようにも見える。近くまで行くが、人間に関心を示さずそっぽを向いたままだ。お疲れさまです。

秋田犬
秋田犬

駐車場の反対側にある「田沢湖レストハウス」に行き、遊覧船のチケットを買う。大人1,170円也。田沢湖に限ったことではないが、かなりお高い乗船料だ。

「高速艇たざわ」に乗船する。お客さんはそこそこの入り。船尾側がオープンデッキになっている。ここに陣取るしかないな。

16:00 出港。自転車で周った時と同じように反時計回りで遊覧していく。

16:12「御座の石神社」の前に到着。湖からだと、桜の木と赤い鳥居を正面から見れるので、陸から見るより眺めがいい。

御座の石神社
御座の石神社

16:21「たつこ像」に到着。こちらは背中から像を見ることになり、眺めはよくない。見るなら、その先の「漢槎宮」のほうがいい。

漢槎宮
漢槎宮

40分ほどで遊覧船乗り場に戻る。

遊覧船の見所は、「御座の石神社」と「漢槎宮」、そして雪が残る雄大な駒ケ岳ぐらいであまり多くはなかった。紅葉の時期が一番いいのかもしれないな。

さて、今日はもう水沢温泉郷にある宿に向かうだけ。その前に、田沢湖共栄パレスで晩酌とつまみの漬物を買っておく。よーし。

今度は水沢温泉郷まで上ることになる。勾配は徐々に上がっていき、水沢温泉郷手前で8%ぐらいになる。問題なーし。途中、満開の桜を眺めながら、ゆっくり上る。

満開の桜と駒ケ岳
満開の桜と駒ケ岳

水沢温泉郷

17:50 宿に到着。今日のお宿は「ヒュッテビルケ」。赤い外壁の山荘風の温泉宿。部屋は6畳の和室で、トイレとお風呂は共同。1泊2食入湯税込で7,500円也。

宿の女将さんに

「自転車はどこに止めたらいいですか?」

と聞くと、

「大切な愛車なんでしょうから、玄関の中に入れてください」

と言ってくれる。さすが。

旅人の気持ちをよく考えている方で、とても好感が持てる。ありがとうございます。お言葉に甘えて、広い玄関の中に止めさせてもらう。

夕食のメインはやはり「きりたんぽ鍋」、もちろん比内鶏入り。食堂で他のお客さんと宿の旦那さん、女将さんと話ししながら夕食をとる。

旦那さんは、自分が坂道を自転車で上って来るのを宿から見ていたそうだ。その姿を見て、

「上り坂だけど、思ったよりスイスイ上れるんだなぁ」

と感じたそうだ。そして、

「まさか、その自転車がうちの宿に来るお客さんだとは思わなかった」

とも言っていた。

他にも、旦那さんは用事で「玉川温泉」に行くらしく、お客さんに行く予定の方がいないか聞いていたが、残念ながらいなかった。「玉川温泉」もいい温泉なので行くことを勧めていた。そうか。いつか行ってみよう。

女将さんからはこの後の予定を聞かれ、「明日は角館に行き「やまや」という宿に泊まる」ことを話すと、

「あそこは俳優の山谷初男さんの実家だよ」

と教えてくれる。そのことはすでに宿を調べた時に知ってはいた。

それから「明後日、秋田縦貫鉄道で輪行する」ことを話すと、

「縦貫鉄道は廃線の危機なので、ぜひ乗ってほしい」

と言われ、他のお客さんにも勧めていた。

夕食後、部屋に戻り、明日の予定を考える。それより、ボトルケージがないのはやはり不便だと感じる。うぅ~ん。

で結局、明日朝早起きして朝飯前に探しにいくことにする。

ちなみに、このボトルケージは「トピークのモジュラーケージ」で、今回の自転車旅で乗っている「GIANT MR 4F」用に購入したもの。そういえば、これまでも何度か調整用のネジが緩むことがあったことを思い出す。プラスティックのネジは自転車の振動で緩みやすいのかもしれない。

もう1台の「LOUIS GARNEAU LGS-TR LITE」には、ホルダーやネジが金属製の「モジュラーケージⅡ」を使っていて、これまでネジが勝手に緩んだことはない。もし見つからなければ、これを買おうと思う。

寝る。


走行時間:3h12m52s、走行距離:48.68km
平均速度:15.1km/h、最高速度:40.9km/h

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