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'20 ぐるっと日高山脈一周キャンプ旅⑥ 忠類〜大樹

2020年 自転車旅 北海道

5日目 2020年8月24日(月)       -

朝、5時頃起床。天気は曇りで、今日もガスっている。

今のうちにトイレ横の炊事場で洗濯をしようと準備するが、石鹸がない。いくら探しても石鹸と髭剃りを入れた袋が出てこない。

「あっ、これはひょっとして…」

と思い、昨日石鹸を持って行った「ホテルアルコ」の温泉のことを思い返す。

風呂場から出た後、石鹸と髭剃りを入れた袋は濡れていたので、着替えている間だけ、脱衣所の洗面台の横に置いて、着替え後に持って帰ろうとした。

が、着替えた後は、その事を忘れて帰ってしまったことに気づく。

去年の霧多布に続いてまたしても、温泉でヤラかしてしまった。

こんな朝早い時間に、温泉は営業していないはずなので、あとで電話して忘れ物がなかったか聞いてみようと思う。

これで、洗濯はできなくなったので、ゴミ捨てを兼ねてセイコーマートに昼飯のパンを自転車で買いに行く。ついでに石鹸か旅行用の小さい洗剤でも売っていれば買おうかとも考える。

セイコーマートの途中にホテルがあるので、入口の看板で日帰り温泉の営業時間を確認する。なんと朝5時からやっている。

今はもう6時過ぎ。これはラッキーと思い、すぐに受付に行き、聞いてみる。

自分  :「昨日、温泉の脱衣所で石鹸と髭剃りが入った袋を忘れてしまったんですが、届いてないでしょうか?」

受付の方:「ちょっと待ってくださいね」

受付の方が奥へほうへ行って、袋を持ってくる。その袋は自分の物ではないので、「なさそうだなぁ」と少し諦め始める。

受付の方:「この中の物が全部、昨日の忘れ物なんですが、この中にないですか?」

袋の中をのぞき込むと、ビニール袋に入れた石鹸と髭剃りがある。

自分  :「あっ、これです!」

といい、それを取り出す。

受付の方:「それでいいですか?」

自分  :「はい。どうもありがとうございます」

そう言って、石鹸と髭剃りを受け取り、ホテルを出る。もう一度、受け取ったものを確認すると、髭剃り刃のカバーがないことに気づく。まぁそれはいいことにする。

ナウマン公園キャンプ場

セイコーマートで買い物をして、キャンプ場に戻る。

石鹸が戻ったので、早速、洗濯をしに行こうと思う。

とりあえず今日のところは、上下の下着と半袖の上着を洗濯しよう。下の七部パンツも洗いたいところだが、量が多くなってリアキャリアに干せなくなるので、これはもう1日我慢する。

洗濯をしに炊事場に行くが、掃除のおばちゃんと車中泊らしいおじさんがなにやら話をしている。

おばちゃん曰く、

「いたずらで、どこかの鍵か何かを、手の届かない高いところにわざと置いてあり、取れないようにしてあった。そんなことをする輩がいた。自分の手では届かないので通りすがりの兄ちゃんに取ってもらった」

とかなんとか。

しばらく近くのベンチで待っていたが、おしゃべりは止まらず、別の人も炊事場にやってきたので、諦めて第1キャンプ場の炊事場に行ってみる。

第1キャンプ場の炊事場には蛇口が4口あり、だれも使っていない。あからさまに洗濯するのは気マズイので、買い物袋に洗濯物と水を入れ、石鹸で泡立たせて、洗濯をする。

洗濯している時、ふと横をみるとカバーがかけられた2輪車がテントの横に置いてある。サイト内なのでバイクではなく、自転車だ。

ということは、昨日出会ったあのおじさんが、やっぱりここに泊まっているんだろうと思う。持ち主の姿が見えないので確かではないが…

それにしても自転車カバーまで持ってくるとは、よほど自転車を大切にしているのだろう。

この辺りは雨が降らなくても、ほぼ毎朝、露や霧で濡れてしまうので、濡れるのがイヤならカバーを持ち歩いたほうがいいように思う。

洗濯中、何人か炊事場に食器洗いや歯磨きをしに来たが、特にこちらに気を止めることなく、用が終われば去っていく。

無事、洗濯が終わり、テントに戻る。

自転車に張ったゴムロープに洗濯物を掛けていると、すぐ脇の遊歩道からおじさんに声を掛けられる。そのおじさんは朝早くから隣にあるパークゴルフ場に来たようだ。

おじさん:「自転車旅行ですか?私も前に自転車で北海道1周したことあるよ」

自分  :「それはスゴイですね。私はそこまでしたことないです」

おじさん:「天気もよくて、自転車旅はいいね」

「今のところ、曇っていてガスっているが…」と思いつつ、「今日もそのうち晴れてくるだろう」と思い、

自分  :「そうですね」

と答える。

おじさん:「峠とか大変だよね。足も痛くなるし、尻も痛くなる」

自分  :「狩勝峠を通って来たんですけど、この後はもう峠はないです。ただ、このあと、襟裳岬にいくので、その途中にある長い黄金トンネルが難関です」

おじさん:「あ〜、あった、あった。確か5kmぐらいの長いトンネルがあって、怖かったなあ〜」

自分  :「バックミラーを見ながら走れば、後ろから来る車がわかるんですが、ライトをつけずに走る車もいるのでそれが怖いです。それで、一応、後ろに派手に光るライトをつけてます」

おじさん:「そうそう、突然、車が来てビックリする」

自分  :「トンネルの中だと、車の音が聞こえても、前から来ているのか後ろから来ているのか、どれくらい近づいているのかよくわからないですし」

おじさん:「そうそう」

おじさん:「明日は百人浜ですか?」

自分  :「そうです。本当は広尾に泊まろう思ってたんですが、コロナで閉鎖されているので、ここ(忠類)と百人浜に変えました」

おじさん:「では、気をつけて」

自分  :「ありがとうございます」

7:29 洗濯物を自転車に干して、「ナウマン象記念館」や「道の駅 忠類」など周辺を散歩しに行く。

「ナウマン象記念館」は、駐車場との間にやたらと広いスペースがあり、そこにあるナウマン象親子の像が目につく。まだ、8時前なので記念館は当然、開いていない。見学する予定もないが…。

ナウマン象記念館
ナウマン象記念館

ナウマン象親子の像
ナウマン象親子の像

道の駅に行ってみると、駐車場には車中泊のキャンピングカーが数台止まっている。

道の駅の中に入り、トイレの前にある道路情報をみてみるが、特に問題はなさそうだ。広尾の黄金道路が情報カメラに写っている。明日、通るところかもしれない。

7:58 テントに戻る。

今日は、忠類や大樹周辺にある宇宙関連施設やホロカヤントウ、天気がよければ丸山展望台を周り、ここに連泊する予定。なので、テントや寝袋類はそのままにして身軽で出かけられる。

出発の準備をしていると、「天気がいいね」と話していたおじさんの言葉とは裏腹に、8時過ぎから予想外の雨が降り出す。

最初は霧雨程度だったか、時折、本降りに近い雨になることもある。雨雲レーダーやナウキャストで確認するも、一昨日の芽室の時と同じように雨雲はない。

仕方ないので洗濯物を取り込んで、テントの中でしばらく過ごす。

しばらくして雨が一旦止んだので、そろそろ出ようかと思ってたところ、また降り出す。

今日は距離的にはあまり走らず、時間に余裕があるし、雨も長く降り続くことはないだろうと思い、止むまでテントの中で待つことにする。

そしてテントの中で、明日以降の予定を考える。

天気予報では、最終日の土曜日がやはり雨で、それまでは曇りか晴れ。台風が近づいているが、大陸のほうに逸れていくようだ。多分、この逸れた台風が低気圧に変わって、北海道に来るのだろう。それで土曜日が雨ということか?

元台風の低気圧となると風雨が強そうなので、やっぱりどこかで予定を1日繰り上げた方がよさそうだ。こうなると、予定していた広尾のキャンプ場の閉鎖は痛かった。と、今更思ってもどうしようもない。

明日は「百人浜」ではなく、明後日行く予定の「アポイ山麓ファミリパーク」まで足を延ばすとすると、距離は約112kmになる。十分走れる距離だが、途中に襟裳岬がある。

襟裳岬は、狩勝峠越えと並んで前から行きたかったところなので、今年の自転車旅はこのコースに設定した。なので、時間に追われず、じっくり見て周るつもりだし、1時間以上滞在するかもしれない。

そうなると、112km先の「アポイ山麓ファミリパーク」まで行くのは難しいように思う。

そこで、もう一度「どうみん割」を利用して、襟裳岬の民宿に泊まることを考える。が、今度は襟裳岬から先のキャンプ場が限られてくる問題が出てくる。

距離的には「三石海浜公園」がちょうどいいが、料金がバカ高い(6,900円也)ので選択肢にはない。

三石の手前だと様似の「親子岩ふれ愛ビーチ」、三石の先だと新冠の「判官館森林公園」になる。

「判官館森林公園」までは到底1日で走れる距離ではないし、「親子岩ふれ愛ビーチ」は近すぎて、そもそも日程を1日繰り上げることにならない。

結局、明日は予定通り、とりあえず「百人浜」のキャンプ場とし、時間がありそうなら「アポイ山麓ファミリパーク」まで行くということにする。まぁ、無理だと思うが…

そんなことをテントの中で考えていると、外からナウマン象の鳴き声が聞こえる。

「なんだ今の?」

と思ったが、時計をみるとちょうど9時だったので、記念館の開館を知らせるナウマン象の雄叫び?かもしれない。

「なかなか雨、止まないなぁ」と思っているところ、テントの下が濡れてきていることに気づく。

「なんだ??」

テントの下にグランドシートを引いているのに、ここまで浸水している。原因を探るため、テントを出て周りを確認する。

すると、右側サイドのフライシートが、インナーテントやグランドシートマットの外までしっかり張り出しておらず、フライシートの雨雫がインナーテントとグランドシートの間に落ちていて、ここから雨水が浸入している。

予想外の雨だったこともあるが、テントの張り方が無知であることを思い知らされる。

すぐに自在ロープの張り具合を強めて、フライシートを張り出させる。他の箇所も確認するが、他は大丈夫のようだ。

浸水した雨は、どうしようもない。この雨ではペグを抜きテントをひっくり返して乾かすわけにもいかない。

「まっ、雨があがった後、出かけている間に乾いてくれるだろう」と、ちょっと虫のいいことを期待する。

テントの張り方については、大惨事ならずに、また一つ学習したと思うことにする。

テントの中に戻ると、また外からナウマン象の声が聞こえる。時計を見ると10時。1時間毎に時報のように鳴くのだろうか?

10時を過ぎた。いくら時間に余裕があるとはいえ、さすがに出発しないと周れなくなるので、雨装備で出発することにする。

ただ、まだ小雨が降っているので、洗濯物を乾かしながら走れない。洗濯物はテントに中に置いていく。

10:10 キャンプ場を出発。まずは大樹町の「航空宇宙実験場」に行くため、道道319号線に向かう。道道319号線へは、国道236号線ではなく、忠類神社のある上の道を通って出ることにする。

第1キャンプ場の前まで来て、あのおじさんがいるのか確かめてみる。朝、洗濯しているときに見た自転車のところには若い人がいる。どうやら、この人が自転車の持ち主らしく、あのおじさんではないらしい。

いったい、あのおじさんはどこに行ったことやら。まぁ、別にいい。

10:20 道道319号線に到着、右折する。300mほどでまた右折して道道657号線に入る。

走ると多少雨粒を感じ、止まると何も感じないので、霧か霧雨程度のようだ。路面はしっかり濡れている。

牧草地が続く、交通量皆無の道道657号線を走っていくと、遠くの空が少し明るくなってくる。

忠類古里斜線との分岐を通過。その忠類古里斜線のほうを見ると、曇天ということもあり、暗い森の中に道が続いている。滅多に車も通らなそうで、いかにも出そうな(幽霊ではなくヒグマ)雰囲気が漂っている。

時折、日も差し始め、だんだん暑くなってきたので、そろそろレインウェアを脱ごうと思う。

右手に牧場の建物が見えてきて、周辺の電線にやたらとカラスがたくさん止まっている。カラスの近くではあまり着替えたくないので、その少し手前で自転車を止め、レインウェアを上下とも脱ぐ。

日が差すなら、せめて洗濯物を持ってきておくべきだったと思う。

11:08 大樹に入る。

カントリーサインが宇宙船?の大樹に入る
カントリーサインが宇宙船?の大樹に入る

「津波浸水予想地域 これより先」の注意看板が出てくる。太平洋に近づいたことを示すものでもあるが、まだ海岸まではかなり距離があるはず。十勝沖で大地震と大津波が起きないことを祈りながら進む。

11:13 国道336号線に到着。ガードレールの外にある「晩成温泉」の看板に「←大樹町多目的航空公園 1.2km先右折」の小さい案内板がくっついている。その案内板に従って進むことにする。

国道336号線も交通量はかなり少ない。

そして1.2km先に右折の案内板があり、今度は「大樹町多目的航空公園 SORA 大樹町宇宙交流センター→」と書いてある。

星空がかたどられたその案内板の向こうには、牧草地が広がり、何十頭もの乳牛が放牧されていて、宇宙施設と牧場のギャップを感じる。

実はこの辺り、旅前に地図で少し調べていた。ツーリングマップル2017年度版には、この先に「大樹航空宇宙実験場 PR施設あり」と「多目的航空公園」の2つの施設が書いてあって、その施設は1.5kmほど離れている。

ところが、GoogleMapで調べてみると、ツーリングマップルの「多目的航空公園」の位置に「大樹航空宇宙実験場」と「大樹町宇宙交流センターSORA」という施設があり、その少し東に「多目的航空公園」がある。

ツーリングマップルの「大樹航空宇宙実験場 PR施設あり」の位置には何も記載されていない。

ツーリングマップルは、2007年版や2008年版を使っている時から、店や施設の位置が微妙に違うことがよくあったので、「またか…」とツーリングマップルの間違いだろうと確信する。「PR施設」というのも「SORA」のことではないのか?とも思う。

微妙に違うといっても、数キロ違うこともあり、バイクだと大した距離ではないが、自転車だと時間も体力も浪費する。今回はまだマシなほうだろう。

まだツーリングマップルの間違いと確定した訳ではないが、事前に位置を確認したおかげで「間違いの可能性が高い」ことに気をつけながら走れる。

その案内板に従って国道236号線を右折する。

次の交差点で「←多目的航空公園」の案内板。ツーリングマップルではこのまま直進すると「大樹航空宇宙実験場 PR施設あり」だが、そんな案内板はなく、何の施設も見えない。

左折する。しばらく走り、道路の右側に続く林が途切れたところで、右手に大きな建物が現れる。

多目的航空公園

11:25「大樹航空宇宙実験場」に到着。やはりツーリングマップルは間違いだった。

大樹の宇宙実験場というと、「インターステラテクノロジズ」を思い浮かべるが、ここはJAXAの施設だ。

JAXAの大樹航空宇宙実験場建屋
JAXAの大樹航空宇宙実験場建屋

当然、中には入れないので、隣りにある「大樹町宇宙交流センターSORA」に行く。
が、コロナのため閉館していて、見学できず。残念…。

大樹町宇宙交流センターSORA
大樹町宇宙交流センターSORA

駐車場に「多目的航空公園」全体の地図があるので見てみる。すると、手書きで「打ち上げ場所」と書かれたところがある。

ここで最近打ち上げたのは「インターステラテクノロジズ」の『MOMO』しかないはず。なので、その「打ち上げ場所」のことだろう。

ただ、そこはここからかなり遠く、滑走路の向こう端のさらに向こうで、その手前に林もあり、肉眼ではどこだか全然わからない。

その林のある方向を見ていると、遠くに車が1台走っている。あそこに「打ち上げ場所」に続く道路がありそうなので行ってみることにする。

11:31「大樹町宇宙交流センターSORA」を出発。車が走っていた道路に向かう前に、もう少しここら辺りから何か見えないか南へ進んでみる

次のダート道のところまで行ってみるが、「打ち上げ場所」のある東側は背の低い木々が茂っていて何も見えない。

来た道を戻って、「航空宇宙実験場」の北側の道を東へ走る。車が見えたのは、この先を右折したところだ。

しばらくすると、バックミラーに車が映り、こっちに近づいてくる。それはトラックで、抜いていくと、車が見えた道へ右折していく。

が、右折しかけたところで止まり、バックしてくる。

「ん、何してる?」

と思い、右の道をみると、さっき「宇宙交流センターSORA」の駐車場から見たと思しき車が戻ってきている。その車を先に行かせるため、トラックはバックしたようだ。

「そんなに道狭い?」

車は出て行き、トラックはその道に入っていく。

そしてトラックが右折したところまで来ると、その先はやはり車1台が通れるだけの道幅しかなく、しかもダート…。

自転車で行くのは無理なので、どこかに止めて歩いて行こう。が、自転車を止めるいいところがない。ちょうど舗装路の突き当たりには農家があるので、敷地内に止めるのはマズイ。結局、少し手前の路肩に止めておくことにする。

そのダート道を400mほど進むと左へ曲がる。その先もず〜とダート道が続いていて、どこまで続いているのかわからない。

滑走路の端まで行くにもかなりの距離がありそうだ。ここからでも打ち上げ場所のようなところは全然見えない。

「さて、どうする?」

「インターステラテクノロジズ」の施設もこの周辺にあるだろうと思っていたが、そんな施設も見えない。

そこで「インターステラテクノロジズ」をネットで調べてみる。すると、会社自体はこの辺りではなく、国道336号線と道道55号線の交差点付近にある。

「ここは切り上げて、そっちに行ってみよう」

来た道を引き返す。

あとで打ち上げ実験場を調べると、ここからダート道をさらに2kmぐらい行った海岸線近くにあったようだ。もし歩いて行っていたら往復1時間はかかっただろう。

舗装路まで戻ると、さっきのトラックも戻ってくる。運転手は、

「こんなところで何をしているんだ?」

と不審に思っているだろう。自分でもやや不審な動きだったと思う。

「インターステラテクノロジズ」に行くため、まず「航空宇宙実験場」の北側の道を国道336号線に突き当るまで東へ走る。

12:13 国道336号線に到着。合流点には「スペースシャトルもどき?」のSORAのモニュメントがある。

SORAのモニュメント
SORAのモニュメント

国道336号線へ入ると、だいぶ天気が良くなり、日差しもかなり強くなってくる。

インターステラテクノロジズ

12:24「インターステラテクノロジズ」に到着。

といっても、国道336号線と道道55号線の交差点周辺に少し大きめの2階建てのプレハブや建設現場にありそうな平屋建てのプレハブなどが立ち並び、車がたくさん止まっているだけだ。

会社の看板も見当たらないので、ここが「インターステラテクノロジズ」なのか定かではない。建設現場と言ってもいいぐらいで、実際に海側には大きな建物が建設中だ。

とりあえず、プレハブの隣に公衆トイレがあるので用を済ませる。

改めて見まわすと、大きなプレハブの壁に建物の配置図が掲げられている。それを見てみるが、方角や現在地、どれが国道や道道なのか書いていないので、どの建物がこの配置図のどれなのか、すぐにはわからない。

よく見ていると、どうやら交差点の北東側にある大きなプレハブが工場や電気室で、少し離れた海側に建設中のものは新本社の建屋らしい。現本社は交差点南東側にあるようだ。

建設中の建屋の前に行ってみると「インターステラテクノロジズ事務所新築工事」という工事看板が出ている。ここが「インターステラテクノロジズ」で間違いないらしい。

建設中のインターステラテクノロジズ新本社
建設中のインターステラテクノロジズ新本社

そして、交差点南東側には平屋建ての細長い昔の学校のような建物があるので、

「あれが今の本社?」

かと思う。

が、それではなく、建設現場にあるプレハブ小屋を2,3個つなげたような建物が現本社のようだ。

忠類からここまでくる間には、畑や牧草地、林ぐらいしかなかったが、この一角だけは建物が密集していて雰囲気が違う。

道路を歩いている人も、それまでずっと見なかったが、この辺りだけは如何にもエンジニアっぽい若い人が時々プレハブ間を行き来している。

新本社の工事現場から現本社までスケボーで移動している人もいて、のどかな周辺とはちょっと違う世界になっている。

とりあえず、記念に?何枚か写真でも撮ろうかと思う。

本社の写真を正面から撮ろうと思うが、中の人影が見えたり、駐車場の車に人がいたりして、ちょっと撮りづらい。不審者やスパイに思われてもイヤなので人目のない裏手から撮る。

インターステラテクノロジズ現本社(裏手)
インターステラテクノロジズ現本社(裏手)

あとでこの辺りのことを調べてみると、以前は中学校や農協があったようで、現本社に見えた建物がその中学校だろう。農協の建物も残っていた。

2014年に撮影されたGoogleのストリートビューでは、「インターステラテクノロジズ」のプレハブ小屋は何も写っていない。

12:42「インターステラテクノロジズ」を出発。次はホロカヤントウに向かう。

牧草地が続く国道336号線を戻る。すっかり天気もよくなり、夏の陽気だ。

すっかり晴れた国道336号線
すっかり晴れた国道336号線

今日2度目の「SORA」の入口を通過して、幕別に入る。

左に大きくカーブする緩い上り坂で自転車旅の若いソロの男性とすれ違う。

「こんちはー」

と声をかけるも完全無視される。まぁいい。

そのすぐ後に「ナウマン象発掘跡地」への案内標識を確認する。帰りは「ナウマン象発掘跡地」に寄って、そのままその道を西へ走り忠類に戻る予定。というのも、この道がホロカヤントウから忠類へ戻る最短路になる。

13:21 ホロカヤントウと晩成温泉への分岐に到着、晩成温泉までは5km。またもガスってくる。分岐の角にお店があるが、やっていそうにない。

右折して、しばらく走ると「←セキレイ舘」という「とほ宿」の看板がある。「セキレイ舘」という名前は、ツーリングマップルで何度も見ていたので記憶にあるが、場所までは覚えていない。

「こんなところにあるんだ

牧場地帯を抜けていくと、ガスが濃くなってくる。ガスがドンドン濃くなるにつれ、気温もドンドン下がり、ブルブル寒くなってきたので、上だけレインウェアを着る。

この辺りの牧場にもカラスの大群がいて、牧場前の電線や木には、気味が悪いくらいカラスがビッシリ止まっている。

晩成温泉への最後の右カーブを抜けると、道はガァーンと一直線に下りていく。その途中で左から来た道道881号線に合流する。

ホロカヤントウへ一直線
ホロカヤントウへ一直線

坂を下りてしばらく進むと、左手のハマナス牧場の入口に、バス停の待合所のような小さな建物がある。その前には子供用の自転車が2台止まっている。

「この建物はなに?」

と思いつつ、通過する。

あとで調べると、やはりバス停の待合所だったが、今も使われているのかは定かでない。

そんなことを思って走っていると、今度はその先の路肩に黒い「何か」が落ちている。近づくと、それはサドルのクッションカバーのようだ。

誰かが落としたのだろうと一旦通り過ぎるが、引き返して確認してみる。それはやはりサドルのクッションカバーで、しかもあまり使用感がなく、ちょっと前に落としたように見えるぐらい綺麗だ。

自分も今、クッションカバーをしているが、それよりクッションは薄い。が、断然綺麗なのでもらっておく。

「しかし、何でこんなものが落ちているのだ?」

サドルにつけていれば落とす筈がない。多分、ケツが痛くてカバーを付けてみたが、全然効果がないので、怒って、ここで外して捨てたのではないか?と勝手に推測する。

道道881号線を進んで行くと、またしても「津波浸水予想地域 これより先」との注意看板が出てくる。国道336号線に出る手前の道道657号線でも見かけたが、一度「津波浸水予想地域」の外に出ていたようだ。

突き当たりを右折する。左に行けば「生花苗沼」にも行けるが、相当ガスっているのでホロカヤントウだけにしておく。

晩成温泉とホロカヤントウ

13:42「晩成温泉」に到着。隣のキャンプ場は完全な霧の中。キャンプ場にはテントが2,3張りあり、霧の中に椅子に座っている人がかすかに見える。

ここはキャンプ地として全然候補にしていなかった。というのも、朝晩は寒そうだし、店も忠類か大樹まで行かないと全くないからだ。それと、ここで津波がきたら一巻の終わりというのもある。

「晩成温泉」の前にはバスが止まっていて、中学生と思われるジャージ軍団がその周辺にたむろしている。温泉の建物から出てくる子もいる。

「今日はここでキャンプだろうか?」

晩成温泉
晩成温泉

肝心のホロカヤントウはまだ先のはず。奥に続く道があるので、さらに進む。

13:46 舗装路のどん詰まりに到着。太平洋が目の前で、車が2台止まっている。1台は釣りをしている人のだろう。もう1台は中に人がいる。

ここに自転車を止める。海沿いに続いている道は、車止めがあり入れないようになっているので、右に上っているダート道のほうに行ってみる。

歩いて右にカーブしながら上っていくと、右手に復元されたものであろう縄文時代の竪穴式住居がある。どうやら、この辺りには遺跡があるらしく、「北海道指定史跡 十勝ホロカヤントー竪穴群」という案内板もある。

竪穴式住居の先に小屋があるのでそこまで行ってみると、ワカサギ釣りの管理小屋のようだ。当然、この季節なので営業はしていない。

その先には何もなさそうなので、「十勝ホロカヤントー竪穴群」の案内板まで戻る。

案内板から轍に沿って奥へ上がっていくと、草むらが広がっている。ガスっているし、案内板もないのでGPSを頼りにホロカヤントウの方向に進む。草むらには大きな凹みがあるので、注意しながら進んでいく。

すると、草むらの端が崖になっていて、眼下の霧の中にホロカヤントウがかろうじてみえる。海にかなり近いことはわかるが、内陸側は霧で見えないので、沼の大きさはよくわからない。

写真を撮って戻ることにする。

ホロカヤントウ(手前)と太平洋(奥)
ホロカヤントウ(手前)と太平洋(奥)

ホロカヤントウ(内陸側)
ホロカヤントウ(内陸側)

あとで調べでわかったことだが、ホロカヤントウを見下ろしていたこの草むらの凹みが「指定史跡の竪穴群」だった。その時はホロカヤントウの事しか頭になく、そんなことに全く気づかなかった。

13:56 自転車まで戻り、ホロカヤントウを出発。次は「ナウマン象発掘跡地」に向かう。

「晩成温泉」まで戻ると、中学生のジャージ軍団はもういない。単なる休憩だったのか?

国道まで元来た道を戻る。

14:19 国道336号線に到着。閉まっている店(看板には「寺嶋商産」と書いてある)の隣にトイレがあるので用を済ませ、自販機の前でパン食いながら休憩する。

すると「晩成温泉」のほうから釧路ナンバーのワゴン車がやってくる。

窓が開いた運転席から、

「(店)あいてねぇーわ。自販機あるから、ジュースでも買おう」

と運転手の大きな声が聞こえる。同乗者に喋っているようだ。

それを聞き、ちょうど自販機に自転車を立てかけていたので、自転車をトイレの方に移動させる。

車が止まり、運転手が同乗者に向かって

「からむなって!」

と言いながら降りてくる。

その後も

「ほら、コーヒーも買っていくべ」

などと他にも大きな声で北海道弁で何か言っている。同乗者と何やらいろいろ言い合っているようだが、ケンカしているほどでもない。

言い合いながら、運転手は車に戻り、浦幌方面に去っていく。遊びではなく、仕事の途中のように見える。

休憩を終えて出発、国道336号線を戻る。

忠類

「ナウマン象発掘跡地」への分岐道が見えたところで、対向車線を走ってきた車がUターンして、その道へ入っていく。

「あの車はナウマン象発掘跡地へ行こうとしているのか?」

と思いつつ、こちらも右折する。5%ぐらいの上り坂が続く。

14:31「ナウマン象発掘跡地」に到着。ちょっとした記念の石碑が2つと案内板があるだけ。駐車場も車1,2台がやっと止められる程度の広さしかない。

ひと気はマルでない。さっきの車もここに来ようとしてUターンした訳ではなかった。

上り坂の途中にあるので、自転車に跨りながら写真だけ撮って、すぐに忠類へ向けて出発する。

ナウマン象発掘跡地
ナウマン象発掘跡地

相変わらずガスっていて、しかも5%超の上り坂が続く完全な山道。交通量はほぼ皆無。ヒグマが出てきてもおかしくない雰囲気なので、たまに車が通るとホッとする。

山道の途中、左膝に痛みと張りを感じ出す。

「再発したか?」

イヤな感覚だ。

ピークを越え、一旦、忠類幌内川まで下って、再び上る。

このまま西へもう少し進むと、GPSの地図は、森から畑か牧草地のような絵面に変わり、道路の数も増えている。それを見て、

「もう少しで山道も終わりだなぁ〜」

と思ってみるが、道路は北上し、なかなか西に向かわない。すぐに森から出ないし、上り坂がまだ続く。

しばらくして森を抜けて、牧草地や畑が見えて開けてくる。

突き当たりの丁字路を右折する。霧も晴れてだんだん青空も見えてくる。

忠類の牧歌的風景
忠類の牧歌的風景

15:16 道道319号線に入る。また暑くなったのでレインウェアを脱ぐ。前方に山が見えてくるが、あれは方角的に「丸山展望台」のある山だろう。

道道319号線を左カーブすると、右への分岐道がある。多分、ここを右折すれば「丸山展望台」の入口に出れるだろう。

が、膝が痛み出したので、行くのはやめておく。ここの優先度は低い。

15:38 国道236号線に復帰。セイコーマートに寄り、晩飯を調達する。

15:58 キャンプ場に戻る。

すぐさま、洗濯物を自転車に干していると、遊歩道を歩くおじさんに、

「温泉はどこですか?」

と聞かれる。

ホテルアルコの建物を指差して、

「あの建物です。ホテルの中です」

と教えてあげる。

朝、少しだけ浸水したテントの下を確認する。完全ではないが、だいぶ乾いたようだ。

キャンプ場を見まわすと、今の所、昨日に比べてテントの数が少し減っている。

ナウマン公園第2キャンプ場
ナウマン公園第2キャンプ場

テントに入って少し休むことにする。というのも、忠類へ戻る途中から、目が痛いし、歯が痛いし、左膝が痛いし、左太ももが痛いし、股も痛い。しかもちょっと疲れた。しばらく横になる。

目の痛みは、普段しているメガネよりキツめのものをしているせいかもしれない。歯の痛みは、かなり前に詰め物がとれて、その歯でパンを噛んだせいだろう。

左膝の痛みは、まだ完全に治っていないためだし、左太ももの痛みはその膝をかばって走ったせいだろう。

股の痛みは、昨日と同じく、普通のトランクスを履いているので、それで擦れているせいだ。

暗くなる前に歩いて温泉に行く。今日は洗濯物を全然乾かせなかったので、少しでも乾かすため、洗濯物を自転車に干しておく。

温泉のあとは、今日もまたセイコーマートにビールとつまみを買いに行く。今日はビール1本だけにしておく。

テントに戻り、晩飯を食う。明日は、念のため「アポイ岳ファミリーパーク」まで行けるよう早めに出発しようと思う。

膝が回復してくれればいいのだが…。


走行時間:4h27m32s 走行距離:66.86km
平均速度:14.9km/h 最高速度:32.4km/h

== 旅の費用 ==========
温泉(ホテルアルコ)入浴代:¥500
飲食代          :¥1,435
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合計           :¥1,935
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