今回はその計算内容を示す。
計算の主な仮定条件は以下の通り。
勤続年数:26年
退職一時金: 10,000,000円(うちDB分は2,000,000円)
早期退職割増金: 5,000,000円
公的年金(老齢基礎年金と老齢厚生年金の合計):1,795,000円
公的年金の受給は65歳から
60歳以降の収入は年金のみ
退職一時金の手取り比較
・退職金を全て一時金として受取る場合
退職所得控除: 8,000,000 + 700,000 × (26-20) = 12,200,000円
退職所得: (15,000,000 - 12,200,000) / 2 = 1,400,000円
故に税額は、
所得税: 1,400,000 × 0.05 × 1.021 = 71,470円
住民税: 1,400,000 × 0.1 = 140,000円
計算方法はこちら。
結果、手取り額は、
15,000,000 - (71,470 + 140,000) = 14,788,530円也。
・DB分(2,000,000円)を年金で受取る場合
退職所得控除: 8,000,000 + 70,000 ×(26 - 20) = 12,200,000円
退職所得: (15,000,000 - 2,000,000 - 12,200,000) / 2 = 400,000円
故に税額は、
所得税: 400,000 × 0.05 × 1.021 = 20,420円
住民税: 400,000 × 0.1 = 40,000円
計算方法はこちら。
結果、手取り額は、
15,000,000 - 2,000,000 - (20,420 + 40,000) = 12,939,580円也。
退職金を全額一時金として受け取った場合の手取り額は、DB分を年金として受け取る場合より、
14,788,530 - 12,939,580 = 1,848,950円
多くなる。
年金受給時の手取り比較
前提として年金以外の収入は0円とし、公的年金の受給開始は前記したように65歳以降とする。また所得控除は基礎控除と社会保険料(国民健康保険料)控除のみ、所得税の税額控除は0、住民税の税額控除は調整控除(基礎控除差の5万円の5%)のみと仮定する。
・退職金を全て一時金として受取る場合
60~64歳での収入は0円なので、
所得税、住民税:いずれも0円
社会保険料(仮定):20,000円
よって、手取りの年額は、
-20,000円也。
65歳以降での収入は公的年金になる。
公的年金は日本年金機構から毎年、これまでの納付実績に応じた年金額が通知されている。現在(2017年)の老齢基礎年金の支給額は年額 779,300円(満額)である(*2024年1月現在では795,000円)。
老齢厚生年金の加入実績に応じた支給額は「ねんきん定期便」に記載されているが、ここでは仮定として年額 1,000,000円とする。
従って、老齢基礎年金と老齢厚生年金の合計の年額は、
795,000(2024年現在) + 1,000,000 = 1,795,000円
となる。
現行制度が今後も変わりなく続くとは到底考えられず、年金が減額される可能性もあるが、税金と国民健康保険料を多めに見積もるため、この年金収入での手取り額を計算する。
年金所得: 1,795,000 - 1,100,000 = 695,000円
所得税の基礎控除: 480,000円、住民税の基礎控除: 430,000円、社会保険料(仮定): 60,000円
よって、
所得税の課税所得額: 695,000 - 480,000 - 60,000 = 155,000円
住民税の課税所得額: 695,000 - 430,000 - 60,000 = 205,000円
故に税額は、
所得税: 155,000 × 5% = 7,750円
復興所得税: (155,000 × 5%) × 2.1%= 162円
住民税(所得割): 205,000 × 10% - 50,000 × 5% = 18,000円
住民税(均等割): 5,000円
社会保険料(仮定): 60,000円
結果、年金の手取りの年額は、
1,795,000 - (7,750 + 162 + 18,000 + 5,000 + 60,000) = 1,704,088円也。
・DB分を年金で受取る場合
DB分は60歳から終身年金(20年保障)として受け取れる。また退職から60歳までは年2.5%の利息がつく。
このため、DB全額(2,000,000円)を60歳から終身年金で受取る場合、60歳到達時(48~60歳までの12年間の利息入れると)には、
2,000,000 × 1.025 ^ 12 = 2,689,778円
となり、これを年金換算係数(現価率)で割った額が60歳以降に毎年支給される。ここで年金換算係数を16と仮定すると、年額
2,689,778円 / 16 = 168,111円
となる。
60~64歳での収入は168,111円となるので、
年金所得:168,111円 - 600,000円 = 0円
故に税額は、
所得税、住民税:いずれも0円
社会健康保険料(仮定): 20,000円
よって手取りの年額は、
168,111 - 20,000 = 148,111円也。
65歳以降での収入はDB分の年金と公的年金になる。
DB分の年金と公的年金の合計は、年額
168,111+ 1,795,000 = 1,963,111円也。
年金所得: 1,963,111 - 1,100,000 = 863,111円
基礎控除(所得税): 480,000円、基礎控除(住民税): 430,000円、社会保険料(仮定): 120,000円
よって、
課税所得額(所得税): 863,111 - (480,000 + 120,000) = 263,111円
課税所得額(住民税): 863,111 - (430,000 + 120,000) = 313,111円
故に税額は、
所得税: 263,111 × 5% = 13,155円
復興所得税: (263,111 × 5%) × 2.1% = 276円
住民税(所得割): 313,111 × 10% - 50,000 × 5%=28,811円
住民税(均等割): 5,000円
社会保険料(仮定): 120,000円
結果、年金の手取り年額は、
1,963,111- (13,155 + 276 + 28,811 + 5,000 + 120,000) = 1,795,869円也。
以上の計算結果から、
・60~64歳
DB分を年金として受取る場合の手取りは、退職時に一時金として受取る場合より、年額
148,111 - (-20,000) = 168,111円
多くなる。
・65歳以降
DB分を年金として受取る場合の手取りは、退職時に一時金として受取る場合より、年額
1,795,869 -1,704,088= 91,781円
多くなる。
公開日:2017年8月25日16時07分、8月28日00時20分
更新日:2024年1月24日12時00分
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