6日目 2020年8月25日(火) -
いつも通り、朝5時頃に起床。
左膝の状態は昨日より悪化していて、痛みが増している。平らなところを歩く分にはそんなに問題ないが、膝を曲げると一番、痛みが走る。
今日は早めに出発し、アポイ岳ファミリーパークまで走ることも考えていたが、この膝の状態では無理かもしれない。
今日も天気は曇りでガスっていて、テントは霧や朝露でびしょ濡れだ。
洗濯物を干していた自転車は、少しでも霧から避けようと、昨日の夕方に木の下に移動しておいた。びしょ濡れではないが、乾いてるはずもない。
昨日洗濯できなかったズボンを、人が来ない朝早いうちにトイレ横の炊事場で洗う。ちょうど洗い終えたところに女性が炊事場にやってきた。一瞬、マズったかなぁと思いながらも
自分:「あっ、終わりましたよ」
と行って場所を空ける。すると、
女性:「ご苦労様です」
と言われてしまう。
「ご苦労様です」と言われたので、洗濯していたのはバレていたようだ。ただ、イヤな顔はされなかったので、それはよかった。
テントに戻り、念のため、少し早めに撤収にかかる。
いつも7時頃から撤収に取り掛かるが、洗濯物やテントを乾かすのに時間を費やし、出発がいつも8:30を過ぎている。今日は8:00までに終わらせようと思う。いつもそのつもりでやっているのだが…。
濡れたテントを乾かそうと思うが、周りの芝生も濡れていて近くに干せるようなところがない。仕方ないので、とりあえずキャンプ場の周囲に張り巡らされているプラスチック製の簡易柵にフライシートを掛けておく。
が、ペラペラのプラスチック製の簡易柵なので、フライシートを掛けると重さで折れ曲がってしまうし、柵自体が少し濡れているので全然乾きそうにない。フライシートをバサバサと揺すって水滴を落とすぐらいしかできない。
日が差し始めてきたので、洗濯物を干している自転車を日の当たる場所に移動させる。
テントを干せる場所がないか、キャンプ場の周辺を探す。すると、隣の「ナウマン象記念館」の裏手に舗装路がある。少し離れているが、そこでフライシートとグランドシートを広げて干すことにする。
インナーテントは濡れていないので、芝生の水滴で濡れないようグランドシートの上で手早く畳む。
撤収しながら、今日の予定を考える。
今日は、いよいよこの旅最大の難関「黄金道路」が待っている。特に2kmや5kmの長大トンネルがあり、旅前に調べた限り、歩道も路肩もほとんどないことがわかっている。
目的地は、当初の予定通り百人浜オートキャンプ場にしようと思う。膝の状態が悪化し、アポイ岳ファミリーパークまで行くのは無理そうだ。
百人浜までなら時間に余裕があるので、天気がよければ、襟裳岬まで足を延ばして、その後、百人浜のキャンプ場に戻ろうと思う。
というのも襟裳岬は、霧や強風の日が多く、天気のいい日に行くのか難しいからだ。天気のいいうちに行っとかないと、あとで後悔することになる。
それから、広尾を過ぎると店がなくなるので、晩飯と朝飯を広尾で調達する。ついでにスマホ充電用の充電池が少なくなってきたので、乾電池も買っておこうと思う。
予定通り、8時までに撤収を完了させる。
8:10 ナウマン公園キャンプ場を出発。
道の駅に寄りトイレを済ませる。道路情報では特に通行止めなどは出ていない。
自転車を漕ぎ始めるとやはり左膝が痛む。特に、一番膝を曲げた状態からペダルを踏み込む時が一番痛む。しかし、何度か漕いでいるうちに、痛みが和らいでいく。
ただし、一旦自転車を止めて、膝の動きを止めたあとに、再び漕ぎ出す時はまた痛みがぶり返す。普通に走り続けている分には酷い痛みにはならないので、ホッとする。
曇天でガスってる中をまずは広尾を目指す。
大樹町に入ると「萠和山展望台」があるが、天気も膝も悪いので、躊躇なくパス。
大樹市街の入口あたりで、今回の旅初めて、前方からくる二人連れのライダーから手を振られる。こちらも手を振り返す。
8:44 大樹の中心街に入る。忠類を出発して間もないし、立ち寄る予定もないので通過する。砂金が眠る歴舟川を渡り、しばらく走ると街から出る。
この先、豊似までこの国道236号線を走る。その国道236号線、交通量は特別多い訳ではないが、大型トラックがやたらに多い。浦河方面に抜けるのか、それとも広尾の十勝港に向かっているのか、行き先はわからない。
大樹の街を出ると、左の路肩に「浦河→」という案内標識がある。これが浦河方面の国道236号線に抜けるショートカットの道だろう。
だが、右折する車はほとんどいないし、ショートカット道の先を見ても交通量はほとんどない。どうやらトラックは広尾に向かっているようだ。
ここまで、膝の痛みはそれなりに続いているので、これ以上悪化しないようにややゆっくり走っている。
そういえば、こんなこともあろうかと、念のため炎症止めの薬を持ってきていた。この薬は病院で処方されたもので、もう炎症も痛みもひいて飲む必要がなくなり余っていた薬だ。それを飲もうと思う。
広尾
9:21 パーキングで自転車を止め、薬を飲む。
9:34 豊似に入り、左から国道336号線が合流する。
その後すぐに、国道236号線は右の野塚峠へ分岐していくが、ここでもトラックはそのまま国道336号線へ直進していく。やはり、広尾の十勝港に向かっているようだ。
自分も広尾に向かうため、国道336号線へ入る。
薬を飲んでから30分ぐらい経ち、痛みが減ってきたので、なんとなく薬が効いてきたように感じる。この薬は1日3回の処方なので、効き目があるのは昼過ぎぐらいまでだろうか。
道道1037号線の分岐を過ぎると、「←シーサイドパーク広尾0.4km」の案内標識、そのすぐ先の路肩には「海洋博物館・パークゴルフ場」と「キャンプ場」の看板もある。
「シーサイドパーク広尾」のキャンプ場はコロナで閉鎖中だが、どんなキャンプ場なのか見てみようと思っていた。が、膝の痛みが再発したのでやめておく。
10:15 楽古橋を渡り、広尾の市街地に入る。橋を渡りきる手前で「←十勝港」の案内標識があり、その直後、十勝港との分岐点を通過する。
上り坂を少しのぼったところで自転車を止めて後ろを確認すると、大型トラックはやはり十勝港へ左折していく。
これでトラックが一気に減って交通量は少なくなり、広尾市街地では国道が2車線化されていることもあって、走りやすくなる。
緩い上り坂の途中にホーマックニコットがあったので、乾電池を買おうと寄ってみる。それに、去年行った標津のホーマックニコットにはパンが売っていたので、ここでも売っていれば、ついでに買おうと思う。
がしかし、乾電池は結構いい値段がする。弁当やパンは売っておらず、ホーマックニコットでも店によって違うみたいだ。
広尾は比較的大きな街なので、GoogleMapでスーパーや100円ショップがないか探してみる。
すると、この先の中心部にスーパー「フクハラ」とそれに併設して100円ショップがある。そこに向かうことにする。
10分ほどでスーパー「フクハラ」に到着。
まずは100円ショップで単三電池を探すと、日本製4本入りとインドネシア製8本入りがある。
ここは信頼性を考え、日本製(富士通製)を2個(計8本)買う。というのも、一昨年、100円ショップで買った海外製の乾電池は、スマホを全く充電することが出来なかったからだ。
スーパーのほうで晩飯用の弁当と昼飯用のパンを調達し、レジで支払いをする。
自分 :「PayPayで」
レジのおばちゃん:「ちょっと待ってくださいね」
と、レジのおばちゃんはやや緊張気味になり、少し戸惑っている。
どうも、まだ「PayPay」での精算をやったことがないらしく、マニュアルのようなものを引っ張り出し、それからPayPayの読み取り用のQRコードを差し出す。
こちらは、そのQRコードをスキャンして、金額を入力し、スマホの画面を見せて支払いボタンをタッチする。
あとはレシートをもらって完了のはず。普通なら…。
ところが、レジのおばちゃんはマニュアルを見ながら、
レジのおばちゃん:「金額の横に表示されている虫眼鏡を押してください」
「なんで?、虫眼鏡ってなに?」と思いつつも、画面をみると金額の横に拡大鏡のマークがあるので、「多分、虫眼鏡はこのことだろう」と思い、それをタッチする。すると、
レジのおばちゃん:「表示される番号を教えてください」
確かに番号が表示されているが、16桁ぐらいはある。その画面を見せながら、
自分 :「長いけど、これ全部?」
レジのおばちゃん:「あっ、下4桁だけでいいです。あっ、書くものがない」
と若干慌てつつ、近くにあったマジックで画面に表示された番号を紙にメモしている。
これでどうやら正式?に支払いが完了のようだ。
「PayPay」の支払いで「金額の横に表示されている虫眼鏡を押してください」とか「表示される番号を教えてください」と言われるのは初めてだった。あのメモ書きした番号は、何かの確認にも使うのだろうか?よくわからない。
自分の精算が終わると、そのレジのおばちゃんは隣のレジのおばちゃんと、
「初めてやった。実際にやってみて覚えないとねぇ」
などと話している。やはり、おばちゃんにとっては自分が初めての「PayPay」利用者だったらしい。
次に近くの旧広尾駅に行ってみる。
11:02 旧広尾駅に到着。駅があったと思われる場所に建物はあるが、比較的新しいので旧駅舎ではないようだ。
駅の隣りに、動輪のモニュメントやレールなどがおいてある鉄道公園のような場所がある。東屋もあるので、少し早いがそこで昼飯のパンを食うことにする。すぐ目の前のパークゴルフ場では、おじさんとおばさんたちがプレーしている。
昼飯のあと、旧広尾駅(今はコミュニティセンター?バス待合所?)に行き、展示物の見学とトイレを済ませる。
帰り際、そこの管理人さんと思われる方に「ご苦労様です」と言われてしまう。
今日早くも二度目の「ご苦労様です」だ。
多分、自分が荷物を積んだ自転車で来たのを見ていて、そう言ったのではないかと思う。
11:16 旧広尾駅跡を出発。スーパーでゴミを捨て、いよいよ黄金道路へ向かう。
街を抜け、下り坂を下りていくと海が見えてくる。海の方はガスのような低い雲がかかっている。
坂を下りきると、ついに「ここから黄金道路 全長28km」の標識が現れる。いよいよだ。
ここに来るのは初めてだが、ここの風景はどこかで見たことがある。多分、忠類の道の駅にあった情報カメラの映像で見たのだろう。
黄金道路
11:28「黄金道路」へ突入。
まずは、肩慣らしの覆道からスタートする。旅前の調べでは「フンベの滝」の南にある1箇所を除き、覆道には広い歩道があることを確認している。
実際に最初のツチウシ覆道、二つ目の浜フンベ覆道には、調べていた通り、広い歩道があるので、歩道を走る。しかも路面がかなり綺麗で走りやすい。
ただ覆道の入口には「昆布作業中」の注意標識があるので、歩行者や作業車がいないか注意する。
11:36「フンベの滝」に到着。思っていたより広尾の街から近く、滝というほどの落差も、水量もないので、危うく見逃すところだった。
横の路肩には「落氷注意」のビックリマーク(!)標識もあるので、冬になると滝が凍って、氷が道路に落っこってくることもあるようだ。
滝のある対向車線側(山側)に渡って写真を撮っていると、襟裳岬方向からバイク軍団が通り過ぎていく。
ツーリング中だと思うが、自分のほうをチラッと見るだけで、ここに立ち寄る気配は全くなく、全員通過していく。
滝は1つだけと思っていたが、その先の岩肌の何箇所からも水が流れ落ちている。
ツーリングマップルによると、「フンベの滝」は、地下水が噴き出ている珍しい滝とのことで、それで水量が少なく、何箇所にもあるのだろう。
「フンベの滝」を出発。
次のフンベ隧道は調べていた通り、極狭の歩道しかないので車道を走るが、距離が短いので、何の問題もなく通過。
なお、ここは覆道ではなく隧道、いわゆるトンネルとなっているが、入ってみると海側の壁が抜けているので感覚的には覆道と同じ。崖の中を貫いているので隧道となっているのかもしれない。
続くフンベ第1覆道には広い歩道がある。
フンベ第1覆道を抜けると、海でサーフィンをしている人がたくさん見える。広くなっている路肩に路駐している車も多いし、人もいるので気をつけて走り抜ける。
次の美幌覆道、続く泉浜覆道の歩道は、広いというほどではないが、自転車が走れる程度の幅はある。少し走って次のオリコマナイ覆道も同様だが、長さが1kmほどもあり長い。
12:00 音調津(おしらべつ)に到着。港やガソリンスタンドがある比較的大きな集落を通過。
音調津覆道は、歩道が狭いので車道を走るが、交通量が少ないので問題なし。モイケシ第1覆道、モイケシ覆道は、自転車が走れる幅の歩道あり。
12:16 ルベシベツに到着。ここでまで覆道をたくさん通ってきたが、どこも交通量が少ないので、歩道有無にかかわらず車道走行でも問題なかった。後ろを振り返ってみると、海岸線に沿って通ってきた長い覆道が見える。
連続長大トンネル
一方、前方にはこれまでの覆道とは違い、トンネルが開いている。いよいよ連続する長大トンネルの始まりだ。
電池を少しでも節約するため、トンネルの入口でGPSの電源を切る。入れておいてもどうせログは取れないし…。トンネルを出た時に電源を入れ忘れないよう気をつける。
リアライトを盛大に点滅させて、まずは、全長2,020mのタニイソトンネルに突入する。事前調査通り、狭い歩道しかないので、車道を走る。トンネル内は、いつも通り、車の音とミラーに映る車のライトで、後続車の接近を確認しながら走る。
10分ほどでトンネルを出る。後ろを振り返ると、タニイソトンネルの隣には旧道の黄金トンネルがある。黄金トンネルの先に海が見えるが、トンネルの入口にロープが張られ、立ち入り禁止になっている。
続いて、全長2,438mの新宝浜トンネルに突入。ここもタニイソトンネルと同様、狭い歩道しかないので、車道を走る。
トンネルに突入してしばらくすると、対向車線を二人連れの自転車がライトを点滅させながら結構なスピードで走り抜けていく。トンネルを走りなれている印象だ。挨拶はなし。
今のところここまでは、交通量が少なく、大型車が通ることもほとんどないし、ライトをつけずに走ってくる車もない。
そんなこともあり、後続車がトンネルに入ると音でわかるし、ミラーで車のライトを確認できるので距離感もわかる。
最初のうちは後続車が近づいて来ると、スピードを落とし歩道に寄って止まっていたが、途中からは後続車が対向車線へ避けていくのが確認できたので、止まらずに路肩に寄ってゆっくり走る。
余裕が出てきたので、トンネルの中間付近にある待避場で写真も撮ってみる。
ここも10分ほどで外に出る。
12:45 えりも町に入る。十勝は終わり、ここからは日高だ。
新宝浜トンネルに入る前は低い雲が立ち込めていたが、ここでは雲が薄くなり、日が差している。トンネル一つ通過しただけで天気がかなり変わった。十勝と日高では天気が違うことを実感する。
えりも町のカントリーサインから少し進むと、公衆トイレの入口に「黄金道路のトンネルたち」という看板がある。
「何だ?」
と思い、看板を読んでみると、この先にあるトンネルとその長さが書いてあって、更に「徒歩・自転車で通行の皆様へ」とあり、
「トンネル内の交通事故防止対策として、ご通行の際にはこちらに置いてあります反射リストバンドを装着して通行下さるようお願いします」
と書いてある。
そういえば以前、何かのブログで「黄金道路には反射帯がおいてある」と読んだことがある。
「このことか…」
早速、看板の横にある箱を開けてみると、なんと反射リストバンドは一個しか入っていない。最後の一つをありがたく使わせてもらう。
愛媛のトンネルにも出入口に反射タスキが置いてあると聞いたことがあるが、あそこはトンネルを出ると、一応返却するようになっていたと思う。
ここのリストバンドは、入っている箱に「ご自由にお使いください」と書いてあるので、返却しなくてもよさそうだ。そのせいで、なくなってしまうのだろう。
細長い黄色の反射リストバンドには「北海道一長い道路トンネル えりも黄金トンネル 延長4941m」と大きく書いてあるし、ここでしか手に入らないので通行記念にもなりそうだ。
そう考えると、リストバンドの必要のない車やバイクの人も記念に持って帰っているようにも思える…。
リストバンドには、国道336号線の維持工事を担当しているという建設会社の名も記載されているので、この会社がリストバンドを作っているようだ。リストバンドだけではなく、「黄金道路のトンネルたち」の看板にもその会社名が書いてある。
普通こういうものは、道路を管轄している自治体や開発局が用意するものと思っていたので、ちょっと意外だ。ただ、リストバンドや看板は、えりも町側にしかないので、町から要請されて作ったものだろうとは思う。
それはともかく、辛うじて一個だけ残っていたリストバンドを装着してみる。細長いプラスチック製のリストバンドは、バキバキ折り曲がり、腕に巻きつくように変形する。
右腕に反射リストバンドをして出発する。
そして、次は全長1,876mの目黒トンネル。ここも狭い歩道しかないので車道を走るが、前の2つのトンネルと大きな違いある。それは車道外側線上に突起がついていて、ガタガタなのだ。
これも車が路肩にはみ出した時の警告のためについているのだが、自転車にとっては最悪だ。加えて路面が濡れているので、転倒する危険がかなりあるし、パンクの可能性も高くなる。
仕方がないので、少し余裕を持って外側線の内側を走らざるをえない。
こうなると後続車が来た時、走りながらやり過ごすのは、リスクが高くなり、ちょっと怖い。なので、後続車が来たら、狭い路肩に入りスピードを落として走ることにする。
ただ、路肩も狭いので、一度、左のペダルが歩道にあたり一瞬ヒヤリとする。スピードを全然出していないので、バランスを崩すこともなく、こと無きを得たが、ペダルが歩道にぶつかった時は、大分の水分峠のことを思い出した。
そんなこともあるので、路肩を走るときは、できるだけ漕がずに、左ペダルが歩道との段差に当たらないよう一番高い位置にキープして走る。
右にブレても外側線の突起に突っ込んでしまうので、とにかく真っ直ぐゆっくり走る。危なければ止まることにして、後続車をやり過ごす。
ここは10分もかからずに外に出る。
続いて、一瞬で終わるオニトップ覆道、黄金道路では短い全長441mの荒磯トンネルを抜けて目黒の集落に入る。
ここまで来ると、広尾の天気はなんだったのかと思うぐらいの青空が広がり、完全な晴れ。
目黒からは豊似湖に行く分岐道があるが、長いダート道でヒグマ生息地帯なので、初めから行く予定はなく、パス。
13:12 いよいよ道内最長4,941mのえりも黄金トンネルに突入。
ここも目黒トンネルと同じく、車道外側線に突起があり、路面は濡れているので、目黒トンネルと同じような感じで走る。この走行にも慣れてきて、ほぼ安心して走れるので、かなり余裕が出てくる。
途中の待避場で写真を撮っている時にふと思う。トンネル内には間隔をおいて出入口までの距離が表示されているところがあるので、ちょうどトンネルの中間地点ぐらいで、その表示板の写真を撮っておこう。
そして、入口から2,430m、残り2,510mの地点で左側の壁に表示板がある。トンネルの中間地点は2,470mになるが、多分そこに表示板はないだろう。ここが中間地点に近い表示板の一つだと思うので、写真を撮っておく。
さらに表示板に気をつけながら走ると、次の表示板は、入口から2,530m、残り2,410mの地点で右側の壁にある。やはり完全な中間地点に表示板はなかった。
ここも写真を撮ろうとするが、右側の表示板は周囲が暗くてなかなかうまくとれない。
しばらく路肩で自転車に跨りながら、撮影条件を変えて撮ってみるが、いかんせんカメラの腕がないのでどうにもうまく撮れない。
3,4分ほど時間を費やし、最後はあきらめる。その間に5,6台ぐらいの車に追い抜かれたと思うが、特に怖さは感じなくなっている。
13:38 えりも黄金トンネルを出る。写真がうまく撮れないこともあって、トンネルを通過するのに30分近くもかかってしまった。
閉所恐怖症の人は耐えられないだろうし、自分としてもこれまでなら二度と通りたくないと思っていただろう。
ところが、トンネルを走っている途中から、なんだかトンネル走行が面白く感じるようになった。
「なんでだろう?」
今までは、歩道や路肩のないトンネルは恐怖でしかなかったし、歩道や路肩があったとしても騒音や排気ガスでウンザリしていた。こんなふうに感じるのはかなり意外だ。
理由はよくわからない。覆道やトンネルを連続して走行し慣れてしまったのかもしれない。
交通量が少なく、大型車もあまり通らないし、ライトをつけずにトンネルを走る車もいなかった。怖い思いをしなかったこともあるだろう。
それに道内最長の「えりも黄金トンネル」を通っている実感と、自分自身の走行記録としてそれが残るという達成感もあるだろう。
それとは別に、もう一つ、トンネル走行後に気づいたことがある。それはトンネル走行時は、なぜか膝の痛みを感じなかったこと。トンネル走行に集中していたので、気にならなかったのかもしれない。
えりも黄金トンネルを抜けて後ろを振り返ると、山が急激に海に落ち込んでいて、ずっと断崖が続いている。トンネルも長くなるわけだ。
すぐに次の咲梅トンネルがあるが、海側の旧道が通れそうなので、そっちを走る。
これまでのトンネルにも海側に旧道のあるところがあったが、どこも高波の危険があるためか、通行止めだった。トンネルを走るより、やはり海岸線を走ったほうが眺めがいい。
一旦、国道336号線に復帰、次の白浜トンネルの横にも通行できる旧道がある。白浜トンネルの海側には「ドンドン岩」があるので、ここも旧道を走る。
咲梅覆道を抜けると、海岸線にいくつか岩礁がある。「ドンドン岩」とはどんな岩なのかわからないが、多分あの岩礁のどれかではないかと思う。
ただ、特にこれといって特徴のある岩礁がないので、どれなのかわからない。一つだけ岩の上に小さな碑のようなものが立っているので、あれではないかと思うが、あまりパッとしない。
あとで調べると、あれが「ドンドン岩」だったようで、海が荒れれば、かなりの波しぶきが上がるらしい。碑のようにみえたのは海難供養の塔とのことだ。
国道336号線に復帰すると、海に突き出た小さな岬に小さいトンネルが見える。
近くまで来ると、国道からトンネルへ続く道の入口は、ロープと柵で閉められているので車両は入れない。自転車を押して歩いてなら行けそうだが、やめておく。
黄金道路の最後のトンネル、全長125mのフンコツトンネルを抜ける。これで長かった黄金道路のトンネル群も終了。
しばらくして、緩い上り坂が始まる。
13:55 望洋台に到着。ここは黄金道路のえりも側の終点になる。
展望台に上るため、自転車を展望台の壁の前に止めたところ、壁から少し突き出ている水抜き用の塩ビ管の中に何かあるのに気づく。
最初はガラケーかと思ったが、塩ビ管からそれを取り出してみると自転車のライトだった。
使用感はあまりないし、スイッチを入れるとライトも明るく点灯する。
「なんでこんなところにライト?」
誰かが置いていったのだろうが、理由は想像もつかない。とりあえず、元の塩ビ管の中に戻しておく。
展望台に上がると、黄金道路の碑があり、その向こうに低い雲や霧が立ち込めた断崖の続く海岸線が見える。
反対側の襟裳岬のほうは、薄い雲は出ているが、青空も見えている。やはり十勝と日高の境界にある黄金道路のトンネル群で天気がかわるのかもしれない。
あとで地形を調べると、日高山脈の先端は、襟裳岬ではなく、このトンネルが連続するあたりに延びている。天気が変わるのは、その地形のせいかもしれない。
展望台には自分1人しかいなかったが、車が1台やってきて運転手の女性が下りてくる。が、展望台のほうには来ず、しばらくして走り去って行った。多分、観光客ではなく、一息つくため、寄ったのだろう。
展望台を下りる。塩ビ管に置いてあったライトが気になる。ライトというより、中に入っている電池が役立ちそうなので、活用させていただくことにする。
そして、駐車場の出入口近くに「黄金道路のトンネルたち」の看板と反射リストバンドが入っている箱がある。看板も箱も目黒トンネルの手前にあったものと全く同じだ。
試しに、反射リストバンドが入っているか、箱を開けてみる。すると、なんと中は「からっぽ」。反射リストバンドは一つも入っていなかった。
ここを徒歩や自転車で通る人はそう多くはないはず。やはり、ライダーや車の旅行者が記念に持って帰っているのか、それとも滅多に補充されないのか、どちらかだろう。
14:01 望洋台を出発。
望洋台の手前から続いていた上り坂はさらに続いて勾配も5%ぐらいにキツくなる。その途中で電線か何かの工事をしているが、作業している人が5,6人と意外と多くて、軽く頭をさげて通過する。
続いて、右手にある「旅館どんどん」の横を通過。そういえば、ここは襟裳岬の宿を調べた時にメモっておいた宿の一つだ。「ドンドン岩」に近いからこの宿名なんだろう。
坂を上りきり、庶野(しょや)の集落に入る。ここは百人浜キャンプ場の手前にある一番近い集落で、旅前に食料品店がないか調べて、確か2軒の商店があったはず。
坂を下って港へ行くと、そのうちの1軒である市橋商店の前を通る。酒屋さんのようだが、営業しているかどうかよくわからない。食料は広尾で購入済なので通過する。
そして、襟裳岬に続く道道34号線への分岐を示す案内標識が現れ、その前方に結構な勾配の上り坂も見える。
最初は、道道34号線の入口がよく見えなかったが、すぐに上り坂の手前にあることがわかる。
道道34号線
14:11 国道336号線から道道34号線へ左折する。
隣の国道はガンガン上っているみたいだが、道道はほぼ平坦な道で、海岸線沿いの集落を抜ていく。
集落を抜け、林を抜けると、目の前が突然パッと大きく開ける。
目の前に広い草原が広がり、左に砂浜の海岸線が弧を描いていて、その先に襟裳岬が見える。あの砂浜が百人浜だろう。
一段と天気がよくなり、高い木も全然ないので遠くまでよく見える。
普通なら森林があってもおかしくないのだが、ここは襟裳岬。年中強風が吹いているので、高い木は育たないのだろう。
遠くの山の上に大きな施設がみえるが、場所柄、あれは自衛隊のレーダー基地だろう。
交通量は皆無なので、のんびり景色を見ながら走ることにする。
そして、すっかり天気がよくなったので、今日のうちに襟裳岬へ行ってみることにする。明日でもいいのだが、明日晴れるとは限らない。何せ、ここは襟裳岬。いつ濃霧や強風をお見舞いされるかわからない。
襟裳岬に行く前に、念のため百人浜オートキャンプ場の場所を確認しに行く。
百人浜オートキャンプ場の案内標識で右折、少し上らされる。次の案内板のある丁字路で左折する。
「天気のいいうちに早く襟裳岬に行きたい」という気持ちが先走り、ずいぶん遠回りしていているように感じるし、「わざわざ場所を確認までほどでもないのでは?」と思ったりもする。ここまで来ると戻るほうが遠回りになるので、このままキャンプ場へ向かう。
パークゴルフ場を通過し、キャンプ場の前に到着する。入口の案内板で受付時間を確認するとPM7:00。十分すぎるほど余裕がある。
サイトのほうはよくみえないが、駐車場に車が止まっているので、全然人がいないということはないようだ。
キャンプ場を出発。左にカーブしながら下りていくと、右手に数軒の建物と、左手に「えりも町高齢者センター」の看板がある。
「えりも町高齢者センター」は、キャンプ場に一番近い入浴施設で、一般の人も入れるところだ。しかし、奥にあるそれらしい建物の前は、草木が生えていて、あまり管理されていないように見えるし、閉鎖されているようにも見える。
自分はキャンプ場のシャワーを使うつもりでいるので、ここに来る予定はない。閉鎖されていても特に問題はない。
道道34号線に復帰して襟裳岬に向かう。百人浜キャンプ場からは8kmちょっとのはずだ。牧草地と林が続く、景色がかわらない道をひた走る。
そして「えりも岬」の地名標識があり、GPSには、襟裳岬より先の道道34号線が、西側に並行するように表示され始め、いよいよ岬が近くなっていることを実感する。
えりも岬の集落に入る。
集落に入ると道道34号線は上り坂になり、集落の多くは道道34号線より下の東の海岸線側にある。
坂道を上っている途中、集落の中に「酒 たばこ」と外壁に書いてある建物が見える。旅前にGoogleMapで調べた限りでは、この集落に商店らしいものは見つからなかった。
「あの店は営業しているのだろうか?」
と思いつつ、買い物は必要ないので、確認せずに通過する。
さらにどんどこ上っていくと、ついに「えりも岬」の案内標識が出てくる。
左手には太平洋が一気に広がり、最後の上りの右カーブを上る。
襟裳岬
15:19 襟裳岬の駐車場に到着。駐車場に車はあまり止まっていない。
トイレの前に自転車を止める。そのトイレの壁には「排水ができないので使用不可」との大きな貼り紙。今はトイレに行きたい訳ではないので、特に気にならない。
「風の館」の入口横にある岬周辺の地図を見てみる。まずが岬に向かうが、正面からではなく、右手(西側)にある遊歩道から入っていくことにする。
遊歩道をのぼっていくと、背後に襟裳岬西側の海岸線が見えてくる。断崖が続き、やはり高い木が全然生えておらず、草原になっている。なかなかスゴイ眺めだ。
遠くに雲がかかった高い山も見えるが、あれはアポイ岳あたりだろうか?
左側からは灯台のあたまも見えてくる。
そして、襟裳岬よりも先に、前方の海に岩礁がみえてくる。あれが日高山脈から落ち込んでいるといわれる岬先端の岩礁だろう。
15:28「襟裳岬展望台」に到着。
テレビで見たことのある風景が目の前に広がっているが、やはり実際に見るほうが断然いい。ここからは襟裳岬と、その先に続く岩礁地帯がよくみえる。
岩礁にアザラシがいないか見てみるが、遠くてよくわからない。
青空が広がり、しかも風も弱く、天気がいいときに来られて本当に運がいい。絶好の観光日和だが、観光客は少ない。
次に「風の館」の上にある展望台に移動する。と、その途中に「襟裳岬」の歌碑がある
「やっぱりな」
と思う反面、なぜか歌碑は二つあって両方とも「襟裳岬」になっている。
「なんで二つもある?」
と思い、よく見てみると、一つは森進一の「襟裳岬」で、もう一つは島倉千代子の「襟裳岬」。どうやら「襟裳岬」という歌は二つあるらしい。森進一の「襟裳岬」は知っているが、もう一つは知らなかった。
「風の館」の上にある展望台に到着。「風極の地 襟裳岬」と書いてある石碑がある。
ここからは岬の突端に下りていく遊歩道が間近に見える。左膝は痛むし、坂道や階段を上り下りする時が一番痛むのだが、ここが自転車旅の大きな目的でもあるので、もちろん岬の突端に行く。
最初の階段からは、ここまで走ってきた襟裳岬東側の海岸線も晴れていてよく見える。
長い下りの階段が続く。突端に続く遊歩道と展望台の間は小さな入江になっている。
その後も階段と下り坂の繰り返しで、階段は全部合わせるとかなりの段数になる。ここで旅が終わってもいいと思っているで、全部周りきるつもり。躊躇なく進む。
ではあるが、途中で致命傷になって歩けなくなるのもマズイので、なるべく左膝に負荷がかからないよう、左足から一段一段下りる。
後から下りてくる人が来たら、道を譲って先に行かせる。いつもよりかなり時間を要するが、下り坂はこのペースで全然問題なし。
15:48 襟裳岬突端に到着。ここが歩いて行ける岬の突端で、遊歩道もここまでかと思っていた。
が、左手前方下に、ここよりさらに海に突き出しているところがある。そこには鳥居があり、先端には電柱が1本立っていて、観光客らしい2人の男性も見える。
「えっ?」
と思い、GPSを見てみると、どうやらあそこが歩いて行ける岬の先端らしい。そこには車が通れる道路が道道34号線から続いていて、近くに建物もある。
遊歩道の突端からも、その岬の先端に向かう下りの階段がさらに続いている。これはもう行くしかない。遊歩道より幅の狭い階段を下りていく。
建物の横の狭い階段を下りると、広い砂利のスペースに出る。昆布の干場だろう。入らないようにロープと注意書きがある。
「豊国丸殉職者追悼碑」と鳥居の前を通る。
15:57 襟裳岬の先端に到着。かなり海の近くまで下りてきた。海鳥は見えるが、アザラシは肉眼で確認できない。
岬の先端に立っている電柱に見えたものは、電柱ではなく単なる木の棒で、1本ではなく、2本立っている。岬より先の海の中にも、棒が1本立っている。
この棒は今でも何かに使っているのだろうか。それとも昔は使っていたが今はそのままになっているだけなのだろうか。知る由もない。
それから鳥居はあるが、周囲に神社らしいものは見当たらない。鳥居の奥にある石碑を見ると「襟裳神社旧鎮座祠跡」と書いてあるので、昔はここに神社があったのだろう。
元来た道を引き返す。今度はかなりの長い上り階段が待っている。階段を上るときは、下りるときとは逆に痛くない右足から上る。
「襟裳岬突端」まで戻り、さらに遊歩道を引き返している途中、「旅館みさき荘」の建物を発見する。この旅館は、昨日までどうみん割で泊まろうかと考えていた宿だ。部屋から海や岩礁のほうまで見えそうで、眺めのよさそうな旅館だ。
ただ、外からみると今日は営業しているようには見えない。お客さんがいないだけかもしれないが、ひっそりとしている。
「風の館」の上にある展望台まで戻る。膝の状態が悪化することなく、戻ってこれた。
ここから「風の館」に下りれるようだが、正面の入口まで戻ることにする。
ここに来てようやく「襟裳岬灯台」の全貌が見えたので、写真を撮りに行く。今までは雑草で上の部分しか見えていなかった。
ただ、灯台のほうに行くには石積みの段差を乗り越えないといけないので、膝に衝撃がかからないよう慎重に乗り越える。
「襟裳岬灯台」は意外にも背が低くて、小さい。高台にあるせいかもしれない。
駐車場まで戻り、「風の館」のほうに行ってみる。「風の館」は入場料を取られるので、中に入るつもりはないが、それ以外に何かないか探索する。
「風の館」は地下にあり、まるでトーチカのようだ。しばらく地下道のような通路を通る。
「地下にあるのはなんでだろうか?風が強いせい?」そんなことはないと思うが…
入口まで来ると、入場料300円との案内板があり、入るのはパス。風速25mは体験せずに引き返す。結局、「風の館」以外は何もなかった。
自転車を止めたところに戻る。すると、駐車場に車を止めた人がトイレへ入っていく。建物の壁に「トイレは排水ができないので使用不可」と書いてあるが、それに気づいていない様子。
が、すぐに引き返してきた。トイレの入口にも同様な表示があったのだろう。当てにしていたトイレが使えないとなると困るだろう。
駐車場の右手にある「えりも岬観光センター」の建物の壁に、トイレマークの表示がある。
その人はそれに気づき、そっちへ向かう。自分もトイレがあるのなら、念のため済ませておこうと「えりも岬観光センター」の前に行ってみる。
トイレは店の中だろう。入口から中を覗くと、お客さんは全然見えず、従業員のおばちゃんしかいない。ちょっと入りづらいし、すぐにしたいわけでもなかったので、トイレには行かず、自転車に戻る。
16:33 襟裳岬を出発。滞在時間は75分ほどで、まぁ予定通りだ。寝床の百人浜キャンプ場に向かう。
えりも岬の集落を下っていく。集落を抜けると、襟裳岬に向かう時も見かけたが、ところどころに人工林や治山事業の標識や看板がある。
そういえば、昔「プロジェクトX」で襟裳岬周辺の植林事業が取り上げられたことを思い出す。
「森林の伐採で砂漠化が進み、砂が強風で周辺の海に飛ばされて昆布などの漁業に深刻なダメージを与えてしまった。そこで地元の漁師たちが長い年月をかけて、植林などで砂地を緑地化し、漁業も回復させた」という話しだったと記憶している。
確かに、襟裳岬から百人浜に続く海岸線には、背の低い木が生い茂る林が広がっている。
16:48「百人浜第2展望台」の入口を発見する。存在は知っていたが、襟裳岬に向かう途中は気づかずに通過していた。
展望台までは、駐車場から林の中を通っていくようで、道路から小高い山とそこに向かう遊歩道の柵が見える。だが、駐車場に車はないので、誰もいないようだ。
熊出没注意の注意看板があり、しかも日がかなり傾いているので、出てきてもおかしくない時間帯だ。
それに、この膝の状態で上り下りするにもまた時間がかかるだろう。ということで、今日は時間もあまりないのでパスする。
「百人浜第2展望台」の入口を出発すると、少し先でキタキツネがウロウロ歩いている。向こうもこちらに気づくと草むらにフェードアウトしていく。
ほぼ直線の道道34号線を北に向かって走っていると、正面の山塊に西日が当たり、その少し手前に薄い雲が出ていて、いい景色になっている。見通しのいいところで何度か自転車を止めて写真を撮る。
あとで調べると、あの山塊は豊似岳や観音岳などのようだ。
何度目かの写真を撮っている時、遠くの林の中に四角い塔のようなものがポツンと立っているのに気づく。最初は、
「あんなところに、なんだあれは?」
と思ったが、場所的にあれが百人浜の展望台だろうと思う。
しばらく走ると「百人浜オートキャンプ場」の案内標識が出るが、キャンプ場へ左折せず、「百人浜展望台」のほうへ直進する。
左に広い駐車場があるが、車は1台も止まっていない。さっき見えていた四角い塔は全くみえない。
「おかしいなぁ」
と思いつつ、駐車場の先に小さい建物があるので、先に進む。すると、駐車場の端に石碑がある。
「何の石碑だ?」
と思い、近づいて見てみると、昆布とアザラシの絵とともに「北緯42°地点」と書いてある。「北緯42°」を示す碑だった。
その先の小さい建物も「観音堂」というお堂だったが、反対の海側に「百人浜の展望台」の案内板を発見する。
ここが展望台の入口で、海の方へ遊歩道が続いているが、肝心の四角い塔が全く見えない。
「おかしいなぁ」
とまた思う。
それはともかく、ここも展望台に上らないといけないし、ここにも熊出没注意の看板があり、駐車場に車がなかったので、この先には誰もいないはず。
ということで、ここも今日はパスして明日来ることにする。
道を戻り、キャンプ場に向かう。
「えりも町高齢者センター」の前でもう一度、走りながら敷地の中を確認すると、道路から少し奥まったところに建物があり、その前は草で少し覆われている。やはり廃墟になっているのではないかと思う。
百人浜オートキャンプ場
17:11「百人浜オートキャンプ場」に到着。受付に行き、使用料310円を払い、えりも町の観光ガイドとキャンプ場の見取り図、ゴミ袋とゴミ分別方法を書いた紙をもらう。
管理人さんからキャンプ場の説明を受ける。
テントはどこに張ってもいいし、自転車もサイトの中に乗り入れてもいい。コインランドリーと公衆電話、トイレは管理棟の中にあり、24時間使用OK。奥の炊事場の横にゴミ箱がある。
こちらからキャンプ場にあるシャワーのことを聞くと、使用料は200円で、コインシャワーではなく、普通のシャワー。特に時間制限はないが、使用時間は夜7時までとのこと。
近くの「高齢者センター」の風呂にも入れる(300円也)と言うので、まだ廃墟ではないらしい。
あとで調べると、「高齢者センター」の建物は、敷地奥の建物ではなく、入口の右手にあった建物のようだ。
キャンプ場には、先客が3組ほどいて、2組はお互い奥の離れたところにテントを張っている。1組は駐車場に近いところでタープだけ張って食事をしている。テントがないので車中泊だろう。
自分は、特に迷うことなく、タープから少し離れた管理棟の近くにテントを張る。
テントを張り終えた後、ソロのライダーが2人やってくる。2人とも自分とタープの間に距離を取ってテントを張っている。
ところで、ここのキャンプ場は百人浜に近いせいか、変な噂がある。夜中に幽霊が出るとか!?
なので、ライダーさんも、それを意識して「付かず離れず」と思っているのかどうかはわからないが、いい距離感になったのでないかと思う。
テントを張り終え、早速シャワーを浴びに行く。管理人さんにお願いしてシャワー室の鍵を開けてもらう。
管理棟の中に入ると、左にシャワー室が2つ、右にトイレ、シャワー室の先にコインランドリーがある。シャワーのついでに下着も洗濯する。
シャワーのあと、飲み物を買ってこなかったことに気づき、止むを得ずキャンプ場の自販機でコーラ500mlを買う。160円也。高いが、仕方なし。
今日はアルコールはなし。膝が痛み出したのは、ひょっとしたら久しぶりにアルコールを飲んだせいかもしれないと思ったので、それを確認する意味で買っていない。
19時を過ぎて、管理人さんが車で帰っていく。
晩飯を食ったあと、トイレに行ったついでに空を見上げてみる。満天の星空だ。近くに大きな街が全然ないこともあり、よく見える。かなり明るい星もあるが、星座や星の知識がないので、名前は全然わからない。
テントに戻り、自転車旅最終日の土曜日の天気を確認すると、やはり雨。昨日から、日程を1日早めたいと思っているが、なかなかやりくりが難しい。
明日は、様似の「親子岩ふれあいキャンプ場」までと距離的はかなり短いが、その先は新冠の「判官館森林公園」しかなく、走行距離は110km以上になる。
普通なら全然問題なく新冠まで走れるが、今日の膝の具合や明日の予定を考えるとちょっと時間的に無理そうだ明日は様似のエンルム岬の展望台に上るつもりだし、できればアポイ岳のビジターセンターにも行きたいと思っている。
見たいところは見て周ったほうがいいので、明日は「親子岩ふれあいキャンプ場」までにする。
今日は、広尾でスマホの充電用に乾電池を買ったので、試しに充電してみる。が、新しい乾電池をなんど充電器にセットし直してもスマホの充電が始まらない。
家から持ってきた充電池(エネループ)では充電できる。電圧は乾電池の方が高いので、乾電池のほうが容量が少なくて充電できないのだろうか?原因はよくわからない。
これではせっかく日本製の乾電池を買った意味がない。まだエネループが残っているので、それで充電するが、使い切ったエネループをどこかで充電しないと、スマホがゴールまで持たないだろう。
とりあえず、エネループはスマホの充電専用にして、他の乾電池はGPSやライト用に使うことにする。
今日も21時までには寝袋に入る。
23時頃、木々の葉っぱが揺れる大きな音で目が覚める。
「えっ、幽霊?、噂は本当だった?」
幽霊ではなく、海からの風が強くなってきたせいだろう、多分。
ここのキャンプ場は海に近いが、森に囲まれているため、テントサイトの中まで風が強くなることはないだろう。寝る。
走行時間:6h13m43s 走行距離:93.72km
平均速度:15.0km/h 最高速度:30.2km/h
== 旅の費用 ===========
キャンプ場(百人浜オート)代:¥310
シャワー代 :¥200
乾電池代 :¥220
飲食代 :¥1,320
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合計 :¥2,050
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