2日目 2008年5月1日(木)
5:50 昨日落としたボトルケージを探しに宿を出る。今日も天気は良さそうだ。
乳頭温泉郷のてっぺん、蟹場温泉までずーっと上り坂が続く。朝なので少し寒いぐらいだが、朝飯前に汗だくにはなりたくないのでゆ~っくり上る。
乳頭温泉の入口に「ようこそ ぶなの森 乳頭温泉郷へ」の看板がある。昨日は逆向きに走っていたので気づかなかったが、看板の「乳頭温泉郷へ」の部分がピンク色で書かれている。如何にもありがちな感じで、ちょっとイヤらしい感じもしてニヤつく。
結局、昨日行った一番上の蟹場温泉まで上ってみたが、ボトルケージは見つからず。「うぅ~ん、どこにいったぁー」
やむなく宿へ引き返す。帰りもスピードを落としてゆっくり下りながらボトルケージを探すが見つからない。昨日なくなっているのに気づいた辺りでボトルケージのことは完全に諦めて、普通のスピードで下りる。残念…。
秋田駒ケ岳が見えるところまで下りてくる。雪が残る秋田駒ケ岳が今日もハッキリ見えるし、よくみると眼下にはかすかに田沢湖も見える。
宿に戻る。
今日の予定は、田沢湖から国道105号線に出て角館に向かい、あとは角館の武家屋敷などを見物するだけ。
計画では桜まつりもみるつもりだったが、昨日タクシーで通り過ぎた時、桜は完全に散っていたのでそれはどうみても無理。時間を持て余しそうだ。「どうするかな」
9:00 宿を出発。昨日と同じ道で桜を見たりしながら田沢湖まで下りる。田沢湖の周回道路を反時計周りに進む。
「たつこ像」を過ぎたところで、県道247号線から県道60号線へ右折し、国道105号線に向かう。
10:15「むらっこ物産館」に到着。トイレ休憩する。
店員さんなのか、野菜を運んできた農家のおばさんなのかわからないが、腰に熊避けの鈴をつけている。この季節なら出てもおかしくないが、このへんはそんな雰囲気はない。「むむっ、この先は大丈夫か?」ちょっと不安…。
県道60号線の交通量は皆無に近い。道の両側には背の高い木々が整然と並んでいる。秋田杉だろうか?
10:48 国道105号線に到着。角館の前に八津駅の近くにある西木の「かたくり群生の郷」に向かう。
「かたくり群生の郷」は、昨日の夜に観光パンフレットをみていてみつけた。角館に向かう途中にあるし、かたくりの見頃が4月下旬までのようなのでギリギリ間に合うか?と思い、行くことにした。
国道105号線をしばらく走ると「十二峠」という案内標識をみつける。確かに上っていたが峠とは思わなかった。
さらに走り、八津駅方面に右折して「かたくり館」に到着。中で「かたくり群生の郷」のマップを入手する。
踏切を渡りマップに従い受付に向かうが、開園期間を過ぎたためか受付はない。普通の一般道なので、そのまま自転車で群生地に突入する。
が、咲いているかたくりは全然見当たらない。山を上って行くと一番遅咲きの「与五衛門」のところで、ようやくかろうじて咲いているかたくり見つける。近くの東屋に満開時の写真の看板があるので見比べる。もう見頃は完全に終わっている。残念…。
しかも、かたくりの群生地はなかなかの斜面を上ったところにあるので体力も結構使った。早々にかたくり見学は切上げて群生地を下りる。ふぅー、ちょっと疲れた。
11:35 国道105号線に復帰し、角館に向かう。天気が良くて暖かく、春らしい陽気。周りも田園地帯が続き、のんびりムードが漂う。「眠たくなってきたー」
ただ、交通量が少ないとはいえ国道を走っているので、できれば脇道に逸れて農道をのんびり走りたいと思う。
秋田縦貫鉄道の高架下を過ぎ、国道46号線に出る前に右折してカントリーロードに入ってみる。しばらくのんびり走るが、先の道がダートにかわりこれ以上南へ進めなくなる。やっぱり。やむなく国道105号線に戻る。
角館
12:20 国道46号線へ右折。角館の街に入る。
「武家屋敷入口」の標示板がある交差点を見つける。「ここか」
左折して武家屋敷通りに入る。通りの枝垂れ桜はやはり全て散っている。とはいえ、連休中なので観光客が目茶苦茶多い。「マジか」
武家屋敷を見学したいのだが、駐輪場はないし武家屋敷の前に止めてもいいような感じも全然しない。なので、一旦通り過ぎる。
城下町なので道は狭くてごちゃごちゃした街並み(表現が悪くてごめんなさい)なので、どこかに自転車を止めて歩いて見て周りたいところ。が、自転車を止められるところがなかなかみつからない。「どっこないか」
「西宮家」まで来ると、その向かいの建物に駐輪場があるのを見つける。これはちょうどいい。「よーし、ここに止めよう」
あとで調べるとここは図書館の駐輪場だった。
12:35 歩いて見学に向かう。
「西宮家」、「小田野家」、「河原田家」、「岩橋家」はどこも無料だ。ありがとうございます。
ところが次の「青柳家」、「石黒家」は有料。門の前で写真を撮るだけで中はパスする。節約。
武家屋敷のある通りだけは道幅が広くて整然としている。武家屋敷も歴史が感じられていいのだが、やはり期待していた枝垂れ桜がないのが残念。
一旦、武家屋敷から離れて、桧木内川沿いの桜並木に行ってみる。多分、その辺りが桜まつりの会場だと思う。
が、桜は一輪たりとも咲いておらず、全て散っている。人もほとんど歩いていないし、ましてや桜祭りもやっていない。葉桜祭り状態。「やっぱり」
100mほど歩いて早々に武家屋敷に戻り「松本家」を見学する。
このあと見学できそうなのは、ここから少し離れた「安藤家」ぐらいしかない。角館の中心街を通って、その「安藤家」に向かう。
「かくのだて温泉」の横を通って「安藤家」に到着。ここは今まで見てきた屋敷とは異なり、赤いレンガ造り。なので赴きが違う。それもそのはず、ここは武家屋敷ではなく味噌と醤油の醸造元だ。建物の中に入ると醤油の匂いがぷぅ~んと漂う。
これで考えていた今日の予定は早くも終了。「はっやー」
まだ14時にもなっていない。予定していた桧木内川沿いの花見が全くなくなったのでしょうがない。「さてどうする?」
地図を見ながらこの後の予定を考えるが、角館の街中にはこれといって行きたいところはもうない。駅前に観光情報センターがあるようなので、そこで情報を仕入れようと思う。
自転車まで戻り、駅へ向かう。
13:55 角館駅前に到着。駅前にある今日の宿をすぐに発見する。「ここか」
駅横にある観光情報センターでパンフレットなどを物色していると、きれいな真っ青な川と紅葉した山が写っているパンフレットを見つける。「これはどこだ?」
そこは「抱返り渓谷」。一目見ただけで「これはいい」と思い、場所を確認する。
「抱返り渓谷」は角館から西へ8kmのところにある。渓谷の入口にある「抱返神社」から「飯村少年弔魂碑」や「回顧(みかえり)の滝」まで歩いて行けて、距離は片道1.5kmで時間は約30分とのこと。
渓谷まで自転車で往復1時間半、渓谷でのトレッキングで1時間半、合計3時間ぐらいだろう。今出発しても時間に少し余裕があるぐらいだ。「よーし、ちょうどいいぞー」
次の目的地は「抱返り渓谷」に決定。
ちなみにこの「抱返り渓谷」という名称は、以前は人がすれ違う時にお互いを抱きかかえるようにしないと通れないほど狭く険しい山道だったことに由来するとのこと。「なるほど」
14:05 角館駅を出発。県道257号線で一路「抱返り渓谷」に向かう。
住宅街の県道257号線は道幅が狭くて走りづらいが、郊外に出ると交通量も一気に減り路肩も広くなって走りやすくなる。いい感じになってきた。田園風景の中をのんびり走る。
県道50号線に入り、しばらく走ると田沢湖黒倉の信号のない交差点で「抱返り➡︎」の案内板が出てくる。右折して「抱返り」へ向かう。
抱返り渓谷
14:40「抱返り渓谷」の駐車場に到着。観光客はまばら。そんなに人気がある観光地ではないのか。自転車は駐車場横のトイレの脇に止めておく。
14:43「抱返神社」からトレッキングスタート。いくぞ。
「抱返神社」を過ぎると赤い吊り橋が見えてくる。玉川を渡る「神の岩橋」だ。
橋を渡るとなんとここも駐車場。あれっ。別ルートだとここまで車で来れるようだ。まっ別にここまで来なくても、抱返神社の向こう側まででよかったと思う。
14:52 駐車場を抜け、遊歩道の入口に到着。入口の案内板によると「回顧(みかえり)の滝」まで1.1km。ゆっくり歩いても30分かからないぐらいか。
遊歩道の道幅は「抱返り」しなければならないほどの狭さではなく、十分すれ違えるほどの幅はある。あれは昔の話しだ。
しばらく歩くと、木の枝にカメラかライトのようなもの(TOSHIBAとHello Kittyの文字)がぶら下がっている。
「なんだあれっ?誰かのいたずら?監視カメラ?」
何の目的かさっぱりわからない。まぁ誰かが面白半分にぶら下げたのだろう。
渓谷の両側はすっかりグリーンになった木々が茂っていて、所々に桜もみえる。
左側が玉川の断崖、右側が岩壁になっている遊歩道を進む。「茣蓙(ござ)の石」、「若狭の急流」、「帝釈の岩屋」を通っていく。名称の意味は案内板に書いてあるので写真を撮って通過。で、旅が終わってから読むと…
「茣蓙の石」は、ござを数枚敷けるほどの平滑で大きな岩。「若狭の急流」は、抱返り三急流の一つで水が激しく岩に砕け散る音が獣の雄叫びのように聞こえたという。「帝釈の岩屋」は、抱返り大尺明神の生まれ育った岩屋とか帝釈坊という鬼が住んでいたところとか言われている。
とのこと。ふぅ~ん。
木々の葉が茂っていて玉川までなかなか見通せないが、隙間から川面や奇石を覗きながら歩いていく。
で、ふと玉川を見ると水の色が青い。おーっ。多分、火山や温泉の成分が流れ出ているせいだろう。
遊歩道を歩いて行くと、歩き始めたところより玉川の川面からだいぶ高いところを歩いていることに気づく。徐々に高度が上がっていたようだ。
すれ違う人と挨拶を交わしながら進む。トレッキングではよくある光景。いい感じ。
川の少し上流に建物が見えてくる。「なんだあれ?水力発電所か?」
その建物の横を通過。やはり小さな水力発電所のようだ。
15:10 黄色い吊り橋「誓願橋」に到着。
橋を渡るとトンネルが現れる。トンネル前の短い橋の前に案内板があり「誓願寺」と書いている。
「こんなところにお寺があんのか?」
と思い、ここはちゃんと案内板を読む。そうではない。「玉川の水が渕に流れる時に出る泡沫が、お寺で香をたく時の煙が漂う様に似ているから」だそうだ。ふぅ~ん。
そしてトンネルに入る。手掘りように見える。中に入ると人感センサでライトがつくのだが、非常に暗い。「おーっ、見えんぞー」
トンネルを2つ抜ける。ここまでくると川の流れが穏やかになる。
さらにトンネルを2つ抜けると遊歩道は二手に分岐している。「どっちにいく?」
右に滝が見える。「回顧の滝」のようだ。まずは「回顧の滝」を見にいこう。
15:26「回顧の滝」に到着。
雪解け水で水量多く、落差もあって迫力がある。水飛沫が飛んでくる。何度も振り返り見たくなるから「回顧(みかえり)の滝」というそうだ。確かにそうかもしれない。
遊歩道を分岐まで戻り、もう一方の玉川沿いの上流へ向かう。
すぐに展望台に到着。展望台から渓谷を眺めると、玉川の流れは穏やかで下流にはさっき通り過ぎた発電所が見える。振り返って上流のほうをみるとまだまだ渓谷が続いている。
15:35「飯村少年弔魂碑」に到着。渓谷に転落した妹を助けるため、眼下の岩に飛び込んで亡くなった兄・飯村少年の碑だという。凄い勇気。
遊歩道はここから険しくなっていてまだ続いているのだが、この先は崖が崩落しているため通行止めになっている。見どころの多いコースなのでもっと先に進みたいところだったが、しょうがない。ここで引き返す。時間的にはちょうどよかったのかもしれない。
16:20「抱返神社」に戻る。
「抱返り渓谷」の駐車場を出発。来た時と同じ県道257号線で角館に向かう。途中でJR田沢湖線と県道257号線の間にあるカントリーロードを入る。田園地帯だが田んぼも畑もまだ土だけの状態。
17:15 角館の宿に到着。今日はいつもより早めにツーリング終了。
というのも明日はまず電車輪行するので、自転車を今日の明るいうちに折りたたんでおきたいからだ。
今日のお宿は「旅館やまや」。駅前の好立地にあるが、周辺に店はあまりない。駅ナカの「かくのだて物産館」やコンビニのNEWDAYSがあるぐらい。宿以外で食事をするなら、武家屋敷のある中心部で済ませたほうがいいだろう。
宿の横で自転車を折り畳み、駅ナカへ買い物に行く。その途中、ピンクのラインが入った秋田新幹線「こまち」が角館駅を出発していくのが見える。「こまち」は一度だけ出張帰りに仙台から東京に行くときに乗ったな。
宿に戻り、チェックインする。部屋は4畳半の和室に洗面台やテーブルと椅子が置いてある1畳半のフローリング部分が付いた間取り。お風呂とトイレは共同。
食事は他のお客さんと一緒に1階の広間で食べる。連休中なのでやはり広間はほぼ一杯。宿の人は忙しそうでビールを頼みそびれてしまい、そうそうに晩飯を食べて部屋に戻る。
もう一度、ビールを買いにコンビニへ行く。
宿に戻り、飲みながら明日の予定を確認する。まず「阿仁マタギ」まで輪行して、打当温泉にある「マタギ資料館」と「クマ牧場」を見学する。
そこから本格的に走り始め、国道105号線を北上し、阿仁前田で県道214号線くまげらエコーラインへ左折して国道285号線に入り、今度は南下する。
あとは道なりに進み、五城目の「小倉温泉」まで行く。打当温泉周辺以外で立ち寄るところを考えていないが、そこは行き当たりばったりにするつもり。
秋田の地酒「原酒」が効いてきた。
寝る。
走行時間:5h19m56s、走行距離:83.15km
平均速度:15.5km/h、最高速度:40.5km/h
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