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‘08 春の秋田 斜め縦断の旅④ 角館〜五城目

2008年 自転車旅 東北

3日目 200852日(金)

8:43 宿を出発。

今日もいい天気。阿仁マタギまで輪行するため、秋田内陸縦貫鉄道の角館駅に向かう。

本当は角館からずっと自走していきたかったが、日程や宿の都合で輪行することにした。MR 4Fだと輪行もあまり苦にならないし

秋田内陸縦貫鉄道の角館駅はJR角館駅のすぐ隣。元々はJRか国鉄だったのだろうと思う。改札を通ってホームに出ようとすると駅員さんから、

「途中で団体さんが乗ってきますが、大丈夫ですよ」みたいなことを言われる。

「あ~そうですか」とは答えたものの「団体さんって何人ぐらいなんだ?連休中なので子供か?うるさくなったらイヤだなぁー」などと1両編成なので多少心配になる。

オレンジ色の鷹巣行きの気動車に乗り込む。

9:00頃、角館を出発。車内は連休中ということもあり、今のところガラッガラッ。

結局、途中で乗ってきた団体さんは十数人ほどのお年寄りで、どこの駅で乗ってきたかは忘れたが確か一駅で降りて行った。それほどの人数でもなかったので席を譲る必要もなかったし、何の問題もなかった。悪い方向に考えすぎ。

阿仁マタギ

1時間ほどで阿仁マタギに到着。駅前の駐車場で自転車を組み立て、観光案内図を確認する。マタギ資料館のある打当温泉まで2km、熊牧場まで3kmだ。県道308号線でまずは打当温泉に向かう。「よーし、しゅっぱーつ」

阿仁マタギ駅
阿仁マタギ駅

県道308号線には北海道のように防雪柵があり、山間の猫の額ほどの平地には田んぼが広がっている。

10:32 マタギ資料館のある「打当温泉 マタギの湯」に到着。

ここは一旦パスして熊牧場に向かう。「マタギの湯」の先で右折して県道308号線を外れる。熊牧場の案内板に従って山道を1kmほど上る。畑を抜けると勾配は7,8%ぐらいとキツめ。走り始めなので全然パワーがあり、問題なし。

10:43マタギの里 熊牧場」に到着。入場料500円を払って中に入る。が、自分以外は誰もいない。ゴールデンウィークだけど平日だからか。

熊牧場に来たのは小学校の修学旅行で行った「登別のクマ牧場」以来だ。あそこは北海道なのでヒグマしかいなかったが、ここは秋田なのでツキノワグマだけだろう。

と思っていたら、入ってすぐの案内板をみると「えぞひぐま舎」と書かれた場所がある。あれっ。どうやら津軽海峡を渡って秋田の山奥まで連れてこられたヒグマがいるみたいだ。

他にも「熊牧場」にもかかわらず「ニホンザル」もいるようだ。まぁ何でもいい。

順路に沿って進むと最初に「ニホンザル」の檻。目的は「熊」なのでチラ見して通過。さようなら。

いよいよ熊のいるエリアに入る。最初の檻は「ヒグマ」。

「ヒグマ」の檻は上から見下ろすようになっている。で、覗き込んでみると深いコンクリート塀に囲まれた檻に焦げ茶色のヒグマが1頭だけドーンと座っている。

ヒグマを見るのは久しぶりだったが「そういえば大きさや毛色はこんな感じだったなぁー」と思うぐらいで特に見て驚くということはない。しばらく見ていたが「暇そうで大人しい。なんか寂しそう、目開いているか?」

ヒグマ
ヒグマ

次に向かいの「ツキノワグマ」の檻へ。ここの檻は中が広くてツキノワグマがウジャウジャいる。「スゲーいるなぁー」

よく考えると「ツキノワグマ」を生で見るのはこれが初めてだ。ヒグマよりちっちゃく、毛が黒々している。そして胸に「ツキ(月)」の形をした文様が確認できる。

こちらにも寝そべっている熊もいるが、歩き回ったり木(といっても造り物)や岩に上ったり水浴びしたりと活発に動き回っている熊が多い。檻の中には他にも滑り台やバスケットのゴールみたいなものもあったりして遊べるようになっている。バスケットのゴールはバケツみたいなものになっているが、熊はあれをどう遊ぶんだ?

とにかく1頭しかいなくて寂しげなヒグマの檻とはエラい賑わいだ。

中には餌が貰えると期待してか、こちらに向かって立ち上がり手を振ってアピールする熊もいる。「こういうのはヒグマと同じだなぁー」と登別の熊牧場のことを思い出す。ツキノワグマも餌を貰うためには同じことをするみたいだ。

飼育員さんが塀の上から檻の中に向かって水を撒いている。というよりノズルのようなもので勢いよく噴射している。「熊にとっては暑いのか?それとも檻の掃除?」

ツキノワグマ
ツキノワグマ

そんな時、1台のバイクが熊牧場に向かって上ってくるのが見える。乗っているのは若い男性で学生さんのような感じ。熊牧場に中に入ってくる。これでお客さんは二人になった。よかったよかった。

もう一度、ヒグマの檻の前まで戻るとバイクの若い男性が自分から少し離れた檻の近くまでやってくる。男性は見た目にもわかるぐらい恐る恐る檻の前に近づいて、檻を見下ろそうとしている。「なんでそんなにビビってる?」

そして見下ろした次の瞬間、体を「ビクッ」とさせて後ろにのけ反らし驚いた顔をして1歩後ずさった。ヒグマを見てかなり驚いたみたいだ。多分初めて見たのだろう。思っていたよりデカくてビックリ仰天したのか、あんなところにヒグマがいるとは予想していなかったか、よくわからない。

失礼ながら、その驚きようをみて自分は吹き出しそうになり笑いを堪えるのに必死だった。「内心ではウハッハッハッハッ………、そんなにビックリするかなぁ」

その後は「ツキノワグマ」がいる別の大きな檻を2つ見学して、次はこぐまの檻へ。

飼育員さんがこぐま1匹と戯れている。生まれて間もないのか、大人に比べてかなり小さい。「猫ニャンより小さいか?」

バイクの男性も中に入って、こぐまとふれあっている。そういうこともできるみたいだ。

ツキノワグマのこぐま
ツキノワグマのこぐま

熊牧場内の高台から、雪が残る山が見える。方角的に「森吉山」だろうか。

森吉山?
森吉山?

熊牧場を一周してもう一度ヒグマを見に行く。やっぱり寝そべっているだけだった

11:14 熊牧場を出発。来た道を下りる。

11:25マタギの湯」に到着。中にある「マタギ資料館(入場料150円也)」を見学。思っていたより小さくて、あっという間にみてしまう。「温泉のついでにどうぞといった感じの施設だなぁ」

11:44 温泉には入らず「マタギの湯」を出発。まだまだ先は長い。入ったところでどうせ汗だくになる。

県道308号線を国道105号線に向かって走る。

12:02 奥阿仁駅到着。阿仁マタギ駅と似たような黄色の駅舎。

県道308号線は交通量が皆無で、周りはのどかな山間の景色が続く。雪が残る遠くの山、桜、まだ土だけの畑、ローカル線の線路、暖かい風、鳥の囀る声など春を感じる田舎の雰囲気がそこかしこに出ていていい感じ。このまま、ずぅーっと続いてほしい道だ。

県道308号線沿いの風景
県道308号線沿いの風景

国道105号線

12:15 国道105号線に到達。右折して阿仁に向かって北上する。

12:21 比立内駅到着。駅の写真を撮ってすぐに出発。

多少、心配していた国道105号線での走行だが、路肩はそれなりあるし何より交通量がかなり少ないので今のところストレスなく走れている。周りの雰囲気も県道308号線からそう変わらず、静かな田舎の風景が続いている。

12:48 阿仁川を渡る。すぐ横には秋田内陸縦貫鉄道の赤い鉄橋が架かっている。MR 4Fと一緒に記念撮影する。

阿仁川にかかる赤鉄橋とMR 4F
阿仁川にかかる赤鉄橋とMR 4F

13:00 阿仁トンネルに到着。ここはこの旅一番の難関かと思っている長いトンネルだ。「ついにきたかー」

トンネルは自転車走行で一番恐怖を感じるところ。できれば歩道を走りたいところだが、田舎にあるトンネルなので歩道なんて期待できないと思っていた。果たして?

悪い予感は見事に的中し、トンネルはかなり古く路肩はほとんどない。歩道はあるにはあるが、人一人通れる程度の幅で路面は排水溝の蓋。しかもトンネルの長さは1kmぐらいある。もう最悪~。

しょうがない。交通量は多くないが、安全を期して自転車を押して狭い歩道を歩く。ペダルが足に当たる。「イテッ!」

ペダルが当たらないように歩くが、変な歩き方になり歩きづらい。油断するとまた足に当たる。「イテッつーの!」

結局、トンネルを通り抜けるのに15分ぐらいかかってしまった。ちょっとロスった。「今後の自転車旅でこんなトンネルが出てきた時どうするか考えないといかんなぁー」

トンネルを抜けて再び自転車で走り始めると電車の音が聞こえてくる。ちょうど左側の林が切れたところで、青い1両の気動車が走り抜けていくのが見える。走っている縦貫鉄道の気動車を見るのはこれが初めてだ。いつまで存続できるだろうか。

秋田内陸縦貫鉄道
秋田内陸縦貫鉄道

13:19 荒瀬駅に到着。ここの駅舎もクリーム色。縦貫鉄道の駅舎はカラーが統一されているみたいだ。周りに小さな集落はあるが、田んぼの中にある駅といった感じ。

荒瀬の集落を過ぎると再び、前方にトンネルが見えてくる。「ヤバい、まただ。でもこのトンネル、ツーリングマップルに書いてないんだけどな。また歩くか」

そう思いながらトンネルに近づいていくと、手前に交差点があって左にトンネルを迂回できる旧道のような道がある。「おっ、この道は?」

ツーリングマップルをみると、トンネルを迂回する左の道は阿仁の街に通じているし、その先では国道105号線にも通じている。「よーし、左折だー」

左折してトンネルは避け阿仁の街に向かう。「よしよし、いいぞー」

左の道に入ると道路のすぐ横を阿仁川が流れ、阿仁川には縦貫鉄道の橋が架かっている。いい眺め。

阿仁川と縦貫鉄道の橋
阿仁川と縦貫鉄道の橋

阿仁の街に入る。久しぶりに街っぽいところに来た。

13:33 阿仁合駅に到着。三角屋根っぽい駅舎が特徴的。トイレ休憩する。

阿仁合駅を出発。阿仁の街を抜けて国道105号線に復帰する。

14:03 くまげらエコーラインの分岐に到着。

ここを右折して県道309号線をずーっと進むと大平湖や小又峡、温泉など面白そうなところがある。が、さすがに日程的に合わないので計画段階で早々に却下。

左折して県道214号線「くまげらエコーライン」に入る。上り坂が続くが、勾配は5%ぐらいで大したことはない。

阿仁前田トンネルに差し掛かる。ここも少し心配していたが、右側に歩道がある。問題なーし。

トンネルを抜けてもまだ上り坂が続く。「あれっ、トンネルがピークだと思ったんだが

くまげらエコーラインに入ると少なかった交通量はさらに減りほぼ皆無。「エコーライン」、いいネーミングだ。山間に入っていくが、こだまが返ってきそうなほど標高が高いわけではない。のんびり行こう。

上小阿仁~五城目

「秋田杉とコアニチドリの里」の上小阿仁村に入る。まだまだ上りが続く。

結局、上り坂は「くまげらエコーライン」と書かれた木の案内板が立っている駐車場まで続いた。

くまげらエコーライン
くまげらエコーライン

その後はずーっと下り坂。快適快適。

14:48 国道285号線に到着。左折して「道の駅 かみこあに」に入る。ここは連休中ということもあり、結構混んでいる。

国道285号線は秋田と大館を結ぶ最短路で、この先にはいくつかトンネルも控えている。この後の交通量や道路状況、特にトンネルがどうなっているのか気になる。

それはさておき、5月早々だというのに暑い。なのでアイスを食ってしばらく休憩する。「うめぇー、夏みたいだ」

道の駅を出発。まもなく上小阿仁の街を通り抜ける。心配していた交通量は少なく、山道に入っても片側には広い歩道がずっと続いている。よかったよかった。ただ道はジワジワ上り始める。

「小朦沢橋」…全く読めん。帰ってから調べてもよくわかん。「こもうさわばし?」

487mの南沢トンネル、419mの上小阿仁トンネル、361.5mの秋田峠トンネル、77mの五城目トンネルと4つの短めのトンネルを通過する。どのトンネルも歩道があるので走行には全然問題なし。心配は無用だった。よかったよかった。

上りも秋田峠トンネルがピークで下り始める。

16:20 滑多羅(なめたら)温泉に到着。

旅前の計画段階では、阿仁マタギからの距離を考えるとここに泊まるのが一番いいと思った。名前もいいし…。で、宿に電話してみた。が、全然繋がらなかった。

到着してみると温泉の看板も建物はあるが、やはり営業している雰囲気はない。温泉の看板にはなぜかタンチョウの絵が書いてある。「なんで?怪我をしたタンチョウがここの温泉に入って治ったとかいう伝説でもあるのか?」

続いて、滑多羅温泉の奥にある「赤倉山荘」に行ってみる。ここは営業しているようだ。団体さんしか泊まれないような感じだったので予約はしなかった。

国道285号線に戻る。今日のゴールは見えてきたし、時間にも余裕があるのでちょっと横道に逸れたりしてのんびり走る。

県道4号線との交差点に到着。高台にある「小倉♨️」の看板を発見。「あそこだ!」

小倉温泉(中央上の建物)
小倉温泉(中央上の建物)

都合よく交差点に店があるので、買い出しして宿に向かう。よーし。これで晩酌はOK

16:58 宿に到着。今日のお宿は「小倉温泉旅館」。入口で荷物を解いている間、宿に出入りする人が結構多い。どうやら地元の日帰り温泉のお客さんのようだ。自転車は広い玄関の中に入れさせてもらう。ありがとうございます。

部屋は8畳の畳敷にフローリングが4畳分ぐらいあり、かなり広い。宿が高台にあるため、大きい窓からは山間に広がる田園と集落が見渡せ、なかなかいい眺めだ。12食で8,900円也。

温泉に入って晩飯。なんとここの宿は部屋食。「よーし、気兼ねなく買ってきたビールで乾杯できるぞー」

今日の晩飯も「だまっこ(きりたんぽ?)鍋」などいろいろあり、満足満足。

明日はいよいよ八郎潟干拓地と男鹿半島に行く。天気はいいらしいので楽しみ。

寝る。

走行時間:4h32m50s、走行距離:73.49km
平均速度:16.1km/h、最高速度:42.9km/h

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