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'16 強風の隠岐と出雲国③ 中ノ島〜西ノ島

2016年 自転車旅 中国

3日目 2016年5月2日(月)       -

5:00頃に起床。昨日、近所のお店で買ってきたパンを食べ、いつものようトイレ待ちしながら出発の準備をする。

今日は、この旅で一番行きたかった西ノ島の「魔天崖」に行く。この連休の行き先を島根にした一番の理由でもある。

魔天崖は映画「私は貝になりたい」を観て知ったのだが、「スゴい絶景」だった。

魔天崖は、西ノ島の港から一番遠いところにあるが、西ノ島では真っ先に行くつもりでいる。というのも過去の経験から、一番行きたいところを後回しにすると、時間が足りなくなったり、天気が悪くなったりして、後悔することがある。

そんな事にならないよう、時間や体力的に問題のない範囲で、一番行きたいところから順番に行くようにしている。

今日も幸い、天気がいいが、明日は雨予報。なので、だんだん曇ってくるかもしれないのでやはり早めに行った方がよさそうだ。

トイレも完了し、宿を出る。出発の際、宿のご主人と話しをする。

自分   :「ここ(中ノ島)は西風がいつも強いのですか?」

宿のご主人:「ここは西ノ島の陰なのでたいしたことはないですよ」

自分   :「では、西ノ島はどうなんですか?」

宿のご主人:「最悪!」

宿のご主人は、これまで丁寧な言葉使いと物腰低い態度だったので、やや突き放したように「最悪」と言われたのでちょっと驚く。

根拠はないが、なんとなく、西ノ島へ対抗心みたいものを感じてしまう。西ノ島には「魔天崖」などの有名な観光地があるので、島の名は中ノ島より知られていると思うし、自分もそうだった。

逆に言えば、中ノ島への強い愛着の表れなのかもしれない。

とにかく、こちらに来てから西風が強いので、西ノ島の西端にある魔天崖はかなり風が強いだろうと覚悟する。

その一方で、今までも沖縄や奥尻なんかで強風はそれなりに経験しているのでなんとかなるだろうとも思う。

西ノ島に渡る前に中ノ島を1周する。

中ノ島

6:55 宿を出発。まず空き缶を捨てるため、役場のある中心部に向かい、ゴミ箱を探す。ゴミ箱はすぐに見つかり、空き缶を捨てる。

中ノ島は、時計回りまわる予定なので、隠岐神社方向に引き返す。その直後、トラブル発生。チェーンがフロントの外側ガードに当たるような感じだったので、少しだけ内側になるようアジャスターボルトを1/4回転ほどまわす。

すると初日同様、フロントギアがアウターに入らなくなってしまう。

「またかよ〜」

と声に出しつつ、アジャスターボルトを元に戻すが、それでも直らならい。

県道317号線を少しずつ走りながら、初日の松江の時と同じようにアジャスターボルトを一番緩めた状態から半回転ずつ締めて調整しながら進むが、今日も直らない。やはり原因は他にあるようだ。

とりあえず、船の時間もあるので、このまま走る事にする。走りのほうも、上りはインナーで問題ないし、下りは漕がなくていい。平坦な道もリア9段のうちせいぜい外側3段目あたりまで入れれば十分漕げる。これだとチェーンにもあまり負担がかからないだろうし、そもそも平坦な道自体が少なさそうだ。

フロントギアの調整ばかりに気がいっていたので、ここまで周りの景色が全然目に入ってこなかった。ここから落ち着いて走ることにする。

まずは、最初の目的地の「明屋海岸」に向かう。民家が消えた県道317号線で走っていくと、明屋海岸の案内標識を見つける。左折して下りていく。

7:21 豊田の集落に到着。小さな漁港と民家はあるが、海岸という感じではない。海沿いをさらに進んでみるも、岬の先端に続くような細い上り坂しかない。

来た道を戻り、海の駅がある漁港のほうに行ってみるも、岸壁があるだけで、風光明媚な海岸線も、パンフレットの写真のような場所も見当たらない。

豊田漁港からの眺め
豊田漁港からの眺め

時間もあまりないので、明屋海岸は諦めて出発することにる。

あとで調べると、県道317号線から下りていく途中に、漁港の手前にある交差点で右折したが、そこを直進していれば明屋海岸に出たようだ。

次は「天川の水」に向かう。島の東側を一山超えて南下して、保々見の集落で右折する。内陸に入ると田んぼが広がっていて、農家の皆さんはすでに作業を始めている。

7:50「天川の水」に到着。保々見で右折したら、すぐだろうと思っていたが、結局、分岐から500mぐらい走ることになった。

ここに来る目的は湧き水を補給すること。しかし、水は湧いているが、コップや柄杓などはなく、飲めるようになっていないし、そもそもこの湧き水自体が飲めるかどうかもわからない。

天川の水
天川の水

ここもすぐに諦めて、出発する。あとは島の南側をぐるっと周り、菱浦港に向かうだけだ。

保々見を出ると、県道317号線を離れ、海側にあるトンネルを抜けて知々井の港に出る。この道は比較的新しいようで、持っている2008年度版のツーリングマップルには載っていない。

知々井の港からは、結局、県道317号線まで上らされる。

一旦、御波まで下ると、そこから県道318号線との分岐までしばらく上り坂の山道が続く。今日はここまでいくつか上り坂を越えてきたが、この辺りが中ノ島で一番勾配がキツい(10%弱ぐらい)のではないかと思う。

そんな上り坂を上っていると、前方に地元の方4〜5人が道いっぱいに広がって、こちらと同じ方向へ歩いているのが見える。

「こんな時間に、こんなところを、なんで歩いているんだろう」

と少し不思議に思う。

しかし、そんなことより、

「こんな朝早い時間に、こんな山道を自転車で上ってくる見かけないおっさん(自分)」のほうが、よっぽど怪しくて、変な奴が来たと思われるに違いない。向こうの方は地元なんだし…

とにかく、追い越させてもらうためには道を少し空けてもらわないといけない。こういうときはいつも、歩いている人をビックリさせないように、後ろから聞こえる程度の小さい声で、

「すみません、通っていいですか」

とお願いしている。

今回もそうしようと思っていたが、歩いている人のうち、女性の方が自分のことに気づき、他の人にも伝えて道を空けてくれた。追い越す際に、

「すみません」

とお詫びしながら通り過ぎようとすると、気づいてくれた女性は、

「おはようございます」

と挨拶をしてくれるので、こちらも

「おはようございます」

と挨拶を返す。

が、その方以外の男性陣には、やや不審な目で見られる。まぁ仕方がない。

道を空けてくれてありがとうございます。

8:25 県道318号線との分岐に到着。予定通り、県道318号線に入らず、菱浦港を目指す。ここからは下りとなり、木々の切れ目から知夫里島と西ノ島が見える。

知夫里島(左)と西ノ島(右)
知夫里島(左)と西ノ島(右)

一気に山を下って行くと、辺りは田んぼに風景にかわってくる。ここまで来ると菱浦港まではあと10分ぐらいで、余裕で着くかなぁと勝手に思う。

が、5分ほど走っても田んぼは続き、海は見えないので地図を確認してみる。すると思っていた以上に距離が残っていて、倍の20分ぐらいはかかりそうな感じだ。

このときの時間は8:30、船の出航時刻9:00、結構ギリギリだ。

「ヤバイ」

かなりアセって、ここから少し飛ばしていく。港の少し手前にあるちょっとした坂に文句を言いながらも、ガリガリ上っていく。

8:45 菱浦港に到着。急いで自転車を折り畳み、輪行バッグに入れる。やれやれ。切符を買ってしばらくすると船がやってきた。

中ノ島の交通量は、朝早い時間ということもあり、菱浦港周辺を除き、ほぼ皆無だった。一応、島一周することはできたが、あと1時間ほどあれば、島の南端まで行き、もう少し余裕を持って周ることができたなぁと反省する。

これから乗船する西ノ島行きの船は、昨日乗らなかった「フェリーどうぜん」。乗客は少なく、客室も広いので、輪行バッグは客室の壁際に置いておく。

9:05 定刻より5分遅れで、中ノ島・菱浦港を出航。

西ノ島

9:20 定刻より5分遅れで、西ノ島・別府港に到着。15分だけ海を渡っただけが、宿のご主人が言われていた通り、風がかなり強い。

風除けのため、レンタカー屋さんの建物の陰で自転車を組み立てる。組み立て後、試走してみるが、やはりフロントギアは調整してもアウターに入らない。まぁ、中ノ島ではインナーだけで十分走れたので、このままでも大丈夫だろう。

9:38 別府港を出発。南へ向かって進もうとするが、前から突風が吹き付け、なかなか進めない。

なんとか国道485号線の交差点までたどり着くと、幾分風が弱まる。やれやれだ。国道485号線に入るとすぐに、自分と同じように自転車で旅をしているような女性1人と擦れ違う。

このあと、才の神峠まで上っていくが、勾配はキツくない。5%弱ぐらいだろう。才の神峠を越えると、風は吹いているものの強くはない。別府港の突風はいったいなんだったのだろうと思う。

峠を下りきると予め調べておいたスーパーを確認し、再び上り坂になりトンネルに入る。トンネルには広い歩道があり安全だ。

トンネルを抜けると西ノ島大橋に出るはずだが、トンネルの出口から、橋の上で写真を撮っている自転車に乗った男性1人が見える。あそこからは景色がいいのだろう。

その人は写真を撮り終えると、自分と同じ方向にすぐに走り始めたので、自分も橋の上へ出てみる。すると、そこからは青い空に大きな湾と対岸の山が綺麗に見えて眺めがいい。自分も写真を撮る。

西ノ島大橋からの眺め
西ノ島大橋からの眺め

橋を渡り下っていくと、今日の宿がある浦郷の街に入る。いつもなら、宿の場所を確認するが、それは後回しにして魔天崖へ向かう。

浦郷の街で、国道485号線は県道315号線にかわる。

県道315号線を進み「由良比女神社」を過ぎると、左手に「いかよせ浜 番小屋」の看板と、海の中で何かを取っている人達がみえる。が、よく見ると海の中にいるのは人ではなく、人が描かれた看板だ。

面白そうというか妙な光景なので写真を撮ろうと自転車を止める。すると、少し先の県道315号線と県道320号線の分岐付近で、西ノ島大橋で見かけた自転車の男性が止まっているのに気づく。

なんとなく、魔天崖や通天橋のある県道315号線の方を伺っているような感じに見える。

「いかよせ浜」の写真を撮って走ろうとすると、さっきの男性は自転車を降りて押しながら県道315号線へ進み始めた。

いかよせ浜
いかよせ浜

県道315号線は、県道320号線の分岐から内陸に入り、この先にトンネルもあるので、ここから上り坂が続く山岳コースであろうと予想はしていた。が、いきなり自転車を押すほどでもないだろうと思い、分岐まで進んでみる。

分岐まで来ると、県道315号線はやや勾配はあるものの、問題なく上れる坂道だ。

10:10 迷わず県道315号を上り始める。少し先で自転車を押している男性に追いつく。挨拶しながら抜いていくと、男性は自分と同じくらいの年齢だが、自転車は、なんとブロックタイヤを履いている。さすがに上り坂でブロックタイヤはキツいだろう。

それでさっきの分岐で、行こうかどうか迷っていたのではないかと想像する。

どうもその人は、上り坂が続くだろうと想像できるところに、ブロックタイヤの自転車で来ているので、自転車ツーリングやMTBには慣れていないだろうし、道路のこともよく考えずに来たのではないかと思う。

さて、最初の坂道だが、勾配は5%強ぐらいだと思う。その後、短いトンネルを過ぎ、しばらく下っていると何台かの車に抜かれる。

10:20 魔天崖と通天橋の分岐に到着。県道315号線の終点でもある。魔天崖はここで右折してどんどん上っていく。下りも平坦もない。

途中から九十九折に曲がりくねりながらも、さらにドンドンどんどん上る。勾配はだいたい7,8%ぐらいで、カーブなどキツいところで10%ぐらいだろうか。

途中にテキサスゲートがあったり、たまに車が前後から来たりするので、注意しつつも、そんな時や写真を撮る時に休憩しながら上る。

ドンドン上っていくと、ドンドン風も強くなっていく。

そして、ようやく前方に駐車場が見えてくる。

魔天崖

10:45 魔天崖の駐車場に到着。柵に自転車を立てかけて、魔天崖に向かう。

魔天崖は放牧場になっているようで、駐車場から先は木製の柵で囲まれている。その入口にだけ金属製の扉がついていて、「開放厳禁」の表示。

中に入ると、すぐ左にトイレがある。しばらく直進した後、左に弧を描くようにカーブしながら進む。

10:50 標高257mの魔天崖に到着。モノっ凄いキョーレツな風。特に「大山隠岐国立公園 魔天崖遊歩道」と書かれた看板付近は、看板に隠れていないと吹っ飛ばされそうだ。

でも天気はいいし、魔天崖から見る国賀海岸の眺めは最高で、見た事のない絶景が広がっている。いつも風が強いためか、背の高い木は生えておらず草原に近い。

魔天涯から望む国賀海岸
魔天涯から望む国賀海岸

そんな魔天崖から数100m下った先には馬が7〜8頭、 中には子馬の姿も見え、草を食んでいる。そんな馬たちも絶景の一部になっている。風に飛ばされないようにしながら何枚も写真を撮る。

周りには他の観光客も数組おり、皆さん風に煽られながら写真を撮り続けている。

魔天崖から先は、案内板に書いてある通り、1.5km先の通天橋まで下れる遊歩道になっていて、計画ではここを歩くつもりでいた。が、風があまりに強いため躊躇する。

そのとき、トレッキングスタイルの1組のカップルが遊歩道を下りていく。すると、また1組下りていくので、自分もそれに続き下りることにする。

しばらくして振り返ると、自分の後ろにはどんどん人が下りてきている。どうやら皆さんも自分と同じように最初は躊躇していたようで、他の人が下りていくを見て安心して下り始めたようだ。

自分も含め、いかにも日本人らしい行動で笑ってしまう(ここでは中国系らしい人は見なかった)。

遊歩道を下りて、馬のところまで行くと、風は少し弱くなる。馬は風にも人にも慣れいるせいか、風の強さや音に全く動じていないし、人が近くを通っても、ひたすら草を食べている。中には地面に寝っ転がっている馬もいる。

魔天涯に放牧されている馬
魔天涯に放牧されている馬

昼寝している子馬
昼寝している子馬

馬のいるところは少し平らなところだが、遊歩道を更に進むと、道は狭くなり崖づたいの狭い下り道になっていく。その途中、下った先のほうを見ると、遠くに駐車場が見える。

「あの駐車場は何だろう?」

と思い、地図で方向を調べると、どうやらあれが通天橋の駐車場のようだ。遊歩道をこのままずっと下るとあそこにたどり着くことになる。

ただ、この辺りは魔天崖と通天橋のほぼ中間点ぐらいで、通天橋まではまだかなりの距離と高低差がある。行って戻ってくるには、思っていた以上に相当の時間と体力が必要みたいだ。

ここから先は、これまでのほどの眺望が若干望めない感じもするので、少し迷ったが、ここで魔天崖に戻ることにする。

11:05 遊歩道を引き返す。魔天崖までの急斜面を上りきると風がまた強烈だ。駐車場へ戻る途中、次々と観光客の方とすれ違い、遊歩道のほうを見ると皆さん馬のいるところまで下りていっている。

11:20 魔天崖を出発。通天橋の分岐までずっとダウンヒルなので、スピードと車、強風に気をつけながら慎重に下りていく。勾配のキツいダウンヒルは、自転車の走行で、最も危険なところなので、一番気を使う。逆に上りは体力的にキツいが、スピードが出ていない分、危険度はかなり低い。

通天橋との分岐に到着し、右折する。その後は、しばらくアップダウンが続く。

通天橋

11:35 通天橋の駐車場に到着。駐車場から遊歩道を歩いて下りていくと、トンがった奇岩が見えてくる。「観音岩」というらしい。よく聞く名だ。岩の上に夕日が沈めば、いわゆる「ローソク」状態になりそう。

観音岩(中央)
観音岩(中央)

遊歩道を下ると、キャンプ場のような施設とステージ?があるが、何かはよくわからない。

そこから通天橋のほうに歩いていくと、魔天崖で最初に遊歩道を下りて行ったカップルの方とすれ違い、挨拶を交わす。魔天崖から30分ちょっとで下りてきたみたいだ。なかなか早い。

11:45 通天橋に到着。ここもすばらしい眺めだ。海に突き出た岩に穴が空いていて、アーチ状になっている。そのうえ、岩の色が赤い。

「知夫里島の赤壁といい、島前には赤い岩が多いのか?」

と思いながら、ここでも写真を何枚も撮る。

通天橋①
通天橋①

近くに魔天崖に続く遊歩道を見つけたので、少しのぼってみる。5分程のぼり、少し上から通天橋の写真を撮る。

通天橋②
通天橋②

遊歩道はこれで十分楽しんだので、下りる事にする。

通天橋の正面から、海岸にある国賀神社を周りながら駐車場に戻る。

国賀神社
国賀神社

駐車場に戻るとちょうどお昼時になったので、昨日のようにハンガーノックにならないよう東屋で軽くパンを食べておく。

12:30 通天橋を出発。次は赤尾スカイラインと鬼舞スカイラインを通って鬼舞展望所に向かう。まず県道315号線を、県道320号線との分岐まで戻る。

12:38 県道320号線との分岐に到着。魔天崖に向かう時に出会ったブロックタイヤ自転車の男性とは、結局あの時以来、会うことはなかった。

あの調子なら、出会ったすぐ後に引き返したか、それとも魔天崖には行かず通天橋まで行って引き返したのかもしれない。

海沿いの県道320号線を南へしばらく進む。交通量はほとんどない。

12:45 赤尾展望台への案内標識が現れ、県道320号線を右折する。予想通り、ここから赤尾スカイラインまで続く1.5車線の道は勾配がキツく、10%を越えているようなところもある。

13:05 赤尾スカイラインに到着。標高は200m程で、海岸線から一気に上ってきたことになる。

赤尾スカイラインを南へ進むと一旦下るが、鬼舞スカイラインに入ると鬼舞展望台まで上り基調になる。ここも交通量はほとんどなく、海が見えて景色がいいので、ゆっくり進む。風も今はあまり強くない。

鬼舞展望台

13:30 鬼舞展望台の入口に到着。ここの入口にもテキサスゲートがあるので、この先は放牧場なのだろう。

トイレ横に自転車を止めて、ここからは歩く。この先の丘の上に東屋が見える。

「あそこが展望台だろうか?」

東屋に向かって歩いていくと、途中には馬が放牧されている。

丘をのぼる階段に差し掛かる。草原の丘とその先に見える青空が綺麗だ。

草原の丘と青空
草原の丘と青空

東屋に到着すると両側に海が広がり、正面には知夫里島が見える。東屋から先も尾根伝いに草原が続いているので、更に知夫里島に向かって進む。

散乱している土(糞)をかわしながら歩いていると、西側の斜面に放牧されている馬を見かける。

10分程歩くと、急な下り斜面の前に到達。ここからは、知夫里島に向かって続く草原の尾根、その先の知夫里島、周りを囲む青い海と空…、なかなかいい景色が広がっている。ここでしばらく、ただただ眺めていたいと思う。

西ノ島南端と知夫里島
西ノ島南端と知夫里島

しばらく、写真を撮りながら眺めていると、この先の南端方向の東側海岸線に道路が見えることに気づく。

地図で確かめると、県道320号線の終点から南端方向に続いている道のようだ。時間があれば、あそこまで行って見ようと思う。

立ち去ることを惜しみながら、入口まで戻ることにする。

入口に戻り、出発しようとすると、自転車の若い男性ソロがちょうど鬼舞スカイラインからやってきた。今日、自転車ツーリングらしい人を見かけるのはこれで3人目。アップダウンの激しい西ノ島にしては意外と多いかもしれない。

挨拶を交わしながら、すれ違おうとした時、その人が自転車のハンドルのところにあるタブレット端末のようなものが見ている。

「あれをハンドルにつけているのか?、それとも、カバンから取り出して見ているところを、自分がたまたま見かけただけ?」

どちらにしてもスマホより地図は見やすいだろう。

14:05 鬼舞展望台を出発。次は赤尾展望台に向かう。鬼舞スカイライン、赤尾スカイラインを戻り、元来た県道320号線への分岐道を過ぎる。

赤尾展望台へ

下り坂に入り、最後の左カーブをすぎると前方の視界が開けて、直線道路と右手に駐車帯が見えてくる。

直線道路を一気に下り始めたその時、それまで山の斜面だった右手の視界がパッと開ける。

思わず右手を見ると、スゴい絶景が目に飛び込んでくる。

「ア〜ッ!」

と思い、少し慌てつつも慎重にブレーキをかけて、絶景が見えた駐車帯のところまで戻る。

魔天崖、通天橋を含む国賀海岸を一望できる、これまであまり見たことのない絶景。この旅一番の景色だし、景色を見てこんなに感動するのも久しぶりだ。

赤尾展望台の手前で、こんな不意打ちを食らうとは思ってもみなかった。

そういえば、映画「私は貝になりたい」でも似たよう風景が出てきたような気がする。

しばらく写真を撮って眺めていると、ここでも派手な鳥(キジ?)を見かける。

魔天涯と通天橋を一望
魔天涯と通天橋を一望

14:35 赤尾展望台に到着。ここからも絶景の魔天崖と通天橋を一望できるが、角度的にさっきの駐車帯から見たほうが景色はいいと思う。

そんな眺めのいいところではあるが、自分以外は誰もいない。しばらく休憩していると車が1台やってくる。

14:55 赤尾展望台を出発。次は鬼舞展望台から見えた県道320号線から南端に続く道を、行けるところまで行ってみることにする。

鬼舞スカイラインから県道320号線まで戻り、アップダウンの続く海岸線をのんびりと南下する。ここも交通量はほとんどない。

15:26 県道320号線の終点、珍崎に到着。集落に入り、道がかなり狭くなる。

道は更に南に続いているはずだが、どの道も集落の中を通る狭い道ばかりなので、それがどの道なのかよくわからない。

バス停で少し休憩しながら、GPSで道を確認すると、バス停の先を右折して少し山のほうに向かっていくらしい。

西ノ島南端へ

15:30 珍崎を出発。集落の中の細い道を山のほうに上っていくと道が続いている。そのあと、大きく左カーブし道なりに進んで行く。

しばらく走るとテキサスゲートがあるので、この先に放牧場があるのだろう。想像通り、その少しの右手に小さな牛の牧場があり、通り過ぎる。そして、

「鬼舞展望台から見えた道はこの辺りかなぁー」

と思いながら走っていると、突如前方から数頭の牛がこちらに向かって道路を歩いてくる。

「ややっ」

と思い、自転車を止める。すると、向こうもこちらに気づき、

「ややっ」

思ったかどうかわからないが、立ち止まる。

しばらく睨み合いが続き、どうしたものか考える。

すると、ふと、

「あの牛たちは、さっき通り過ぎた牧場の牛で、ちょうど我が家に帰る途中なのでは?」

と思いつく。

そこで、牧場のところまで、一旦引くことにする。

牧場の手前まで戻り、待っていると、先ほどの牛たちがやってくる。そして思ってた通り、牧場の中に入っていく。

「むふふ、やはりそうだったか」

と牛の行動を悟り、なんとなく1人で自慢げになる。

牧場ではここのご主人と思われる方が一人で作業をしている。牛たちが完全に牧場に入ったことを確認して再び南に進む。

15:50 南端の行き止まりに到着。この辺は放牧地になっていて、さっきの牛たちはここで過ごしていたのかもしれない。

西ノ島南端の行き止まり
西ノ島南端の行き止まり

今日はこれで行きたいところを全てまわったので宿のある浦郷に戻ることにする。その途中、少し前に上から眺めた鬼舞展望台のあるところを探してみるが、よくわからない。

牧場まで戻ると軽トラが道に出ていて、牧場のご主人が牛2頭をロープで軽トラに繋いでいる。決っして牛をトラックに積んでいるのではない(積むにはトラックが小さすぎる)。

軽トラの横を抜き去り、少し走った先で軽トラを待ってみることにする。すると、ゆっくりしたスピードで走る軽トラに続き、ロープに繋がれた2頭の牛が引っ張られて歩いてくる。

どうやら、こうやって牛を運んでいるようだ。いつもやっていることなんだろうが、牛がイヤがったり、暴れたりすることはないのだろうかと思ってしまう。

この後も何度か振り返り、牛が軽トラに引っ張られ歩いているのを見たが、あの後どこまで連れて行かれたかはわからない。

浦郷

16:37 由良比女神社に到着。時間がまだあるので、少しだけ見学する。ここも自分以外誰もいなかったが、すぐに団体さんがやってきたので、退散する。

16:45 浦郷に到着。宿の場所とその近くにお店がないかを確認する。宿は見つかるが、あまりお店はなさそうなので、西ノ島大橋の先にあるスーパーへ行くことにする。

17:03 スーパー「ユアーズ」に到着。まだ時間があるので、買い物をする前に近くの船引運河に行ってみることにする。国道485号線から、美田港沿いの右岸を走る。

17:10 船引運河に到着。運河にかかる橋から眺めると、幅は10mぐらいだろうか。運河沿いには、釣り客か海水浴客相手のような数軒の民宿も見える。

地図を見ると、西ノ島は2つの島に分かれているようにもみえるが、1つの島。運河のせいで余計に2つの島に見えてしまう。

船引運河
船引運河

今日のツーリングはこれ終了。買い物をして、宿に向かう。

今日1日、西ノ島を走ってみて、交通量は別府港や浦郷で少しあるが、それ以外のところは、観光客の車を入れても非常に少ない。

17:45 宿に到着。今日のお宿は「岸本旅館」。入り口で予約していたことを告げるが、なんだがモタついていて、すぐに入れない。

どうやら、何かの手違いで予約が通っていないようだ。連休中だが、運良く部屋が空いているらしく泊まれることになる。

部屋は広く、旅館でよく見られる広縁(窓際に椅子やテーブルが置かれた空間)もある。お風呂とトイレは共同、食事付きにもできるようだが、自分は素泊まり。

自転車は塀に囲まれた敷地内に置くので、外からは見えず大丈夫そうだ。

お女将さんによると、昨日も自転車の女性の方1人が泊まられたとのこと。多分、その方は今朝、別府港の近くで出会った方だろう。

明日は雨予報なので、フェリーで島後に渡るだけしか考えていない。雨の止み間をぬって、昼の便に乗るつもりでいる。

そして5月5日に泊まる予定の松江の宿を予約する。かなり格安の宿なので、いったいどんなところだろうと不安と期待?がよぎる。

走行時間:6h23m20s 走行距離:84.91km 平均速度:13.2km/h 最高速度:48.4km/h

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