'08 オロロンライン北上⑥ 天塩〜豊富温泉

2021年7月18日日曜日

2008年 自転車旅 北海道

5日目 2008年7月29日(火) -

7時前には起床。今日も外はほぼ快晴で、窓からは隣りにある「鏡沼海浜公園キャンプ場」が見える。

「いい天気だし、海の近くで眺めもいいので、ここでキャンプするのもいいかもしれないな」

窓の外を眺めて、そんな風に思う。

鏡沼海浜公園キャンプ場

さて、今日のツーリングは、いろいろあって以下の経路で走る予定だ。

まず道道106号線を北上し、道道972号線へ右折して幌延ビジターセンターに行く。その後、パンケ沼に足を伸ばそうと思っている。

パンケ沼のあと、元来た道を道道106号線まで戻り、再北上する。稚咲内で道道444号線に入り、その後、道道763号線へ左折して兜沼へ向かう。

兜沼からは、なるべくカントリーロードを通って南下し国道40号線に出て、宮の台展望台に行く。

そして豊富に出て、最後は自転車道を通って、今日の宿がある豊富温泉に向かう。これで総距離は約95kmになる。

サロベツ原野を1周するようなコースだが、こんなコース、特に道道763号線から兜沼に抜けるコースを選択したのは、ある自転車旅のサイトでこの道の景色がいいと書いてあったからだ。

出発前に7月31日の礼文の宿をネットで予約する。

8:37 宿を出発。まずセイコーマートに寄ってミネラルウォーターを補給する。

道道106号線に向かうため、街中の道を北上していると、

「←稚内への近道」

という大きな案内標識が目に飛び込んでくる。

その道が道道106号線のようだ。

道道106号線

そして、案内標識が示す交差点を左折して、いよいよこの旅のハイライトともいうべき道道106号線に入る。

少し走ると道道106号線は交差点で右に折れるが、交差点の真っ直ぐ先に海が見えるので、ちょっとそっちのほうへ寄ってみることにする。

そこは天塩川河口近くにある河川敷の公園のようなところで、手前に天塩川、砂州を挟んで奥に日本海が一望できる。残念ながら、今日もここからは利尻山が全く見えない。。遠くに風車が見えるが、あれがこれから向かうオトンルイの風力発電所だろう。

散歩するには良さそうな遊歩道が整備されているし、眺めもいい。天気がよければ日本海に沈む夕日や利尻山も見えると思うので、もっといい風景が見られるだろう。あとで調べると、ここは「天塩川河川公園」というところだった。

天塩川沿いの道を北へ進み、道道106号線に復帰する。

民家がなくなり郊外に出ると、左手に「川口遺跡風景林」という看板がある。そこには駐車場があり、大きな案内板のようなものも見えるので、案内板のところまで行ってみる。

案内板を見ると、この奥に竪穴式住居と遊歩道があるらしいが、まだ出発したばかりだし、寄ってみるほどのところでもなさそうなので、パスする。

道道106号線は大きく左へカーブし、天塩河口大橋を渡る。天塩川は北海道で2番目、全国でも4番目に長い大河。川幅はそれほどでもないが、河川敷がかなり広いので、橋も長い。

9:09 天塩川を渡り、幌延に入る。

広い浜里駐車公園を通過、前方から「オトンルイ風力発電所」の白い風車群が近づいてくる。

このあたりの道道106号線は、電柱や下矢印ポール、歩道の外側に排水溝があるなど、ツーリングマップルに書いてあるような

「電柱やガードレールも無い原野の中を道が延びて行く」

というほどの最果て感はまだない。

9:23「オトンルイ風力発電所」の風車群に差し掛かる。広大なサロベツ原野をバックに28基の白い風車が一列に連なっている。

こんな風景は、日本ではここでしか見られない唯一の場所だろう。広大な原野に巨大な人工物、なかなか壮観だ。しかもこれが3kmちょっとも続く。

オトンルイ風力発電所の風車群
オトンルイ風力発電所の風車群

9:31「サロベツ原野駐車公園」に到着。ちょっと休憩する。海を眺めていると、海面から少し浮いたところに、うっすらと何やら三角形の黒っぽい影が見える。

「あっ、利尻山だ!」

ついにというかようやくというか、この旅初の「日本最北の百名山・利尻山」の登場である。

早速、写真撮影を試みるが、肉眼でもうっすらとしか見えない利尻山を、光が反射してただでさえ見づらいデジカメの小さい液晶画面で確認するのは全くムリ。ズームにすると、もうどこを撮っているのかさっぱりわからない。

しょうがないので、肉眼で利尻山とその周囲に見える草や看板などの位置関係を確認して、

「この辺!」

と適当に当たりをつけて写真を撮ってみる。

なんとか、ぼんやりした利尻山の黒い影を写真に収めることはできたが、写真の中央で撮ることはできなかった。まぁ、ハッキリ写っていないのでこれぐらいでいいだろう。

時間が経って、もうちょっと空の霞がとれることを期待する。

「サロベツ原野駐車公園」を出発するとまもなく、「オトンルイ風力発電所」の最後の風車を通過する。これで人工物がまた一つ消える。

しばらく走ると、

「下サロベツ原野園地 幌延ビジターセンター 4km→」

の案内標識が現れる。

幌延ビジターセンター

9:44 道道972号線へ右折、「幌延ビジターセンター」へ向かう。

サロベツ川を越えると、道道972号線はサロベツ原野の真っ只中を走っているようで、原野以外何もなくなる。

そんな中、しばらくすると、遠くに小さな建物と、この景色には不釣り合いな高い塔のようなものが見えてくる。

9:56「幌延ビジターセンター」に到着。

道を挟んだ向かいにある高い塔は展望台のようだ。ビジターセンターの見学は後回しにして、とりあえず、その展望台に上ることにする。展望台はかなり高く見える。周りに山や丘、高い人工物がないからかもしれない。

展望台の一番上からは、サロベツ原野が360°一望できる大パノラマ。全く遮るものがなく、一面緑の湿原や牧草地が広がり、その中にビジターセンター、長沼、パンケ沼、遠くにオトンルイ風力発電所の風車群、霞む日本海と利尻山も見える。まさに絶景。

サロベツ原野の中のビジターセンター
サロベツ原野の中のビジターセンター

できれば、もうちょっと日本海と利尻山が見えて欲しいところだが、まぁそれはちょっと贅沢なのかもしれない。

サロベツ原野のパノラマ
サロベツ原野のパノラマ

展望台を下りて、次はビジターセンターに入る。

入館は無料。一通り、展示物を見学していく。2階の展望デッキから木の遊歩道が見え、湿原の中まで続いているように見える。パンフレットで確認すると、遊歩道はビジターセンターから長沼を越えて、パンケ沼まで続く「下サロベツ原野自然探勝路」のようだ。

さすがにパンケ沼まで歩いて行く気はないが、長沼のほうまで散策してみることにする。

ビジターセンターでトイレを済ませ、遊歩道を歩いていくと、草花の写真を撮っている人や散策している人が数人いるだけで、ものすごく静か。鳥の声と風の音、風で草花がざわめく音ぐらいしか聞こえない。

湿原には「やちまなこ」といわれる落とし穴があり、地表に出ている水面より、ずっと大きくて深い巨大な「つぼ」が地下にあるらしい。遊歩道にあるそんな説明板を読み、

「ここに落ちたら、死んで見つからないな」

と湿原の恐怖を感じる。

「やちまなこ」…覚えておこう。

長沼の途中まで行き、急いでビジターセンターに戻る。今日は寄りたいところが多いので、あまりゆっくりしていられない。

下サロベツ原野自然探勝路と長沼
下サロベツ原野自然探勝路と長沼

次はパンケ沼に向かう。計画段階では当初、パンケ沼に行くことは全然考えていなかったが、ここも自転車旅をしている人のサイトを読んで、なぜだが自分も行ってみたくなった。

ただ、時間にあまり余裕がないし、ここから往復どれぐらい時間がかかるかも読めないので、遊歩道を歩いている時も行くかやめようか迷っていた。

が、せっかくここまで来たのだから、行ってみることにする。

パンケ沼

10:30「幌延ビジターセンター」を出発。

「45分ぐらいか、遅くても1時間以内で戻ってきたい」

と、あまり根拠なく時間を設定して、スピードをあげる。それでも所々で自転車を止めて写真を撮ったりするので、その度に少々焦り気味に自転車を漕ぎ出す羽目になる。

10:54「パンケ沼園地」に到着。まずまず狙い通りの時間に着いた。一応、小さな駐車場にトイレ、東屋もあるが、人気はまるでなく、訪れる人は少なそうだ。

駐車場から先に続くダート道を、自転車を押しながら歩いていくと、「パンケ沼」と書かれた丸太の表示板がある。その先に沼が見え、木の柵がある遊歩道が続いている。右手には「パンケ沼野鳥観察舎」と書いてある小屋もある。

自転車をこの表示板に立てかけて、沼の方に行くと、桟橋のようなところに出る。ここから見るパンケ沼は濁っていて如何にも沼といった感じ。お世辞にも綺麗とはいえないし、野鳥も全くいない。

せっかく来てみたが、パンケ沼の向こうにうっすらと利尻山が見えるぐらいで、ほとんど見るようなところがない。何枚か写真を撮って、すぐに引き返す。野鳥観察舎もパスする。

パンケ沼
パンケ沼

「パンケ沼園地」を出発。元来た道を急いで戻る。

再び、道道106号線

11:34 道道106号線に復帰。時間的にはいいところだろう。

「CHIHEISEN CLUB」という看板のある民家を通過。道道106号線沿いで民家を見るのはこれが初めてだ。そして前方にシェルターが見えてくる。

11:42「北緯45°モニュメント」に到着。利尻山に近づいたせいか、山の黒い影が少し濃くなったような気がする。

早速、MR 4FをN字の北緯45°モニュメントの前に止めてうっすら見える利尻山をバックに記念撮影する。その後も利尻山をズームで撮ったり、対向車線側にある「北緯45度通過点」の案内標識も写真に収めたりする。

北緯45°モニュメント
北緯45°モニュメント

利尻山
利尻山

そんなことをしていると、南から荷物を積んだツーリング中のバイクが1台やってくる。ツーリング中のライダーなら当然、ここに寄って必ず写真を撮るだろう。

そう思い、MR 4Fを北緯45°モニュメントの前からどかす。そのソロライダーは、やはり北緯45°モニュメントの前にバイクを止めた。

と、その時、ライダーのヘルメットから後ろ髪が出ているのに気づく。どうやら、女性ライダーのようだ。

ヘルメットを外すと、やはりその方は女性だった。

「すみません、写真撮ってもらえませんか?」

と、その女性ライダーに頼まれる。他に誰もいないので、バイクが来た時にそうなることを想定していたし、写真を頼まれたときはいつも快く引き受けているので、今回も応じる。

北緯45°モニュメントをバックに、バイクとご本人を入れようとするが、どうも車道の方まで下がさないと入りきらない。やむを得ず、少し車道に出るため、車が来ていないか道の両側を確認する。南から車が1台こちらに向かって走っているが、まだかなり遠い。

十分距離もあるので、少し車道に出て写真を撮る。写真を撮り終え、戻ろうとすると、その南から来る車にかなり遠くからクラクションを鳴らされる。

そのドライバーは、よっぽどスピードを落としたくないのか、それともこちらが車に気づいていないとでも思っているのだろう。

カメラをその女性ライダーに返すと、

「お返しに、写真撮りますよ」

と言われるが、それは丁重にお断りする。自撮りは好きではないので…。

お互い手を振り、女性ライダーを見送る。

こういう旅人同士のちょっとした交流もいい思い出になる。

北海道では、ツーリング中のライダーとチャリダー、トホダーはすれ違う時や追い抜くときに手を振りあうことが多い(たまにドライバーも)。全然、顔も見えない、知らない人同士がこうやるのは、他では見られないので、北海道をツーリングする時の楽しみでもある。

北緯45°モニュメントを出発、すぐに「浜里パーキングシェルター」を通過。この辺は冬になると地吹雪が凄いだろう。

シェルターを過ぎると、再び、原野と日本海だけの変化のない風景が延々と続く。

11:57 豊富との境界に到着。境界にある豊富町のカントリーサインは「利尻山が見えてエゾカンゾウが咲くサロベツ原野の温泉に牛が入っている」といったところだろうか。

いよいよ境界の先には、とんでもなく日本離れした風景がずーっと広がっている。どこまで続いているのかわからない。

見える人工物は、アスファルトと所々にある反射灯だけ。幌延側にあったガードレールや電柱、下矢印ポール、排水溝はない。もちろん、民家も見えない。

電柱やガードレールも無い道道106号線
電柱やガードレールも無い道道106号線

そんな風景の道道106号線に突入する。

目に入るのは、ほとんどが日本海とサロベツ原野のみ。どこまで走っても原野の中を1本のアスファルトだけが果てしなく真っ直ぐ延びているような気がしてくる。路肩は狭くなるが、車もたまに通るだけで、ほぼ皆無。

ここがツーリングマップルにも書いてある、

「道には電柱やガードレールも無い原野の中を道が延びて行くライダー憧れの道」

のようだ。日本語が少しおかしいが言いたいことはよくわかる。

これで利尻山がハッキリ見えたら完璧だが、残念ながら、天気がいいにもかかわらず、海の向こうの利尻山は、相変わらずうっすら頭のほうが見えるだけだ。

ここまでも原野の中を走ってきたが、一段と最果てを感じる。原野と海しかないところだが、普段お目にかかれない風景のところを自転車で走っていることに気分が高揚して、走っているだけで十分楽しい。天気がよく、風が弱いのも運が良かった。

雨だったり、向かい風が強ければ、こうは感じないだろう。

12:20 稚咲内の集落に入る。集落を見るのは天塩を出発してから初めてだ。

ここで右折して、道道444号線に入る予定だが、この先に休憩できそうなところがあるので直進する。

稚咲内海岸近くにある「砂丘の駅」に到着。トイレを済ませ、隣にあるお店「ハウス砂丘林」に入る。アイスを買ったような気もするがよく覚えていない。

ただ、お店のおばちゃんが仕切りに、

「暑い、暑い。今日は25℃もあるんだとー」

と言っていた。

30℃超が当たり前でムシムシ湿度のところから来た今の自分にとっては、25℃は快適な暑さだが、ここの人にとっては確かに暑いかもしれない。

「砂丘の駅」を出発、少し戻って道道444号線へ左折する。

しばらく走ると集落に入る。どうもこちらが稚咲内のメインの集落のようだ。ついさっき通った漁港周辺が稚咲内の集落だと思っていた。

それでも集落はあっという間になくなり、道道444号線は、道道106号線と打って変わって、周囲が見通せない森の中の上り道になる。

「ヒグマでも出そうだな」

と思って走っていると、右手の森が急に途切れて、ドカ~んとだだっ広い牧草地が現れる。

「やっぱりな」

ここも果てしなく広がっている。

そんなことを思っていると、左手に「民宿 あしたの城」の看板が現れる。

ツーリングマップルでこの宿を見つけた時、ミョーな名前なので以前から気になってはいたが、道路から建物は見えない。ただ、ここは民宿といっても、ドミトリーが基本なので泊まろうと思ったことはない。

ミョーな名前の宿といえば、小樽にある「渡り鳥哲也」というライダーハウスも気になる。

道道763号線

12:45 道道763号線との分岐に到着。左折して道道763号線に入る。ここから先、兜沼まで行って豊富に戻ってくる予定。

道道763号線に入ると、小さなアップダウンが続く。どうも丘陵地帯の中を走っているようだ。少し高いところを走っているので、時折、右手に広がる広大な牧草地を見下ろせるところもあり、遠くの山のほうまで見えて、確かに眺めはいい。

走っているうちに、なんだか腹が減ってきた。いつもながら昼飯は食べていない。一応、こんな時のためにカロリーメイトを持っている。

12:57 道道763号線に入って3km程の、眺めのいいところで小休止。カロリーメイトを食べて、景色を眺めながらしばらく一服する。

道道763号線から見るサロベツ原野
道道763号線から見るサロベツ原野

6,7分ほど休憩して出発。すると、すぐに牧草地で牛さんたちがのんびり草を食んでいる光景が見えてくる。今日は、ほとんど牧草地の中を走ってきたが、放牧されている牛さん達を見るのは初めてだ。

いつの間にか道道763号線は平坦な道になり、周りも平坦な牧草地が広がる。

そんな中を走っていると、たびたび気になる標識が目に入る。それは、道路のガードレールやワイヤロープ柵の直前にある赤白ポールの上の方(地面から2mぐらい)に、柵を示す黄色のマークが付いていることだ。

多分これも、道路にある下矢印ポールと同様、冬にガードレールやワイヤロープ柵が雪で埋まって見えなくなるので、それも知らせるためのものだろうと思う。

自分は北海道出身だが、この柵を示す標識はみた記憶がない。

落合広域農道の分岐を過ぎてしばらく走ると、丘越えの上り坂が始める。意外と坂は長く、ダラダラと3kmほど上らされる。

下り坂に入り、一気に駆け下りると、道道763号線は再びアップダウンの道になる。その途中にあるピークに差し掛かったところで右手前方に大きな水溜りが見える。

「あれが兜沼だろう」

小さなアップダウンはあるが、再び下り基調の道道763号線を、兜沼を通り越して北上する。

兜沼

14:03 JR宗谷線の踏切に到着。踏切を越えて、進路を東に変える。

兜沼の集落に入り、道道510号線に到着。ここで道道763号線は終了、まずまず景色を楽しめたと思う。右折して兜沼駅方向に向かう。

14:13 兜沼駅に到着。

駅舎の前にはジャイアントのクロスバイクとママチャリが止まっている。そして、駅舎の日陰の、その自転車の前で、おじさんがバッグを横に置いて、地べたに座り込んでいる。

「んっ、なんだ?」

おじさんは、いでたちから旅行者に見えるが、かなり疲れているようにみえる。こんなところで、汽車を待っていることもないだろう。

「クロスバイクで旅して疲れた?」

と最初は思ったが、どちらかというとママチャリの近くに座っているので、

「ママチャリで自転車旅?」

とも思う。

駅舎の写真を撮りたいのだが、その前におじさんがドッカリと座っていて、しばらく動きそうにない。話しかけないでほしい雰囲気も漂っているので、そのままにして写真を撮る。

と、その時、

「まもなく列車が通過します」

と駅のアナウンスが流れる。もちろんここは無人駅。

通過するということは特急列車だろう。すると、稚内方向から特急列車がやってきて、あっという間に通過して行った。古い車両だったので、あれは札幌行のスーパーな宗谷ではなく、サロベツだろう。

兜沼駅を出発。次は「宮の台展望台」に向かうのだが、国道40号線はなるべく走りたくない。ツーリングマップルによれば、国道40号線から3kmほど西にカントリーロードがある。ここを走れないかと旅前から思っていた。

問題は、その道が舗装されているかだ。国道40号線に向かいつつ、まずはそれを確かめることにする。

道道1118号線に出ると、古くて少し洒落た建物が目に入る。あとで調べると、ここは「兜沼郷土資料室」だった。その横には「豊富町発祥の碑」がある。

開基記念や発祥の碑は北海道ではよく見かけるが、ここが豊富町の発祥地とは思わなかった。今の豊富町の中心部からかなり離れている。

豊富町発祥の碑
豊富町発祥の碑

道道1118号線を進み、カントリーロードの入口を探す。ツーリングマップルによれば、兜沼公園キャンプ場が目印になるだろう。

しばらく走ると、

「兜沼公園→」

の大きな案内板が現れる。ここがカントリーロードの入口だろう。

道路も舗装されているので右折する。踏切を渡ると二叉路になっていて、

「兜沼公園オートキャンプ場→」

の案内板が出ている。

「ここは左だろう」

そう思い、左の道へ進む。道幅は狭くなるが、舗装路は続いている。行けそうだ。

次の問題は、この道をどこで左折して国道40号線に出るかだ。

というのも、ツーリングマップルによれば、このカントリーロードを進むと、しばらくは南下できるが、途中で南西方向に進路が変わり、最後は落合広域農道に到達する。

最後まで、このカントリーロードを進むとかなり遠回りになるので、南西方向に進路が変わる手前の、道道1118号線の入口から3kmほど先にある十字交差点で左折して、国道40号線に出たほうがいい。

その道を行こうと思うが、ツーリングマップルを見ても、左折する交差点にこれといった目印がないので、場所がよくわからない。左折した先から国道40号線までの道も舗装路なのかダートなのかわからない。

どこまで走れるかわからないが、時間にまだ余裕があるので、とりあえず行ってみることにする。

森の中の道路をしばらく走ると、牧草地に出る。

牧草地では作業しているトラクターも見えるので、この道は農作業用の道路として普段からよく使われているような気がする。舗装路もこの先ずっと続いているので、なんとなくこのまま国道40号線まで行けそうな気がしてくる。

牧草ロールが転がる、のどかな牧草地を眺めながら走る。

サロベツ原野を貫くカントリーロード
サロベツ原野を貫くカントリーロード

14:41 最初の十字交差点に到着。ここが左折ポイントかどうかわからないが、交差する道路は片側1車線の舗装路だし、行き過ぎるよりここで左折した無難だろう。
そう思い、左折して国道40号線に向かう。

サロベツ川、JR宗谷線を渡り、ダートなしで国道40号線に到達する。あとで調べると、ツーリングマップルに書いてある道の通りに走ったようだ。

右折して国道40号線に入る。国道40号線は、交通量、特にトラックが多そうな感じがして気になっていたが、実際は想像以上に交通量が少なく、意表を突かれる。

そういえば、ここら辺は国道に並行して自動車専用道の豊富バイパスが走っているので、大半はそっちに行っているのだろうと思う。

国道沿いは見所がないので、「宮の台展望台」に向けて突っ走る。

宮の台展望台

道道923号線の分岐に到着。ツーリングマップルによれば「宮の台展望台」は道道923号線の北側に書いてあるので、ここを少し入ったところにあるのだろうと思っていた。

ところが、道道923号線の分岐に「宮の台展望台」の案内板はない。

「変だな、もうちょい手前だったかなぁ」

と思っていたら、道道923号線の分岐の先に

「←0.9km 宮の台展望台」

の案内板があるのを発見する。

「なんだ、ここじゃなくて、1本先の道かよ」

よくあることだが、またしてもツーリングマップル(2007年度版)の地図が微妙に違っていた。

あの案内板に気づかずに道道923号線へ左折していたら、しばらく迷う羽目になっているところだった。

道道923号線の1本南側の道へ左折する。

すると、すぐに上り坂が始まる。次の二叉路は左の急坂のほうへ。勾配は10%以上ありそうだ。さすがに1日の終盤での急坂はちょっとキツい。

前方に展望台のような塔が見えてくるが、まだまだ結構距離がある。

15:14 汗だくで「宮の台展望台」に到着。誰もいない。

丸太で組んだ「サロベツ 宮の台展望台」の大きな看板の横に、説明板がある。

それによると、最初、この展望台は、ここの地名から「徳光展望台」という名称だったが、サロベツ原野の開発で「サロベツ展望台」になり、その後、義宮殿下が視察されて「宮ノ台展望台」になったとのこと。

そしていよいよ、ツーリングマップルに、

「感動的な広大なサロベツ原野と利尻山を眺望」

と書いてある展望台に上る。

がしかし…天気はいいものの、展望台はサロベツ原野や日本海を望む西向きなので、西日をマトモに受けて、肉眼でも遠くは見えない。

利尻山が全く見えないのは仕方ないとして、広大なサロベツ原野は手前半分ぐらいの牧草地までしか見えない。それより遠くは光っていてよく見えないし、日本海は全く見えない。写真撮影しようと思っても、当然、完全な逆光なので酷い写りだ。

逆光の「宮の台展望台」からの眺め
逆光の「宮の台展望台」からの眺め

来る時間がマズかったことに尽きる。ここに来るのなら天気のいい午前中か、日が沈む夕方ぐらいしかないだろう。

残念…。また機会があれば、その時間に来ることにしよう。

15:26「宮の台展望台」を出発。

急坂を下りて国道40号線に復帰、左折して豊富市街に向かって突っ走る。

豊富

豊富の市街地に入り、セイコーマートで炭酸など飲み物を補給する。

15:57 豊富駅に到着。写真を撮ってすぐに出発。宿のある豊富温泉に向かう。

旅前に調べたところ、豊富市街から豊富温泉へは、道道84号線と並行して「豊富町サイクリングロード」があるようなので、そこを通って行こうと思う。自転車道の入口は「自然公園(パークゴルフ場)」の近くにあるようだ。

一方で、その自転車道は豊富温泉まで続いておらず、途中で「大規模草地放牧場」のほうに外れて行くので、途中で道道84号線に復帰しないといけない。

道道84号線と「大規模草地放牧場」の分岐あたりにサイクリングロードの出口がありそうだが、正確な場所はよくわからない。案内標識を頼りに行ってみようと思う。

駅を出て国道40号線を越え、そのまま直進し道道84号線に入る。住宅街をしばらく走っていると、左手に広めの駐車場がある。

「ここかな?」

と思い、駐車場の周囲をよく観察すると、その奥にパークゴルフ場が見え、さらに駐車場の先に「サイクリングコース入口」の看板を見つける。

すぐにサイクリングコースに突入する。道路はそれなりに整備されていて走れる状態だ。進むにつれてそうでないところもあるが、走れないことはない。誰ともすれ違うことなく、自転車道を走る。

時間に余裕があるので、結局、サイクリングコースの終点まで行き、さら「大規模草地放牧場」の入口あたりまで足を延ばしてみる。

16:25「大規模草地放牧場」の入口に到着。

丘陵地に牧草ロールが転がっている。ここが「大規模草地放牧場」の入口で間違い無いだろう。ここまで来たのは、明日ここを抜ける落合広域農道を走ろうかなと考えていたからだ。

大規模草地放牧場への入口
大規模草地放牧場への入口

これで入口を確認できので、道道84号線の分岐まで戻って、宿に向かうことにする。

道道84号線に復帰して豊富温泉に向かう。

豊富温泉

16:35 豊富温泉に到着。時間があるので、温泉街をブラブラしてみる。

小さな温泉街には、以前はスナック街があったと思われる通りや、もう営業していない旅館や料理屋の古い建物が目につき、かつてはそれなり賑わっていたのだろうと想像できる。

かすかに昭和っぽい温泉街の雰囲気も感じるが、予想していたとはいえ、街はかなりくたびれている。

そんな温泉街の中で、駐車場に車が結構止まっている新しい建物がある。ここが日帰り温泉のある「豊富温泉ふれあいセンター」のようだ。車が多いので、地元の人にかなり人気のようだ。

ここ豊富温泉は、温泉の中に石油成分が含まれていることで有名らしく、湯船に油も浮いていて匂いもするらしい。

ちょっとセンターの中を覗いてみるが、温泉には入らない。石油風呂は宿で体験しようと思う。

夕方、宿に到着。今日のお宿は「ニューホテルサロベツ」。1泊2食(夕食1ドリンク付)で、8,550円也。部屋は和室10畳に広縁があり、バス・トイレ付。

風呂は大浴場の温泉に行く。湯船には多少の油が浮いているが、それほど黒くもなく、匂いもキツくはない。

ふくらはぎからアキレス腱周辺がかなり日焼けしていてヒリヒリする。温泉に入るとちょっと痛い。

日焼け止めは塗っていたが、留萌からずっと北向きに走ってきたので、日差しがちょうどここら辺にずっとモロに当たり続けて、焼けてしまったのだろう。

屋上に露天風呂があるので、行ってみると誰もいない。一人でゆっくり周囲の山々を見ながら入る。

晩飯は大広間というか、大きな食堂のようなところのテーブル席で食べる。だいたいグループが多く、一人なのは自分ぐらい。前の席にはおじさんの二人組。どういう仲なのかはわからないが、おじさん一人より珍しいように思う。

部屋に戻り、二次会開始。

明日は、道道444号線で稚咲内まで戻り、道道106号線で稚内まで行く予定。走行距離は74kmぐらいしかないので、やはり「大規模草地放牧場」を通る落合広域農道を経由して豊富の街に出ようと思う。

走行時間:5h47m04s 走行距離:101.39km
平均速度:17.5km/h 最高速度:42.4km/h